保土ヶ谷 和ダイニング「六庵」
Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第609回 2016年4月12日(火) 【地域別】 【時間順】 【池上線】 【がっかり集】
保土ヶ谷 和ダイニング「六庵」
~ 隠れ家的○○を考える ~

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「隠れ家的○○」という言葉が流行はじめたのはいつのことだろうか。
今回のお店は私がお手伝いをしている「かたびら・スペース・しばた。」の柴田オーナーの行きつけの店であり、初めて柴田オーナーに連れてきてもらったのは、五年ほど前であろうか。お店のママに聞けば、こちらのお店の開店は平成十六年十月二十五日とのこと。
JR保土ヶ谷駅の西口側のバスとタクシーが留まるロータリーに降り立ち、左手にあるガラス張りのTS保土ヶ谷ビルを見上げてからその左手の道を入ってゆく。ここは、美容室通りと私が勝手に呼んでいる道で、何軒もの美容室が短い道沿いに並んでいるのである。その美容室通りを歩き、右手に宿場蕎麦桑名屋さんの江戸時代の保土ヶ谷宿の雰囲気を残す外観を見ながら進むと右手に「六庵」という看板を発見、階段を上がってゆくと和ダイニング「六庵」さんがある。「六庵」と書いて、「むつあん」と読む。
階段上の引き戸を開けると、目の前には階段と平行に一直線の幅広いカウンターがある。
左手には十人ほどが座れる掘り炬燵の板張りの席。ここは小規模な宴会に使える広さ。
カウンター席の対面には、「六庵」の文字を真ん中に「日本酒」や「焼酎」の一升瓶が並ぶ。

カウンターの一番右端の席に、柴田オーナーと二人並んで座った。カウンターの中にママ。建物正面に近い方に調理場があり、中は見えない。中には料理に専念するマスターお一人。
桜が咲いて満開となり散った後の四月半ばだというのは外は真冬の寒さであった。
「ママ、寒いから日本酒、燗酒がいいな」と柴田オーナー。賛成である。
お通しは山芋とゴボウを揚げたもの。
丁寧に燗をつけてくれたのは、高清水辛口二合(九八〇円)。
これを一口飲むと至福の時がやってきた。
「ああ、うまい」
「あったまりますね」
「生き返るね」
「本当に」
柴田オーナーが壁のおすすめメニューを眺めている。
「おなかすいたなぁ・・・カルビ、あつあげ・・・それからかつお」
牛カルビ鉄板焼(六〇〇円)、あつあげ(三八〇円)、かつお刺身(五二〇円)の三品。決めるのが早い。
昨年、五年ぶりに連れてきてもらってから「かたびら・スペース・しばた。」の様々な打ち合わせ等に使わせてもらっている。チェーン居酒屋とは違い、落ち着いた雰囲気でゆっくりと話が出来る。
高清水辛口二合(九八〇円)の燗酒二本目を頼む。
「いつも思いますけど・・・落ち着く雰囲気ですよね」
「隠れ家的にしておきたいとおっしゃるお客様が多いんですよ・・・」とママ。
「それじゃ、御商売にはねぇ・・・ぜひ、口コミで宣伝してもらわないと・・・」と私。
ママは笑っておられる。
「隠れ家的○○」という言葉を考えてみる。
その意味は、「自分だけの秘密にしておきたくなるようなとっておきの場所」ということであろうけれど、秘密とはいっても本当に誰にも知られないのでは、そのお店の経営が成り立たず、せっかく気に入ったそのお店も続かず、元も子もなくなってしまうのである。
本当は、「自分がわずらわしいと感じるような相手、一緒にいると疲れると感じるタイプの人間には隠したくなるようなとっておきの場所」のことかもしれない。実際、その場の雰囲気を壊すような大声、えんえんと続く甲高い笑い声、チェインスモーカー、泥酔者など、困った人も酒場には多い。そんな客たちには、隠れ家的な店だけではなく、すべての酒場の場所を隠してしまいたいものである。
最後に出羽桜桜花吟醸(七八〇円)のぬる燗を飲み、〆セット(五八〇円)を柴田オーナーが頼んだ。
「ママ、しめせっとね・・・」

〆セットは、酒盗、塩辛、汁物、漬物、ご飯からなる。
良いツマミで良い酒を飲む。そして、〆セット。酒を飲んだ末に〆のラーメンを食べにゆくよりずっと健康に良い。
一時間半ほどの滞在。御勘定は二人で五五二〇円。
工事中の現場での打ち合わせと仕事の後であった・・・仕事の後の充実感を今日も味わうことが出来た。
「六庵」さんを隠れ家などと言うのはおこがましい。是非、どなたにも楽しんでもらいたいお店である。
保土ヶ谷 和ダイニング「六庵」
住所 横浜市保土ケ谷区岩井町22 松本ビル2F
電話 045-333-6535
定休日 日曜・祝日
営業時間 18:00~23:30
交通 JR保土ヶ谷駅下車徒歩3分。
公式facebook https://www.facebook.com/mutsuan
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
演出家守輪咲良の劇集団「咲良舎」と演技私塾「櫻塾」
街の手帖については、コトノハ/街の手帖編集部へ。
居酒屋探偵DAITENの生活 第609回 2016年4月12日(火) 【地域別】 【時間順】 【池上線】 【がっかり集】
保土ヶ谷 和ダイニング「六庵」
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「隠れ家的○○」という言葉が流行はじめたのはいつのことだろうか。
今回のお店は私がお手伝いをしている「かたびら・スペース・しばた。」の柴田オーナーの行きつけの店であり、初めて柴田オーナーに連れてきてもらったのは、五年ほど前であろうか。お店のママに聞けば、こちらのお店の開店は平成十六年十月二十五日とのこと。
JR保土ヶ谷駅の西口側のバスとタクシーが留まるロータリーに降り立ち、左手にあるガラス張りのTS保土ヶ谷ビルを見上げてからその左手の道を入ってゆく。ここは、美容室通りと私が勝手に呼んでいる道で、何軒もの美容室が短い道沿いに並んでいるのである。その美容室通りを歩き、右手に宿場蕎麦桑名屋さんの江戸時代の保土ヶ谷宿の雰囲気を残す外観を見ながら進むと右手に「六庵」という看板を発見、階段を上がってゆくと和ダイニング「六庵」さんがある。「六庵」と書いて、「むつあん」と読む。
階段上の引き戸を開けると、目の前には階段と平行に一直線の幅広いカウンターがある。
左手には十人ほどが座れる掘り炬燵の板張りの席。ここは小規模な宴会に使える広さ。
カウンター席の対面には、「六庵」の文字を真ん中に「日本酒」や「焼酎」の一升瓶が並ぶ。

カウンターの一番右端の席に、柴田オーナーと二人並んで座った。カウンターの中にママ。建物正面に近い方に調理場があり、中は見えない。中には料理に専念するマスターお一人。
桜が咲いて満開となり散った後の四月半ばだというのは外は真冬の寒さであった。
「ママ、寒いから日本酒、燗酒がいいな」と柴田オーナー。賛成である。
お通しは山芋とゴボウを揚げたもの。
丁寧に燗をつけてくれたのは、高清水辛口二合(九八〇円)。
これを一口飲むと至福の時がやってきた。
「ああ、うまい」
「あったまりますね」
「生き返るね」
「本当に」
柴田オーナーが壁のおすすめメニューを眺めている。
「おなかすいたなぁ・・・カルビ、あつあげ・・・それからかつお」
牛カルビ鉄板焼(六〇〇円)、あつあげ(三八〇円)、かつお刺身(五二〇円)の三品。決めるのが早い。
昨年、五年ぶりに連れてきてもらってから「かたびら・スペース・しばた。」の様々な打ち合わせ等に使わせてもらっている。チェーン居酒屋とは違い、落ち着いた雰囲気でゆっくりと話が出来る。
高清水辛口二合(九八〇円)の燗酒二本目を頼む。
「いつも思いますけど・・・落ち着く雰囲気ですよね」
「隠れ家的にしておきたいとおっしゃるお客様が多いんですよ・・・」とママ。
「それじゃ、御商売にはねぇ・・・ぜひ、口コミで宣伝してもらわないと・・・」と私。
ママは笑っておられる。
「隠れ家的○○」という言葉を考えてみる。
その意味は、「自分だけの秘密にしておきたくなるようなとっておきの場所」ということであろうけれど、秘密とはいっても本当に誰にも知られないのでは、そのお店の経営が成り立たず、せっかく気に入ったそのお店も続かず、元も子もなくなってしまうのである。
本当は、「自分がわずらわしいと感じるような相手、一緒にいると疲れると感じるタイプの人間には隠したくなるようなとっておきの場所」のことかもしれない。実際、その場の雰囲気を壊すような大声、えんえんと続く甲高い笑い声、チェインスモーカー、泥酔者など、困った人も酒場には多い。そんな客たちには、隠れ家的な店だけではなく、すべての酒場の場所を隠してしまいたいものである。
最後に出羽桜桜花吟醸(七八〇円)のぬる燗を飲み、〆セット(五八〇円)を柴田オーナーが頼んだ。
「ママ、しめせっとね・・・」

〆セットは、酒盗、塩辛、汁物、漬物、ご飯からなる。
良いツマミで良い酒を飲む。そして、〆セット。酒を飲んだ末に〆のラーメンを食べにゆくよりずっと健康に良い。
一時間半ほどの滞在。御勘定は二人で五五二〇円。
工事中の現場での打ち合わせと仕事の後であった・・・仕事の後の充実感を今日も味わうことが出来た。
「六庵」さんを隠れ家などと言うのはおこがましい。是非、どなたにも楽しんでもらいたいお店である。
保土ヶ谷 和ダイニング「六庵」
住所 横浜市保土ケ谷区岩井町22 松本ビル2F
電話 045-333-6535
定休日 日曜・祝日
営業時間 18:00~23:30
交通 JR保土ヶ谷駅下車徒歩3分。
公式facebook https://www.facebook.com/mutsuan
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