野毛 「三陽」~「日の出理容院」~「トモ」
居酒屋探偵DAITENの生活 第14回 2007年3月10日(土) 【地域別】 【時間順】 【がっかり集】
野毛 「三陽」~「日の出理容院」~「トモ」
四谷・上智大学にて 日本の演劇の未来を考える
SAKURA&DAITENが本日最初に向かったのは四谷の上智大学であった。
上智大学・新国立劇場・日露演劇会議共催の講演会を見る為である。ロシアのGITIS(舞台芸術アカデミー)のナターリヤ・ズヴェーレヴァ教授の講演会である。同教授は舞台芸術アカデミーで30年以上教鞭を取っているベテラン。今回の来日は、新国立劇場演劇研修所でのシーンスタディのためのもので、その合間をぬっての特別講演であった。開始時間は午後3時。始まってみると、講演会というよりも、参加者からの様々な質問に対して、同時通訳付で答えてゆくという質疑応答の形となった。
日露演劇会議の事務局長で、演劇評論家の村井健氏が刺激的な言葉を投げかける。私は村井氏の著書の個人的なファンなので、口には出さないが「待ってました、村井!」と声をかけたくなる気分であった。
昨年から、ロシアから来日した様々な演技教育者の方々の講演会に何度も参加しているが、今回もまた思い知らされたことは、日本における「演技教育」が他国よりも遅れているという事実であった。「演技力」が役者を評価する尺度ではないというこの国の現実。それは、この国のテレビや映画を見ればすぐに解る。
いささか暗澹たる気持ちで外に出たのは午後5時過ぎであった。
横浜・赤煉瓦倉庫にて 最高級の道化たちに出会う
SAKURA & DAITENが次に向かったのは横浜赤煉瓦倉庫であった。
横浜赤煉瓦倉庫の1号館3階にホールがある。演劇、ダンス、音楽、映画などに適した約300席のホール。今回初めて行ったのだが、思いの外良い劇場であった。
今日の公演は「みなと横浜演劇祭実行委員会」と「財団法人横浜市芸術文化振興財団」の主催公演であり、「みなとYOKOHAMA演劇祭2007」の海外招聘作品である。作品はブルガリアの劇団クレド・シアターの「オーバーコート」。ゴーゴリーの「外套」が原作である。
咲良舎がマリヴォー作「試練」で2005年に参加した横浜の演劇祭「横浜アートLIVE」は、昨年10年間の歴史を閉じて、今年から「みなとYOKOHAMA演劇祭」として生まれ変わった。
人気の公演であり、チケットが手に入りにくい状況であったのを、ある方からの助力によりチケットを手に入れることができたのである。
クレド・シアターは世界33カ国の演劇フェスティバルで絶賛され、エディンバラ演劇祭で最高の栄誉を受けた作品であるという。さらに、同作品は自国語以外に既に8カ国語の上演が可能であり、今回、9カ国目として日本語で上演された。
演ずるのはニーナ・ディミストローヴァとバジル・バジレフ-ツェークの二人。二人は日本語を話すことは出来ない。しかし、全編日本語の台詞で通した。解りにくい部分はあったが、身体的能力がそれを補ってくれた。
装置は数本の棒を組み合わせたものがひとつだけ。この装置が2つに分かれたり、1つになってりして、ある時は主人公たちが閉じこめられた牢獄となり、ある時は外套そのものになる。その道具の使い方、二人の動きを見ていると、この作品がどれだけ長い間繰り返し上演されてきたものであるかが解る。感心しながら見てしまった。良い物を見せてもらった。彼らは最高級の「道化」であった。
野毛・三軒はしご酒
SAKURA&DAITENは歩くのが好きである。
横浜赤煉瓦倉庫から、横浜ワールドポートターズ、クイーンズスクエア横浜、ランドマークタワーと歩いて、桜木町駅についた。
ここまで来れば、行く先は他ならぬ野毛である。
まずは、野毛小路に入り、福田フライの斜め前であり、「若竹」の隣にある中華料理の「三陽」にゆく。店内は満席の様子。入口にいた女性に、二人であると告げると、ちょうど中で帰る人たちがいて、「片付けますから中へどうぞ」と言われる。しかし、透明ビニールシートで囲まれた外の席に座りたくて、中には入ることを断った。「三陽」の店内は狭い、それよりも外の方が気持ちがいい。我々はある意味この店の特等席だと思っている。ビール大(500円)1本と焼餃子1.5人前(600円)、そしてネギトリ(600円)を頼む。壁には「当店の中央研究所開発部のおすすめメニュー バラ肉のチャーシュー」とか、「楊貴妃も腰を抜かすギャルのアイドル チンチンめん」などと書いてあり、笑わされる。餃子はやはりうまかった。お勘定は二人で1700円であった。
野毛小路を少し歩き、次の店「トモ」を目指す。たくさんのスナックや居酒屋が入っているビルの階段をあがると、すぐ右に居酒屋「トモ」がある。SAKURAが店の中をのぞくと残念ながら満席であった。
仕方なく、野毛小路から通りに出て左折、都橋手前の路を右折して、バー「日の出理容院」の前まで来ると、ちょうど他のお客さんたちが入ってゆくところであった。その後について店に入ると、古い床屋さんをそのまま店にした暗い照明の店内は、なかなかの良い雰囲気であった。若いママさんも静かだが一生懸命な対応が伝わってきて、SAKURAは特に好感をもった様子であった。しかし、本日は団体客の皆さんがバーである「日の出理容院」をチェーン系居酒屋の「個室」と勘違いしているらしく、大声で騒いでいる。残念であった。「一杯飲んだら出ましょうね」というSAKURAの提案通り、スコッチのハイボールを1杯づつを呑んで外に出た。ここはチャージがないので600円×2の1200円であった。
ちょっと残念な気持ちで外に出る。熱燗が飲みたいというSAKURAのリクエストで向かったのは、先ほど入れなかった「トモ」であった。
中をのぞくと、お客さんが帰られたばかりということでカウンター席が空いていた。L字型のカウンター席は8席、奥に座敷席があり、卓が2つ。卓にはすっかりくつろいでしまっているグループ客が二組。さっそく、ママが名刺を手渡してくださる。
まずは、私はホッピー(300円)、SAKURAは「トモ酒」(250円)という日本酒の熱燗である。つまみは、エシャレット(100円)、にがうり醤油漬け(150円)、たこからあげ(350円)をいただく。
店内を見渡すと、ママとマスターの似顔絵が壁に掛けられていた。常連の方が書いてくれたのだろうか? カラオケもある、出来れば誰も歌わないで欲しいと祈るような気持ちである。しかし、誰も歌う様子がない。カラオケを歌う客は歌に夢中でつまみを食べない。だんだんに店は疲弊してゆく。そこへゆくと、この「トモ」さんはつまみに力が入っている。そして安い。とても歌う気にはならない。
また来たい店が一軒ふえた。次は、第3回「横浜を歩き、ブロードウェイを想う」でご一緒した横浜の友人、濱也耕誠氏やYOUSAKU氏ともご一緒したいと思う。
2杯目はマッコリ(300円)をいただいた。つまみはマグロステーキ(350円)、えんがわ煮をおまけにつけてくれた。
他に飲み物はマッコリホッピー(600円)、シークァーサーサワー(400円)等がある。焼酎のボトルキープはビダンで2000円。なんとキープ期間は半年である。
午前2時まで営業している「トモ」であるから、午後11時を過ぎても店はまだお客様でいっぱいであった。やがて、数人の常連客らしき人たちが顔を出した。ママが少し考えている。すぐに「ここ空きますよ」と言ってお勘定をお願いした。合計2,400円という、安い。その安さは聞いてはいたがやはり驚く。「愛」とは自分のいる場所を譲ること。親は子の行く末を思い、「先輩」は「後輩」に自分の席を譲る。居酒屋での身の処し方は、世間と同じである。常に周囲への「愛」を忘れないこと。もちろん、自分も「愛」が欲しいからである。
講演会、芝居、野毛でのはしご酒。中華、バー、居酒屋の3軒のはしご酒の勘定の合計が5300円、一人あたり2650円。野毛恐るべしである。SAKURA & DAITENにとって、十分に満足のできた、充実した週末であった。
野毛 中華料理・ラーメン「三陽」
神奈川県横浜市中区野毛町1-38 電話045-231-0943
定休日 木曜日 営業時間11:30~23:30(日祝は11:30 ~22:30)
野毛 バー「日の出理容院」(ひのでりよういん)
神奈川県横浜市中区宮川町1-8 電話 045-253-3095
定休日 日曜祝日 営業時間20:00~02:00
野毛 一品料理「トモ」
神奈川県横浜市中区野毛町1-45 第二港興産ビル2F
電話045-231-5712
定休日 月曜日 営業時間 15:00~02:00(第3日は18:30~)
実力派俳優になりたい人は→ 演出家守輪咲良のページ「さくらの便り」
すみません。