FC2ブログ

新宿 酒処「十徳」新宿本店

居酒屋探偵DAITENの生活 第122回   2008年8月3日(日) 【地域別】  【時間順】



新宿 酒処「十徳」新宿本店

   新宿十徳本店外観  にほんブログ村 グルメブログへ ←「東京食べ歩き」参加。クリックお願いします!


 今日は新宿村LIVEという西新宿の小さな劇場でシェイクスピアの「真夏の夜の夢」を見た。今回の「愛と偶然の戯れ」公開ゲネプロを始め、過去のシアターΧで上演したマリヴォー作品「奴隷島」「いさかい」「試練」全てに出演してくださった俳優・五森大輔氏の御紹介により、御一緒させていただいた。劇場空間を見てみたいという理由もあったが「シェイクスピア作品」を久しぶり見たかったのである。
 主催団体は演劇倶楽部〈O’s オーズ〉である。
 俳優たちの演技もしっかりしており、台本を今風に書きかえるようなこともせず十分に楽しめる舞台になっていた。しかし、この新宿村LIVEという劇場空間の欠点がすぐに露呈した。劇場の真ん中に柱が2本建っている為、席によってこの柱が邪魔で舞台が見えないことも多いのである。といっても、今回は展開が早く動きのある芝居なのでイライラさせられることも少なかった。
 俳優陣では、ニック・ボトム役のベテラン大門正明さんの客を楽しませるツボを心得た演技が光っていた。また、ハーミア役の吉川玲さんがライサンダーに愛されている時の前半のハーミアと、やがて魔法の力でライサンダーから拒絶され、ヘレナと対立するようになる後半のハーミアをきちんと演じ分けており、実力を感じた。
 たくさんの子役たちが妖精役として出演している為かダンスシーンが多かった。狭い劇場でこれだけ動いてみせるにはずいぶんと練習を重ねたに違いない。実に健気であった。
 最初と最後に歌とダンスが入るのはミュージカル風のよくある構成である。それは良い。しかし、パックの台詞の前にソロの歌が入るのではなく、そのまま有名なパックの台詞(口上)をじっくりと聞かせて終わって欲しかった。心残りはそれだけである。

「我ら役者は影法師(かげぼうし)、皆様方のお目がもし、お気に召さずばただ夢を、見たと思ってお許しを。拙い芝居ではありますが 夢に過ぎないものですが 皆様方が大目に見、お咎めなくば身の励み。私パックは正直者、幸いにして皆様のお叱りなくば私も励みますゆえ、皆様も見ていてやってくださいまし。それでは、おやすみなさいまし。皆様、お手を願います、パックがお礼を申します。」(W・シェイクスピア「夏の夜の夢」/小田島雄志訳より)

 役者であるなら読んでいるだけで涙が出てくるような台詞ではないだろうか。 

 ※   ※   ※

 今回はなにやら劇評めいたことを書いてしまった。ここから居酒屋探偵としての本題にら入る。
 新宿村LIVEは新宿駅西口から15分ほど歩いた場所にある。SAKURAと二人、新宿駅近くの小田急ハルクの前まで来て、そこにあるカメラ店でデジタルカメラのプリントを依頼、出来上がるまで時間がある為、近くの居酒屋に入ることにした。
 新宿といえば十数年前から通っている銘酒居酒屋がある。酒処「十徳」新宿本店は小田急ハルクのビルの裏側の一角、地下1階と2階にある。他にも新宿に十徳二葉店、とく一、焼酎バー徳利、淀橋再生市場、十徳渋谷店などの系列店があるが新宿本店と渋谷店が特にSAKURAも私の好きな店である。

新宿十徳本店階段

 銘酒居酒屋らしく、丸い杉玉(酒林)が天井からぶら下げられた階段を地下に降りてゆく、扉を開いて、そのまままっすぐ行けば地下一階、左手の階段を降りれば地下二階になる。
 今日は地下一階が空いていた。右手の調理場や配膳スペースを見ながら通路を進むと、奥が広くなっている。左手には20人近くが座れる長い座敷席が見え、中央の広い空間にテーブル席が7つほどあり、入ってすぐ右手には壁に向かって6席のカウンター席がある。
 客の入りは半分程度、入ってすぐ右手の4人掛テーブルに座ることが出来た。まずは、キリンクラシックラガー中瓶(520 円)で喉を潤す。

 マグロぶつ切り刺身(380円)、島らっきょ岩塩漬(550円)、しまホッケ一夜干(500円)と一期に注文をする。私としてはつまみの注文が早い。早く酒の選択に入りたいからであった。
 ビールを少し口にして、すぐに、高知の酒「美丈夫吟醸(500円)」をお願いする。
 黒い升に大きめのグラスが入ったものが目の前に置かれ、よく冷やした一升瓶から酒が注がれる。かなり多く升にこぼしてくれる。この入れ物が二重になっていて、内側の入れ物に注いで外側の入れ物にわざとこぼして提供するという酒類の出し方は世界でも「酒」だけではないだろうか? 外国の人は不思議がるに違いない。

 3月に川崎の地酒専門店「地酒や たけくま酒店」さんで、高知の濱乃鶴酒造の酒「美丈夫 吟醸 うすにごり(微発砲)」を購入して飲んだ時のことを書いた。今回は「美丈夫」のうすにごりではない吟醸酒である。「美丈夫」とは幕末の土佐の英雄である坂本竜馬をイメージしてつけられた名前だそうである。今日も「美丈夫」には感動させられた。
 
 SAKURAは山口県の旭酒造の「獺祭(だっさい) 純米吟醸(600円)」を飲む。これはSAKURAがいつも選ぶ酒である。いつもながらうまい酒である。とは「かわうそ」である。かわうその祭りとは野趣を感じさせる名前である。かわうそは捕った魚を川岸にならべる習性があるそうで、その様子が祭をしているようであり、このことから詩や文をつくる時多くの参考資料等を広げちらす様子を「獺祭」と呼び、そこからこの名前がつけられたそうである。正岡子規は自らを「獺祭書屋主人」と号したという。

 私の2杯目は和歌山県の㈱九重雑賀の「雑賀(さいか)吟醸本生無濾過(500 円)」である。ここで、つぶ貝柳川(580円)も追加した。「雑賀」は、知り合いの舞台照明関連の社長さんの名字と読み方は違うが文字が同じであった為、手にとったのが始まりであった。青や緑の菱形がちりばめられた白いラベルに大きく「雑賀」と書かれている。その潔いラベルにも惹かれた。飲んでみると、どんな食べ物にも合う酒で、実に飽きが来ないのである。1杯ずつ銘柄を変えながら飲むのではなく、一升瓶を買い込み、数人で食事をしながら飲むのに最適な酒ではないだろうか。

 酒を飲むと最後に口をさっぱりとさせたくなる。キリンクラシックラガー中瓶(520円)をもう1本もらい、これを飲んで締めとした。
 午後6時40分から午後8時10分の1時間半の滞在。お勘定は二人で5,610円であった。他の日本酒を飲む居酒屋と比べて酒も安く、こだわりや蘊蓄を長々と聞かされることもないので、酒入門の店として最適である思う。酒について何も解らないうちに、色々と聞かされても何が何だか解らない。色々と試してみて、自分の舌と身体にあう酒に出会ってから学問をすれば良いと思うのである。
 良い酒場には物語がある。良い酒にも物語がある。ゆえに、酒について語り始めると長くなる。今回も長文になってしまった。最後まで読んでいただいた方に感謝したい。


新宿 酒処「十徳」新宿本店
住所 東京都新宿区西新宿1-5-12
電話 03-3342-0339 03-5325-1779
定休日 無休(年末年始を除く)
営業時間 月~木16:00~24:00 金・土・祝前 16:00~04:00
交通 JR新宿駅下車徒歩2分。東京メトロ丸の内線新宿駅下車徒歩2分。
公式サイト http://www.juttoku.com/
他にも新宿に十徳二葉店、とく一、焼酎バー徳利、淀橋再生市場、十徳渋谷店などの系列店がある。詳しくは公式サイトへ。


ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。

「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら


こちらクリックお願いします→ FC2 Blog Ranking

こちらクリックお願いします→ 人気blogランキングへ

実力派俳優になりたい人は→ 演出家守輪咲良のページ「さくらの便り」

新宿

Comments 0