神泉 居酒屋「萬安」

居酒屋探偵DAITENの生活 第169回  2009年1月14日(水)   【地域別】  【時間順】




神泉 居酒屋「萬安」

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 新年会

 渋谷区円山町は元々は花街である。明治時代、神泉町に浴場と料理店を兼ねた「弘法湯」という「温泉施設」のようなものがあった。隣接する円山町は花街として発展、大正時代に入って三業地(料理屋・待合・芸妓屋の三業の営業が公的に許可された場所)として栄えた。最盛期には芸者さんが400名以上いたという。その後、花街としての円山町は衰退。ホテル街として有名になってゆく。
 最近は、ホテル以外にも若者向けの「クラブ(語尾上がる)」「ライブハウス」が出来たり、渋谷から近い割には事務所の家賃が安い為か、若い社長さんたちが立ち上げたIT関係の事務所が増えたという。さらに、所謂おしゃれなバーやカフェなどもあり、古くから続いている居酒屋なども多い。様々なものが混在する不思議な街である。
 私自身の母方のルーツが「神楽坂」である為、三業地の匂いのする場所には不思議な郷愁を感じるのである。

 神泉駅南口を出ると左方向に歩く、すると左手に踏切がある。その踏切の先にはトンネルが口を開けている。下北沢方面から来た井の頭線は、駒場東大前駅を出た後、山手通りの手前で地下に入り、ホームに降り立った時点では地下駅のように思える神泉駅の先で、わずか十数メートルだけ地上に出て、再びこのトンネルに吸い込まれるように入ってゆく。夜、この踏切を渡る時、トンネルの持つ独特の雰囲気にいつも私は圧倒される。

 トンネルの口を左手に見ながら線路と平行にある階段を上がってゆくと、旧花街のメインストリート「円山通り」に出る。この円山通りを右手に曲がり、道玄坂上から旧山手通りに至る巨大なS字を描く神泉仲通り」に出て、道玄坂上方向に歩いた左手に今日の目的の店「萬安」がある。その先には、すきやきとしゃぶしゃぶの店、松木屋のビルが建っている。

 「萬安」での宴会の時間まで三十分ほど周辺を探索した。辺りには気になる居酒屋がたくさんあった。いつも、ブログ「さてと、今夜はどこ行く?」mariruuさんの記事で写真と共に紹介されている店を何軒も確認。どの店もいつか入ってみたいと思わせる外観であった。
 円山通りのホテル街を黒いコートを着て、ハンチングを被った男が歩いて行く。白いマスクまでしている。我ながら怪しい。路地を見つけると入ってゆく。男女と何度もすれ違う。相手のことは見ないようにする。一人で歩いている男性もこちらとは目を合わせない。タクシーがあるホテルの前で止まった。無線で呼ばれたに違いない。エンジンは切らずにいる。微妙な間である。
 結果的に円山町のホテル街を一周してしまった。集合時間10分前に「萬安」に到着、私の前に店に入ってゆく人影を発見。後に続いて中に入る。
 入口には「申し訳ございません。本日貸切となります」と書いてあった。常連の方々がこの文章を読んでがっかりして帰ってゆくのだろうなと思い、なにやらこちらの方が申し訳ないような気持ちになる。

 本日は普通の飲み会ではない。主に城南地区で呑んでいらっしゃるブログ作者の皆さんの集まりである。昨年のうちに、「中目黒あたりで呑んでます」のdaitokujiさんからうれしいお誘いを受けていたのである。

 参加者の皆さんは
「中目黒あたりで呑んでます」daitokujiさん
「呑んでたまるか!」croquettepunchさん
「もつ焼き・オリジナル」たかじろうさん
「さてと、今夜はどこ行く?」mariruuさん
「悪あがき女製作所」kimimatsuさん
「ある日、風になれ。」chamiさん 
「びーぐるぐるぐる」ぜんぶさん
「宇ち多中毒のページ」宇ち中さん
以上の八名の方に私を加え計九名であった。

 私の前にいらっしゃた方が「もつ焼き・オリジナル」のたかじろうさんであった。早速、私の名刺をお渡して御挨拶をする。この後、次々にいらっしゃる方々に、それぞれ名刺をお渡しした。
 「萬安」はうまい料理と良いお酒を安く提供してくれるお店として聞き及んでいた。
 しかし、実際に中に入ってみると、重厚感のある「料理屋」の雰囲気である。二階に上がると、二間の座敷の襖が取り去られ「広間」になっている。
 廊下の部分の低い位置に掃き出し窓があるのが珍しい。「床の間」には掛軸や壺などが置かれ、店の歴史を感じさせる。「萬安」は大正九年創業の店である。
 二十人以上は座れるに違いない空間を九名で使うのは贅沢である。一列に置かれた座卓の上には、大きな土鍋がふたつ。鮟鱇鍋である。そして、大皿には刺身が盛られている。和風ダイニングなどでよく見るツマや飾り付けばかりが目立つ脆弱な刺し盛りではない。大皿の上にところ狭しと魚が盛られているのである。

 全員が集まらないうちから生ビールをもらい、だれかが来る度に乾杯である。お店の方が焼酎「丸西紅芋にごり」の一升瓶を持ってこられる。宴会の途中からさらに「佐藤」の白の一升瓶、「山ねこ」の四合瓶と焼酎が運ばれてくる。これを水割りやロックでいただくのである。それぞれに美味しかった。
 しかし、今日の宴会の主役は魚や酒ではない。人なのである。それぞれブログを書いている方々であるから話題は尽きない。人に伝えたいことがあるからブログを書いているのである。会話が弾む。

 それぞれの皆さんとは、コメントで数え切れないほどやりとりをしているが、やはり、人には会ってみるべきである。また、それぞれの皆さんと個別にお会いして、是非、お話がしたい。そして、共に酒を呑みたい。

 円山町の古い料理屋の二階での宴席である。酒がすすむ。大人の会話である。ちょっとだけ当時の旦那衆になったような気分。思えば、私の曾祖父から祖父の時代は神楽坂で時計眼鏡貴金属商をしており、神楽坂以外にも何軒も店を持っていた。曾祖父はたいへんな大酒のみで、神楽坂の花街でも有名な人であったという。母は私がその曾祖父に似ているという。なにやら、ほんの少しではあるが血が騒ぐ夜であった。


神泉 居酒屋「萬安」
住所 東京都渋谷区円山6-11
電話 03-3461-2611
定休日 土日祝休
営業時間 17:00~23:00
交通 京王井の頭線神泉駅下車徒歩1分。


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プロフィール

新岳大典

Author:新岳大典
新岳大典(ARATAKE DAITEN)
作家・コーディネーター。

居酒屋探偵daiten(izakaya detective DAITEN)として活動。劇集団咲良舎制作。多目的スペース「かたびら・スペース・しばた。」クリエイティブ・ディレクター。
演出家守輪咲良のブログ「さくらの便り」ブログ「人間日和」を運用中。
2011.7よりfacebook参加。2011.8より「ブクログのパブー」にて居酒屋短編小説を中心に発表開始。
 2014年9月6日より独自ドメイン取得によりURLがhttp://daitenkan.jp/に変更。

 なお、ブログのプロフィール写真は仙台四郎(せんだいしろう)の人形を撮影したもので新岳本人ではない。
 その時代、仙台四郎が訪れる店は繁盛するとして各地でもてなされたそうである。没後は商売繁盛の「福の神」としてその写真が店に飾られるようになったとのこと。

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