西横浜 角打ち酒店「福田屋本店 」
Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第653回 2018年2月3日(土)
【横浜市】 【池上線】 【その他】 【時間順】 【がっかり】
西横浜 角打ち酒店「福田屋本店 」
~ 藤棚商店街に残された灯火 ~

節分である。連日、真冬の寒さが続いている。そんな夕暮れ時、寒い街を歩いていると、どこかの店に飛び込んでカップ酒を買い吞んでみたくなる。出来ればコンビニエンス・ストアではなく歴史あるたたずまいの酒店が良い。冬ならばストーブのある店内で吞ませてもらえればもっと良い。酒店の店頭で飲むことを「角打ち」と呼ぶのは、居酒屋ファンならよく知っていることだ。
歴史的背景からいっても「究極の居酒屋」は「角打ち」だと私は思う。
以前から東京に比べ、横浜市にはこの角打ちの出来る酒屋さんが多く残されていた。
しかし、この数年、その横浜の角打ちがどんどん減ってきてしまったのだ。
藤棚の商店街周辺には本当にたくさんの酒屋があって、店内で飲ませてくれる「角打ち」も多くあった。
私の知っているだけで五軒あったものが今は二軒にまで減ってしまっている。
そんな一軒、藤棚商店街から少し入った場所の「福田屋本店」さんに今日は足を運んだ。
藤棚一番街
相鉄線の西横浜駅の改札を降りると、線路をまたぐ歩道橋の上に出る。まっすぐ行き右に曲がって階段を下りると、天王町商店街へ向かう道に出る。左手に行き階段を下りると国道一号線(東海道)があり、そこを渡って斜め左の太い道をまっぐ行けば藤棚町の五叉路だ。
その「藤棚町」交差点から東西に延びている商店街がある。西前銀座商店街、藤棚一番街、藤棚商店会、サンモール西横浜、久保町ニコニコ商店会の五つの商店街協同組合で構成されているこの商店街全体のことを「藤棚商店街」と我々は呼んでいるのだ。
藤棚町の五叉路から東方向に伸びている藤棚一番街のアーケードをくぐると左手に入る道があった。
ここを入って、すぐ右手に看板が見えてきた。
福田屋本店看板
お店の入口に小さな紙が貼ってあり、そこには、「店内に飲み処あります」と書いてあった。
この紙があると無いとでは、入りにくさが違う。以前からこちらで飲めることは知っていたのだが実際にトライするのは始めてだった。
福田屋本店正面
中に入ると、まったく普通の酒屋さんである。店の中央右手にレジがあり、御主人らしき方が座っていらした。
「あの~、以前からよく買っていたんですけど・・・奥で吞めると聞いて・・・」
「はい、吞めますよ、どうぞ、どうぞ」
レジ前を左に回り込むと、そこに会議室用のようなテーブルがあって、素晴らしい光景が広がっていた。
先客はどなたもいない。ゆえに、店内写真も撮らせていただいた。
量り売りの味噌樽がある。その隣に計りもある。無造作に日本酒の一升瓶が並べられている。様々な缶詰も積み上げてあった。
福田屋本店店内
やはり、寒いので日本酒からだ。純米こめいちず(二五〇円)をお願いする。
すると、ビアタンブラーにすりきり一杯のお酒が注がれた。
これを飲みながら御主人とお話をする。
御主人のお話によれば、西区全体で昔は六十軒の酒屋さんがあって、それが今は二十軒になってしまったとのこと。
近隣では、商店街沿いで昨年まで、立ち飲みコーナーも営業されていた杉山酒店さんも今はシャッターが閉まっていた。
テーブルに並べられたつまみ類の中かららっきょ(一〇〇円)を選ぶ。
魚肉ソーセージも良い。ビールケースに囲まれ、酒屋さんの倉庫のような場所で呑んでいる自分。
本当におちついて飲んでいる自分がいる。

店主の方が周辺の様子をいろいろと教えてくださる。
福田屋本店さんは元々藤棚一番街の入って左手の二軒目にお店があったそうである。
今は貸しビルとなって、他のお店に貸してあるそうだ。
前述の通り、今日は節分である。さきほど、御家族でまいた残りの福豆を袋に入れたものをいただいた。
縁起物である。ありがたく、一粒一粒、口にいれる。長生きができそうな予感がする。

そして、身体も温まったので、二杯目はレモンサワー。
テーブルに、いろいろなつまみ類が小鉢に入って置いてある。
どれも魅力的だがいわゆる6Pチーズを選んだ。

福豆を食べながら、出来るだけ長生きをして、ちょっとずつこれからもずっとお酒を飲めたらと思う。
やがて、女性のお客様が登場。家族ぐるみのお付き合いの様子だ。
人と人のふれあいを感じる。そして、店主のかわいいお孫さんが登場。店主の奥様や息子さんもいらして、家族が増えてゆく。
味噌が量り売りで売られている。五〇〇グラム赤味噌四〇〇円、白味噌三八〇円と書いてある。
子供の頃、川崎駅近くの角打ちの出来る酒屋に祖父につれて行かれ、味噌樽の前に座って、祖父がお酒を飲む間、ラムネを飲みながら座っていた記憶がある。店の名前はマルトウといった。懐かしい。
さらに常連の男性の方が登場され座られた。
私のような新参者に気兼ねなく話しかけてくれるのがうれしい。
三杯目は枡酒(三〇〇円)をいただく。

枡酒を飲みながら初めてとは思えないほどに皆さんにやさしくしていただいた。
本当に楽しいお店である。
次々と消えてゆく「角打ち」の中で、ここ「福田屋本店」さんは、酒好きにとって藤棚商店街に残された灯火である。
午後五時二〇分から午後六時二〇分まで一時間の滞在。
また、来店させてもらいたい。本当にそう思わせてくださる「角打ち」酒店であった。
西横浜 角打ち酒店「福田屋本店 」
住所 神奈川県横浜市西区中央2丁目12−11
電話 045-321-7785
定休日 月曜定休
営業時間 9時00分~20時00分
交通 相鉄線西横浜駅下車徒歩10分
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
演出家守輪咲良の劇集団「咲良舎」と演技私塾「櫻塾」
街の手帖については、コトノハ/街の手帖編集部へ。
居酒屋探偵DAITENの生活 第653回 2018年2月3日(土)
【横浜市】 【池上線】 【その他】 【時間順】 【がっかり】
西横浜 角打ち酒店「福田屋本店 」
~ 藤棚商店街に残された灯火 ~

節分である。連日、真冬の寒さが続いている。そんな夕暮れ時、寒い街を歩いていると、どこかの店に飛び込んでカップ酒を買い吞んでみたくなる。出来ればコンビニエンス・ストアではなく歴史あるたたずまいの酒店が良い。冬ならばストーブのある店内で吞ませてもらえればもっと良い。酒店の店頭で飲むことを「角打ち」と呼ぶのは、居酒屋ファンならよく知っていることだ。
歴史的背景からいっても「究極の居酒屋」は「角打ち」だと私は思う。
以前から東京に比べ、横浜市にはこの角打ちの出来る酒屋さんが多く残されていた。
しかし、この数年、その横浜の角打ちがどんどん減ってきてしまったのだ。
藤棚の商店街周辺には本当にたくさんの酒屋があって、店内で飲ませてくれる「角打ち」も多くあった。
私の知っているだけで五軒あったものが今は二軒にまで減ってしまっている。
そんな一軒、藤棚商店街から少し入った場所の「福田屋本店」さんに今日は足を運んだ。

相鉄線の西横浜駅の改札を降りると、線路をまたぐ歩道橋の上に出る。まっすぐ行き右に曲がって階段を下りると、天王町商店街へ向かう道に出る。左手に行き階段を下りると国道一号線(東海道)があり、そこを渡って斜め左の太い道をまっぐ行けば藤棚町の五叉路だ。
その「藤棚町」交差点から東西に延びている商店街がある。西前銀座商店街、藤棚一番街、藤棚商店会、サンモール西横浜、久保町ニコニコ商店会の五つの商店街協同組合で構成されているこの商店街全体のことを「藤棚商店街」と我々は呼んでいるのだ。
藤棚町の五叉路から東方向に伸びている藤棚一番街のアーケードをくぐると左手に入る道があった。
ここを入って、すぐ右手に看板が見えてきた。

お店の入口に小さな紙が貼ってあり、そこには、「店内に飲み処あります」と書いてあった。
この紙があると無いとでは、入りにくさが違う。以前からこちらで飲めることは知っていたのだが実際にトライするのは始めてだった。

中に入ると、まったく普通の酒屋さんである。店の中央右手にレジがあり、御主人らしき方が座っていらした。
「あの~、以前からよく買っていたんですけど・・・奥で吞めると聞いて・・・」
「はい、吞めますよ、どうぞ、どうぞ」
レジ前を左に回り込むと、そこに会議室用のようなテーブルがあって、素晴らしい光景が広がっていた。
先客はどなたもいない。ゆえに、店内写真も撮らせていただいた。
量り売りの味噌樽がある。その隣に計りもある。無造作に日本酒の一升瓶が並べられている。様々な缶詰も積み上げてあった。

やはり、寒いので日本酒からだ。純米こめいちず(二五〇円)をお願いする。
すると、ビアタンブラーにすりきり一杯のお酒が注がれた。
これを飲みながら御主人とお話をする。
御主人のお話によれば、西区全体で昔は六十軒の酒屋さんがあって、それが今は二十軒になってしまったとのこと。
近隣では、商店街沿いで昨年まで、立ち飲みコーナーも営業されていた杉山酒店さんも今はシャッターが閉まっていた。
テーブルに並べられたつまみ類の中かららっきょ(一〇〇円)を選ぶ。
魚肉ソーセージも良い。ビールケースに囲まれ、酒屋さんの倉庫のような場所で呑んでいる自分。
本当におちついて飲んでいる自分がいる。

店主の方が周辺の様子をいろいろと教えてくださる。
福田屋本店さんは元々藤棚一番街の入って左手の二軒目にお店があったそうである。
今は貸しビルとなって、他のお店に貸してあるそうだ。
前述の通り、今日は節分である。さきほど、御家族でまいた残りの福豆を袋に入れたものをいただいた。
縁起物である。ありがたく、一粒一粒、口にいれる。長生きができそうな予感がする。

そして、身体も温まったので、二杯目はレモンサワー。
テーブルに、いろいろなつまみ類が小鉢に入って置いてある。
どれも魅力的だがいわゆる6Pチーズを選んだ。

福豆を食べながら、出来るだけ長生きをして、ちょっとずつこれからもずっとお酒を飲めたらと思う。
やがて、女性のお客様が登場。家族ぐるみのお付き合いの様子だ。
人と人のふれあいを感じる。そして、店主のかわいいお孫さんが登場。店主の奥様や息子さんもいらして、家族が増えてゆく。
味噌が量り売りで売られている。五〇〇グラム赤味噌四〇〇円、白味噌三八〇円と書いてある。
子供の頃、川崎駅近くの角打ちの出来る酒屋に祖父につれて行かれ、味噌樽の前に座って、祖父がお酒を飲む間、ラムネを飲みながら座っていた記憶がある。店の名前はマルトウといった。懐かしい。
さらに常連の男性の方が登場され座られた。
私のような新参者に気兼ねなく話しかけてくれるのがうれしい。
三杯目は枡酒(三〇〇円)をいただく。

枡酒を飲みながら初めてとは思えないほどに皆さんにやさしくしていただいた。
本当に楽しいお店である。
次々と消えてゆく「角打ち」の中で、ここ「福田屋本店」さんは、酒好きにとって藤棚商店街に残された灯火である。
午後五時二〇分から午後六時二〇分まで一時間の滞在。
また、来店させてもらいたい。本当にそう思わせてくださる「角打ち」酒店であった。
西横浜 角打ち酒店「福田屋本店 」
住所 神奈川県横浜市西区中央2丁目12−11
電話 045-321-7785
定休日 月曜定休
営業時間 9時00分~20時00分
交通 相鉄線西横浜駅下車徒歩10分
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
演出家守輪咲良の劇集団「咲良舎」と演技私塾「櫻塾」
街の手帖については、コトノハ/街の手帖編集部へ。