自由が丘 もつ焼き「四文屋」自由が丘店

Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第586回 2015年02月28日(土)  【地域別】 【池上線】 【時間順】 【がっかり集】




 自由が丘 もつ焼き「四文屋」自由が丘店

  ~ 城南地区に登場 ~


  


 
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 「女性に人気のおしゃれな街」というレッテル付けが自由が丘にはある。
 その自由が丘には古くから「親父に人気の渋い街」もあった。
 東急東横線と東急大井町線の自由が丘駅北口、東横線のガード下へ向かって改札口を出る。右手に行き、ガード下をくぐり出るとすぐに左へ曲がる。すると、左手に鰻串焼き「ほさか」があり、外に並ぶ人たちの列が出来ていた。その先に老舗居酒屋「金田」が見える。その手前の右角には美人女将の店、やきとり「かとりや」は今日も満席だ。その並びのもつやき「阿波の里」は歴史ある老舗。自由ヶ丘のこの一画は有名な居酒屋横丁だ。
 もつやき「阿波の里」の先に、数年前から次々にもつ焼き・やきとりの店が増えていっている。

  

 西武新宿線の新井薬師に本店があり、新宿、中野、秋葉原、神戸、札幌等に出店が続いているもつ焼きチェーン「四文屋(しもんや)」が最近になって自由が丘にも出店したと聞いていた。

  

 間口は並びの他店と同じ一間間口。
 カウンター席数席に入口にテーブル席。二階はテーブル席、三階はほりごたつ形式の席となっているとのこと。
 一階のカウンターの奥から二番目の席に座る。
 まずは、ハイサワー(三五〇円)ともつ煮込み(三五〇円)とポテトサラダ(二〇〇円)を一期に頼んだ。
 入店したのは、午後五時、それでも入口のテーブル席に二人とカウンター席に一人、先客の方がいらっしゃる。
 ハイサワーを呑んでいると、次々に来店される方が二階席、三階席に向かう為、背後を通ってゆく。
 
 焼とんメニューからタン(100円)、カシラ(100円)、ナンコツ(100円)、ハラミ(100円)を各1本を頼む。

 土曜日である為か、客の年齢層は若い。私だけが「親父世代」である。働く店員も若い。
 若い女性店員さんがアニメ声なのに、マニュアル通りに「はいよ~」と受けるのがかわいい。
 しかし、並びの老舗店の美人女将の発する「はいよ~」のちょっとどすの利いた感じには及ばない。

 英語で会話するカップルも入店している。いつも、自由ヶ丘のこの通りは外国の方に会う確率が高いのである。
 焼きとんはどれも美味しいが、特にナンコツが良かった。
 焼きとんや焼きとりの店でいつもり思うけれど、炭の爆ぜる音は気持ち良い。

 前述したような強烈な個性の他店の中に、後から出店するのはなかなか大変であろう。メニューを眺めながらそんなことを考える。
 煮込みライス(300円)が面白い。店内のフチョウでは「ニコライ」というらしい。まるで、ロシア人の名前である。
 栃尾あぶらげ大(四〇〇円)、栃尾あぶらげ小(二〇〇円)などもある。
 梅割焼酎金宮25度(三五〇円)は一人三杯まで。

 「黒ビール(三五〇円)お願いします。」と言ってみる。
 銘柄は何かなと思っていると、出てきたのはエビスプレミアムブラックであった。

 焼きとりメニューからさらに、手羽ねぎ(一〇〇円)ともも(一〇〇円)を追加。

 焼きとん焼きとり、それ以外に焼ぎゅうもある。シマチョウギアラサンドミノなど。
 次回は焼ぎゅうも食べてみよう。

 焼きとりを食べて、黒ビールを飲み干し、お勘定をお願いした。支払いは税込で二一〇六円であった。

 土曜日の午後五時から五時四十五分まで、四十五分の滞在。
 自由が丘での選択肢がまた増えた。



自由が丘 もつ焼き「四文屋」自由が丘店
住所 東京都目黒区自由が丘1-12-4
電話 03-3723-1567
定休日 無休
営業時間 17:00~24:00。
交通 東急東横線・東急大井町線自由が丘駅下車徒歩1分。

 街の手帖については、コトノハ/街の手帖編集部へ。

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テーマ : 居酒屋
ジャンル : グルメ

日吉 立ち呑み「寅さん」

Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第585回 2015年02月21日(土)  【地域別】 【池上線】 【時間順】 【がっかり集】




 日吉 立ち呑み「寅さん」

  ~ 寅さんの営業力 ~


  

 
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 日吉駅の東側には慶應義塾大学の日吉キャンパスが広がっている。
 飲食店などが多くあるのは日吉駅の西側である。西側広場の駅前から五本の道が放射状に伸びている。
 東横線と平行に北へ伸びるサンロード、その西には浜銀通り、さらに駅前から九十度方向に日吉中央通り、その南側に普通部通りとがある。何故その通りの名前かといえば、慶応義塾普通部(中学校)があるのだ。東横線と平行に南へ向かう通りには名前が無い。
 これらの放射状に広がる五本の通りをつなぐ環状線のような道が六本ほどある。地図で見ると「蜘蛛の巣」に似ている。
 これらの道を三十分ほど巡り回った後、駅前に戻ってから浜銀通りに入ってゆくと、右斜めに分岐する道を発見した。東側のサンロードと平行な道である。その道は先でT字路にぶつかって終わる。そのT字路の手前の左手に黄色い提灯が並んでいることに気づいた。見れば、看板に立ち呑み「寅さん」とある。
 
 

 二段くらいの段差を上がり、縄のれんをくぐり、中に入ると、左手に四人掛テーブル二つ、二人掛テーブルが二つ、右手には掘り炬燵式の小上がり座敷があり、四人卓が四つ。卓を着けたり離したりできるようになっているようだ。座敷もテーブル席もたくさんの人が入っている。
 「立ち呑みではないんだ・・・」と心の中でつぶやく。しかし、それは間違っていた。
 奥の方を見ると、左手奥にL字カウンターを発見。皆さんが立っており、立つ場所が無さそうに見えるほど盛況である。
 すると、すぐに私に気づいたお店の方がやってくる。
 指一本を立てて、一人であることを示すと、カウンターの角辺りの人と人の間の隙間を示された。
 その隙間の前に立ち、荷物を足元に置く。

 「はい、お飲み物はどうされますか?」
 「ホッピー白を氷り無しでお願いします・・・」と頼んだ。
 まずは、ホッピー(四二〇円)の氷無し。
 こちらのホッピーは最初から中生ジョッキに焼酎とホッピーを入れてもってくるタイプ。焼酎の入ったジョッキとホッピー瓶というセット式ではない。
 おまかせホルモン(五〇〇円)とカニ風味マカロニサラダ(四〇〇円)を頼んだ。
 並びの方たちもカニ風味マカロニサラダ食べている様子なので頼んだのである。

 おまかせホルモンは、様々な部位が皿に盛られて出てくる。なかなかインパクトのあるホルモンである。カニ風味マカロニサラダは私の好きなタイプ。

 後から後から新しくお客様がやってくる。その度に、大将らしき方と女将さんらしき方がどんどん仕切るのである。
 立ち呑みカウンターの上で我々は、左右に行ったり来たりする。
 「私がもっとあっちに行きましょうか?」と私。
 「大丈夫ですよ、お知り合いが並べるようにね・・・」と大将が小声でおっしゃる。そして、ニヤリと笑う。
 大将は知り合い同志がきちんと話せるように、そして、私のように初めて一人で来た人間にもちょっと声をかけてくれる。
 大将の笑顔と大きな声、笑い声がすごい。
 「恐れ入ります・・・ちょっと左へ」と女将さんに言われ、また移動する。嫌な気持ちにはならない。ちょっと楽しいのである。

    ※   ※   ※

 昔、両国駅の構内、駅舎脇に仮設された黒色テントの中で見た【森田童子「ねじ式」黒色テント劇場】というライブを思い出した。雨の中、次々に客がやってくる。
 ステージの近くの床のクッションに座った我々は、あまりにも混み合うテントの中で、座ったまま少しづつ前へ前へにじりよる。立ち上がったスタッフが声をあげる。
 「皆様、外には傘をさしたお客様があと十名いらっしゃいます。最後尾にあと一列座っていただけるように御協力ください」
 そして、「ヨイショ」の声と共に、座ったまま前進する。そして、雨の中、外で立たされていた観客も全員が黒色テント内に入り、森田童子の歌を楽しむことが出来た。心に残る思い出である。(参考=森田童子研究所

    ※   ※   ※

 二杯目は自家製玉ねぎ割り(四二〇円)というものを頼むことにした。

 「あの、自家製玉ねぎ割りってどんな感じですか?」と私。
 「玉ねぎの皮のエキスが入っているんですよ、身体の調子が悪い人が飲むものですよ」と笑顔の大将。
 「悪いです」と私。
 「玉ねぎ割り、一丁」と大将。

 三浦長井新物わかめ出汁浸し(四二〇円)が気になった。

 「あの、新物わかめ出汁浸しお願いします」と私。
 「これ、いいね~」と笑顔の後、「新わかめ一丁!」と大将の声が店内に響く。

 わかめにのった針生姜が効いている。うまい。
 最初入った時からずれて、正面にテレビが見える辺りになる。
 空いたサラはどんどん下げる。なにしろ、時々ずれなければならないので、下げてもらう方が良いのだ。
 「すごいオペレーションの居酒屋だなぁ」と思った。

 一杯目のホッピーは、氷無しで頼み、ジョッキ一杯に出来上がった状態で出てきた。
 それなら氷り有りはどうなんだろうと思い、頼んでみた。
 「すみません、黒ホッピー、今度は氷り有りで・・・」
 
 出てきたものを見て、ちょっと驚いた。
 いわゆる大生ジョッキ黒ホッピー焼酎が入ったものが出てきたのである。

 普通の白ホッピーではなく、黒ホッピー(四二〇円)は面白いと思う。飲み応えがあり、見応えがある一杯だ。

 集まってこられる方々は釣り好きの様子。最近の釣果の話で盛り上がっている。
 釣り仲間が集まる居酒屋は良い店が多いと思っている。
 テレビでは、長年やっている「鬼ころしのCM」が流れていた。テレビ東京である。
 
 ニラのおひたし(三二〇円)を大将に頼む。
 さらに左へ移動。
 「新ワカメの出し汁、飲んだ方がいいですよ」と大将。
 正しい。うまい。

 ニラのおひたしが出てくる。新鮮で美しいニラである。
 「ニラに醤油だけでなく酢を入れるとまたいいよ」と大将。
 「ニラって、こんなに美味かったのか」と思う。

 L字カウンターの中の焼き台で起こされる炭火が美しい。
 偶然にみつけたすごい店。
 どんどん位置の変わる立ち飲みカウンター。素敵である。
 御勘定を頼むと、二九〇〇円であった。

 お客さんへの配慮がすごい。外国人のお客さんたちもいて、老若男女、客層は様々である。
 「居酒屋探偵」として、こんなに感動した酒場は久しぶりである。
 大将は常連の方々との「写真撮影」を済ませた後、目ざとく一人帰る私を見つけて、外まで来てくれた。
 「日吉ですか?」
 「いろいろ回ってます」
 大将の笑顔に送られ、帰路についた。
 営業力に悩んだ居酒屋店主の方はこのお店に行ってみていただきたい。大将の姿は勉強になる。
 滞在は午後七時から八時まで一時間ほど。
 私としては食べ過ぎ飲み過ぎ。おなかも一杯、酔いも廻ってきている。

    ※   ※   ※

 追記 思い出すのは、六年前の第190回で紹介した立ち呑み「寅七」さんである。日吉にはトラグループという飲食グループがあると聞いた。調べてみたいと思う。


  

日吉 立ち呑み「寅さん」
住所 神奈川県横浜市港北区日吉2-5-15
電話 045-564-1129
定休日 日曜日
営業時間 17:00~23:30。
交通 東急東横線・東急目黒線日吉駅下車徒歩3分。

 街の手帖については、コトノハ/街の手帖編集部へ。

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テーマ : 居酒屋
ジャンル : グルメ

多摩川 若鳥焼「鳥久」第3回

Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第584回 2015年02月19日(木)  【地域別】 【池上線】 【時間順】 【がっかり集】



 多摩川 若鳥焼「鳥久」 第3回

  ~ 一人静かに飲みたい時  ~

  

 
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 多摩川駅は東急東横線、東急目黒線、東急多摩川線の3線が交わるターミナル駅である。
 しかし、駅前はとても地味で靜かである。何か買い物をするにしても多摩川駅構内に一軒コンビニエンスストアがあるだけで他に日用品を買う店がない。しかも、現在、そのコンビニエンスストアも多摩川駅の耐震化工事の為に、一時閉店している状態である。因みに住所表記は田園調布一丁目。
 その多摩川駅の改札を出て、目の前の通路をまっすぐに進むと、左手に多摩川線、右手には料理屋さん、和菓子店、クリーニング店、お好み焼き店、カフェなどが並んでいる。その中に今日のお店もあった。若鳥焼「鳥久」さんである。

  
  若鳥焼「鳥久」

 右手の赤提灯に「やきとり」の文字。若鳥焼「鳥久」と書かれた白い暖簾の真ん中の「鳥」の絵文字が目に入る。その暖簾をくぐり、扉を開けると、カウンター手前端の男性の身体がすぐ目の前にあり、ちょっとびっくり
 「すみません」と言って、男性の身体をよけて中に入った。

 先客はその方の他に左手の小上がり座敷手前端に女性二人。

 「いらっしゃいませ」と迎えられる。
 「頭の上の方とカウンターの下に荷物が置けます」と大将。
 カバンをカウンターの上の棚に入れる。ぴったりである。

 「熱燗お願いします」
 「熱燗ですと、高千代なんですけど」
 「それお願いします」

 熱燗で高千代一合徳利(四三〇円)。新潟のお酒である。
 ラベルの「雪国の地酒」の言葉がよい。

 つまみは、当店一番人気と短冊に書かれたねぎま三本(三一五円)と、当店二番人気と短冊に書かれたつくね三本(三一五円)。
 今日はとても疲れているので、塩ではなくタレでいただくことにした。
 お通しは豆腐にワカメとタレのかかったもの。

 メニューには「銘柄鶏 大山鶏(鳥取)」を使用してますと書かれている。

 ねぎま三本つくね三本が楕円形(オーバル)のステンレス皿にのって出てきた。このステンレス皿が渋い。
 燗酒を口に含み、鳥をほおばる。そして、考える。また食べる。飲む。
 
 二杯目はハイッピー(四〇〇円)。
 鳥なんこつ三本(四〇八円)も頼んだ。

 考えなければならないことがある時、一人静かに飲みたい時がある。
 そんな時に思いつくお店の一軒である。本当に落ち着く場所だ。

 短冊メニューの脇に書かれた言葉が良い。
 エシャロットには「元気が出ます」。
 玉ねぎスライスには「血液サラサラ効果あり」。
 鳥なんこつには「カルシウム豊富」。
 鳥レバには「鉄分たっぷり」。

 鳥なんこつ(やげん)がやってきた。うまそうだ。
 肉が多く付いている鳥なんこつだ、鶏の旨みがある。
 
 食べ終わり、飲み終わり、帰ることにした。
 酒をたんさん飲みたいとは思わない。
 心地よい「時」が何よりも大切である。

 午後七時から七時四五分まで四十五分ほどの滞在。
 価格表示は全て税抜き。お勘定は二二三三円であった。
 なにやら、よい並びである。楽しい。
 そんな小さなことでも楽しむことにしよう。



多摩川 若鳥焼「鳥久」
住所 東京都大田区田園調布1丁目55-7
電話 03-3721-1891
定休日 第2・第3火曜日
営業時間 月曜から土曜は16:00~24:00。日曜祝日は15:00~23:00。
交通 東急東横線・東急目黒線・東急多摩川線多摩川駅下車徒歩3分。

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テーマ : 居酒屋
ジャンル : グルメ

大森 煮込「蔦八」

Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第583回 2015年02月12日(木)  【地域別】 【池上線】 【時間順】 【がっかり集】


 ※2015年3月閉店。

 大森 煮込「蔦八」

  ~ 「昭和」を切りとってきたかのような ~



  

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 二十年ほど前、本当によく通った街だった。大森である。
 大田区全体が京浜東北線を挟んで、田園調布や雪谷、洗足池周辺のような静かな住宅街と、町工場があり庶民的な商店街がある蒲田や京浜急行沿線とで、かなり趣が違うように、大森駅周辺はJR京浜東北線の線路を挟んだ山側と海側でまったく雰囲気が違う。大森は、まさに大田区の持つ二つの面を体言した街といえるのだ。
 海側の商店街の中には、たくさんの大衆酒場があり、先輩たちとよく通った街なのである。その大衆酒場もかなり減ってしまった。その中でもっとも古く、「昭和」の雰囲気を残しているお店が煮込の店、「蔦八」さんである。正面に二つの入口があり、縄のれんが下がっている。店の上のテントの色は最初は何色だったのだろうか。年季が入っている。

 
 煮込「蔦八」外観。

 表に赤提灯。そこには、「天下一うまい煮込つたはち」と書かれている。

 
 「天下一うまい煮込つたはち」と書かれた赤提灯

 右手の入口から入る。そこには「昭和」という時代から切りとってきたかのような光景が広がっていた。
 四角い店内の真ん中に白木のコの字カウンター。左手側に五人、前側に六人、右手側に五人が座れる。カウンターの中は広い。その奥に調理場がある様子で、奥から調理の音がする。調理場からお店の方が出てこられるのを待つことにする。先客は前側に男性一人と右手側の奥にカップル一組。左手に、四人掛の小さなテーブルが二つ見える。

 女将さんが調理場から出てこられた。私の母くらいだろうか。お一人でやっている様子。カウンターからのぞくと、巨大な鍋に煮込みが煮えている。この鍋を見るだけでも価値がある。
 白木のカウンターは、長い間にお客様の手がさすり、角が取れていったのだろう。その、ツルツルの手触りと味わいが素敵である。

 短冊メニューを見る。
 煮込み(六五〇円)、煮込み玉子入り(七〇〇円)、煮込みとうふ(三八〇円)、煮込みとうふ玉子入(四二〇円)と並んでいる。
 特に何も考えないまま口が開いた。

 「レモンサワーと煮込みとうふ玉子入り、お願いします・・・」
 「お肉入りませんけど・・・」
 「あっ、そうだ・・・そうですよね、それじゃ、煮込みとうふ玉子入りじゃなくて、煮込み玉子入りお願いします」

 女将さんが大鍋から鉢に入れてくれたのは、もつ肉、豆腐、煮卵からなる煮込み玉子入り(七〇〇円)である。
 レモンサワー(三九〇円)は濃いめの焼酎の小ジョッキである。

 レモンサワーを飲みながら店内を見回すと、「しばらくの間、10時に閉店させていただきます。」という貼り紙が目に入った。
 濃いめの味付けの煮込みである。レモンサワーはすぐに飲んでしまった。次は清酒(三九〇円)にしよう。

 「お酒・・・お願いします」
 「おかんで?」
 「はい、オカンで。」

 利き猪口が普通の升よりも高さの低い木枠のような升に入れられている。
 「おかん酒」と書かれた酒に燗をつけてくれる機械からそそがれた。
 3台ある中で左の一台だけが稼働しているようだ。

 女将さんが並びの先客の方と話しておられた。
 「一二月から二か月ほど休んでいたんですよ・・・」とのこと。早めにしめる理由はそのへんにあるのだろうか。

 並びの方は待ち合わせの相手の方の携帯電話を受けてから御勘定を済ませられた。

 「また、来ます」
 「また、寄ってください。」
 「四〇年とは言わないけれど、三八年お世話になっているんですよ・・・」とのこと。
 微笑む女将さん。店内はまた静かになった。

 こはだ酢(四八〇円)を頼むことにした。
 伝票の代わりが木の板に細い串のような棒が立っていて、そこにプラスチックの穴の開いた札を刺してゆく。

 実は私はこはだ好きである。江戸っ子三代目の母方の祖父の好物もこはだだった。
 こちらは煮込みばかりではない。
 こはだ酢(四八〇円)、あじ南蛮漬(四八〇円)、こんぶ炒り煮(三八〇円)、うど酢みそ(三八〇円)、ほうれん草胡麻和え(三八〇円)、ほうれん草おひたし(三八〇円)、ネギぬた(四二〇円)といった料理がある。
 どれも、最近あまり出会えない粋なつまみ渋い昭和のつまみだ。

 こはだ酢が旨そうである。清酒燗酒をもう一杯たのんだ。
 こはだを一切れ、箸で口に運び、利き猪口の酒を口にふくむ。
 繰り返すそのうごきを感じながら、ゆるんでゆく時を味わった。

 御勘定をお願いする。きっちりと明朗会計の二三五〇円であった。

 「ごちそうさまでした・・・」
 「また、寄ってください・・・」

  
  

大森 煮込「蔦八」
住所 東京都大田区大森北1-35-8
電話 03-3761-4310
営業時間 17:00~22:00
定休日 土曜・日曜
交通 JR京浜東北線大森駅下車徒歩5分

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プロフィール

新岳大典

Author:新岳大典
新岳大典(ARATAKE DAITEN)
作家・コーディネーター。

居酒屋探偵daiten(izakaya detective DAITEN)として活動。劇集団咲良舎制作。多目的スペース「かたびら・スペース・しばた。」クリエイティブ・ディレクター。
演出家守輪咲良のブログ「さくらの便り」ブログ「人間日和」を運用中。
2011.7よりfacebook参加。2011.8より「ブクログのパブー」にて居酒屋短編小説を中心に発表開始。
 2014年9月6日より独自ドメイン取得によりURLがhttp://daitenkan.jp/に変更。

 なお、ブログのプロフィール写真は仙台四郎(せんだいしろう)の人形を撮影したもので新岳本人ではない。
 その時代、仙台四郎が訪れる店は繁盛するとして各地でもてなされたそうである。没後は商売繁盛の「福の神」としてその写真が店に飾られるようになったとのこと。

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