都立大学 居酒屋「安兵衛」
居酒屋探偵DAITENの生活 第82回 2008年3月9日(日) 【地域別】 【時間順】
都立大学 安兵衛
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この「居酒屋探偵DAITENの生活」も本稿で第八十二回である。大規模チェーン系居酒屋は紹介しない、居酒屋としての機能も兼ね備えた一部の中華料理店等を除いて「古典酒場」以外は紹介しない、きれいでしゃれた店も紹介しない、少ない小遣いの中からサラリーマンや学生、できれば俳優やミュージシャンなどを目指す若者たちが飲み代を出せるような店のみ紹介したい、という風に「採用基準」を作ってしまっている。ゆえに、なかなか紹介できる店が増えないのである。入ってみたが紹介しなかった店もとても多い。そんな中、今回でやっと店の数も九十九軒となった。そんなたくさんの店と比べても本当に珍しい一軒を今回は紹介する。
本日もMIプロジェクトの稽古場帰りである。演出のSAKURA、演出助手の創間元哉君と3人で打ち合わせである。打ち合わせ場所が決まったら連絡することにして、ちょっとした手続業務に行く創間君と都立大学の駅前で別れた。
都立大学の改札を出て左、東横線のガード沿いを自由が丘方面に戻る。呑川緑道をまたぐと、いつも行く台湾料理の店「味中味屋台」が右手に見える。本日はその前を通過、少し歩いてみる。すぐそこに鰻屋さんの看板が見えた。そのあたりに居酒屋さんがあるはずなのだが見あたらない。ふと、足元を見ると、電信柱の脇に電気の消えたアクリル製の看板がある。
「安兵衛」と書かれている。その電信柱の裏の位置に木の古びた看板を発見。看板には、右肩に「おにぎり、お茶漬け、やきとり」と書かれ、上に「のんべい」、真ん中に大きく「安兵衛」と書かれている。一瞬、安兵衛を「のんべい」と読ませる為のルビではないかとも思う。大きく矢印が書かれ、「この奥」と書いてある。営業時間のところには、「よる~あさ」と書いてある。夕方から深夜早朝までやっているという意味だろうか。
「この奥」と書かれた矢印の示す通りに見る。雑草が生えた建物と建物の間の隙間である。路地というよりも隙間というのが正しいのである。夕暮れ時、あたりは薄暗い。生ビールの立て看板があった。店の看板は無いので、この立て看板がなければ、古い普通の家の勝手口にしか見えない。
入口にはセルロイドをはさみで切ったような暖簾のようなものが掛かっている。雨よけに下げてあるのだろうか。「勝手口」の明かり取りには曇りガラスがはめ込んであり、中から灯りがもれている。思い切って扉を開いてみた。
「あの今日はお休みですか?」と言いながら中を覗く。女将さんらしき人が一人、中にいらっしゃる。
「入ってもいいですか?」
「どうぞ」
「日曜日は休みじゃないんですか?」
「日曜は休みなんですけど・・・知り合いの人が来るんで・・・」
緩い会話が続く。外に書いてあるように、営業時間は「夜から朝」。定休日も不定休。女将さんがお店にいて、どうぞと言ってくれれば営業日であるということだろうか。
SAKURAも私も荷物が多い、鞄やビデオの機材などを持って入ってきたのを見て、女将さんが親切に荷物を置く場所を作ってくれる。
こちらの店はカウンター席だけである。「L字」というよりも、「くの字」のカウンターだ。カウンターの中が調理場である。カウンター席の背後には焼酎の一升瓶が並んでおり、キープボトルなのかそれぞれに名前が書いてある。棚の上には阪神タイガースの旗が貼ってあった。自由が丘の駅近くにもそういう店があるが、ここも熱烈なタイガースファンの店のようである。常連の集まる小さな居酒屋で「政治、宗教、野球」の話は禁物であると言われる。ここでも野球の話はやめておいた方がいいと思う。
SAKURAはお湯割りである。「芋はありますか?」と聞くと、「麦しかないんですよ」と、女将さんはすまなそうである。「それでいいですよ」と答えるSAKURA。
私が「レモンサワーありますか?」と聞くと、「レモンサワーって・・・」と考えてしまう。それから、私たちの背後の棚を眺め、炭酸の瓶を一本発見。「これ一本しかないんですよ、買ってこなかったから・・・焼酎をこれで割って、レモン入れた奴でいいですよね」とおっしゃる。つまり業務用の「ハイサワー」で焼酎を割ったものはないと気にされているのに違いない。「それで十分ですよ」と答える。サワーを作る途中、レモンを1個見せながら「レモンの輪切り入れます?」と聞いてくれる。「切るのがたいへんだからいいですよ」と言うと、「入れた方がいいですよ、せっかくだから」とおっしゃる。「お願いします」と答える私。出来上がったのは「分厚いレモン輪切り入りの酎ハイ」である。なんだか、楽しくなってくる。
SAKURAのお湯割りと、分厚いレモン輪切り入りの酎ハイで乾杯をする。酎ハイが濃い。「混ざっていないのかな?」と思い、割り箸で混ぜてみたが濃いままであった。本当に濃いのである。サワーグラスの半分は焼酎が入っているようである。
「突きだし」は、小さく切った豆腐の煮付けである。壁に小さなホワイトボードがかかっている。そこに今日の出来るものが8種類ほど書いてある。値段は書いていない。実際には、出来るものが書いてあるのではなく、出来る可能性のあるものが書いてあるのである。焼き魚の中からSAKURAが「あじ」を注文する。「あじ」はちゃんとあったのである。
後から来る創間君に、店の場所が解るかどうか二人で心配する。電話が掛かってきたら、私が迎えにゆくことにした。
しばらくして、常連客の方が入ってきた。壁に並ぶ焼酎の一升瓶の中から自分がキープしているものをサッと選び、カウンターの上に置く、女将さんが氷の入ったサワーグラスと緑茶の2リットル入りのペットボトルを渡す。なんの躊躇いもない、スムースな動きである。その常連の方は「とんそく」を頼んだ。気になっていた品物である。
SAKURAに北海道の演劇関係の方から「携帯電話」に連絡が入り、SAKURAは外に出ていった。もちろん、周囲に迷惑をかけないようにする為であるが、電波の状態もあまり良くないので、外の通りまで出なくてはいけないのである。
常連の方のところに「とんそく」がやってきた。大きな豚足が大皿の上にごろごろとのっている。凄いボリュームである。常連の方は器用にしゃぶりついている。
一人取り残された私は、テレビを見ながら女将さんや常連の方の会話に少しだけ参加させていただく。
10分ほどして、SAKURAが創間君と一緒に戻ってきた。創間君が携帯電話を掛けているSAKURAを発見したのだという。店の場所を教える手間が省けたのである。
創間君は生ビールを頼んだ。あじがやってくる。ホワイトボードに書いてある「めかぶ」を頼むと、女将さんが冷蔵庫を見て、「あっ、買ってきてなかったわ、もずくならありますけど」とおっしゃる。そこで「もずく」をお願いした。
「これお願いします」と、チューハイのグラスを持ち上げて、二杯目を頼んだ。「レモンもったいないからこのままでいいですよ」と言うと、「せっかくだから・・・」と新しいレモンの輪切りと取り替えてくれた。
もう一人、常連客の方が入ってきた。前の方と同じように、焼酎の一升瓶を棚から取り、サッと出されたサワーグラスに焼酎を入れ、ペットボトルから緑茶を注いで飲み始める。
ホワイトボードの中から「ウインナ串」を頼む。「何本焼きますか」と言う。「一串がウインナソーセージ四本刺してあるんですけど」と見せてくれる。3人であるので、割り切れる本数にして出してくれた。細かい気配りがうれしい。近所のお宅に勝手口から入り、台所で一杯飲ませてもらっている気分である。
お一人目の常連の方が帰られた。潔く適量を飲んで帰られたようである。私たちのように色々な店を歩く「遊牧民のような客」よりも、毎日のようにやってきてサッと飲んで帰ってくれる常連の方々が居酒屋さんにとって一番貴重なお客様であるに違いない。
創間君は2杯目の生ビールである。私とSAKURAは日本酒の熱燗である。
そろそろ帰ろうとトイレに立つ。すると、女将さんの指示で、お二人目のお客さんが立ち上がり、トイレに入ってハイタンクの水を一度流してくれる。「古いトイレなんで、一回目はこうしないと駄目なのよ」と女将さん。意味が解らないまま、お礼を言って中に入ると、木製のタンクが高い位置にあり、鎖のついたレバーを引いて水を流すようになっていた。
約1時間30分の滞在。お勘定の明細は不明、3名で合計4,450円であった。
女将さんと常連のお客さんにお礼を言って外にでる。狭い路地を一列になって歩いて行く。道路に出たところで、他に用事のある創間君と別れ、都立大学駅に向かった。
この後、前述のトイレに関するやりとりについて、住宅設備機器のプロの方に聞いてみたところ、古いハイタンクの場合、中の「ボールタップ」がうまく戻らない時があり、水が入っていない時があるとのことであった。この事情を解らない新参者の私がタンクに水が入っていないことに気づかず、トイレを済ませてしまい、流れずに狼狽えるようなことがないよう、先に流してチェックしてくれたのである。常連の方は水がタンクに入っていなければ、皆さん、それなりに対応出来るのであろう。
常連の皆さんがあるルールの元に居心地よく過ごしている店に、事情を知らない新参者が入ってゆく時は、それなりの覚悟が必要であることを改めて思い知らされた。この場所で20年以上も営業をされているという。
最近よくある意図的なコンセプトで「入りにくくしてある」ような店ではない、長い年月を越えても今なおこの形なのである。本当に常連の皆さんの店であることが再確認した。良い店である。しかし、努々覚悟無しに御来店の無きよう。

都立大学 居酒屋「安兵衛」
住所 東京都目黒区中根1丁目6-10
電話 03-3724-9705
定休日 日曜日(女将さんの許可で変動)
営業時間 よる~あさ(看板にこのように表記)
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
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都立大学 安兵衛




この「居酒屋探偵DAITENの生活」も本稿で第八十二回である。大規模チェーン系居酒屋は紹介しない、居酒屋としての機能も兼ね備えた一部の中華料理店等を除いて「古典酒場」以外は紹介しない、きれいでしゃれた店も紹介しない、少ない小遣いの中からサラリーマンや学生、できれば俳優やミュージシャンなどを目指す若者たちが飲み代を出せるような店のみ紹介したい、という風に「採用基準」を作ってしまっている。ゆえに、なかなか紹介できる店が増えないのである。入ってみたが紹介しなかった店もとても多い。そんな中、今回でやっと店の数も九十九軒となった。そんなたくさんの店と比べても本当に珍しい一軒を今回は紹介する。
本日もMIプロジェクトの稽古場帰りである。演出のSAKURA、演出助手の創間元哉君と3人で打ち合わせである。打ち合わせ場所が決まったら連絡することにして、ちょっとした手続業務に行く創間君と都立大学の駅前で別れた。
都立大学の改札を出て左、東横線のガード沿いを自由が丘方面に戻る。呑川緑道をまたぐと、いつも行く台湾料理の店「味中味屋台」が右手に見える。本日はその前を通過、少し歩いてみる。すぐそこに鰻屋さんの看板が見えた。そのあたりに居酒屋さんがあるはずなのだが見あたらない。ふと、足元を見ると、電信柱の脇に電気の消えたアクリル製の看板がある。
「安兵衛」と書かれている。その電信柱の裏の位置に木の古びた看板を発見。看板には、右肩に「おにぎり、お茶漬け、やきとり」と書かれ、上に「のんべい」、真ん中に大きく「安兵衛」と書かれている。一瞬、安兵衛を「のんべい」と読ませる為のルビではないかとも思う。大きく矢印が書かれ、「この奥」と書いてある。営業時間のところには、「よる~あさ」と書いてある。夕方から深夜早朝までやっているという意味だろうか。
「この奥」と書かれた矢印の示す通りに見る。雑草が生えた建物と建物の間の隙間である。路地というよりも隙間というのが正しいのである。夕暮れ時、あたりは薄暗い。生ビールの立て看板があった。店の看板は無いので、この立て看板がなければ、古い普通の家の勝手口にしか見えない。
入口にはセルロイドをはさみで切ったような暖簾のようなものが掛かっている。雨よけに下げてあるのだろうか。「勝手口」の明かり取りには曇りガラスがはめ込んであり、中から灯りがもれている。思い切って扉を開いてみた。
「あの今日はお休みですか?」と言いながら中を覗く。女将さんらしき人が一人、中にいらっしゃる。
「入ってもいいですか?」
「どうぞ」
「日曜日は休みじゃないんですか?」
「日曜は休みなんですけど・・・知り合いの人が来るんで・・・」
緩い会話が続く。外に書いてあるように、営業時間は「夜から朝」。定休日も不定休。女将さんがお店にいて、どうぞと言ってくれれば営業日であるということだろうか。
SAKURAも私も荷物が多い、鞄やビデオの機材などを持って入ってきたのを見て、女将さんが親切に荷物を置く場所を作ってくれる。
こちらの店はカウンター席だけである。「L字」というよりも、「くの字」のカウンターだ。カウンターの中が調理場である。カウンター席の背後には焼酎の一升瓶が並んでおり、キープボトルなのかそれぞれに名前が書いてある。棚の上には阪神タイガースの旗が貼ってあった。自由が丘の駅近くにもそういう店があるが、ここも熱烈なタイガースファンの店のようである。常連の集まる小さな居酒屋で「政治、宗教、野球」の話は禁物であると言われる。ここでも野球の話はやめておいた方がいいと思う。
SAKURAはお湯割りである。「芋はありますか?」と聞くと、「麦しかないんですよ」と、女将さんはすまなそうである。「それでいいですよ」と答えるSAKURA。
私が「レモンサワーありますか?」と聞くと、「レモンサワーって・・・」と考えてしまう。それから、私たちの背後の棚を眺め、炭酸の瓶を一本発見。「これ一本しかないんですよ、買ってこなかったから・・・焼酎をこれで割って、レモン入れた奴でいいですよね」とおっしゃる。つまり業務用の「ハイサワー」で焼酎を割ったものはないと気にされているのに違いない。「それで十分ですよ」と答える。サワーを作る途中、レモンを1個見せながら「レモンの輪切り入れます?」と聞いてくれる。「切るのがたいへんだからいいですよ」と言うと、「入れた方がいいですよ、せっかくだから」とおっしゃる。「お願いします」と答える私。出来上がったのは「分厚いレモン輪切り入りの酎ハイ」である。なんだか、楽しくなってくる。
SAKURAのお湯割りと、分厚いレモン輪切り入りの酎ハイで乾杯をする。酎ハイが濃い。「混ざっていないのかな?」と思い、割り箸で混ぜてみたが濃いままであった。本当に濃いのである。サワーグラスの半分は焼酎が入っているようである。
「突きだし」は、小さく切った豆腐の煮付けである。壁に小さなホワイトボードがかかっている。そこに今日の出来るものが8種類ほど書いてある。値段は書いていない。実際には、出来るものが書いてあるのではなく、出来る可能性のあるものが書いてあるのである。焼き魚の中からSAKURAが「あじ」を注文する。「あじ」はちゃんとあったのである。
後から来る創間君に、店の場所が解るかどうか二人で心配する。電話が掛かってきたら、私が迎えにゆくことにした。
しばらくして、常連客の方が入ってきた。壁に並ぶ焼酎の一升瓶の中から自分がキープしているものをサッと選び、カウンターの上に置く、女将さんが氷の入ったサワーグラスと緑茶の2リットル入りのペットボトルを渡す。なんの躊躇いもない、スムースな動きである。その常連の方は「とんそく」を頼んだ。気になっていた品物である。
SAKURAに北海道の演劇関係の方から「携帯電話」に連絡が入り、SAKURAは外に出ていった。もちろん、周囲に迷惑をかけないようにする為であるが、電波の状態もあまり良くないので、外の通りまで出なくてはいけないのである。
常連の方のところに「とんそく」がやってきた。大きな豚足が大皿の上にごろごろとのっている。凄いボリュームである。常連の方は器用にしゃぶりついている。
一人取り残された私は、テレビを見ながら女将さんや常連の方の会話に少しだけ参加させていただく。
10分ほどして、SAKURAが創間君と一緒に戻ってきた。創間君が携帯電話を掛けているSAKURAを発見したのだという。店の場所を教える手間が省けたのである。
創間君は生ビールを頼んだ。あじがやってくる。ホワイトボードに書いてある「めかぶ」を頼むと、女将さんが冷蔵庫を見て、「あっ、買ってきてなかったわ、もずくならありますけど」とおっしゃる。そこで「もずく」をお願いした。
「これお願いします」と、チューハイのグラスを持ち上げて、二杯目を頼んだ。「レモンもったいないからこのままでいいですよ」と言うと、「せっかくだから・・・」と新しいレモンの輪切りと取り替えてくれた。
もう一人、常連客の方が入ってきた。前の方と同じように、焼酎の一升瓶を棚から取り、サッと出されたサワーグラスに焼酎を入れ、ペットボトルから緑茶を注いで飲み始める。
ホワイトボードの中から「ウインナ串」を頼む。「何本焼きますか」と言う。「一串がウインナソーセージ四本刺してあるんですけど」と見せてくれる。3人であるので、割り切れる本数にして出してくれた。細かい気配りがうれしい。近所のお宅に勝手口から入り、台所で一杯飲ませてもらっている気分である。
お一人目の常連の方が帰られた。潔く適量を飲んで帰られたようである。私たちのように色々な店を歩く「遊牧民のような客」よりも、毎日のようにやってきてサッと飲んで帰ってくれる常連の方々が居酒屋さんにとって一番貴重なお客様であるに違いない。
創間君は2杯目の生ビールである。私とSAKURAは日本酒の熱燗である。
そろそろ帰ろうとトイレに立つ。すると、女将さんの指示で、お二人目のお客さんが立ち上がり、トイレに入ってハイタンクの水を一度流してくれる。「古いトイレなんで、一回目はこうしないと駄目なのよ」と女将さん。意味が解らないまま、お礼を言って中に入ると、木製のタンクが高い位置にあり、鎖のついたレバーを引いて水を流すようになっていた。
約1時間30分の滞在。お勘定の明細は不明、3名で合計4,450円であった。
女将さんと常連のお客さんにお礼を言って外にでる。狭い路地を一列になって歩いて行く。道路に出たところで、他に用事のある創間君と別れ、都立大学駅に向かった。
この後、前述のトイレに関するやりとりについて、住宅設備機器のプロの方に聞いてみたところ、古いハイタンクの場合、中の「ボールタップ」がうまく戻らない時があり、水が入っていない時があるとのことであった。この事情を解らない新参者の私がタンクに水が入っていないことに気づかず、トイレを済ませてしまい、流れずに狼狽えるようなことがないよう、先に流してチェックしてくれたのである。常連の方は水がタンクに入っていなければ、皆さん、それなりに対応出来るのであろう。
常連の皆さんがあるルールの元に居心地よく過ごしている店に、事情を知らない新参者が入ってゆく時は、それなりの覚悟が必要であることを改めて思い知らされた。この場所で20年以上も営業をされているという。
最近よくある意図的なコンセプトで「入りにくくしてある」ような店ではない、長い年月を越えても今なおこの形なのである。本当に常連の皆さんの店であることが再確認した。良い店である。しかし、努々覚悟無しに御来店の無きよう。

都立大学 居酒屋「安兵衛」
住所 東京都目黒区中根1丁目6-10
電話 03-3724-9705
定休日 日曜日(女将さんの許可で変動)
営業時間 よる~あさ(看板にこのように表記)
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
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