王子「山田屋酒場」十条「和田屋」「斉藤酒場」
居酒屋探偵DAITENの生活 第15回 2007年3月17日(土) 【地域別】 【池上線】 【時間順】 【がっかり集】
王子・十条 ゴールデントライアングル突入
~ 王子「山田屋酒場」 十条「和田屋」と「斉藤酒場」 ~
まずは「王子・山田屋酒場」
今日はASIMO君と東京ドームへ向かった。もちろん、野球を見る為である。
しかし、試合の内容はともかく、酒飲みの二人が東京ドームの観客席に座っていれば、当然生ビールのはず。しかし、二人とも何故かお茶で我慢。
山手線池袋から田端を底辺として、埼京線の池袋から赤羽を左辺、京浜東北線の田端から赤羽を右辺とする三角形、東京城北地区の「居酒屋ゴールデントライアングル」への突入に心を奪われ、2人とも実は野球どころではない。

試合終了と同時に、東京メトロ南北線の後楽園駅から地下鉄に乗り、王子駅を目指す。
午後4時、王子駅に到着すると、まっすぐ向かったのは、王子の名居酒屋「山田屋酒場」である。開店5分後であるのに、すでに十数名のお客様が座っている。口開けに並んでいたのかもしれない。
さっそく、瓶ビール(400円)を1本お願いする。キリンラガーである。スーパードライのような代物が出てこないのがいい。すぐにぐいぐいと飲み干す。ドームでの我慢の結果である。うまい。
まぐろ刺身(230円)、いもサラダ(230円)、かつお刺身(360円)を頼む。高い天井のまるで小さなホールのような広い店内では、客も大声で元気に注文しなければならない。
まぐろ刺身といもサラダはすぐにやってきた。少しあって、「かつおの方、かつお!」との声。元気に手をあげて「ハイ」と答え、受け取る。
周囲を眺め、「この店、伝票がありませんよ」とASIMO君が言う。まるで、伊丹十三監督の映画「マルサの女」に出てくる査察官のようである。この店には伝票が無いから、何番さんに何々の注文が入るという考え方がない。頼まれた店の人はとりあえず、大声で奥に品物の名前を叫ぶ。
品物は作られると、調理場との境の台に乗せられ、それを受け取った人は、だいたいの記憶で、そのつまみが頼まれたテーブルにあたりをつけ、やってくると、「○○の方!」と大声で言う。すると客は手をあげ、「こっち」とか「はい」とか答えるのだ。
自分の頼んだつまみに対して責任をもって関わる気のない人、話に夢中になってしまう人はこの店には向かない。あなたのつまみは他の人に食べられてしまうかもしれない。
名物料理の半熟卵(230円)を頼む。これは半熟卵だけではなく、汁をかけた盛りそばが一緒についてくる。これがうまいのである。ハムかつ(150円)も頼む、ハムかつはなんと4枚もついてくる、これで150円はうそのように安い。
ここでは飲み物について、ちょっとした注意が必要である。この店にお茶割りはない。「緑茶割」を頼むと、氷の入ったサワーグラス、いいちこグラス1杯(230円)、250㎜入りの緑茶の缶(160円)がやってくる。ここでちょっとしたパフォーマンスがある。小さいグラスに入った焼酎を親父さんが「エイヤッ!」とばかりに一期にサワーグラスに入れてくれる。見事にこぼさない。これで普通の店の2杯の緑茶割をつくって飲める。緑茶割2杯で390円という計算になる、安い。しかも焼酎は本格焼酎である「いいちこ」である。ウーロンハイなども同様である。私は自家製うめ酒(230円)を頼んだ。
さらに、とり貝(260円)、めざし(130円)を頼む。とり貝は2切れであるが、めざしは4尾ついてくる。うめ干し(120円)も頼む。
お爺さん、親父さん、息子さんと三代で切り盛りする店という。ちょっと強面の親父さんが追加の焼酎を一気に入れる時、客が「今日はやけ酒だあ」と一言。すると親父さんが「うちは焼いた酒はねえよ、燗した酒だけだ」と言う。「うまいこと言うねえ」と和む。何か不満なことがあったらしく暗かった隣の酒席が一期に明るくなった。粋で洒落が効いている。
その言葉に促されるように、私は酒が呑みたくなり、3杯目に純米酒「鶴齢」(360円)を頼んでしまった。
午後5時25分に腰を上げる。約1時間20分の滞在であった。お勘定をお願いすると、親父さんが来て、皿の数を数え、大きなソロバンで計算をはじめた。2人で3940円。これだけ楽しめて一人2000円にならない。安い。外に出てから、ASIMO君が「やっぱり、皿数えてましたね・・・だから、途中で皿を片付けなかったんですね。もう少しでお皿下げてくださいとか言ってしまうところでしたよ」と言う。
「山田屋酒場」では客も店の人も元気である。しみったれてはいられないのだ。まだ日の高いうちであったことも手伝って、明るく気分の良い一時を過ごすことが出来た。
「山田屋酒場」を出て、JR京浜東北線の王子駅に向かう途中、大衆酒場「福一」の前に出る。居酒屋系有名サイトである「居酒屋礼賛」さんで情報をいただいていたので、この店の「特製チューハイ」(320円)がニホンシトロンの強い炭酸を使っていることも、私はすでに知っていた。
篠原演芸場~「十条・和田屋」発見!
王子駅から京浜東北線に乗り、隣の東十条駅に着く。南口に降りると、改札を出て右へ。少し広い通りを歩くと、左右にある気になる酒場の看板や赤提灯からの誘惑を振り切り、一路西へ。中十条二丁目という信号にぶつかると、通りは少し狭くなり、そこから「十条中央通り商店街(演芸場通り商店街)」が始まる。まっすぐに埼京線の十条駅方面に歩き始めた。ASIMO君も驚いていたが、実は東十条と十条の間は500メートルしか離れていない。

十条中央通り商店街の中程の角に有名な大衆演劇の劇場「篠原演芸場」がある。3月の公演劇団は「劇団華月」(座長華月照師)であった。時間のある時、是非芝居を見に来たいとASIMO君と意見が一致した。
篠原演芸場については「東京大衆演劇劇場協会」のサイトを見ていただきたい。このサイトで浅草・木馬館大衆劇場、川崎・大島劇場、立川・立川大衆劇場、十条・篠原演芸場の情報を知ることができる。
やがて、ほどなく埼京線の踏切を発見。踏切の手前右角に、ブログ「エロ姫の飲んだくれ」で紹介されていた立ち飲み「龍馬」があった。その奥に「和田屋」という気になる名前も見えた。
十条駅近くの超有名居酒屋「斉藤酒場」に向かうが、予想していた通り店内は満席、そこで、2番目の店として調べておいた十条駅前のモツ焼き店「かの字屋」へ行く。ところがこちらも満席。仕方なく、十条中央通り商店街へ戻り、「龍馬」の角を左に曲がり、さきほど発見したモツ焼き「和田屋」に入る。
店内はほぼ満席、一番奥のテーブルに2人ほど座るスペースをASIMO君が発見。まずはホッピー(390円)。つきだしはエシャレット。煮こごり(350円)、カシラ、ハツ、タン、(各100円)を2本づつ頼む。
この店には卵とじが3種類ある。サヤエンドウ、みょうが、三つ葉である。ASIMO君の選択で今回は三つ葉にした。さらに、ジャガベーコンバター(470円)も頼んだ。やがてやってきたジャガベーコンバターのボリュームに驚いていると、すぐ隣の席の常連のお二人が頼んだ、まぐろ刺身(650円)が登場。我々はさらに驚かされた。焼き魚を乗せる大振りの四角い皿いっぱいに、まぐろが山盛りにのっていたのである。
「和田屋」はどのつまみも量が多い、酒の「つまみ」というよりも、その1品にご飯をつけて定食になるような「おかず」の量なのである。隣の人たちが「串カツ」を女将さんに頼んだ。女将さんは「串カツ? ないわよ、ちょっと待って・・・」と板場と相談すると、「出来るわよ」の答え、ASIMO君と2人でメニューを全部見るがどこにも書いていない。「裏メニューでしょうか?」とASIMO君。やがてやってきたものは大きな串カツ4本、大盛りキャベツ、ドンと盛りつけられたポテトサラダである。「いくらだろうねえ?」と気になる。次回はこの串カツを頼まねばならない。
時折、店の裏手を走る埼京線の電車の振動が、適度に伝わってきて、実に味わいがある。
ほぼ偶然に近い状態で、実に良い店を見つけることが出来た。十条恐るべしである。
午後6時15分から7時30分までの1時間15分の滞在で、お勘定は計3400円。ここも安い。十分に満足をして、本当は帰ってもよいのだがあの店が気になり外に出る。
斉藤酒場満席! そしてDAITEN怒る
斉藤酒場に行ってみると、たまたま2人分だけ空いているのを発見。その席にすべりこんだ。レモンサワー(280円)、シークァーサーサワー(300円)を頼む。つまみはマグロぶつ切り(250円)、いんげんごま和え(200円)を頼む。つまみの短冊を見ると、煮込み(200円)、島らっきょう(200円)と書いてある。どれも安い。

しかし、あまりに混んでいて、店全体の雰囲気を味わう余裕がない。女性客の比率が高い。事前に聞いていた親父たちの店という雰囲気はまったくない。カラフルな色の服を着たグループ客が多く、大声で話している。やはり土曜日に来てしまったのは失敗だったかもしれない。
そのうち、グループ客のうち、先に帰る数人が後に残った数人に挨拶を始めた。それが延々と長いのである。斉藤酒場は広い店ではない。テーブルとテーブルの間はそれほど広くなく、客が座ると、客と客の背中の間は狭い。その狭いところに立って、長々と話し込んでいる。店の女性たちが他の客のつまみを運びながら、「先に進んでください」という。それでも立ったまま話し込んでいる。店の中心の要の場所なので、トイレに行く人も通れない。ここでついに私は切れてしまった。
「ここをどこだと思ってんだよ、パーティ会場じゃねえんだからよ」と、私の口からいつになく強い言葉が飛び出してしまった。もちろん店中に聞こえるような声で言ったわけではない、楽しく飲んでいる他のお客さんたちを巻き込むつもりはないからである。ASIMO君に止められたが怒りはおさまらない。グループ客の一人の女性が「すみませんでした」と謝りに来た。他の連中は知らぬふりである。ここで、山田屋酒場の強面の親父さんの顔が私の頭に浮かんだ。ああ、親父さんがいてくれたら・・・。そして思う、親父さんならこの傍若無人な客達をしっかり仕切ってくれたでしょうに。そうすれば私も無駄に「本性を現す」必要もなかっただろうにと。店側も客を躾けるべきであると思う。それが店の為になり、客の為にもなる。
斉藤酒場という素敵な店との初めての出会いは後味の悪いものになってしまった。約40分ほどの滞在で1410円であった。
次回は、地元の親父さん達ばかりの平日に斉藤酒場に来たいと思う。それが一番落ち着くのである。それは私もまた「親父」だからに違いない。
王子 山田屋酒場
東京都北区王子1-19-6
電話03-3911-2652
定休日 日曜 営業時間 16:00~21:00
十条 和田屋
東京都北区中十条2-22-4
電話03-3907-4830
十条 斉藤酒場
東京都北区上十条2-30-13
電話03-3906-6424
定休日 日曜 営業時間 16:30~23:30
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
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Re: No title