大岡山 炉端「うめ本」

Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第566回 2014年8月15日(金)  【地域別】 【池上線】 【時間順】 【がっかり集】


 ※2014年8月18日 1,310,000カウント通過。感謝!

 大岡山 炉端「うめ本」

   ~ ずっと会いたかった人に初めて会えたような ~

   

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 蒸し暑い日だった。気温は最高気温33度。西の方では雨がたくさん降り、東京も空が不安定であった。
 今日は、今から69年前、それまでの暗雲と長雨が終わりを告げ、新しい日々がやってきた記念日である。
 目黒区碑文谷に用事があり、SAKURAと二人で東急東横線の都立大学駅から歩いた。
 用事を済ませ外に出ると、雨が降っていた。すぐそばに「すずめのお宿緑地公園」という公園があり、中を散策してみると、孟宗竹がたくさん生えていた(下写真)。

   すずめのお宿緑地公園

 雨と傘と孟宗竹。風情のある時間を過ごすことができた。
 それから環状7号線沿いに出て、さらに目黒区南の交叉点まで歩いた。
 交叉点からほぼまっすぐに南下する道があり、六〇〇メートルほど歩けば、東急大井町線と目黒線のターミナル駅である大岡山駅前に出る。
 その道を歩き始めた。しかし、すぐにどこかで休むことになった。我々にとって、「どこか」とは「居酒屋」のことである。
 先ほどの交叉点から一五〇メートル歩いた辺りの左手に、以前から入りたいと思っていた店があった。
 はじめて、気づいたのは十数年前であろうか。店の前を通る度に、時間が無かったり、こちらの人数が多すぎたり、満席であったり、様々な理由で入ることが出来なかったお店である。

 店名は炉端「うめ本」
 二間間口の左手が昔ながらのガラス戸、右手側は焼き台が外に向かって配置されている様子。そこに、「やきとり」と書かれた暖簾が下がっている。入口の戸の前には縄のれん。最近はこの「縄のれん」に出会うことも少ない。「縄のれん」そのものを知らない若い方も多いに違いない。縄のれんの上に丸い小さな赤提灯が三つ下がっており、右手側にも丸い赤提灯と「やきとり」という文字が書かれた赤提灯一本、そして、「炉端うめ本」という文字が光るようになっている竹細工の看板が下がっていた。さきほど通り過ぎてきた孟宗竹の竹林のことを思い出す。(下写真)
 入口の左右には、たくさんの植木の鉢があり、雨に濡れた葉が涼しげであった。

 縄のれんをくぐり、中に入った。右手にカウンター八席。カウンター手前端に先客の男性が一人。
 左手には二人席のテーブルが三つ。一番手前のテーブルには荷物があって使っていない様子。入って左手の高い場所にテレビがある。そして、カウンターの中に女将さんがいらっしゃった。

 まずは、SAKURAは生ビール小(四六〇円)、私はレモンサワー(三八〇円)を頼む。
 注文をしてすぐに、SAKURAはトイレにたった。
 すると、「泡がきめ細かい方が良いですから・・・」と言って、女将さんは生ビールを注がずに帰りを待っていてくれた。
 さて、生ビールを注いでもらい乾杯となる。生ビールがうまそうだ。私のレモンサワーもうまかった。
 お通しは「しらたきの明太子会え」。ピリッとして美味しかった。
 落ち着いたところで焼き物をお願いする。
 ねぎま(一二〇円)を二本。なんこつ(一二〇円)、手羽先(二〇〇円)、トマト巻き(一八〇円)を各一本である。
 
 店内を見回す。天井からいくつかアサヒビールの白と赤の提灯が下げてある。ジャイアンツのマスコット、ジャビット君がビニールにつつまれ、天井近くに飾ってあり、そのオレンジ色が店内の暖色系の照明に照らされ淡く輝いている。
 
 さらに、女性が一人、先客の方の隣に座られた。御常連同士で会話の花が咲く。

 まずは、ネギマが出てくる。ふっくらと焼かれ、うまい。
 さらに、なんこつ(やげん)は、お肉がたくさんついているもの。
 手羽先は巨大である。骨までバリバリ食べられるのがうれしい。
 ずっと来たいお店で味わう良き味。
 それは、ずっと会いたかった人に初めて会えたような、そして、その人がとても良い人であった時のようである。
 
 熱燗二合(六九〇円)をお願いする。
 「ちょっと、うちのは時間がかかりますけど・・・」と女将さん。
 電子レンジではなく、鍋に水を入れ涌かして、そのお湯で燗をつけてくれるからである。
 その方が実は良い。
 熱燗を待つ間にレモンサワー(三八〇円)を追加することにした。
 こちらでは横浜市の静水社フジカサワーを使用しているようだ。好きな味である。

 トマト巻きもうまかった。
 ここで、SAKURAがタレで食べてみたいという。焼き鳥(一四〇円)とレバー(一二〇円)を2本づつ頼んだ。このタレも美味しかった。こちらのお店のうちそとの優しい雰囲気にそった味である。

 メニューを改めて見る。野菜焼き焼き魚などもあった。
 当たり前である。ここは、店名の通り、「炉端焼き」のお店だった。
 次回は焼き鳥以外のものも食べよう。
 私もSAKURAも二人とも満足。
 お勘定をお願いする。一時間ほどの滞在。二人で三八七〇円であった。




大岡山 炉端「うめ本」
住所 東京都目黒区南3-11-19
電話 03-3725-8704
定休日 ?
営業時間 ?
交通 東急大井町線・目黒線大岡山駅下車徒歩六分。


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ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。

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蒲田 居酒屋「碇や」

Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第565回 2014年8月12日(火)  【地域別】 【池上線】 【時間順】 【がっかり集】

 


 蒲田 居酒屋「碇や」

   ~ 仕事の憂さを晴らすには ~


  


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 久しぶりに友人のラム元帥と会うことになった。
 二人で飲む時、店選びは常に私が任されている。指定された街は蒲田である。
 蒲田駅東口駅前からまっすぐ東西に走り、あやめ橋を渡って第一京浜国道に至る広い駅前通りと、南北に走るJR京浜東北線と東海道線の線路、そして、JR線の下、あやめ橋の下をくぐって京急蒲田駅の北側を下ってゆく呑川の三本のによって作られる三角地帯は、実は私の好きなタイプのお店が集まる地域である。

 今日は、駅にも近いこの三角地帯の店を選んだのである。
 改札で待ち合わせたラム元帥と二人、蒲田駅東口に降り立つ。左を見ると交番が並びにある。その先の右手角には昼間からお酒が飲める居酒屋兼食堂の名店、三州屋本店がある。三州屋本店と銀行の間を抜け、ちょうど京浜東北線の下をくぐる多摩堤通りの上の小さな陸橋を渡る。

 四階建のマンションの一階に三軒の居酒屋さんが並んでいる。その一番手前が目的の店、「碇や」さんである。コンクリートの建築物を木造建築の雰囲気を出すために、入口の上に木造の小屋根が作られている。藍色の暖簾には「碇や」と書いてある。右手に松竹梅の一斗樽が三つ詰まれている。
 お店の前に自転車が四台も置かれているのを見て、「これは地元の皆さんで混んでいるなあ」と思う。
 店内に入ってみると、予想通りの満席状態であった。左手に一直線のカウンター。右手のこあがり座敷に四卓ほど。
 普通は「今、満席なんで・・・」と言われ、他のお店を探すことになる。しかし、お店の方と先客の皆さんが相談をしてくれ、カウンターの奥に近い場所に二人で滑り込むことができた。二人ともビジネスバッグを足下に置いてやっと座れたのである。
 まずは、瓶ビール(キリンラガー)を頼む。
 健啖家のラム元帥が一期に頼んだ。牛すじ煮込み(三五〇円)、たこ唐揚げ(五〇〇円)、マグロ刺身五〇〇円)である。

 すでにかなりお酒がすすんでいる様子なので、皆さん大きな声で楽しそうに話している。
 我々だけが、ビールを飲みながら互いの仕事の話を地味にしていた。
 しかし、牛すじ煮込みたこ唐揚げマグロ刺身と次々に出されるつまみを食べ、ビールを飲むうちに、仕事の話はどうでもよくなってきた。

 「焼酎のボトルキープが一升瓶なのもいいね・・・」とラム元帥が笑う。店内を見廻した。
 たしかに、皆さんの前に焼酎の一升瓶がそれぞれ並んでいる。こちらでは、常連は一升瓶の焼酎なのである。
 一升瓶焼酎のボトルキープが日々成立するということは、御客様の定着率が高いということだ。
 ラム元帥芋焼酎黒霧島ロックを頼んでしまった。私は、控えめにレモンサワーにする。


 我々の前のカウンターの中で細身のマスターが料理を作っておられる。
 「お客さんたちイカのしおから好き?」
 「はい」と私。
 「じゃ、食べられるね、イカきも焼き食べる?」
 
 イカきも焼き(三五〇円)が出てきた。
 「たべて」とマスター。
 お茶碗にご飯を入れたものが出てきたのである。
 「イカをたべて、残ったキモにご飯を入れて混ぜて食べるとうまいよ」とマスター。
 実際に、後からご飯を入れて食べてみるとこれが美味しかった。
 谷中しょうがも追加する。
 
 午後7時半前という早い時間なのに、刺身類、豆腐などの食材が無くなったそうである。
 やっと、料理が一段落して、マスターがホッとされた様子。

 厚揚げ焼き(三五〇円)が無いということで、さつま揚げ(三五〇円)にする。

 さつま揚げが出てきたところで、結局、芋焼酎黒霧島ロックを二つ。
 自家製おしんこ(三〇〇円)をラム元帥が頼む。
 彼はどこへ行ってもおしんこを食べるのだ。
 
 「盛況ですごいですね」とラム元帥
 「みんな、御客様のおかげですよ。」とマスター。

 自家製おしんこは、きゅうりなす、そして、白い何かである。
 最初、大根かと思ったのだが、よくみると、山芋であった。山芋のおしんことは珍しい。これが美味しかった。

 ラム元帥は明日も忙しい。一時間半ほどたったところで帰ることにした。
 お勘定をお願いする。二人で五八六〇円。ラム元帥はよく食べる。いつもちょっとお勘定は高くなる。
 二人でビジネスバッグを胸に抱え、常連の皆さんの間を「すいません」と言いながら出口をめざす。
 「また、来てくださいね」「どうも~」などと店中の御常連の皆さんに送られ、外に出た。

 背後の扉を閉めた瞬間のラム元帥の一言が面白かった。
 「疲れた、でも・・・面白かった」
 二人ともすっかり仕事の憂さは消えていた。


蒲田 居酒屋「碇や」
住所 東京都大田区蒲田5-3-8
電話 03-5703-2007
定休日 ?
営業時間 ?
交通 JR京浜東北線蒲田駅下車徒歩3分・東急池上線・東急多摩川線蒲田駅下車徒歩4分。


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居酒屋探偵DAITENの生活 「あえて店名を伏せたまま」第3回『池上線某駅近く、メニューは無いけれどお安い常連酒場』

Life of the izakaya detective DAITEN  【地域別】  【時間順】  【がっかり集】
居酒屋探偵DAITENの生活 「あえて店名を伏せたまま」第3回 『池上線某駅近く、メニューは無いけれどお安い常連酒場』



 居酒屋探偵DAITENの生活 「あえて店名を伏せたまま」第3回
 『池上線某駅近く、メニューは無いけれどお安い常連酒場』

 
  お店のお名前を伏せているので、今回もまた写真は仙台四郎
  
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 居酒屋を巡り、そのことをブログに書いていると、様々な方から「この街の店が気になるので行ってみてくれ」、「自分が行ってみて、感じたことがあるので、試しに行ってみて感想を書いてほしい」というお話がある。
 そして、実際に行ってみれば、とても良いお店の場合も多く、記事にして紹介をすることもある。しかし、御常連ではない一般の方が突然に行っても楽しめないかもしない。また、お店の方や御常連の皆さんはネットで紹介されることを望まないのではないかと想像できる時もある。しかし、そこで起きた出来事は面白く、紹介をしたいと思うのだ。
 少し前から、そんな場合を「居酒屋エッセイ」という曖昧な名前のカテゴリーで書き始めた。
 そんなお店で起きたことを「あえて店名を伏せたまま」というカテゴリーにまとめることにした。
 ゆえに、今回がいきなりこのカテゴリーでの第3回ということになったのだ。

     ※    ※    ※

 普段はあまり降りないけれど、好きな酒場があるという理由だけで降りてみる駅がある。その駅のことが頭に浮かんだ。
 しかし、その日は電車ではなく、路線バスに揺られてその駅まで歩いて行けるバス停を降りてみることにした。
 碁盤の目状の町並み、マンションや住宅、小さな工場や事務所が並ぶ、特徴のあまりない地域である。
 角を曲がってみた。遠くに東急池上線の踏切が見え、緑色の車体が通り過ぎて行った。
 あの踏切を渡って、左に行けば駅があると見当をつける。しかし、その踏切の手前右手にずっと以前から気になっているお店があったのである。

 外見は比較的地味である。小料理屋といった風情だろうか。外に価格を示すものは何もない。
 暖簾の隙間から店内が見える。左手にはカウンター。右手の小上がり座敷に座卓が三つ。
 
 引き戸を開けて中に入る。左手のカウンターの中に作務衣(さむえ)を着た大将のお姿。この道何十年のベテランの大将に違いない。カウンター席に御高齢の男女の方々がお二人並んでおられる。その向こう側のカウンターの一番端に男性の方が一人座られておられた。
 白衣なども着ていない方で、お酒を飲んでいる様子もない、しかし、お店の方ではないようだ。
 居酒屋さんで時々、お店の方か御常連なのか解らない方がいらっしゃる。大将や女将、マスターやママさんが一人で営業されているお店では、そういう内輪的な御常連によく会うのである。
 
 作務衣大将
 「何、飲まれますかあ」とおっしゃる。
 店内の壁などに貼られた飲み物のメニューを探してしまう。
 その様子を見て大将がおっしゃった。
 「メニュー?」
 「はい」
 「うち、メニュー無いの・・・生、サワー、ウイスキーかなあ・・・うちは安いから大丈夫ですよ」
 「それじゃ、生で・・・」

 生ビールがやってくる前に、ナスの煮浸しカクテキ等三品の突き出しが出てきた。
 持ってきてくださったのは前述のカウンターの一番端に座っておられる方であった。
 生ビールもやってくる。美味しく生ビールをいただいた。

 御夫婦らしい方々が前述の男性や大将と話をされている。
 私は、顔見知りの方々ばかりのお店に、新参者の自分がいるだけでも迷惑じゃないのかと考えてしまう。
 しかし、自分から不自然に話しかけることはしない、大将や御常連の方から口火をきってくださった時だけ、ちゃんと答えるのである。それから様子を見て、軽い質問をしてみるのである。
 中には、どなたも何も聞いてくださらないお店もある。
 実際に、そういうお店も世の中にはあって、そういう空気を感じた時は、早々に帰ることにしている。
 でも、こちらのお店は違う。無理をしない程度に気を遣ってくださる。

 「本当はお酒飲みたいんですけど・・・・サワーで」と私。
 「そんなこと言わないで、お酒飲みなさいよ」と笑顔の大将。
 「血糖値が怖いんで・・・サワーお願いします」
 「サワーはね、リンゴ、レモン、ウーロンかな・・・炭酸大丈夫?」
 「はい、大丈夫です・・・それじゃレモン、焼酎薄めでお願いします」

 レモンサワーを飲みながら考える。
 作務衣の大将の姿を見て思い出したことがあるのだ。
 母方の祖母は私を僧侶にしようとしたのである。小学校を出たらお寺に修行に行くことを母にすすめたのである。
 まるでタイの少年のようである。今、思えば、その方が良かったのかもしれない。
 実際、飲み屋さんでお話をする中、周囲の皆さんが僧侶であると勘違いされ、そのままお話をしてしまう時がある。
 最近は否定せず、そのままにしてしまう。大典寺という架空の寺の住職というキャラクターである。

 常連の方々と話が盛り上がっている。
 私は一人店内を眺める。お店の奥にはカラオケの装置がある。
 もう少し遅い時間になれば、皆さん歌われるに違いない。

 「塩辛食べられる?」と大将。
 「好きなんですけど、今、塩分気をつけているんで・・・」と私。
 「長なすと南蛮の煮浸しはどう?・・・南蛮はちょっと辛いけどね」
 「あっ、はい・・・」
 「いいよ、食べてみて」

 並びの御常連の方が「お酒強そうですね」などと声をかけてくださる。
 新参者に少しずつ近寄るように、気にかけてくれるのはうれしい。
 だんだんにやはりお酒が飲みたくなってしまった。

 「やっぱり、あの、おっしゃる通りお酒飲みます・・・あったかいのあります?」と私。
 「あっためればあるよ」と笑う大将。
 「そうですよね、最初から暖かいのは、無いですよね・・・あっ、常温でいいです、お酒」
 「はい、お酒ね」
 「それからタコ刺しもお願いします。」
 「はい、タコ刺しね」

 タコは丁寧にお仕事をされた姿で出てきた。
 お酒に合う。

 「マスターのお知り合い?」と御常連に聞かれる。
 「この辺の方ですかあ・・・」とも聞かれる。
 「いいえ、散歩の途中の飛び込みです。」と答えた。
 「これを機会に来てくださいね」と、御常連の女性の方。

 その駅の名前が昔は別の名前であったことを思い出して、皆さんに聞いてみた。
 ちゃんと御存知であった。やはり、長く地元に住まわれる方々である。

 来た時は外は明るかった。
 今、ちょっと外を見ると暗くなっている。
 遠くから踏み切りの音が少し聞こえた。
 お酒を暖める必要はなかった。
 十分に暖まったのである。
 お勘定をお願いして、奥の方へ行って待つ。
 「はい、二千円です・・・安いでしょ」と大将。
 酒類三杯につまみ四品である。安いと感じた。
 「また来てくださいね」と御常連。

 外に出る。
 一瞬、自分の向かう駅の方向が解らなくなった。
 どこか、地方の小さな街にいるような気持ちになる。
 初めての酒場に入る。
 その酒場に入る前の自分と、その酒場を出た時の自分が変化しているのは、酔いのためだけではない。
 その時の気分の変化は、私が酒場巡りをする理由の多くの部分を占めているのかもしれない。

 (了)


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プロフィール

新岳大典

Author:新岳大典
新岳大典(ARATAKE DAITEN)
作家・コーディネーター。

居酒屋探偵daiten(izakaya detective DAITEN)として活動。劇集団咲良舎制作。多目的スペース「かたびら・スペース・しばた。」クリエイティブ・ディレクター。
演出家守輪咲良のブログ「さくらの便り」ブログ「人間日和」を運用中。
2011.7よりfacebook参加。2011.8より「ブクログのパブー」にて居酒屋短編小説を中心に発表開始。
 2014年9月6日より独自ドメイン取得によりURLがhttp://daitenkan.jp/に変更。

 なお、ブログのプロフィール写真は仙台四郎(せんだいしろう)の人形を撮影したもので新岳本人ではない。
 その時代、仙台四郎が訪れる店は繁盛するとして各地でもてなされたそうである。没後は商売繁盛の「福の神」としてその写真が店に飾られるようになったとのこと。

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