新丸子 魚肉菜「勝又」

Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第577回 2014年11月22日(土)  【地域別】 【池上線】 【時間順】 【がっかり集】


 
 新丸子 魚肉菜「勝又」

  ~ ゆったり座ってゆっくり飲める店 ~


 

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 土曜日の夕暮れ時、東横線沿線での用事を済ませた後、新丸子に行ってみることにした。
 明日は大相撲九州場所の楽日である。夕暮れ時の居酒屋で、相撲中継を見る楽しみをゆっくり味わいたいと考え、ゆっくり座れるお店を探すことにした。
 東急東横線と目黒線の新丸子駅の改札は一つである。その改札を出て右手へ。駅前広場に向かって右へ。東急線脇を少し歩くと、道はそのまま線路から離れ、真北へと向かうと、右手角地にある黒湯の出る銭湯「丸子温泉」に出会う。さらに、先に進むと中原街道に出る。すると、道の向側左手に今日の目的の店、魚肉菜「勝又」さんが見える。街道を右に行けば丸子橋。東京方面へ帰ることが出来る。信号を渡った。

 
 新丸子 魚肉菜「勝又」外観

 店の入口に藍色の高級感のある暖簾。入口右手にアクリル看板には、「お食事・お酒 魚肉菜 勝又」と表記してあった。左側には「ハイサワー・ハイッピー」の幟が立ててある。藍色の暖簾をくぐって中に入る。左手にL字カウンター。十五名ほどが座れそうなカウンターに椅子は十席ほど、ゆったりと座れる。カウンターの中の調理場も広め、店の奥の方にも広い空間があるようだ。
 この余裕は素晴らしいと思う。カウンターの背後の通路も広くとってある。
 カウンター前には大将。立って相撲を見ていたようである。
 入店したのは土曜日の五時二〇分。今日の相撲中継の注目度は高い。
 なにしろ、白鵬の三二回目の優勝が決まるかもしれない楽日前日である。
 まずは、緑茶割り(三五〇円)をいただく。お通し、ジャガイモ揚げである。
 大皿に煮物などがあり、その中から珍しい芋がら煮(三五〇円)を選んだ。
 
 緑茶割りはすぐに飲んでしまう。日本酒大どっくり(六〇〇円)に切れ換え、あわせて、鳥わさ(四五〇円)も頼んだ。

 大将が燗酒を持ってきてくれた時に、キャベツの即席漬け(一五〇円)も頼んだ。
 お猪口に注ぎ、燗酒を口にする。ちょうど良い燗つけである。

 鳥わさがやってくる。美しい鳥わさである。柔らかく美味しい。
 旨い料理を静かな店で相撲中継を見ながら、ぬる燗の酒を呑める。至福である。
 相撲中継に見入る。

 「勝てばきまっちゃうんですかね」
 「そうですね」と大将。
 「この横綱が破れたら決まりですね」
 「ええ、鶴竜ですね」

 大鵬の優勝回数三十二回に並ぶ。
 勝負は鶴竜が勝ち、明日千秋楽に優勝の決定が持ち越された。
 相撲中継も二分のみ伸びた。
 ニュースである。淡々としたアナウンサーの声が心地よい。
 十一月二十二日は、「いい夫婦の日」である。
 ニュースでは、結婚五十年を祝うイベントが紹介されていた。
 白いマグロが発見されたニュース。中は赤色であった。
 渋谷の鮮魚店にならび、売ることはせず、明日以降、研究機関に送られるとのこと。

 日曜は定休日、営業時間は午後五時から午前一時まで。
 やがて、複数の家族連れが予約をいれているようだ。
 立ち上がり、奥に向かって歩く。一番奥にトイレがある。奥の様子を見ることが出来た。
 八人座れる大テーブルが二列あり、ベンチ式の椅子なので、十人二組、二十人の宴会が可能に違いない。
 予約の家族連れの方々が少しずつ入ってこられる。
 お店の女性の方も登場。エプロンを着ける。
 ちょうど良いので、御勘定をお願いした。
 午後五時二十分から六時二十分まで一時間ほどの滞在。御勘定は二一一〇円であった。
 ゆったり座って、ゆっくり飲める、料理も良い。数年前から機会を狙っていた訪問は大成功であった。
 外に出るとすっかり暗くなっていた。
 散歩がてら丸子橋へ行ってみることにした。




 

新丸子 魚肉菜「勝又」
住所 神奈川県川崎市中原区丸子通2-451
電話 044-733-0763
定休日 日曜
営業時間 17:00~25:00
交通 東急東横線・東急目黒線新丸子駅下車徒歩5分


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テーマ : 居酒屋
ジャンル : グルメ

蒲田 居酒屋「鳥海」

Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第576回 2014年11月21日(金)  【地域別】 【池上線】 【時間順】 【がっかり集】


 
 蒲田 居酒屋「鳥海」

  ~ 流れる歌の行方は ~


 

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 久しぶりに会う友人、RAM元帥と待ち合わせたのはJR蒲田駅東口の交番前であった。
 前回会ったのは真夏だった。その時に入ったお店の隣が今日の目的の店である。ゆえに、今回も「蒲田東口三角地帯」へと二人で向かった。
 蒲田駅東口駅前からまっすぐ東西に走り、あやめ橋を渡って第一京浜国道に至る広い駅前通りと、南北に走るJR京浜東北線と東海道線の線路、そして、JR線の下、あやめ橋の下をくぐって京急蒲田駅の北側を下ってゆく呑川の三本の線によって出来た三角地帯である。
 交番からすぐ左手の路地に入ってゆく。路地の入口にある三州屋本店と銀行の間を抜け、ちょうど京浜東北線の下をくぐる多摩堤通りの上の小さな陸橋を渡る。渡ってからまっすぐに行くと右手のマンションの一階に三軒の居酒屋さんが並んでいる。
 真ん中が居酒屋「鳥海」さんである。(下写真)

 
 居酒屋「鳥海」外観

 そして、手前側の右隣は第五六五回で紹介した居酒屋「碇や」さん。(下写真)

 
 居酒屋「碇や」外観

 左手に「鳥海」と書かれた大きめのアクリル看板。中央の入口の暖簾は白地に「鳥海」と大書されている。
 入ると右手に一直線のカウンター。左手に四人掛けテーブル席が三つである。マスターとママさんの二人の姿がある。
 一番奥のテーブルに男女ふたり連れの先客。右手の入口付近に液晶テレビ。入口に一番近いテーブル席に二人で座った。座って見回せば、店内の至る所に演歌系の歌手の方のポスターが貼ってあった。演歌好きのお客さんの集まるお店のようである。

 女将さんがテーブルにやってきて注文を受けてくれる。
 まずは、瓶ビール大瓶。お通しはイカの煮物ゆでたまご
 刺し盛りお任せ(一五〇〇円)とRAM元帥の好物のホッケ焼き(五〇〇円)。
 瓶ビールでまずは乾杯。互いの近況話となる。

 「野菜が食べたいなあ」とRAM元帥。いつものことである。
 「あの、サラダは何かできますか?」
 「サラダは無いんですけど、作りますよ・・・ブロッコリー、トマト、レタスとかですけど」とママさん。
 「はい、お願いします」

 瓶ビールは、すぐに飲んでしまい、午後八時までのサービスタイムで二五〇円のサワーを頼む。
 私はウーロンハイ、RAM元帥はチューハイである。
 ウーロンハイ酎ハイで乾杯。
 刺し盛りお任せホッケ焼きがやってくる。
 揚げ物よりも刺身などさっぱりしたツマミが多い。二人ともそういう年代なのだ。
 
 入口のテレビでどこかの会場でのステージを映した動画が流れている。喉自慢大会のようなものであろうか。
 奥の先客の方々とママさんがそれを見ながらお話をされていた。後から登場の男性一人客も画面に見入っている。
 酒場演歌はよく似合うのである。

 ぬたミックス(五〇〇円)とウーロンハイ酎ハイを追加。

 それから、調子が出てきたのか、やはり燗酒大(六〇〇円)となる。
 トイレに行った。貼られていたポスターにはママさんの姿があった。ママさんはCDも出している歌手のようである。
 奥のお二人が帰る時に、「うるさくてすみませんでした」と言ってくださる。
 「いいえ、いいえ、大丈夫ですよ」と我々。

 もう少し飲みたいということで、燗酒小(四〇〇円)にする。
 演歌は頭の芯をゆるめてくれる。
 
 御勘定は、私がトイレに行っている間にRAM元帥が代表して済ませ、私が割り勘分を渡すやり方だったのではっきりしない。
 上記の単価を記録した物以外に、瓶ビール大おまかせサラダお通しの単価は解らず、どうやら全部で六九〇〇円だったようである。

 「鳥海」さんも蒲田で三〇年以上営業されているという。
 やはり、蒲田三角地帯の店は、奥が深いのである。
 JR蒲田駅に戻り、駅改札でRAM元帥と別れ、私は蒲田の夜の街に消えたのであった。
 遠くからまた演歌が聞こえてくる。





蒲田 居酒屋「鳥海」
住所 東京都大田区蒲田5-3-8
電話 03-3739-5166
定休日
営業時間
交通 東急池上線・多摩川線蒲田駅下車徒歩5分。JR京浜東北線蒲田駅下車徒歩3分。


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テーマ : 居酒屋
ジャンル : グルメ

池上線の文化誌  街の手帖池上線11 「クリエイティ〝部〟タウン 蒲田を行く!」発売

Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活


  ※居酒屋探偵DAITENが「沿線酒場探訪」という記事を書かせてもらっている雑誌の宣伝です。今回は蒲田特集です。 

 
 池上線の文化誌
 街の手帖池上線11
 「クリエイティ〝部〟タウン 蒲田を行く!」

 

 「街の手帖池上線」は、隔月刊で発売されています。
 その第11号が発売されました。
 
 街の手帖池上線11「クリエイティ〝部〟タウン 蒲田を行く!」
  
 

 
 新岳大典(居酒屋探偵DAITEN)の筆名で私の文章が載っています。

 巻頭特集記事にあわせて、今回の沿線酒場探訪「巨大酒場タウン蒲田」です。

 街の手帖 池上線11 本体価格:273円(税別) カラー28ページ 編集・発行:コトノハ

 なお、主な販売店は下記の通りです。
 以前より販売店が増えました。

 三州堂書店 本店(雪が谷大塚)
 藤乃屋書店(御嶽山)
 BOOKS井上(石川台)
 井上書店(洗足池)
 BOOKS一二三堂(蒲田)
 ブックファースト・レミィ五反田店(五反田)
 ブックファースト・大井町店(大井町)
 ブックファースト・アトレ大森店(大森)
 ブックファースト・自由が丘店(自由が丘)
 島津山書店(五反田)
 あゆみBOOKS(五反田)
 草思堂書店(荏原町)
 たま書店(矢口渡)
 くまざわ書店(蒲田)
 ACADEMIAくまざわ書店(蒲田)
 ジュンク堂書店(池袋本店ほか)

 串ろう(洗足池)、隆屋(石川台)、(長原)、ミニストップ(洗足池)、珈琲きまめ屋(蓮沼)、その他、池上線沿線の特約店にて取り扱い中とのこと。

 定期購読、バックナンバー御購入についてはコトノハ/街の手帖編集部のサイトをご覧ください。

  街の手帖 池上線6 「沿線文化が花開く 池上線沿線「本」物語。」
  街の手帖 池上線7 「本の街 池上線」と、本にまつわるエッセイ。」
  街の手帖 池上線8 「洗足池・石川台・雪が谷大塚「わたしの街歩き2014」」
  街の手帖 池上線9 「お昼休みはウキウキ 池上線沿線ランチ特集」
  街の手帖 池上線10 「五反田エレジーと〝真ん中らへん〟のバー」


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ジャンル : グルメ

新橋 立ち飲み「ぼんそわ」第2回

Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第575回 2014年11月11日(火)  【地域別】 【池上線】 【時間順】 【がっかり集】


 
 新橋 立ち飲み「ぼんそわ」 第2回
 
  ~ 新橋というカオス ~


  

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 新橋に来るのも久しぶりであった。
 まずは、新橋駅東側駅前にあるニュー新橋ビルに入ってみる。
 そこは、様々な商店が並ぶ独特の雰囲気の商店街になっているはずだった。
 二階に上がってみると、原色の看板が並び、香水の匂いが漂うマッサージ店ばかりが並んでいる。店の中からこちらをうかがう女性たち。中には、つけまつげを直す仕草をしながら私の方を見もせずに「いらっしゃいませ~」という女性がいる。Tシャツとスポーツパンツで廊下をジョギングする女性に追い抜かれた。
 床に線が引いてあるのは、はみ出して呼び込みしたり看板を設置するのを止めさせる為に引いてあるそうである。
 二十数年前、仕事帰りの憩いを求めてこのビルにやってきた頃の面影は少ない。 
 このニュー新橋ビル周辺には、さらなる再開発の噂があるという。
 
 地上に出てみた。蒸気機関車が展示してある駅前広場では、「新橋大古本まつり」が行われていた。(下写真)

 

 ニュー新橋ビルの東側を歩き、宝くじ売り場の前を通って、烏森通りを渡ると、新橋西口通り共栄会という商店街へ入って行く。この一筋道の左右の路地を歩いてみた。
 そこにあるお店のほとんどが立ち飲み店や居酒屋である。しかし、私がよく歩いた頃とはまったく違っていた。
 何度も何度も同じ路地を巡り歩く。結局入りたいと思う店は無く、馴れたお店にたどり着いた。
 立ち飲み「ぼんそわ」さんである。(下写真)

 

 前回立ち飲み「ぼんそわ」を紹介したのは、2010年9月10日(金)第366回 である。
 自然木を薄く切ったものに店名を彫った独特な看板が店前の真ん中に立ててある。ガラス越しに店内が見えた。店の中央に十名ほどが立てる立ちのみ用のコの字カウンターがある。コの字カウンターの中にママさん。奥の調理場に男性の方。
 財布から千円札を一枚出して目の前に置く。その都度、品物と交換で払う方式。
 まずは、ホッピー氷なし(四〇〇円)。
 焼酎を凍らせたフローズン3冷のホッピーセットであった。千円札が持ってゆかれ、お釣りが置かれる。お通しのあぶらげ煮サービスであることはお金を持ってゆかれないので解る。
 ポテトサラダ(二五〇円)も頼んだ。

 先客は常連の方。それぞれ待ち合わせのようである。 
 かなり歩き回って喉が渇いた為か、焼酎濃いめのホッピーをすぐに飲んでしまった。
 二杯目はトマト割り(四〇〇円)である。一緒に古漬(二〇〇円)である。
 
 「四人以上のお客様はお断り。個人同志で楽しむための場所なのでご了承ください。」と書いてあった。
 実に正しい。
 流れる音楽がローリング・ストーンズに変わった。曲名は「アンダーマイサム」。音楽は良い。

 トマト割り(四〇〇円)は大きめのグラスに、氷と焼酎が目一杯入ったものに、トマトジュース缶詰めが付いてくる。トマト缶は空けてある。焼酎を飲まないと、トマトが入らないのだ。これは、こちらのお店の有名な一杯である。チーズ(一〇〇円)をトマト割りに合わせて頼む。
 四年前に友人のOZAKI先生と一緒に来た時と同じようにホッピーとトマト割りを飲んでいることに気づいた。単価も変わらない。

 柱にマンドリンが掛けられている。少し進めてある柱時計も酒場らしい。
 一時間ほどの滞在で外に出る。支払ったのは一三五〇円であった。
 周囲は変わってしまったけれど、立ち飲み「ぼんそわ」さんは変わっていなかった。

 変わったといえば、「ぼんそわ」さんが面する道から一本南側に幅の広い道が出来上がっていた。
 東京都市計画道路幹線街路環状第2号線という正式名よりも環二通りの方が呼びやすい。この環二通りのうち、2014年(平成26年)3月29日に開通した虎ノ門から新橋に至る全長1.4キロメートルの区間は、戦後約六〇年間、着工が凍結されていた。この区間は、〈アメリカ大使館から竹芝桟橋まで一期に行ける道として計画され、実現が遅れていたマッカーサー道路である〉と言われてきたけれど、実は都市伝説であり、実際にはそのような計画はなかったようである。

 二〇二〇年の東京オリンピックでは、選手村と各競技場を繋ぐ大動脈となるそうである。
 その、東京オリンピックに備え、パリの「シャンゼリゼ通り」を模して、オープンカフェが建ち並ぶような街並みに演出したいという東京都の御意向もあるようだが、すぐ近くに今日巡ってきたような雑多な酒場街があることの方が外国人には受けるような気がする。
 疑似シャンゼリゼ通りがあり、酒場街があり、マッサージ店がひしめく、「新橋」はやはりカオス(混沌)である。




 

新橋 立ち飲み「ぼんそわ」
住所 東京都港区新橋4-15-5
電話 ?
定休日 土曜・日曜・祝日
営業時間 17:45~23:30
交通 JR新橋駅下車徒歩3分
公式サイト http://www.bonsoir.jp/



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テーマ : 居酒屋
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石川台 焼鳥ダイニング「とき」第2回

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居酒屋探偵DAITENの生活 第574回 2014年11月3日(月) 【地域別】 【池上線】 【時間順】 【がっかり集】


 
 石川台 焼鳥ダイニング「とき」 第2回
 
  ~ 時の流れに身を任せ ~


 


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 出かければ帰りに少し呑むことになってしまう我々。SAKURAと二人で向かったのは、池上線石川台駅近くにある焼鳥ダイニング「とき」さんである。テーブル席に一組とカウンターの奥側に男性二人のみ。珍しく空いている。考えてみれば文化の日で、今日は休日であった。

 SAKURA赤ワイン(四五〇円)、銘柄はガルシア・カリオン・テンプラニーリョ〈赤〉と書いてある。私は白ホッピーセット氷なし(四〇〇円)。お通し(三〇〇円)は根菜類の煮物だ。

 まずは、焼き物を選ぶ。
 SAKURAの選択は、ぎんなん串(一七〇円)、ささみ柚子胡椒(一七〇円)。私はひざなんこつ(一七〇円)、せせり(一七〇円)、ねぎま(二〇〇円)である。各一本づつ。どれも美味しいけれど、私としてはひざなんこつが一番。

 箸休めに大根の昆布じめ漬け(三〇〇円)を頼む。

 SAKURAは、赤ワインを追加。私の二杯目は、北の誉・親玉にごりグラス(三三〇円)。グラスは半合とのこと。北の誉酒造は小樽に工場をもつ明治三十四年創業の歴史ある酒造会社。親玉にごり酒は、十五度くらいなので私としては飲みやすい。また、親玉にごり酒ストロングという十八度のものもあり、さらに、苺ミルクのような色の苺にごり酒というものもある。

 店内にはTRFの曲が流れていた。
 有線放送大手のUSENの五〇〇以上あるチャンネルの中には、「居酒屋」「居酒屋(モダン)」「居酒屋(海鮮)」のカテゴリーがある。(モダン)は解るけれど、(海鮮)という区分けが面白い。確認した訳ではないけれど、一九九三年に活動を開始したTRFの曲が流れているということは、こちらの店内に今流れているのは、「J-POP 90’s Hits」というチャンネルであろうか。
 「居酒屋」で有線放送が流れているのが当たり前のようになったのは、いつ頃からであろうか。複数での来店の時、周囲に会話の内容が伝わらないようにしてくれ、独りの場合は聞きたくもない周囲の会話が聞こえてこないようにしてくれる効果はある。来店者の少ない開店間際の時間には、間が持てない感じを補ってくれる為に必要かもしれない。
 音楽好きの私としては、音楽を聴きながら「時の流れに身を任せる」こともある。
 しかし、私が好むタイプの個人経営の居酒屋さんの場合、費用や著作権のこともあり、BGMの代わりに流れているのは、やはりテレビ放送、それも野球中継や相撲中継、クイズ番組など政治色が薄く、番組の途中から見ても解るものになる。

 前回、感じたように、こちらのお店の店員さんは若い男性たちである。
 やはり、午後八時近くなると、常連らしき若い女性たちが入ってきて、カウンター席に座った。来た時からずっとしゃべり続けている。「やばい」「まじ」という言葉を何度も何度も連発する。会話をしているというよりもラップをやっているように聞こえ、会話の中身はまったく頭に入ってこない。
 思えば、酒場やスナックでクダを巻く酔った親父たちの繰り言もまた、意味不明な時が多いので変わりはないが・・・。

 さて、一時間ほどの時間が過ぎた。帰らなければならない。
 お勘定はお通し(三〇〇円)二人分を加え、三四一〇円であった。

 お店の外に出て、左手並び数軒先に池上線石川台駅の蒲田方面改札がある。
 閉まる踏切の警告音を聞いてから電車に乗ることも可能だ。
 もちろん、「かけ込み乗車は御遠慮ください」である。




石川台 焼鳥ダイニング「とき」
住所 東京都大田区東雪谷2-23-1
電話 03-3727-8555
定休 不定休
営業時間 平日18:30~27:00
交通 東急池上線石川台駅下車徒歩30秒。



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プロフィール

新岳大典

Author:新岳大典
新岳大典(ARATAKE DAITEN)
作家・コーディネーター。

居酒屋探偵daiten(izakaya detective DAITEN)として活動。劇集団咲良舎制作。多目的スペース「かたびら・スペース・しばた。」クリエイティブ・ディレクター。
演出家守輪咲良のブログ「さくらの便り」ブログ「人間日和」を運用中。
2011.7よりfacebook参加。2011.8より「ブクログのパブー」にて居酒屋短編小説を中心に発表開始。
 2014年9月6日より独自ドメイン取得によりURLがhttp://daitenkan.jp/に変更。

 なお、ブログのプロフィール写真は仙台四郎(せんだいしろう)の人形を撮影したもので新岳本人ではない。
 その時代、仙台四郎が訪れる店は繁盛するとして各地でもてなされたそうである。没後は商売繁盛の「福の神」としてその写真が店に飾られるようになったとのこと。

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