池袋 やきとん・やきとり「豊田屋・1号店」

居酒屋探偵DAITENの生活 第444回 2011年9月10日(土) 【地域別】  【時間順】





池袋 やきとん・やきとり「豊田屋・1号店」


  池袋豊田屋1号店外観

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 東京の繁華街で「昼酒」を楽しむなら、開いている店を探し回るよりも、迷わず電車に乗って池袋に行くのが良いかもしれない。
 土曜日の午後3時半、池袋駅近くでの仕事を終えたSAKURAと待ち合わせたのは、池袋駅西口のロータリーであった。
 向かったのは池袋駅の北側に広がる歓楽街である。西口ロータリーの北の端の車道を渡ると、すぐ目の前の比較的広い道に入り、西一番街中央通りと書かれたアーケードをくぐる。左手には「池袋演芸場」が地下にあるビルがあった。「池袋演芸場」は、1990年から3年間は改築の為に休んでいたそうである。私がこちらの街にお世話になっていた時代とは違い、すっかり建て替えられてきれいになってしまっていた。

 隣の桝本ビルは、1階に入っている桝本屋酒店さんの持ちビル。のぞいてみれば、すでに立ち飲みカウンターには、たくさんの皆さんが立って飲まれている様子。
 「入ってみる?」とSAKURA。最近は角打にも女性は多いので問題は無いけれど、座って飲みたいと思っていたので通り過ぎた。次の十字路を右に曲がると、右手の2軒目に有名な「豊田屋・1号店」があった。こちらに入ることを決めておいて、次の十字路を左に曲がり、二つ目の十字路の左手前角に、立呑亭帆立屋を発見。こちらは24時間営業とのこと。ちゃんと営業中の札が出ている。
 角を左に曲がる。左手の2軒目には、さきほどの豊田屋の系列、「豊田屋・2号店」があり、斜め向こう、右手に「豊田屋・3号店」がある。1号から3号までどのお店も4時開店である。
 さきほどの立呑亭帆立屋の角を右に行けば、次の広い通りに出た角にも角打「三兵酒店」がある。
 前述の桝本屋酒店に行き、三兵酒店に移動、さらに、池袋東口側の豊島区役所近くにある「笹屋」で完結するという角打三軒梯子ツアーも楽しそうである。

 「豊田屋・1号店」に戻ると、外観をしみじみと見る。お店の上の赤い地に黒い文字の豊田屋の看板が目立つ。店名の左に「やきとん」、右に「やき鳥」とある。
 二間間口のお店の幅いっぱいに掛けられた暖簾の竿は少ししなっていた。紺色の地に白い抜き文字で「豊田屋」と書かれたその暖簾の店名の左には「やきとん、やきとり」、右端には「一号店」とある。この暖簾の汚れ具合がお店の歴史を示している。
 ガラスサッシの戸は四枚、右端と左から二枚目が入口になっている。右から二枚目はビールケースや生ビールの立看板があるので入れない。よりによって、SAKURAは左端の一枚を開けてしまった。
 すると、お店の中から
 「そこに入口はこちらって書いてあるのになあ、みんな間違って入ってきちゃうんだから・・・」
 と大将の冗談めかした言葉で迎えられる。
 左端の戸を入ると目の前は急な階段があって入りにくいのである。一度閉めて、左から二枚目の戸を開けて入った。
 「このあいだなんか、そこから出ようとする人もいるんだから・・・出られないよねえ」と、ビールケースが積み上げてある場所の戸を指して笑う。

 カウンター前の椅子と階段の途中に大きな猫が座っていた。椅子の猫は階段の方へ自分から移動。猫の座っていた席に座った。
 左奥から右にかけてのL字カウンター。カウンターの中にはさきほどの強面の大将が一人。カウンターの右端で先客の方がホッピーを飲んでいらっしゃる。

 まずは、サッポロの瓶ビール大瓶(570円)とグラスを二つ。赤星である。
 焼き物は、たん(130円)、かしら(130円)、れば(130円)を各2本。いわゆる「2本縛り」である。

 突然、マスターがカウンターの角の部分の天井から下げられたマイクを手にとって、プロレスの「リング・アナウンス」昔の「パチンコ店」の店内放送のように、「いらっしゃいませ、いらっしゃいませ」と言う。すると、男性客の方が入ってこられ、カウンターの左手奥に座った。そして、ホッピーセットの黒を頼んだ。ホッピーは中が270円、外が150円である。セットは420円であろうか。

 れんこん包みあげ(300円)を頼む。

 階段の途中で猫二匹がおとなしく並んで座っている。ちょうど我々と顔が合う。2匹とも目を細めて眠そうだ。
 「君は眠そうだねえ」と猫に声をかける。あくびをする。肉の焼ける美味しそうな香りがしていてもまったく何も反応しない。
 「日常ですから・・・」と猫が言っているように思えた。

 焼き物がやってきた。普通より長めの串にささっていて大ぶりである。美味しい。
 れもんハイ(250円)を頼んだ。

 右端の先客の方がお勘定をされた。

 「ありがとうございました」リングアナウンスが入る。この声は店外にも聞こえるようになっている。帰りがけ外の換気扇の下にスピーカーを発見した。

  池袋豊田屋1号店スピーカー ←「換気扇の下にスピーカー」

 さらに、生酒(670円)を追加。

 男性の方、男女二人連れと席がうまってゆく。その度に「リングアナウンス」である。だんだんに店内が盛り上がってゆく。

 男性が外からのぞいた。後ろに女性の姿。すかさず、マスターがマイクをとる。
 「いらっしゃいませ~」
 男女二人連れの方が入ってこられ、私達の右隣に座った。
 男性が「呼ばれちゃったから入ってきちゃったよ」とのこと。
 大将が「のぞいたから、声かけたんですよ、道ばたの人にはいいませんよ」と切り返す。
 
 メニューを見て、女性の方が「御惣菜コーナーで買うくらいに安いわねえ」とおっしゃる。

 こちらのお店では、鳥なんこつをかっぱと呼ぶ、他の方々が食べているのを見て食べたくなった。1本190円。
 
 満席に近い状態になった。開店は4時であるが実際には、ずいぶん前から開けていたようである。

 お勘定をお願いする。3時45分から4時30分まで45分の滞在。二人で2,700円であった。

 店を出る。外のスピーカーからリングアナウンスが聞こえた。

 「はい、ありがとうございました。ありがとうございましたあ~。」

 酒も入り、元気が出てきた。隣町まで歩いてみることにする。そして、また発見をしたのだった。

 
 (つづく)

 






  池袋豊田屋1号店看板

 
池袋 やきとん・やきとり「豊田屋・1号店」
住所 東京都豊島区西池袋1-34-5
電話 03-3985-8415
営業時間 16:00~23:30
定休日 日曜日
交通 JR池袋駅北口改札より徒歩3分




ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。

「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら

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テーマ : 居酒屋
ジャンル : グルメ

赤羽「まるます家」~池袋「ふくろ」

居酒屋探偵DAITENの生活  第34回  2007年8月18日(土) 【地域別】  【時間順】



赤羽「まるます家」~池袋「ふくろ」


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赤羽「まるます家」

 連日35度以上の猛暑日が続くこの夏、久しぶりに暑さが一時的に弱まった土曜日の午後、私とASIMO君は、相談の上、昼酒と決め込んだ。
 山手線池袋から田端を底辺として、埼京線の池袋から赤羽を左辺、京浜東北線の田端から赤羽を右辺とする三角形、東京城北地区の「居酒屋ゴールデントライアングル」へ再びの来訪である。

 前回は、王子で山田屋酒場に行き、そこから東十条に移動、東十条から十条まで歩いて、和田屋斉藤酒場の2軒を探訪した。今回は赤羽、十条、池袋の3カ所を訪問する予定だったが、私が午後6時から渋谷で用事がある為、前回訪問した十条は断念することにした。

 埼京線に乗って赤羽駅についたのは午後2時頃であった。赤羽駅東口側に出て、駅から1分の場所にある立ち飲み「いこい」を目指す。最初に目に入ったのは、「キャバレー太郎」こと福富太郎氏が経営するキャバレー「ハリウッド」である。すでに故人ではあるが、私の友人の父親がハリウッドの重役をしていたことがあるので、なんとなく馴染みがある。ハリウッドの斜め前に、有名な立ち飲み店「いこい」はあった。ところが、朝7時からやっている筈なのに、シャッターが閉まっている。前まで行くと、夏休みの告知が貼ってある。残念な気持ちで、次の店へと向かった。

 駅前に向い、道を渡って、駅前から見て北東方面に広がる「赤羽一番街商店会」に入ってゆく。左にカーブしている道を50メートルほど進むと左側の角地に今日の目的地「まるやす家」の提灯が見えてきた。

 中をのぞくと、コの字が二つ連なっている大カウンターがある。右側の端に4席空いているのを発見。二人であることを伝えて座る。ここで、ついつい左右に席を空けて座ってしまう。すると、「詰めて座ってくださーい」と言われる。こういう混んでいる店では当然のことである。

 まず、頼んだのはチューハイである。「チューハイ二つ」と言うと、「徳用にしますか?」と聞かれる。私たちの左隣の人の前に、それらしき物が置かれている。これだと思い、「お願いします」と答えた。短冊には「チューハイ徳用(950円)」と書かれている。1リットル入りの「ハイリキ」の徳用瓶である。ドンと置かれる徳用瓶のハイリキと、氷の入ったジョッキ二つ。ジョッキで4杯から5杯は飲める量である。本当に徳用である。
 チューハイで乾杯をする。思ったよりも甘さがなくて飲みやすい。
つまみは、「鯉のあらい(400円)」と、牛すじ煮込み(450円)を頼んだ。

 やがてやってきた煮込みを食べると、「この煮込みうまいですね」とASIMO君。同感である。煮込みを食べているうちに、ビールが飲みたくなってしまった。
「珍しいですね」とASIMO君に言われる。
サッポロラガービール大瓶(500円)を頼んだ。いわゆる「赤星」である。スーパードライなら飲まない。「赤星」だから飲むのである。
 次に頼んだつまみは、「うなぎのバラ身ポン酢和え(350円)」と「里いも唐揚げ(350円)」である。
 
 この店では、二つのコの字カウンターの中に一人づつ女性が居て、我々から聞いた注文を大声で伝える。すると、それを聞いた二つのコの字カウンターの真ん中の部分に立っている女将さんらしき人が再び甲高い声で復唱するのである。そして、目の前の板の上の釘にプラスチックのプレートをさしてゆくのである。これで、伝票なしで勘定が出来るのである。
 この作業が停滞した時、「ちょいまち~」と女将さんが歌うように言った。すると、お姉さんが「まってるわよ~」と歌うように答える。楽しいやりとりである。

 「うなぎのバラ身ポン酢和え(350円)」がやってくる。これがうまい。
さらに、「里いも唐揚げ」が来た。お姉さんが「おいもちゃんおまたせ~」と歌うように言った。この「里いも唐揚げ」がまたうまいのである。酒飲みはこういう単純でうまいものが食べたいのである。

 午後3時に勘定をお願いする。50分ほどの滞在で二人で3000円ぴったりであった。


 「まるます家」を出た後、すぐそばのおでんの「丸健水産」をのぞいた後、「OK横町」に入り、昼間からやっている何軒もの居酒屋をのぞく。「吉田類の酒場放浪記」でも紹介された鰻の「川栄」も発見した。まさに、「昼酒天国赤羽スタイル」である。


 池袋「ふくろ」

 赤羽駅から埼京線に乗り込み、池袋を目指す。途中で、名居酒屋が建ち並ぶ街「十条」に降りたい気持ちをぐっと抑える。時間がないのである。
 池袋についたのは午後3時30分であった。メトロポリタンプラザ側に出て、エスカレーターで地上へ。池袋西口公園前に出る。公園のすぐ前の路地に入るとそこに三階建ての「ふくろ」のビルがある。ビルの1階と2階がカウンター席、3階はテーブル席と座敷になっている。前回は3階の座敷だったが、今回は常連が座る1階のカウンター席を狙いを定めて入った。

 中に入ると、目の前に30人ほどが座れる大カウンターが広がっていた。説明しにくいのであるが、全体が大きなLの字になっていて、Lの字の上の方はコの字になっている。Lの時の下辺に店の入口があり、L字の上の部分にも、もう一つ入口がある。
 すでにたくさんの人たちが飲んでいた。L字の上の方、左側に空席があり、そこに座る。

 やはり、ホッピーである。焼酎の入った緑色のガラス徳利の1合ビン、氷の入ったサワーグラス、ホッピーの瓶、マドラー付の氷入れの4種が出てくる。焼酎が190円。ホッピー瓶190円、併せて380円である。これは、自分のペースでホッピーを呑める、最高の組み合わせである。ASIMO君も「これはいいですね」と感心していた。
 コースター代わりに「おしぼり」をグラスの下に1枚づつ敷いてくれ、これがテーブルが濡れるのを防いでいる。実に合理的である。

 私は、サワーグラスに入った氷を氷入れに戻し、ホッピー原理主義的に一杯いただく。

次の予定がある為、ここで残りの焼酎はASIMO君に提供してしまい、自分はホッピーのみの追加、「ハイレモン(160円)」と呼ばれるアルコールの入っていないサワー類の瓶を飲むことにした。

 つまみは、「タン塩焼き(400円)」、「刺身盛り合わせ(800円)」を頼んだ。刺身はマグロ、イカ、タコ、カンパチの4種であった。さらに、小柱かき揚げ(350円)、ウインナ(350円)なども頼んだ。

 途中、私たちの斜め左前に座っていた御老人が店の女性に何か言っている。よく聞いてみると、壁の時計が15分すすんでいることにクレームをつけているのであった。

 午後5時30分までに渋谷に行かなければならなかったので、このクレームは、私にも関係のある話であった。我々も15分すすんだ状態を信じて時間配分をしていたのである。

 言われた女性も「お店の時計なので~」と曖昧に答えている。きっと、意図的に15分すすめてあるのである。周囲を見まわすと、店内で問題を起こさないようにという内容の長い文章が何カ所にも貼ってある。池袋という地域で朝からやっている居酒屋である。色々と問題も起こるのだろうなあと改めて思い知った。

 「私はバスで帰る都合があるので、時計を本来の時間にしていただきたいだけなのです」と、老人は丁寧な言葉のまま怒っている。しかし、店側が直す様子もないことに痺れを切らしてか、勘定を済ませて出て行ってしまった。千円ほど払って、杖をつきながらフラフラと店を出て行く後ろ姿に「孤独」がまとわりついていた。

 「ふくろ」の2階席も1階と同じような大カウンターがある。我々がいる間も、1階に空き席があるのに、迷わず2階に上がってゆく一人客が何人もいた。きっと、1階と2階とでは、カウンター席にも雰囲気の違いが微妙にあるのかもしれない。次回は2階席に行ってみたいと思う。
 居酒屋にはドラマがある。ASIMO君も「ふくろ」が気に入ったようであった。また、「ふくろ」には、池袋東口にも支店がある。そちらにも行ってみたいものだと話し合った。

 午後4時50分、外にでる。1時間10分ほどの滞在、二人で3570円であった。


赤羽 まるます家
東京都北区赤羽1-17-7
03-3901-1405
定休日 月曜
営業時間 09:00~21:30


池袋 ふくろ
東京都豊島区西池袋1-14-2
電話03-3986-2968
年中無休
営業時間 平日07:00~24:00(2、3階16:00~24:00)日曜祝日07:00~23:00)
JR「池袋駅」西口徒歩1分
ホッピー有

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ホッピー情報
居酒屋ファンの間で売れている三栄書房の「TOKIO古典酒場」でホッピーに関する「ホッピー酒場の南限・北限を探る!」という募集をやってます。【投稿募集期間】2007年8月8日(水)~2007年9月28日(金)。詳しくはこちら

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「深川安楽亭」を見て池袋居酒屋「ふくろ」へ

居酒屋探偵DAITENの生活  第7回  2007年1月27日(土)    【地域別】  【時間順】



「深川安楽亭」を見て池袋居酒屋「ふくろ」へ


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池袋東京芸術劇場 青年座公演「深川安楽亭」観劇

 青年座の時代劇「深川安楽亭」を見るために、池袋・東京芸術劇場に向かう。「深川安楽亭」は山本周五郎の原作を小松幹生氏が脚本にした作品である。SAKURAが演出した青年座第104回スタジオ公演「COLORSⅡ~シャンソンと愛のモルナールあえ」に出演されていた青年座のベテラン俳優名取幸政さんが同作品に出演されている為、SAKURA、咲良舎の俳優創間元哉と共に観劇に駆けつけた。

 「深川安楽亭」は深川の運河に囲まれた場所にある居酒屋だ。といっても、気質の人間がブラリと寄れる店ではない。そこに出入りするのは無頼の徒ばかりである。冒頭のシーン、そこに現れた場違いな男の「俺は知ってるぜ、この店がどんな店か」という言葉に店中の人間が緊張する。秀逸な導入部である。

 「安楽亭」の主人幾蔵役の山本龍二さんの漂わせる「殺気」を楽しみ、やがて見せる「孤独」に胸が痛む。特に幾蔵の最後の台詞「一番話したいのはこの俺だ」が身にしみた。
 山本龍二氏とは青年座第61回スタジオ公演「東海道四谷怪談」の時に、終演後、酒席でご一緒したことがある。1990年8月であるから、なんと17年前である。
 登場する無頼の者たちは、とにかく酒を呑む、酒を呑みながら話す、喧嘩をする。江戸時代の話であるのに、抜け荷を扱っている所以か、幾蔵だけは赤ワインまで飲み出す。見ていて酒を呑みたくなった。
 終演後、名取さんとロビーでお会いして、酒席に来ていただく約束をする。

池袋の大規模大衆居酒屋「ふくろ」

 SAKURA、創間と共に向かったのは、東京芸術劇場の近くにある、池袋最大級の大衆居酒屋「ふくろ」である。「ふくろ」は3階建てのビルになっている。店に入って、4人であることを伝えると、上に上がるように言われる。1階には40人ほどは座れようかという「大カウンター」がある。階段を上がると、2階にも1階とまったく同じ「大カウンター」を発見。これは凄い。さては、3階も・・・と思いながら上がると、そこにはテーブルが数卓、その奥に座敷席があり、その座敷席に3人で座る。

 早速ホッピーを注文すると、焼酎の入った緑色のガラス徳利の1合ビン、サワーグラス、ホッピーの瓶、マドラー付きの氷入れの4種が出てきた。焼酎が190円。ホッピー瓶190円、併せて380円である。これはじっくりホッピーを呑める最高の組み合わせではないか。壁の短冊に「煮こごり」の文字を発見、大衆居酒屋で煮こごりに出会うことはあまりない。刺身などと共に注文する。
 この店のつまみは、焼き物、刺身、酢の物、煮物、天ぷら等何でもある。そして、どれも安い、その上、毎月8日はつまみ類が全品半額になるらしい。もつ煮込み400円が200円になるというわけである。さぞかし混むに違いない。

 店に入ったのが午後9時半を回っていたので、10時過ぎには揚げ物はラストオーダーとなった。急いで唐揚げを頼む。
 しばらくして、名取幸政氏がいらっしゃった。劇団概要によれば青年座は「1954年5月、当時、俳優座の準劇団員であった若者が、俳優座から別れて作った劇団」である。名取氏は1963年(昭和38年)の入団とのこと、青年座創世記のメンバーと言える。
 普段は無口で物静かな名取氏がこの日はよくお話をしてくださった。ベテラン俳優としての経験に裏打ちされたお話に感銘をうけた。
 池袋の駅で名取氏と別れ、山の手線に乗ったのは午後11時過ぎであった。

 青年座公演「深川安楽亭」に登場する男たちは孤独だった。絶望的な「孤独」の末に、小さな救いがあり、この物語は終わるが、男たちの「孤独」はさらに続く。
 「深川安楽亭」の無頼の男たちは、他に「安楽な場所」がない故に、そこに集まっていた。「深川安楽亭」の「安楽」とは、アイロニーとしての「安楽」であった。

 現代の居酒屋に集まる男たちもまた「孤独」を抱えている、その孤独を癒す為に酒を呑む。ただ酒を呑むだけならば、家でも呑める。見知らぬ同志が肩を並べ、時には黙ったまま、時には世間話に花が咲き、酒に酔い、味に満たされる。そして、勘定を払い、全員が確実に店を出て去ってゆく。そんな「立ち寄る場所」であるがゆえに癒されるのだ。人生に区切りをつける「句読点」、それが「居酒屋」の本質かもしれない。

 毎日のように行ける値段の安さ、誠実で飽きのこない味付け、押しつけがない接客、それらがきちんと揃った店は流行る。また行きたくなる。
 私にとっての「安楽亭」を探してまた歩く。死を迎える前日に、大好きな「居酒屋」に立ち寄ることが出来たとしたら、それはそれで本望といえる。

池袋 大衆酒場「ふくろ」 豊島区西池袋1-14-2
電話03-3986-2968
営業時間 平日07:00~24:00(2、3階16:00~24:00)日曜祝日07:00~23:00) 年中無休


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プロフィール

新岳大典

Author:新岳大典
新岳大典(ARATAKE DAITEN)
作家・コーディネーター。

居酒屋探偵daiten(izakaya detective DAITEN)として活動。劇集団咲良舎制作。多目的スペース「かたびら・スペース・しばた。」クリエイティブ・ディレクター。
演出家守輪咲良のブログ「さくらの便り」ブログ「人間日和」を運用中。
2011.7よりfacebook参加。2011.8より「ブクログのパブー」にて居酒屋短編小説を中心に発表開始。
 2014年9月6日より独自ドメイン取得によりURLがhttp://daitenkan.jp/に変更。

 なお、ブログのプロフィール写真は仙台四郎(せんだいしろう)の人形を撮影したもので新岳本人ではない。
 その時代、仙台四郎が訪れる店は繁盛するとして各地でもてなされたそうである。没後は商売繁盛の「福の神」としてその写真が店に飾られるようになったとのこと。

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