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武蔵小杉 酒場「玉や」第2回

居酒屋探偵DAITENの生活 第136回  2008年8月30日(土)  【地域別】  【時間順】



武蔵小杉 酒場「玉や」 第2回

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 新丸子のやきとり「けんもつ屋」第135回)を出ると外は雷雨であった。もともと傘が嫌いなOZAKI先生は今日も傘を持ってきていない。仕方なく、OZAKI先生と二人で小さな傘に入りながら次の店を探して歩き始めた。
 「けんもつ屋」の前の通りを武蔵小杉方面に歩くと、すぐ左手は東横線の高架になる。高架脇の道の先にはJR武蔵小杉駅の灯りが見えた。東横線の新丸子と武蔵小杉の間は本当に近いのである。
 濡れながら路地を右に曲がると、右手に「文福パート2店」がある。しかし、土曜日は休みである。さらに先に進むと左手に「文福本店」がある。中を覗く。1階の半分以上が空席であった。OZAKI先生が入ってゆく。しかし、すぐに戻ってきてしまった。
 「予約で一杯だそうです。」と言う。
 「有名になりすぎて、予約優先の店になってしまったんだねえ。もう本当の意味の地元の皆さんの店じゃないねえ。」と私。
 豪雨に濡れながらやっとたどり着いた客を予約優先で入れずに返してしまう。フランス料理店でもなければ、高級割烹料理店でもない。しかし、今や思いついてブラリと寄る「大衆酒場」ではないようである。名を売るということは、それまでの過去を捨て、何かを失うことでもある。

 それから、JR武蔵小杉駅の橋上改札の前を通り、東横線への連絡通路の脇の階段を降りて南口側に出る。雨足はますます激しくなってきた。OZAKI先生が「傘を買ってきますので、ここで待っていてください。」と言う。私の傘を渡して、10分ほど待っていると、OZAKI先生がビニールの雨合羽を着て戻ってきた。
 「傘は全部売り切れで、この雨合羽が3つだけ残ってたんです。」と言う。
 ふたたび、激しい雨の中、次の店を探して彷徨う。「文福南口店」まで行くが、中は満席のようで、中に入って聞く気力もない。仕方なく、東横線の武蔵小杉駅南口を出たすぐ前にある中華料理店に入ることにした。餃子でビールを飲みながら雨宿りである。途中、OZAKI先生が濡れたTシャツの替わりを買いに出る。強い冷房の為、濡れた身体の体温が奪われてゆく。雨あしがすっかり弱くなったところで、時間は午後9時近くなっていた。お勘定をして外に出る。

 OZAKI先生は、すっかり身体が冷え切ってしまったと言う。熱燗でも呑もうと思い、すぐ近くの「玉や」に向かった。武蔵小杉駅南口からすぐの場所に酒場「玉や」はある。「玉や」の前回の記事は2007年5月11日第22回である。

 店を入って左側には四人と二人のテーブル席がある。右側にある8人ほど座れるカウンターは、テーブル席と同じ高さである。一度、左側のテーブルに座ったが冷房の風が身体に当たるのでカウンターに移動させてもらうことにした。火の気があるのでそちらは温かい。
 本来は「玉や」うなぎの店である。しかし、まずは、メニューの中から湯豆腐(600円)をお願いする。夏である。当然、湯豆腐を頼む客はいない。
 「本当は無いけど、作りますよ」とマスターが笑って言った。
日本酒の熱燗(600円)もいただいた。熱燗が身体にしみて、体温が上がってゆくのが解る。やがて湯豆腐が出来てきた。作った小鍋のまま出てくるので暖かさがさらに高まる。
 「熱いですよ。食べて熱いと言ったら罰金100円ですよ。」とマスターがギャグを言う。
 「八月の湯豆腐・・・いいですね」とOZAKI先生。
 「〈八月の湯豆腐〉という短編小説が書けそうだね。」と私。

 テレビのチャンネルはNHKである。懐かしい歌ばかりの歌番組をやっている。常連の皆さん数人と盛り上がる。
 やがて、お勘定をして帰るお客さんがいた。雨はまだ降っている。お店の方が置き傘をお客さんに渡している。
 ガツの味噌(380円)をいただく。しばらくして、アスパラベーコン巻き2本が出てきた。「頼んでいませんけど・・・」と言うと、サービスであるという。実にありがたい。
 森光子さんがテレビに出ていた。SAPメンバーの俳優西村雄正君はここ数年、森光子さん主演の舞台「放浪記」に出演している。森光子さんの「でんぐりがえし」「万歳」に変わった、あの有名なシーンにも彼は出ているのだ。森光子さんのように、自分の好きな道でいつまでも働けることは本当に幸せだと思う。

 雷雨の為に来店客も少なく、静かな空気が流れている。午後10時を過ぎたので帰ることにする。傘の無いOZAKI先生にお店の方が傘を差しだしてくれる。しかし、傘が苦手なOZAKI先生は丁重にそれを断って、雨合羽を着ていた。有名店に断られ、武蔵小杉の町を彷徨い、たどり着いたのは優しい空気の流れる店であった。

 午後9時から10時15分までの1時間15分の滞在。お勘定は二人で2,360円であった。

武蔵小杉 酒場「玉や」
住所 川崎市中原区小杉町3-430
電話 044-722-5680
定休日 日曜祝日
営業時間17:00~23:00
東急東横線武蔵小杉駅南口徒歩1分



ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。

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