五反田 焼鳥「竹の子」
居酒屋探偵DAITENの生活 第134回 2008年8月29日(金) 【地域別】 【時間順】
2010年、立ち退きの為閉店。
五反田 焼鳥「竹の子」
←「東京食べ歩き」参加中。
用事を済ませたSAKURAと五反田で待ち合わせ。小綺麗な立ち食い寿司の店で軽く食べてから、もう少し飲もうかということになり、大崎広小路界隈をめざして歩き始めた。しかし、立ち食い寿司の入っているビルの真ん中の通路を裏側に抜け、そこにある東急池上線駅ガード下の小さな飲み屋街を見学することにした。そこには、以前、吉田類の酒場放浪記で紹介された昭和41年創業の焼鳥屋「五幸」がある。「五幸」には以前にASIMO君と入ったことがあった。あらかた席も埋まっており、わざわざ詰めて席をあけてもらうのも悪いので、当初の目的通り大崎広小路方面に歩き始めた。しかし、その場を離れてから振り返ってしまった。前々から気になっていた店を思いだしたのである。その店とは「五幸」の建物と電信柱の間の隙間のような場所に建つ、透明の厚手のビニールシートに囲まれた、移動しない屋台のような店である。店名らしきものもない。いつもはお客さんで一杯の場合が多いが今日は誰も座っていなかった。
SAKURAと話し合い、この名前も解らない店に思い切って入ってみようということになった。
L字の狭いカウンターがある。電信柱に邪魔されて、1人分は座れない。電信柱の左側に6人ほど、右側に4人ほど座れるように折りたたみ式の簡単な椅子が置かれている。真夏に前を通った時、外側のビニールが全て締め切ってあった。「もしかして、屋台なのに冷房があるのかなあ」と思ったことを思い出す。今日はビニールは半分ほど開けられている。
芝居のスタッフのような黒いTシャツを着たマスターが1人中にいる。私はレモンサワー(450円)、SAKURAは瓶ビール中瓶(500円)にする。ビールはスーパードライである。
SAKURAが蚊に刺されたという。するとマスターが「刺された? 足元に蚊取り線香が二つあるんだけど。かゆみ止めありますよ。」と言って、親切にもかゆみ止めを貸してくれた。SAKURAはチューブから少しもらって塗っていた。
店の壁に絵が飾ってあることを気付いたSAKURAが、マスターにそのことを聞くと、ご本人が描いた絵とのこと。油絵を二十年以上描いているそうで、過去に二回、個展も開いたこともあるという。焼き鳥店主にして芸術家であったのである。SAKURAがマスターのことをロック歌手の忌野清志郎さんに似ているという。そういわれて見ればそうである。伺った実年齢よりもずっと若く見えるところも同じである。
ここで、やっと焼き物をお願いした。もも肉(150円)とナンコツ(150円)を2本ずつお願いする。
マスターに「このお店は長いのですか?」と聞くと、「もう26年ですね」と言う。このガード下界隈では、2番目に古いそうである。ここでお店の名前を初めて聞く。何しろ、店の外側のどこにも店名が見あたらないのであるから聞くしかないのである。店名は焼鳥「竹の子」であった。よく見ると左奥の壁に「竹の子」という看板が見えた。
店内には油まみれの小さな三度笠やセロテープの台がある。楊枝入れも年期が入っている。
目の前の壁に小さく「おしぼりでカウンターをふかないでください。」と書いてある。テーブルの上には小さな陶器製のコップに台拭きが入っているので、そちらで拭くようにということであろう。
しばらくして、男性客が1人、また1人、そして、女性客が1人という風に常連らしき皆さんが入ってきた。男性客がホッピーを注文している。私もホッピーをお願いした。ホッピー瓶はリターナル瓶ではないコンビニなどで売っているタイプである。ホッピーのみで250円と書いてある。ホッピーに使う焼酎は「三楽」であった。瓶が別になって、ホッピージョッキに焼酎が入って出てくる。計算すると焼酎が350円であった。
ホッピージョッキに焼酎の氷入りをも受け取り、すこしたってから空いたレモンサワーのグラスに焼酎を待避させた。その冷えたジョッキに焼酎を少し入れ、ホッピーを足してちょっとずつ飲むのである。そうまでして、氷無しのホッピーが飲みたいのだから我ながら馬鹿である。
しかし、しばらくすると、生ビール用のジョッキが冷えていることを発見する。常連になれば冷えたジョッキでホッピーを飲ませてもらえるかもしれない等と勝手なことを思う。
飲み物の中に発泡酒(400円)というメニューもあった。銘柄は麒麟の「ゼロ」であった。 プリン体やカロリーを気にする方々の為であろうか。
焼鳥「竹の子」は、目黒川を渡る東急池上線の鉄橋の脇にある。目黒川の川風が時折吹いてくる。それがとても心地よいのである。終点である五反田に到着した電車が減速しながら橋を渡る音。出発した電車の加速する音。その全てが心地よいのである。
池上線の五反田の次の駅、大崎広小路駅の近くのガード下の店で感じる音や振動とは微妙に違うのである。鉄道ファンの皆さんにとって、「竹の子」はどこよりも楽しい店ではないかと思われる。
並びの常連の女性のお客さんがSAKURAに「女性だけね」と言って、「力饅頭」をくれた。ありがたいことである。帰り掛け、その女性客にお饅頭のお礼を申し上げると、「女性だけでごめんなさいね」と言ってくださる。私が「いいえ、お菓子は食べちゃいけない身重な体なもんですから・・・」と言い、続いてSAKURAが「その分、お酒のんじゃってますけど・・・」と言う。
このようなやり取りが楽しいのである。良い店である。
7時20分から8時まで40分の滞在。お勘定は二人で2,500円であった。
この後、大崎広小路駅の近くの「あおい書店」に入った。明日のあることで使う「歌本」を買う為である。すると、程なく外は雷雨となってしまった。本当に夕方から雷雨となる日が続いている。足止めは30分以上であった。
焼き鳥「竹の子」のさきほどの常連の皆さんが激しい雷雨で濡れてしまっているのではないだろうかと心配になる。
五反田 「竹の子」
住所 東京都品川区西五反田1-8-2
電話 03-3490-2728
定休日 日曜祝日休
営業時間 月曜から金曜17:00~23:00 土曜日 17:00~21:00
交通 JR五反田駅下車徒歩2分・東急池上線五反田駅下車徒歩3分。東急池上線ガード下・目黒川沿い。
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
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2010年、立ち退きの為閉店。
五反田 焼鳥「竹の子」


用事を済ませたSAKURAと五反田で待ち合わせ。小綺麗な立ち食い寿司の店で軽く食べてから、もう少し飲もうかということになり、大崎広小路界隈をめざして歩き始めた。しかし、立ち食い寿司の入っているビルの真ん中の通路を裏側に抜け、そこにある東急池上線駅ガード下の小さな飲み屋街を見学することにした。そこには、以前、吉田類の酒場放浪記で紹介された昭和41年創業の焼鳥屋「五幸」がある。「五幸」には以前にASIMO君と入ったことがあった。あらかた席も埋まっており、わざわざ詰めて席をあけてもらうのも悪いので、当初の目的通り大崎広小路方面に歩き始めた。しかし、その場を離れてから振り返ってしまった。前々から気になっていた店を思いだしたのである。その店とは「五幸」の建物と電信柱の間の隙間のような場所に建つ、透明の厚手のビニールシートに囲まれた、移動しない屋台のような店である。店名らしきものもない。いつもはお客さんで一杯の場合が多いが今日は誰も座っていなかった。
SAKURAと話し合い、この名前も解らない店に思い切って入ってみようということになった。
L字の狭いカウンターがある。電信柱に邪魔されて、1人分は座れない。電信柱の左側に6人ほど、右側に4人ほど座れるように折りたたみ式の簡単な椅子が置かれている。真夏に前を通った時、外側のビニールが全て締め切ってあった。「もしかして、屋台なのに冷房があるのかなあ」と思ったことを思い出す。今日はビニールは半分ほど開けられている。
芝居のスタッフのような黒いTシャツを着たマスターが1人中にいる。私はレモンサワー(450円)、SAKURAは瓶ビール中瓶(500円)にする。ビールはスーパードライである。
SAKURAが蚊に刺されたという。するとマスターが「刺された? 足元に蚊取り線香が二つあるんだけど。かゆみ止めありますよ。」と言って、親切にもかゆみ止めを貸してくれた。SAKURAはチューブから少しもらって塗っていた。
店の壁に絵が飾ってあることを気付いたSAKURAが、マスターにそのことを聞くと、ご本人が描いた絵とのこと。油絵を二十年以上描いているそうで、過去に二回、個展も開いたこともあるという。焼き鳥店主にして芸術家であったのである。SAKURAがマスターのことをロック歌手の忌野清志郎さんに似ているという。そういわれて見ればそうである。伺った実年齢よりもずっと若く見えるところも同じである。
ここで、やっと焼き物をお願いした。もも肉(150円)とナンコツ(150円)を2本ずつお願いする。
マスターに「このお店は長いのですか?」と聞くと、「もう26年ですね」と言う。このガード下界隈では、2番目に古いそうである。ここでお店の名前を初めて聞く。何しろ、店の外側のどこにも店名が見あたらないのであるから聞くしかないのである。店名は焼鳥「竹の子」であった。よく見ると左奥の壁に「竹の子」という看板が見えた。
店内には油まみれの小さな三度笠やセロテープの台がある。楊枝入れも年期が入っている。
目の前の壁に小さく「おしぼりでカウンターをふかないでください。」と書いてある。テーブルの上には小さな陶器製のコップに台拭きが入っているので、そちらで拭くようにということであろう。
しばらくして、男性客が1人、また1人、そして、女性客が1人という風に常連らしき皆さんが入ってきた。男性客がホッピーを注文している。私もホッピーをお願いした。ホッピー瓶はリターナル瓶ではないコンビニなどで売っているタイプである。ホッピーのみで250円と書いてある。ホッピーに使う焼酎は「三楽」であった。瓶が別になって、ホッピージョッキに焼酎が入って出てくる。計算すると焼酎が350円であった。
ホッピージョッキに焼酎の氷入りをも受け取り、すこしたってから空いたレモンサワーのグラスに焼酎を待避させた。その冷えたジョッキに焼酎を少し入れ、ホッピーを足してちょっとずつ飲むのである。そうまでして、氷無しのホッピーが飲みたいのだから我ながら馬鹿である。
しかし、しばらくすると、生ビール用のジョッキが冷えていることを発見する。常連になれば冷えたジョッキでホッピーを飲ませてもらえるかもしれない等と勝手なことを思う。
飲み物の中に発泡酒(400円)というメニューもあった。銘柄は麒麟の「ゼロ」であった。 プリン体やカロリーを気にする方々の為であろうか。
焼鳥「竹の子」は、目黒川を渡る東急池上線の鉄橋の脇にある。目黒川の川風が時折吹いてくる。それがとても心地よいのである。終点である五反田に到着した電車が減速しながら橋を渡る音。出発した電車の加速する音。その全てが心地よいのである。
池上線の五反田の次の駅、大崎広小路駅の近くのガード下の店で感じる音や振動とは微妙に違うのである。鉄道ファンの皆さんにとって、「竹の子」はどこよりも楽しい店ではないかと思われる。
並びの常連の女性のお客さんがSAKURAに「女性だけね」と言って、「力饅頭」をくれた。ありがたいことである。帰り掛け、その女性客にお饅頭のお礼を申し上げると、「女性だけでごめんなさいね」と言ってくださる。私が「いいえ、お菓子は食べちゃいけない身重な体なもんですから・・・」と言い、続いてSAKURAが「その分、お酒のんじゃってますけど・・・」と言う。
このようなやり取りが楽しいのである。良い店である。
7時20分から8時まで40分の滞在。お勘定は二人で2,500円であった。
この後、大崎広小路駅の近くの「あおい書店」に入った。明日のあることで使う「歌本」を買う為である。すると、程なく外は雷雨となってしまった。本当に夕方から雷雨となる日が続いている。足止めは30分以上であった。
焼き鳥「竹の子」のさきほどの常連の皆さんが激しい雷雨で濡れてしまっているのではないだろうかと心配になる。
五反田 「竹の子」
住所 東京都品川区西五反田1-8-2
電話 03-3490-2728
定休日 日曜祝日休
営業時間 月曜から金曜17:00~23:00 土曜日 17:00~21:00
交通 JR五反田駅下車徒歩2分・東急池上線五反田駅下車徒歩3分。東急池上線ガード下・目黒川沿い。
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
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ありがとうございます