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大崎広小路 関西即席一品料理「たこ安」

居酒屋探偵DAITENの生活 第152回  2008年10月21日(火)  【地域別】  【時間順】



大崎広小路 関西即席一品料理「多幸安」


   大崎広小路たこ安暖簾

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 池袋である演出家の方と打ち合わせを済ませたSAKURAは、夕方の5時前から池袋西口居酒屋「ふくろ」で「ちょいと一休み」をしたそうである。同店へは東京芸術劇場での観劇や池袋での演劇関係の会合などの帰りに寄ることが多い。
 すでに軽く呑んでいるSAKURAと東急池上線の大崎広小路で待ち合わせた。いつもならば東急池上線のガード下の店に行くのであるが、今日はいつもと違う店に行くことにした。
 大崎広小路駅改札を出ると目の前は山手通りである。左手に歩いてゆき、山手通りと中原街道が交わる大きな交差点に出る。左手前はバレエ公演で有名な「ゆうぽうとホール」。このホールが入っている「ゆうぽうとビル」の前の横断歩道を五反田方面に渡り、さらに中原街道をまたいで横断歩道を渡ると、すぐ目の前に「タキゲンビル」というビルがある。
 今日の目的の店は、この「タキゲンビル」の二階にある老舗居酒屋、関西即席一品料理「たこ安」である。即席一品料理という言葉が面白い。
 
 まず、左側に階段がある。壁を挟んで右側には別にエスカレーターがある。このエスカレーターを上がりきると、目の前に「司牡丹」の大樽が五個積んであった。その前には「お祝い」と書かれた花が飾ってある。
 左に曲がると、緑色の暖簾に「たこ安」と書かれた入口がある。町中の居酒屋の入口が、ビルのエスカレーターを上がったあまり広くない踊り場に現れるのである。上がって右にもう1軒レストランらしき店がある。しかし、このエスカレーターはほとんど「たこ安」専用のようである。まさに、エスカレーター付居酒屋だ。(下写真)

大崎広小路たこ安エスカレーター

 緑の暖簾をくぐって中に入ると、右手がカウンター席、その左にテーブル席がある。テーブル席の奥は座敷であろうか。左手のお勘定場の先の椅子に「大女将」らしき方が座っていた。我々が入ってくると、すぐに立ち上がって、自分の背後の方を促す。行ってみると、少し広くなっており、窓際に6人掛けのテーブルが3つあって、全て客で埋まっている。手前に4人掛けのテーブルが一つあり、そこが空いていた。そのテーブルの座席に荷物がたくさん乗っている。すぐに先客の皆さんが荷物をどかしてくれた。

 ややあって、「大女将」が樽酒入りのグラスを入れた真新しい升を両手に持って登場。事前に何も知らなかったが、なんと創業60周年記念の無料サービスであると言う。さらに、この升は記念の升なのでお持ち帰りくださいと、小さな袋まで持ってきてくれた。
 升には「創業60周年 たこ安 平成20年10月吉日」と書かれている。(下写真)

大崎広小路たこ安記念升

 1949年(昭和24年)から現在の場所に店を出して、その前は銀座にいて、さらにその前は大阪で商売をしていたという。大女将は昭和24年の創業当時から店に立っているとのこと。大阪から4人で出てきた家族が、ひ孫5人を含め34人に増えたそうである。誠にめでたく嬉しい話である。お酒をいただいたからではない。升をいただいたからではない。今時の重苦しい世相の中、こういう小さな慶びに立ち会うことが出来たことが嬉しいのである。

 天井近くの高い所に、開店10周年の時にお客様たちから贈られた記念品が掲げられている。今から50年前に贈られたものであり、飴色になった木枠の中に20人ほどの方の在所・社名の下に名字が書いてある。中には大崎駅前の「明電舎」の文字もあった。並びには「博愛 孫文」と書かれた書がある。誰かお客さんが持ち込んだものに違いない。まさか孫文の書の本物がこんな場所に掲げてあるとは思えないが、実に面白い。

 お通しは「むかご」であった。実に珍しい。辞書によると、むかご(零余子)とは植物の器官のひとつだそうで、栄養繁殖器官であるという。葉の腋や花序に形成され、植物体から離れ、地面に落ちるとやがて発根し新たな植物体となる。
 食材としての「むかご」は一般にはヤマノイモの「むかご」だそうである。なかなかに美味しく、滋養のありそうな食物である。地面に落ちてやがて根をはるいうのも縁起がよい。

 つまみは、新鮮生がき(550円)、丹波黒枝豆(380円)をお願いする。生かきはかきが好物のSAKURAに譲った。ニューヨーク時代、SAKURAはグランドセントラルステーションの構内にあったオイスターバーで生かきを食べるのが楽しみであったという。
 丹波黒枝豆は香ばしくしっかりとした味わいである。そらに、SAKURAはグラスワイン(450円)、私はレモンサワー(400円)を頼んだ。分厚いレモンの輪切りが入ったジョッキ入りである。

 SAKURAは池袋の「ふくろ」での瓶ビールがスーパードライであったことが残念でならないらしい。他のビールを頼もうとずいぶん迷った挙げ句、グラスワインにしたのである。
 レモンサワーの後、私は梅お湯割り(400円)にする。焼酎のお湯割りである。それに合うツマミとして、じゃこ天(380円)を選んだ。なかなか美味しいじゃこ天である。
 全体にハズレというものが無い。平日の夜らしくサラリーマンを中心とした客筋も良い。酔って騒ぐような「子供」はどこにもいない。

 1時間ほどの時が過ぎて立ち上がった。大女将に「ごちそうさまでした」と言う。マスターらしき人がカウンターの中から笑顔で送りだしてくれる。お勘定場で勘定を済ませている間に大女将の姿が消えた。ちょっと挨拶をしようと思って探す。暖簾をくぐって外に出る。帰りは階段で降りるのである。手前の階段の方に行きかけた時、背後で大女将の声がした。「こちらからどうぞ」とエスカレーターを示す。なんと、我々の為にエスカレーターの昇り降りを逆に切り替えて待っていてくれたのである。エスカレーターを降りる。何度も振り返って、頭を下げる。エスカレーターを降り切ったその刹那、上で頭を下げている大女将に「お元気で!」と声を掛けた。

 横断歩道を渡りながら目頭が熱くなった。親切にしてくれたことにだけではない。私の母親と変わらない年齢の人が60年間も同じ場所で働いてきたという事実に、心が強く動かされたのである。「居酒屋探偵」をやっていて本当に良かったと思う瞬間であった。大女将の健康を祈るばかりである。

 午後6時45分から7時45分までの1時間の滞在。お勘定は2人で3,560円であった。

大崎広小路たこ安看板

大崎広小路 関西即席一品料理「多幸安」(たこやす)
(五反田)
住所 東京都品川区西五反田1-24-6 タキゲンビル2F
電話 03-3491-2902
定休日 日曜・祝日休 営業時間 平日17:00~23:00
交通 東急池上線大崎広小路駅下車徒歩1分・JR山手線五反田駅下車徒歩5分


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