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荏原中延 もつやき「仲居」

居酒屋探偵DAITENの生活 第153回  2008年10月24日(金) 【地域別】  【時間順】



荏原中延 もつやき「仲居」

   荏原中延もつやき仲居

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 居酒屋を表現する言葉はたくさんある。店の作りもそこにいるお店の方も年季が入っており、新しい店にはとても真似の出来ない独特の雰囲気を持っている店。そんな店を表現する言葉として、「親父系居酒屋」、「ディープ系居酒屋」、「古典酒場」など様々の言葉がある。しかし、今日の店は、簡単に一言では言えない独特の雰囲気を持つ店である。

 午後6時40頃、東急池上線の荏原中延駅のすぐ脇にある古い飲屋街を歩いていた。目的の店はまだシャッターが閉まって開いていない。
 しかし、中には人の気配がある。もう少しで開店なのだなと判断して、しばらく荏原中延の街を散策する。東急池上線の荏原中延駅から東急大井町線の中延駅の近くまで中延スキップロードという商店街がある。この商店街は武蔵小山の商店街と同じように、アーケードのある商店街であり、雨の日も楽に買い物が出来る便利な商店街である。

 しばらくして、荏原中延駅前に戻った。改札口を出て右に行き、交番の前を通ってすぐ右手にある路地に入って行く。左手に古き良き時代の「中華そば屋さん」という風情の店がある。その先が何本かの路地からなる古い飲屋街になっている。荏原中延駅周辺など池上線の一部が地下化する前は、その飲屋街もホームからよく見える場所であり、電車の音が聞こえて活気のある場所であったに違いない。今はひっそりと静かである。
 さらに進むと、目的の店が右手に見えてくる。先ほど閉まっていたシャッターが開いており、古い提灯が出ていて、スッと灯りが入るのが見えた。開店したその店の名はもつやき「仲居」である。

 ガラスの引き戸を開けて中に入る。すぐ目の前はL字カウンター。カウンターには15人ほど座れるだろうか。テーブル席などは無い。カウンターの中は、かなり広い調理場である。その中からマスターがこちらを見る。新しい客であることを確認しているに違いない。少し間合いがあってから「いらっしゃい」と、笑顔になる。左端には焼き台。その斜め前の席に座る。
 カウンターの端は常連が座る場合が多いので、なるべく入口に近い、真ん中あたりの席に座ることにしている。右斜め前のカウンターには、口開けと同時に入ったのか、常連らしきカップルが座っている。

 店内にはメニューらしきものは無い。しかし、飲みたい飲み物はもう決まっている。
 「クエン酸お願いします」と言う。
 マスターがちょっとびっくりしたような顔をして、
 「前にいらっしゃったことありますか?」と言う。
 それから、初めての来店であることを告げ、マスターの質問に答えて、 交通新聞社の雑誌「散歩の達人」で見てから一度入ってみたかったのであるということを伝えた。
 この店の前を何度通ったか解らない。マスターに聞けば、午後6時30分が開店時間らしい。しかし、6時30分に前を通っても開いていたことがない。開いている時間帯に通った時も私自身に時間が無くて入れなかったのである。

 「何を焼きますか?」とマスターが言う。
 「嫌いなものもないんですが・・・」と私が迷っていると、
 「それじゃ、適当に流しますか・・・」と言う。
 「流すと何本ですか?」と聞く。
 「たいしたことないですよ・・・」とマスターが微笑む。

 店内を見まわす、「国本晴美」と書かれた提灯が下がっていた。他にも浪曲師の方の提灯が何本か下がっている。
 ちょっとピンときたので、提灯を指さしながら、
 「たしか、国本晴美さんというのは人気浪曲師の国本武春さんのお母さんですよね」と聞く。その通りであると言う。
 「私も遊びで浪花節の三味線をやっていたんですよ・・・」とおっしゃる。
 「やっぱりそうですか、外に看板が出ていましたものね」と私。
 師範として人に教えられるところまでやっていらっしゃるようで、けっして「遊び」ではないレベルに違いない。事実、一度、国本晴美さんの浪花節の三味線を弾いたことがあるそうである。
 因みに、国本武春という人は、三味線をギターのように弾く独自の奏法で有名になった浪曲師である。従来型の浪曲にとどまらずロック、R&B、ブルーグラス等様々な音楽ジャンルを取り入れて活動。テレビドラマ、バラエティ番組、アニメ番組等に出演されている。

 「まず、レバです」と言いながら、【レバ】を1本出してくれる。タレである。肉と肉の間にネギが2個入っている。「東京城南居酒屋探偵団」の団員である居酒屋ブログ「呑んでたまるか!」croquettepunchさんのおっしゃる通り、このネギ2個が可愛いのである。食べてみる。トロリと柔らかい食感の半生のレバである。うまい。
その次は【カシラ】である。
 「お口にあいますか?」とおっしゃる。「おいしいです」と答える。

 2杯目のクエン酸をお願いする。クエン酸というのはレモンサワーに「クエン酸」「季節の果物」を絞って追加する、この店のオリジナルの飲み物である。作っている所を観察していると、グラスに氷、なにやら液体、粉、焼酎、炭酸、スダチ?の順に入れている。なかなかに手間のかかる飲み物である。
 店内には、様々なものがある。「ローマの休日」のDVDがカウンターの上に置いてあったり、焼き台の脇の壁に「明治学院落語研究会推薦の店」、「立小便禁んず」などの札が掛かっていて面白い。

 次ぎに、【タン】【ハツ】の塩焼きが一緒に出てくる。
 「たんとはつは塩が合いますね。私も塩でしか焼かないんですよ。」とのこと。
 女性のお客さんが「軟骨は出ますよね」と聞く。すると、
 「軟骨は硬いので、よく噛むでしょ、噛むとすぐお腹がいっぱいになっちゃうんで、最後の方に出すんですよ」とおっしゃる。ギャグである。みんなで笑った。
 マスターによれば、銀座からわざわざタクシーで来て、一人で軟骨20本だけを食べるお客さんがいるそうである。他の物は食べないというから凄い話である。

 「次は、【おみそ】です。」と言って、シロっぽい肉の上に味噌ダレを塗ったものが出てくる。
 「シロですか?」と聞くと、そうであるという。味噌ダレのシロは初めてである。

 少しして、マスターの手元などを眺めたりしていると、
 「ごめんなさい、すぐ焼きますから」と言ってくれる。
 「いいですよ、とてもいい間合いです」と答える。
 こちらが一人客であるのに、全部一度に出してくる店が時々あるが、それに比べれば、こうやって少しずつ出してくれる方が理にかなっている。

 こんどは、【シロ】が味噌ではなく、タレで出てくる。
 さらに、【ナンコツ】【コブクロ】と続く。「これで一通りです」とおつしゃる。

 常連の方が一人、また一人と入ってくる。この辺で失礼することにした。
お勘定をお願いする。1,600円であった。
 「お粗末さまでした。また、お寄り下さい。」と言って、マスターが笑顔で送ってくださる。
 午後6時50分から7時50分頃までの1時間ほどの滞在であった。

 店内にはメニューが無い。レバカシラタンハツおみそ(シロ)シロナンコツコブクロの8本のもつ焼き、クエン酸2杯。類推すると、もつ焼きは1本100円、クエン酸1杯400円の計算になる。
 周りの常連の皆さんには出てくる枝豆や糠漬けなどは、私には出てこない。押し付けがましくならないようにしてくれているのである。出来るだけ常連にならないのが「居酒屋探偵DAITEN」のポリシーである。しかし、この店だけは常連になりたい気持ちになってしまった。

 ※  ※  ※

 追伸 店内の様子を写真で見たい方は、croquettepunchさんの居酒屋ブログ「呑んでたまるか!」こちらをご覧いただきたい。

荏原中延 もつやき「仲居」
住所 東京都品川区中延2-8-14
電話 03-3783-0371
定休日 日曜(?)
営業時間 19:00頃(シャッターが開いたら開店)~
交通 東急池上線荏原中延駅下車徒歩1分


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荏原中延

Comments 4

新岳大典

Re: 感謝します

たろう様

居酒屋探偵DAITENです。

> 破れた暖簾が渋いと思い行くことにしました。

あの暖簾と提灯はすごいですね。あれほどのものはなかなかありません。

> 18時30分開店に合わせて行くとシャッターが閉まっていました。
> 臨時休業か閉店したのかと、危ういフラれるところでした。
> あっと思い出してこのブログを再度読み直したら開店時間があてにならないと知って少し待ちました。7時過ぎても開店しないし電話したら店主が出て、7時半に開店しますと。
> ここまで待ったら致し方ないですし、行列に並ぶのとは違いますから。

いつもそんな感じです。
本当の常連の方が脇とか裏側から入ってしまう様子を見たことがあります。
でも、たろうさんのやり方が正解ですね。私はそう思います。

> 旨いし、雰囲気もいいし、店主も人柄がよくて気に入りました。
> ブログのおかげでフラれずにすみました。
> 何件も吉田類さんより先に訪問していて研ぎ澄ましたアンテナに感心しています。

ありがとうございます。何よりのお言葉です。
居酒屋は人ですね。私はそう思っています。
毎日、毎日、同じ店に通ったとしても、実は人も酒も食べ物も再現はできません。
日々一期一会なのですね。

たろう

感謝します

破れた暖簾が渋いと思い行くことにしました。
18時30分開店に合わせて行くとシャッターが閉まっていました。
臨時休業か閉店したのかと、危ういフラれるところでした。
あっと思い出してこのブログを再度読み直したら開店時間があてにならないと知って少し待ちました。7時過ぎても開店しないし電話したら店主が出て、7時半に開店しますと。
ここまで待ったら致し方ないですし、行列に並ぶのとは違いますから。
旨いし、雰囲気もいいし、店主も人柄がよくて気に入りました。
ブログのおかげでフラれずにすみました。
何件も吉田類さんより先に訪問していて研ぎ澄ましたアンテナに感心しています。

  • 2011-09-03 (Sat) 15:30
  • REPLY
居酒屋探偵DAITEN

お互い様でございます。

コメントありがとうございます。
私は店内写真を載せない主義なのですが、
どうしても文章だけでは表現しきれません。
今後も引用させてください。よろしくお願いします。
あの店は、端から描写したくなります。でも、
長くなりすぎて読者の皆さんに見放されてしまいますね。

本当に常連の店です。恐くて一見では入れません。
お互い、正体を隠して、是非こちらの店でお会いしたいものです。
そういえば、すぐそばの「鳥徳」という店が閉店してしまいましたね。
さみしい話ばかりです。

croquettepunch

度々の..

引用,ありがとうございます.恐縮であります.
雑然とした店内(好きです!)と,駄洒落派の大将,クエン酸そしてもつ焼き...DAITEN団長の秀逸な文章力のおかげで,まさに情景が目に浮かぶようです.もつ焼きも,ナニゲにレベル高いですよね,このお店!常連さんが多いのも,わかりますねえ.
界隈でお目にかかる日を,楽しみにしております.



  • 2008-10-28 (Tue) 15:13
  • REPLY