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新宿 焼き鳥「番番」

居酒屋探偵DAITENの生活 第85回  2008年3月18日(火) 【地域別】  【時間順】



新宿 焼き鳥「番番」

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 新宿に向かうJR総武線の中、OZAKI先生と私の二人は実に機嫌が良い。OZAKI先生もいつもより饒舌である。それもそのはず、今日の二軒目の店はOZAKI先生が過去十数回は行ったことのある彼のお気に入りの店なのである。仕事仲間の雑誌編集者の方から何年も前に教えられ、いつも打ち合わせと称して二人で呑んでいるのだそうである。
 OZAKI先生は「DAITENさんの口からあの店の名前が出るとは驚きだなあ。今まで、何故話さなかったのでしょうね」と自分で不思議がっている。
 その店は、新宿は歌舞伎町にある焼き鳥「番番」である。東京の古典酒場を紹介する雑誌「TOKIO古典酒場」の第1号にも掲載された店である。

 午後9時である。JR新宿駅を出て歌舞伎町を目指した。靖国通りを向こう側に渡り、少し歩いてさくら通りという商店街に入るとすぐ左側、地下の店である。

 階段の上の斜めの部分に、白地に赤と青の文字のアクリルの看板が光る。その看板を頭の上に見ながら、地下へ降りる。降りきると、順番待ち用に椅子が数脚ある。右手にガラスの引き戸があり、中が見える。
 OZAKI先生が中を覗く。店内は満席の様子である。OZAKI先生の知っている親父さんに一言伝え、外の順番待ち用の椅子に座って待つことにする。すぐに目の前のカウンターの男性と女性のお客さんが右にずれてくれた。隙間が出来ている。しかし、その真ん中に座る青年は携帯電話に夢中でずれようとしない。周囲を見ていないのである。親父さんが青年に右手にづれるように言ったようである。渋々ずれる青年。

 親父さんに手で呼ばれ、中に入った。ちょうど目の前に巨大なコの字カウンターの中と外を出入りする為に作られた切れ目のところに板が渡っていた。
 「あっちに椅子が一つあるので、持ってきて座ってください」と親父さんがいう。座れるなら文句はない。急いで椅子を持って来て、大きな音を立てて青年のすぐ隣に置く。それでも彼は携帯に夢中である。
 OZAKI先生と二人、窮屈な姿勢で座る。
 ここでは先生に注文を任せることにする。最初は、やはり酎ハイである。酎ハイは250円と安い。
 つまみは、OZAKI先生おすすめの豚バラ(200円)を2本、焼き物は100円がほとんどの中、高い部類に入る。小タマネギ(150円)を2本、生野菜サラダ(350円)も注文した。

 我々が座った店の入口部分は、2つのカウンターの切れ目になっている。左手にはL字形にカウンターがあり、その中にアクリル板で囲まれた焼き場がある。右方向には変則的な形のコの字カウンターが続いている。私たちの座った切れ目の部分から数名分行ったところでカウンターは一度右に曲がり、すぐに左に曲がって、さらに左、もう一度左に曲がって終わっている。店の形に合わせて作ったカウンターである。全部で40人ほどが座れるだろうか。

 ある経緯があり、十代の終わりに歌舞伎町で暮らすことになりそうな時期があった。もし、歌舞伎町で暮らしていたら自分はどうなっていたのか。この店にも常連として来るようになっていただろうか。何より、今まで生きていられたのだろうか。そんなことを考える。

 周りの客筋を見ると、思いの外、男女二人連れが多い、それも男女の年齢差がかなりある。派手な感じの女性もいる。場所が場所だけに、同伴出勤前のお二人であろうか。
 ニンニク焼きを大量に頼んでいる若いカップルもいた。こんなに若いのに、こんなにたくさんのニンニクを食べてどうするのだろうかと、つまらない心配をしてしまう。

 豚バラと小タマネギがやってきた。OZAKI先生によれば、この豚バラの肉片と小タマネギ一片をいっしょに食べるとうまいのだという。「豚バラタマネギ」という商品にして売ればよい、新しいスタイルの「ネギマ」である、等と勝手なことを言い合い笑い合う。
 2杯目は焼酎のお湯割りである。蕎麦焼酎「雲海」のお湯割り(250円)を2つお願いする。昔、同じ職場で働いた頃、雲海をよく呑んだことをOZAKI先生が思い出した。昔話しに花が咲く、去って行った人、たくさんの亡くなった人たちのことを思い出す。焼酎をゆっくりと飲む。

 シシトウ(100円)とシイタケ(100円)を2本ずつ頼む。シシトウもシイタケもうまい。さらに、ぎんなん(400円)、山芋千切り(300円)を追加した。今日のつまみは、最初の豚バラ以外は全て野菜類である。実に健康的だ。胃のことを考えると、遅い時間にはついつい肉を避けてしまうのである。考えてみれば、焼き鳥の専門店である「番番」に来たのに野菜ばかりであった。次回、もっと早い時間に来店して、ぜひ、タン、ハツ、カシラ、煮込みあたりを食べてみたいと思う。

 午後10時を過ぎると、店内のお客さんがどんどん帰って行く。店内が静かになってきた。本当に味わいのある店である。
 約1時間30分ほどの滞在であった。二人でお勘定は4,050円であった。

 噂には聞いていたが、新宿の歌舞伎町にこんな店が残っていたのかと、本当に驚かされた。


新宿 焼き鳥「番番」
住所 東京都新宿区歌舞伎町1-16-12 梅谷ビルB1
電話 03-3200-9354
定休 無休
営業時間 17:00~23:45
交通 JR「新宿駅」東口より徒歩10分。西武新宿線「西武新宿駅」より徒歩5分。



ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。

「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら


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新宿

Comments 8

居酒屋探偵DAITEN

うらやましいですね

焼き鳥はカシラ様

居酒屋探偵DAITENです。
コメントありがとうございます。
親子三人で「番番」ですか・・・我が家は子供がいないので、
とても、うらやましいです。
「番番」は良い店ですね。本当に。
今後も「居酒屋探偵DAITENの生活」
をよろしくお願いいたします。

焼き鳥はカシラ

ご無沙汰です。
この間、専門学校へ通ってる娘がバイト料を貯めて「ネズミテーマパーク」に夫婦で招待してくれました。うれしかったなアアアア(涙)
その帰り道、番番へ寄りました。相変わらず混んでおりましたが、待ち時間20分で着席できました。娘にとって初居酒屋です。デビューです。(正確に言えば赤ちゃんの頃からちょくちょく来てますが)
未成年ですが、薄めの酎ハイを飲ませたところ、非常に美味と興奮してました。学校での集まりはお酒抜きが主流なのだそうです。また、焼き鳥の味は記憶しているそうで、懐かしい味と言ってバクバクでした。
家内も久しぶりの外食なのでガツガツでした。3人で9500円は初めてです。でも楽しい時間を過ごせて満足でした。

  • 2008-09-17 (Wed) 09:28
  • REPLY
居酒屋探偵DAITEN

焼き鳥はカシラ様

「番番」のオヤジさんは素敵な方ですね。番番に通っている友人のOZAKI先生も言っておりました。

大衆酒場の客は肉の大きさとか、酒の価格とか本当に敏感なものです。
今日混んでいるから明日からもそうであるとは限りません。
常に客の立場になって考えないと、客を失うことになります。
「番番」のように人気を保つのはたいへんなことだと思います。

焼き鳥はカシラ

最近お肉が半周り程小ぶりになった (とはいえ、近隣の焼き鳥と比べてもはるかにでかい) 気がしたので、オヤジさんに聞いたところ、「火通りを早くして、早く提供したい」ためというお答えでした。
 
 流石!普通ならちょっとは儲けて‥‥なんて言いたいところ。しかし、思ってもそれを感じさせない答えに脱帽です。 新宿の”粋”を見ました。
 
 そもそも、この場所で110円なんですから、その価値観を大切にしたいです。諸物価が高騰していますが、是非この価格を継続してもらいたいですね。

  • 2008-05-24 (Sat) 10:54
  • REPLY
居酒屋探偵DAITEN

焼き鳥はカシラ様

馬刺し、レバ刺し、サラダ、次回は是非試してみたいと思います。

焼き鳥はカシラ

馬刺し、レバ刺しなんかも最高ですよ。通はサラダ!

  • 2008-05-19 (Mon) 15:52
  • REPLY
居酒屋探偵DAITEN

宇ち中様

「番番」良いお店ですね。
地下に奇跡的に残った大衆酒場の遺跡のようです。マイペースな親父さんのキャラクターがまた良いです。ブログで大劇場の地下にある居酒屋を舞台にした小説を連載中(止まってますが)なので参考になりました。実は私の小説に出てくる居酒屋も偶然新宿の大劇場の地下にある居酒屋なのです。「番番」を知る前から書き始めたので、その点でも驚きました。


30年前、新宿にはもっと大衆酒場があったような記憶があります。東口の昔の三越の近くに大きな大衆酒場があったような記憶が・・・でも今はありません。

uchidaholic

番番

2月末に初めて行くことができました。
本当に、歌舞伎町の入り口にこんなお店が、と
DAITENさんと同じように驚いたのでした。