荏原町 やきとり・立呑み「きむきむ」
荏原町 やきとり・立呑み「きむきむ」


東急大井町線は2008年3月から急行が走るようになった。急行のみシルバーと赤の特徴的な車体になった。どこか超合金のロボットを思わせる雰囲気である。
その急行が走るようになってから東急大井町線の荏原町駅脇の踏切が明かずの踏切になってしまったと人から聞いた。それからしばらくして、実際にこの踏切に車で差し掛かることがあった。確かになかなか開かない。車にとっても渋滞は不便であるが歩行者にとっても不便である。「開かずの踏切」は、街を分断する一つの要因になってしまう。そんな荏原町駅脇の「開かずの踏切」の脇に新しい店が出来た。やきとり・立呑み「きむきむ」である。
東急大井町線の荏原町駅の大井町行きのホーム側の改札を出ると、目の前は「八幡山法蓮寺」というお寺である。そのすぐ隣も「旗岡八幡神社」という神社である。ゆえに、駅前というのに改札の前は暗い。改札を出て右方向に進むと、大きな「きむきむ」という文字が見えてくる。右手に踏切を見ながら道を渡る。
店の正面右手は焼き場、対面販売がし易いように開口部の幅が広くなっており、すでに焼き鳥が焼けるのを待つ買い物客が数人前に立っていた。
左手の入口は開け放たれている。中に入ると、右手がカウンター、そのカウンター前には5人ほどが立てるかもしれない。カウンターの中は調理場である。入ってすぐの左手と奥の方に小さな高いテーブルがあり、それぞれ3人程が立てる。左奥の二階への階段の下のスペースを利用した場所に壁に向かってカウンターがあり3人程が立てる。店内には大きめにバラード系の音楽が流れている。
レモンサワー(350円)とポテトサラダ(300円)を頼んだ。
入れ違いに出てゆく女性客がいた。その女性客は一度お勘定を払ってから戻ってきて、勘定が少なかったことを自己申告、きちんと追加して払って帰っていった。ウーロンハイが付いてなかったのである。私もこの時点では、「この辺は人気がいい地域だなあ」などと思っただけであった。
ネギマ(140円)を2本お願いする。すぐにやってきたネギマには驚いた。間にネギが2本、本当に申し訳程度に挟まっており、大きな鳥肉が存在を主張している。この鳥がジューシーでうまい、焼き方もちょうどよい。串ものの中で鳥正肉を最も好む私としては、実にうれしい。
接客の女性に「電話番号が解るものはありますか?」と聞くと店長の名刺を持ってきてくれた。
「先日、お二人で来られましたよね」と言われる。ちゃんと覚えていてくれたのである。
実はこの店に来るのは始めてではない。先週の木曜日の夕方のことであった。
派手な看板を見つけて、店の外から中を覗いていると、焼き台の前に立つ客の一人から声が掛かった。最初、逆光で顔がよく見えない。声は、テノールの良い声である。近づいて来た顔を見て驚いた。
声の主は、劇集団「咲良舎」の前身の劇団「櫻花舎」の創設メンバー、俳優の博田章敬君であった。彼は現在稽古中の「愛と偶然の戯れ」の渋谷ジァンジァンにおける初演時、青山円形劇場での再演時のキャストである。
櫻花舎解散後も、NHKの大河ドラマや様々な舞台に出演する傍ら、客演として、咲良舎作品にも何度も出演してくれている。おみあげを買って家で晩酌をしようと思っていたそうであるが、そのおみあげを一緒に食べることにして、共に飲むことになった。しばらく、演劇界の噂話に花が咲く。数ヶ月前にも隣町の荏原中延の路地裏で偶然に彼と会った。飲み屋を探して探偵をしているところを発見されたのである。
長くなったが博田君と一緒に呑んだ時のことを接客の女性が「先週もいらっしゃいましたよね」と言って、覚えていてくれたのである。
女性に聞くと、現在は月曜が休みであるが来月からは年中無休になるらしい。
名刺を見て、以前より気になっていた東急大井町線の大井町駅前の小さな立呑みの店と同じ経営であることを確認した。
2杯目はホッピー氷なし(380円)をもらう。私としてはボーダーライン内の価格である。
ホッピーは価格が400円以下の場合に、今は飲むことにしている。因みに、中は180円、外は200円である。ホッピーその物の仕入価格の値上がりと共に、中を連発して、焼酎の味つけに少しだけホッピーを入れる傾向が加速するかもしれない。中1外1を推奨する「ホッピー原理主義者」の私が言うのもおかしな話であるが、氷入り中3外1が庶民の値上げに対するささやかな抵抗になるのではないだろうか。
店内のメニューを見ると、ネギマ(140円)の他は、つくね、スナギモ、かわ、レバーは120円である。その中からレバーとつくねをタレでお願いする。レバーはトロリとした食感がとてもよかった。タレは甘めでレバーには合うがつくねには甘すぎると感じた。
お土産の焼き鳥を買ってゆくお客さんがどんどんやって来る。駅前という場所の設定の勝利であろう。テイクアウトを考えれば、やきとんより焼鳥の選択は正しいかもしれない。
40分ほどの滞在であった。
お勘定をお願いすると1170円であるという。支払って、踏切を渡り、しばらく歩いてから考えた。
そんなに安いわけがない。計算すると、ホッピー380円がついていないようである。さきほどの先客の女性のことを思いだした。
急いで戻って、ホッピー代380円を追加で支払った。店員の方がちょっと恥ずかしそうにしている。全員で微笑みながら送り出してくれた。よい店である。また、来ようと思う。正しいお勘定は1550円であった。
追伸 階段下のカウンター前は天井が低いので、煙草の煙が留まってしまう。壁に小さな換気扇があれば良いと思った。
追伸 コメント欄を読んでいただくと解るが、上記文章に登場する「お店側が付け忘れた分を自己申告をしてきちんと払って帰られた先客の女性」というのが、実は立呑み系ブログ「エロ姫の飲んだくれ」のエロ姫様であることが後で解った。驚きである。しかも、私まで同じ事になるとは。世の中面白い。
荏原町 やきとり・立呑み「きむきむ」
住所 東京都品川区中延4-17-1 木下ビル1階
電話 03-5702-0885
定休日 年中無休
営業時間 16:00~23:30(L.O23:00)
交通 東急大井町線荏原町駅大井町方面改札下車徒歩数秒。

ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
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実力派俳優になりたい人は→ 演出家守輪咲良のページ「さくらの便り」
恐縮です。