黄金町 角打「甘粕屋酒店」 第2回
Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第634回 2016年11月19日(土) 【地域別】 【池上線】 【時間順】 【がっかり集】
黄金町 角打「甘粕屋酒店」 第2回
~ 酒場好きの集まる角打ち ~

横浜は昔から角打のできる酒屋さんの多い街であった。それがここ数年でどんどんと減っている。
天王町の横浜洪福寺松原商店街、西横浜の藤棚商店街、それぞれ、好きな角打ち酒店が閉店してしまった。
そんな中、久しぶりに黄金町の甘粕屋酒店さんを訪問してみた。
前回訪問した時は、、黄金町の映画館「ジャック&ベティ」に、facebookのお友達である大崎章監督の映画「お盆の弟」を「かたびら・スペース・しばた。」の柴田オーナーと見た帰りであった。
あれから一年以上の時が経っている。

店内は真ん中かでお酒の棚によって仕切られていて、右側は普通の酒店、左側は立ち飲みコーナーになっている。
立ち飲みコーナーの左側壁にカウンターがあり、右手に立ち飲みテーブル2台がある。左手の立ち飲みコーナーに入ってゆく。入って右手の立ち飲みテーブル前に先客のお二人。
壁際カウンターの奥側に立つ。振り向けばレジなのですばやく注文して支払える。
ここは、若いマスターとお母さんで営業されている。
日本酒が豊富である。まずは、山形県酒田市の東北銘醸株式会社の初孫樽酒(四〇〇円)、そして、レジ前に並ぶツマミの中から煮物(一六〇円)を選ぶ。
「温めましょうか?」とお店の方。
「お願いします」
商店街の音、歩く人々の声が外から聞こえてくる。
そして、独り黙って温めた酒を口にする。
四十年近く前に亡くなった祖父は角打ちが好きだった。
JR川崎駅西口近くのマルト酒店とう角打ちで銭湯帰りによく呑んでいた。
当時の川崎は工場労働者の街だった。
小学校に入る前の私はたしかラムネを飲ませてもらった。
そして、決まって祖父はこう言った。
「お父さんとお母さんには内緒だよ」
思い出がよみがえり、樽酒がしみてゆく。
小肌(一六〇円)をお願いする。
小肌もまた祖父の好物だった。
カウンター上に置いた小銭から料金を持っていってくれる。
先客お二人に続いて、新規の二人。そして、カップル。
カップルの男性が自分でサッポロ赤星中瓶を冷蔵ケースから持ってきて、左側の立ち飲みスペースへ。
常連さんの振る舞いである。
二杯目も山形県の酒である。山形県鶴岡市の加藤嘉八郎酒造の特別純米大山(四三〇円)である。
カウンターのところに置いてある、酒の作り方の「手書きメモ」が素晴らしい。
「一人娘の特別純米があるけど、これオカンできますか?」とお客様。
「純米吟醸じゃなくて特別純米だから燗できるよ。」と女将さん。
「かんのほうがいいなあ」
一通り日本酒談義が続き、やがて、お客様同士の話は野毛辺りの酒場情報になる。本当に皆さんよく知っている。
「角の鳥芳は混むね」
「なかなか入れないよ」
「立ち飲みの寄り道はどう」
桜木町ぴおシティの立ち飲みの「石松」や「花道」の話もでる。
「花道はマグロがうまいよね」
「武蔵家は良かったよね」
「侘助の方にウミネコが移動したよね」
「あさひやのおでんもいいよ」
「石川町の石川屋はどう」
どの店名を聞いても桜木町から日ノ出町に至る野毛界隈の有名な酒場である。
「俺はハマで呑んでいるんだなぁ」と思う。
五時三〇分から六時まで。
使ったお金は一一五〇であった。
京浜急行黄金町駅から帰るか。
このままザキを歩いて関内まで行くか。
黄金町 角打「甘粕屋酒店」
住所 横浜市中区伊勢佐木町7丁目152 サンヴェール伊勢佐木町 1F
電話 045-251-3509
定休日 日曜
営業時間 10:00~21:00
交通 京浜急行黄金町駅下車徒歩2分
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
演出家守輪咲良の劇集団「咲良舎」と演技私塾「櫻塾」
街の手帖については、コトノハ/街の手帖編集部へ。
居酒屋探偵DAITENの生活 第634回 2016年11月19日(土) 【地域別】 【池上線】 【時間順】 【がっかり集】
黄金町 角打「甘粕屋酒店」 第2回
~ 酒場好きの集まる角打ち ~

横浜は昔から角打のできる酒屋さんの多い街であった。それがここ数年でどんどんと減っている。
天王町の横浜洪福寺松原商店街、西横浜の藤棚商店街、それぞれ、好きな角打ち酒店が閉店してしまった。
そんな中、久しぶりに黄金町の甘粕屋酒店さんを訪問してみた。
前回訪問した時は、、黄金町の映画館「ジャック&ベティ」に、facebookのお友達である大崎章監督の映画「お盆の弟」を「かたびら・スペース・しばた。」の柴田オーナーと見た帰りであった。
あれから一年以上の時が経っている。

店内は真ん中かでお酒の棚によって仕切られていて、右側は普通の酒店、左側は立ち飲みコーナーになっている。
立ち飲みコーナーの左側壁にカウンターがあり、右手に立ち飲みテーブル2台がある。左手の立ち飲みコーナーに入ってゆく。入って右手の立ち飲みテーブル前に先客のお二人。
壁際カウンターの奥側に立つ。振り向けばレジなのですばやく注文して支払える。
ここは、若いマスターとお母さんで営業されている。
日本酒が豊富である。まずは、山形県酒田市の東北銘醸株式会社の初孫樽酒(四〇〇円)、そして、レジ前に並ぶツマミの中から煮物(一六〇円)を選ぶ。
「温めましょうか?」とお店の方。
「お願いします」
商店街の音、歩く人々の声が外から聞こえてくる。
そして、独り黙って温めた酒を口にする。
四十年近く前に亡くなった祖父は角打ちが好きだった。
JR川崎駅西口近くのマルト酒店とう角打ちで銭湯帰りによく呑んでいた。
当時の川崎は工場労働者の街だった。
小学校に入る前の私はたしかラムネを飲ませてもらった。
そして、決まって祖父はこう言った。
「お父さんとお母さんには内緒だよ」
思い出がよみがえり、樽酒がしみてゆく。
小肌(一六〇円)をお願いする。
小肌もまた祖父の好物だった。
カウンター上に置いた小銭から料金を持っていってくれる。
先客お二人に続いて、新規の二人。そして、カップル。
カップルの男性が自分でサッポロ赤星中瓶を冷蔵ケースから持ってきて、左側の立ち飲みスペースへ。
常連さんの振る舞いである。
二杯目も山形県の酒である。山形県鶴岡市の加藤嘉八郎酒造の特別純米大山(四三〇円)である。
カウンターのところに置いてある、酒の作り方の「手書きメモ」が素晴らしい。
「一人娘の特別純米があるけど、これオカンできますか?」とお客様。
「純米吟醸じゃなくて特別純米だから燗できるよ。」と女将さん。
「かんのほうがいいなあ」
一通り日本酒談義が続き、やがて、お客様同士の話は野毛辺りの酒場情報になる。本当に皆さんよく知っている。
「角の鳥芳は混むね」
「なかなか入れないよ」
「立ち飲みの寄り道はどう」
桜木町ぴおシティの立ち飲みの「石松」や「花道」の話もでる。
「花道はマグロがうまいよね」
「武蔵家は良かったよね」
「侘助の方にウミネコが移動したよね」
「あさひやのおでんもいいよ」
「石川町の石川屋はどう」
どの店名を聞いても桜木町から日ノ出町に至る野毛界隈の有名な酒場である。
「俺はハマで呑んでいるんだなぁ」と思う。
五時三〇分から六時まで。
使ったお金は一一五〇であった。
京浜急行黄金町駅から帰るか。
このままザキを歩いて関内まで行くか。
黄金町 角打「甘粕屋酒店」
住所 横浜市中区伊勢佐木町7丁目152 サンヴェール伊勢佐木町 1F
電話 045-251-3509
定休日 日曜
営業時間 10:00~21:00
交通 京浜急行黄金町駅下車徒歩2分
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
演出家守輪咲良の劇集団「咲良舎」と演技私塾「櫻塾」
街の手帖については、コトノハ/街の手帖編集部へ。