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荏原中延 居酒屋「ゆめや」

Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第74回   2008年2月13日(水) 【地域別】  【時間順】


荏原中延 居酒屋「ゆめや」

  荏原中延ゆめや 


 水曜日である。夕方少し時間が出来たので気になっている地区を歩いてみることにした。
 その場所は東急池上線の荏原中延である。ASIMO君とも歩いたことがあり、記事は書いたことは無いが行ったことのある店もある。
 木造でローカル色満点の駅舎が多い東急池上線の駅の中で、荏原中延の駅舎は比較的新しくきれいで立派である。駅改札を出て左に曲がると、東急大井町線中延駅近くまで続くアーケード商店街「中延商店街」がある。駅前から右にも別の商店街が続いている。さらに、改札正面からまっすぐに続く道もある。この道の地下には東急池上線が通っており、左側の人口地盤の上にドトールコーヒー、ベーカリー、焼肉店、インド料理店など飲食店が並んでいる。道の右側には銀行のATMがあり、この沿線では有名なラーメン店「多賀野」がある。「多賀野」の前を歩いて、100メートルほど行くと、中原街道から国道一号線(第二京浜)へ抜ける道に出る。出たところには以前ASIMO君と入ったことのあるおでんを主に商売をしている居酒屋があり、その斜め前にウナギを主とする立ちのみ店がある。この立ちのみも気になったが、今日はしばらく歩いてみることにした。

 少し行くと、右手に目立たない感じの店がある。以前から知っていたが入る勇気が出ずにいた店である。一度店の前を過ぎてしまい、数百メートル散策してから、またこの店の前に戻ってきた。
 入口は曇りガラスの扉である。ゆえに、中は見えない。メニューなども表には何もない。左側の窓に何か布が掛かっていて、その布を透かして、中がほんの少し見える。数人のお客さんが入っているようである。
 店の外側にある情報といえば、エビスビールと書かれたアクリル製の光る看板。そこに「ゆめや」と書かれてあり、小さな赤提灯に居酒屋と書いてある。他には「ホッピー」の赤い札が一枚入口脇に貼ってある。この「ホッピー」の文字に背中を押されて、やっと中に入ることにした。

 中に入ると、右手には奥に向かってカウンターがあり、一番手前におでん鍋があって、カウンターの中は調理場である。カウンターには8人ほどが座れるだろうか。左手には、2人用のテーブル席が二つ、そして、一番奥に4人用のテーブルがある。4人用のテーブルの上の高いところには、画質の悪いアナログテレビが一台。
 一番入口の2人用のテーブルに1人、次のテーブルに1人、そして、一番奥の4人用のテーブル席に1人と、3人の客全員がそのテレビを見上げている。

 まず、ホッピーを氷無しでお願いした。「氷入れなくてよろしいですか?」ともう一度聞かれる。このお店では氷を入れない人はあまりいないらしい。
 さて、「おまちどおさまです」と、丁寧に出されたホッピーは、冷やされたハイサワーのグラスに、冷えた焼酎が半分まで入っている。ホッピーももちろん冷えている。「やや三冷」である。ホッピーの焼酎が濃いと喜ぶ方々であれば、これは点数が高いと思われる。

 「厚揚げ焼き」(300円)を頼んだ。しかし、今日は無いという。しばらく、考えているうちに、目の前に小どんぶり一杯のつきだしが出された。豆腐、白滝、豚肉などがすき焼き風になっており、半熟卵が一個のっている。それなりの量のつきだしである。周囲を見ると、3人のうち2人のお客さんはこのつきだしだけで飲んでいる様子である。大きな鍋で煮た鍋物というのは、やはりうまい。

 しばらく、つきだしだけでホッピーを飲んだ。周囲の皆さんの会話を聞いていると、全員が常連で、「○○さん」「○○ちゃん」という風に、お店の人から名前で呼ばれており、常連さん同士も全員が顔見知りのようである。
 やがて、従業員の方らしい女性が入ってきた。○○さんと常連の方々が呼んでいるので、女将さんではないと推理できる。

 二杯目にレモンサワー(330円)と、あじ刺し(400円)をお願いする。
 すると、マスターが「お客様、レモンサワーは氷が入ってもよろしいですか?」と聞いてくれた。丁寧である。常連ではない珍しい客に戸惑っているようにさえ思える。しかし、誠実な雰囲気が伝わってくる。私の好感度はどんどん上がっていった。
 マスターの質問に対して、「はい・・・でも、氷少なめでお願いします」と答えた。
出てきたサワーは、サワーグラスに半分以上の焼酎、氷少々、中にレモンが一片入っている。そこにハイサワーの瓶が一瓶ついてきた。これで330円は良心的である。あじ刺しも出てきた。身がしっかりとして、なかなかうまいあじである。

 ここで、4人掛けのテーブルに座っていたお客さんの前にマスターが座りこんでしまった。そして、将棋盤と駒を出して、二人で将棋を始めてしまったのである。他のお客さんが背後から将棋をのぞき込む。

 流れている時間が本当にゆるいのである。テレビは、音量を下げて、NHKのニュースを放送している。それを見ながら、ゆるい時間の中に身をゆだねる。ここで、お茶割り(300円)と、マスターの将棋をじゃましてはいけないので、マスターが作る必要のない簡単なつまみ、 トマト(200円)をお願いする。
 すると、女性が「お塩にしますか、マヨネーズですか」と聞いてくれる。ちゃんと好みを聞いてくれるのである。トマトはおおぶりのもの1コである。あまくてうまいトマトだった。

 将棋は続いている。他に誰もこない。これだけディープな店もない。将棋相手の客が焼酎ウーロン割りを注文すると、マスターが「もっと濃くしろ」と女性に言う。全員が笑う。私もつられて笑ってしまう。この店は「ゆめや」である。なんとなく、本当に夢の中にいるようである。「ホスピタリティー」という言葉が頭に浮かんで、独り笑ってしまう。

 もう1人、すぐに常連客とわかる方が入ってきた。そのお客さんの注文が通って、落ち着いたところでお勘定をお願いする。マスターが将棋の手を止めて、伝票を見ながらざっと計算してくれた。2000円ちょうどであった。おおざっぱである。帰り際にマスターが「ありがとうございました。すいませんね、遊んでて」と言う。思わず笑ってしまう。50分ほどの滞在であった。

 気の短い人、この和みの空間が理解できない人にはおすすめできない。将棋に夢中なマスターの手が空いたら何か注文してほしい。やきとりでも、おでんでも、刺身でもちゃんとある。元々は食事処だったようで、食事メニューも充実しており、ちゃんと食事も出来る。少し疲れた日の夕暮れ時は、あのカウンターに座り、頭をゆるめて、夢の中にまどろんでみたいと思う。



荏原中延 居酒屋「ゆめや」
住所 東京都品川区中延2-13-10
電話 03-3788-4353
定休日 火曜日
交通 東急池上線荏原中延駅下車徒歩3分



ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。

「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら


実力派俳優になりたい人は→ 演出家守輪咲良のページ「さくらの便り」


荏原中延

Comments 2

居酒屋探偵DAITEN

そうなんです。
このユルさをやる気がないと言ってはいけません。

この日は入ってみなかった、
うなぎ系の立ちのみも気になってます。
なんか、ユルそうですね。

hamkazkick

このユルさ..

ソウなんです..このユルさが荏原中延ですね!
このお店,おそらく何百回前を通ったことがアリマス!
いいなぁ..と思いつつも,通り過ぎてたお店..
私も,ユルさに身を委ねてみよっかな〜♡

  • 2008-02-15 (Fri) 06:40
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