神楽坂 居酒屋「あまくさ」
居酒屋探偵DAITENの生活 第69回 2008年1月30日(水) 【地域別】 【時間順】
神楽坂 居酒屋「あまくさ」
ある会合の帰り、ASIMO君と待ち合わせたのは神楽坂である。
JR飯田橋駅西口改札を出ると、目の前を通るのは早稲田通りである。右に曲がり、外堀通りを渡ると、早稲田通りはそのまま神楽坂を登ることになる。
第二次世界大戦の東京大空襲で一面焼け野原になる前、私の曾祖父と祖父の代には、この神楽坂で「時計眼鏡貴金属」の店を出していた。
今日の目的の店、居酒屋「あまくさ」は、その祖父の店があった場所に建つビルの2階にある。この店には何度も来たことがあるが、来る度に何故か悪酔いをしてしまう自分がいる。「先祖の霊がこの土地を失ったことにお怒りで、末孫である私にそれを知らせているのだろうか」などと思ったものである。
外堀通りから神楽坂を150メートルほど登った右側に〈万平ビル〉はある。この場所には戦後、「万平」というすき焼きを食べさせる店が建った。入口に柳の木が立っており、とても風情のある店で、私も二十数年前に何度か入ったことがあった。小さな古い木のカウンターがあり、そこにおばあさまが一人いて客の相手をしてくれる。あの有名政治家故田中角栄氏が常連であったそうで、国会の帰りにここで軽く呑んでから裏手の神楽坂の料亭街に向かったとのこと。
「その席に角さんがいつも座っていたのよ」と、おばあさまがカウンターの端の席を指さして言っていた。
神楽坂は、午前と午後で一方通行の方向が逆転する逆転式一方通行となっている。午前中は「坂上から坂下」(早稲田から飯田橋)へ。午後は「坂下から坂上」へと一方通行が逆転するのである。
午前中、田中角栄氏が目白台の自宅から永田町方面に車で出勤し、帰宅する午後に神楽坂で酒を飲んでから帰る。その便宜をはかる為に逆転式一方通行となり、現在に至っているという説がある。
自分のルーツの神楽坂のこの場所が「居酒屋」や「バー」の入っているビルになっている。生誕の地は川崎駅西口の闇市的飲屋街であり、今は飲食店が多く入っている高層ビルになっている。つくづく酒を飲ませる商売に縁のある身の上であると思う。
〈万平ビル〉の2階に小さなエレベーターで上る。エレベーターを出ると、目の前に茶色の暖簾がかかっていて、「あまくさ」と書いてある。暖簾をくぐり、細かい格子になっているガラス扉を開いて中に入ると、右手に「くの字カウンター」が続いている。カウンターには10名ほどが座れるだろうか。カウンターの中が調理場になっており、親子であろうか顔のよく似た板前さんが二人仕事をしている。接客や配膳などは女性が一人でやっている。きびきびとよく動く人である。
すでに、会合の席でビールなどを飲んでいたので、レモンサワー(330円)を頼んだ。他にも青りんごサワーやウーロンサワーなどもあるが、神楽坂としてはこのサワーの価格は安い。
つきだしは、あじの叩き(400円)である。これがうまいのである。チェーン居酒屋でよく出てくる売上げを上げる為の〈冷め切ったきんぴら煮〉等とは大違いである。
つまみは、煮込み(350円)、あつあげ(250円)、たこ刺し(500円)の3品を頼んだ。
どれも安くて、ちゃんとしている。
レモンサワーの後は、新潟・吉乃川 燗酒大(550円)を呑む。寒い夜である。熱燗が身体にしみてゆく。
ASIMO君と、旅行の話が出た。SAKURA と、可久桃鼓こと私の母、そして、OZAKI先生、ASIMO君、創間君の5人の「居酒屋探偵事務所」メンバーで、旅行に行こうという話である。以前に我が家で開いた「居酒屋探偵事務所研修会」の後で話が出たまま、立ち消えになっていた企画である。
次の土曜日の午後に計画している「川崎昼酒ツアー」の際、その旅行の目的地に一番詳しいOZAKI先生と打ち合わせをしなければならないということになった。
この日、世田谷線の世田谷駅近くの居酒屋「酒の高橋」で鍋を食べるという計画であった。その日がたまたま地元のお祭りの方々18名で店が貸し切りとなったという事実を知り、代替案として浮上したのが「川崎昼酒ツアー」である。
さらに、とまと(350円)、しいたけ焼き(300円)をいただく。そして、レモンサワーをもう1杯づつ頼んだ。
約1時間30分の滞在、2人で4,420円であった。つまみ5品、あじの叩きのつきだし2つ、サワー4杯、酒二合でこの価格である。神楽坂という場所にしては安く飲むことができたと思う。
今回は悪酔いすることもなく、自身のルーツである場所を十分に楽しむことが出来た。お店の方々は大きな声を出すようなこともなく、全体にもの静かで、押しつけがましいところが無い。店全体が良い雰囲気をもっている。これは居酒屋にとって必要な美点である。
心が疲れた時、静かに飲みたい時は、またこの店に来ようと思う。きっと先祖の霊が何かを教えてくれ、癒してくれるに違いない。
神楽坂 居酒屋「あまくさ」
住所 東京都新宿神楽坂3-2-4 万平ビル2F
電話 03-3260-9872
定休日 不定休
営業時間 17:00~25:30
交通 地下鉄有楽町線、南北線B3出口より徒歩2分・JR線飯田橋駅西口より徒歩3分
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
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神楽坂 居酒屋「あまくさ」
ある会合の帰り、ASIMO君と待ち合わせたのは神楽坂である。
JR飯田橋駅西口改札を出ると、目の前を通るのは早稲田通りである。右に曲がり、外堀通りを渡ると、早稲田通りはそのまま神楽坂を登ることになる。
第二次世界大戦の東京大空襲で一面焼け野原になる前、私の曾祖父と祖父の代には、この神楽坂で「時計眼鏡貴金属」の店を出していた。
今日の目的の店、居酒屋「あまくさ」は、その祖父の店があった場所に建つビルの2階にある。この店には何度も来たことがあるが、来る度に何故か悪酔いをしてしまう自分がいる。「先祖の霊がこの土地を失ったことにお怒りで、末孫である私にそれを知らせているのだろうか」などと思ったものである。
外堀通りから神楽坂を150メートルほど登った右側に〈万平ビル〉はある。この場所には戦後、「万平」というすき焼きを食べさせる店が建った。入口に柳の木が立っており、とても風情のある店で、私も二十数年前に何度か入ったことがあった。小さな古い木のカウンターがあり、そこにおばあさまが一人いて客の相手をしてくれる。あの有名政治家故田中角栄氏が常連であったそうで、国会の帰りにここで軽く呑んでから裏手の神楽坂の料亭街に向かったとのこと。
「その席に角さんがいつも座っていたのよ」と、おばあさまがカウンターの端の席を指さして言っていた。
神楽坂は、午前と午後で一方通行の方向が逆転する逆転式一方通行となっている。午前中は「坂上から坂下」(早稲田から飯田橋)へ。午後は「坂下から坂上」へと一方通行が逆転するのである。
午前中、田中角栄氏が目白台の自宅から永田町方面に車で出勤し、帰宅する午後に神楽坂で酒を飲んでから帰る。その便宜をはかる為に逆転式一方通行となり、現在に至っているという説がある。
自分のルーツの神楽坂のこの場所が「居酒屋」や「バー」の入っているビルになっている。生誕の地は川崎駅西口の闇市的飲屋街であり、今は飲食店が多く入っている高層ビルになっている。つくづく酒を飲ませる商売に縁のある身の上であると思う。
〈万平ビル〉の2階に小さなエレベーターで上る。エレベーターを出ると、目の前に茶色の暖簾がかかっていて、「あまくさ」と書いてある。暖簾をくぐり、細かい格子になっているガラス扉を開いて中に入ると、右手に「くの字カウンター」が続いている。カウンターには10名ほどが座れるだろうか。カウンターの中が調理場になっており、親子であろうか顔のよく似た板前さんが二人仕事をしている。接客や配膳などは女性が一人でやっている。きびきびとよく動く人である。
すでに、会合の席でビールなどを飲んでいたので、レモンサワー(330円)を頼んだ。他にも青りんごサワーやウーロンサワーなどもあるが、神楽坂としてはこのサワーの価格は安い。
つきだしは、あじの叩き(400円)である。これがうまいのである。チェーン居酒屋でよく出てくる売上げを上げる為の〈冷め切ったきんぴら煮〉等とは大違いである。
つまみは、煮込み(350円)、あつあげ(250円)、たこ刺し(500円)の3品を頼んだ。
どれも安くて、ちゃんとしている。
レモンサワーの後は、新潟・吉乃川 燗酒大(550円)を呑む。寒い夜である。熱燗が身体にしみてゆく。
ASIMO君と、旅行の話が出た。SAKURA と、可久桃鼓こと私の母、そして、OZAKI先生、ASIMO君、創間君の5人の「居酒屋探偵事務所」メンバーで、旅行に行こうという話である。以前に我が家で開いた「居酒屋探偵事務所研修会」の後で話が出たまま、立ち消えになっていた企画である。
次の土曜日の午後に計画している「川崎昼酒ツアー」の際、その旅行の目的地に一番詳しいOZAKI先生と打ち合わせをしなければならないということになった。
この日、世田谷線の世田谷駅近くの居酒屋「酒の高橋」で鍋を食べるという計画であった。その日がたまたま地元のお祭りの方々18名で店が貸し切りとなったという事実を知り、代替案として浮上したのが「川崎昼酒ツアー」である。
さらに、とまと(350円)、しいたけ焼き(300円)をいただく。そして、レモンサワーをもう1杯づつ頼んだ。
約1時間30分の滞在、2人で4,420円であった。つまみ5品、あじの叩きのつきだし2つ、サワー4杯、酒二合でこの価格である。神楽坂という場所にしては安く飲むことができたと思う。
今回は悪酔いすることもなく、自身のルーツである場所を十分に楽しむことが出来た。お店の方々は大きな声を出すようなこともなく、全体にもの静かで、押しつけがましいところが無い。店全体が良い雰囲気をもっている。これは居酒屋にとって必要な美点である。
心が疲れた時、静かに飲みたい時は、またこの店に来ようと思う。きっと先祖の霊が何かを教えてくれ、癒してくれるに違いない。
神楽坂 居酒屋「あまくさ」
住所 東京都新宿神楽坂3-2-4 万平ビル2F
電話 03-3260-9872
定休日 不定休
営業時間 17:00~25:30
交通 地下鉄有楽町線、南北線B3出口より徒歩2分・JR線飯田橋駅西口より徒歩3分
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
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