居酒屋探偵DAITENの「がっかり録」第15回/マニュアル酒場はいただけない・・・
居酒屋探偵DAITENの「がっかり録」第15回 【地域別】 【時間順】 【がっかり集】
マニュアル酒場はいただけない・・・
最近、もつ焼き店の出店が目につく。城南地区に次々に出店しているあるチェーンの新しい店を見つけた。疑似レトロの店内は、まるで、お台場のレトロ系アミューズメントパークのようである。昔の酒のポスターなどを使って、無理につくったレトロな雰囲気の中、マニュアル接客の従業員が作り笑顔で元気に接してくれる。実はこれが五月蠅いのだ。
ジョッキが空になると、「お飲み物は?」とすぐに言う。食べ物が無くなると、「何かお作りしますか?」と聞く。マニュアル通りなのだから仕方ないとは思うが、ゆっくり考えさせて欲しい。何を飲むか即決即断できる人ばかりではないのである。
古い酒場にある「客を放っておいてあげる」というあの感覚はここにはない。
庶民的な古いもつ焼き屋の雰囲気を作っているが、それはまさに雰囲気だけで、酒類の単価は強気であり、決して安くはない。まず、ホッピーが500円近いというのはいただけない。生ビールの中ジョッキも高く、600円以上するビール中瓶の価格には驚きを覚えた。
もつ焼きの価格も一本単価が高い、一本単価を高めにした場合、一串の肉の量を多くしてお得感を出すものである。しかし、それがない。
煮込みは、臭みが無いようにちゃんと処理されているが旨みもあまりない。値段の割に量が少ない。一言で言えば貧弱なモツ煮込みである。塩味が強すぎて、甘みと奥行きに欠け、旨みがないのである。
フランチャイズ料を支払い、高い家賃と人件費を考え、原価率を抑制しなければならないのだからたいへんである。しかし、小規模親父酒場好きの酒飲みは、店側の微妙な戦略に実は敏感である。ホッピー、サワー、生ビール、瓶ビールのこの4種の価格を見て瞬時に店の方針を読む。新規開店時にやってきて、すぐに自分のお気に入りの古い店に戻ってゆくのである。
あまり量を飲まないような人、「もつ焼き店」に馴れていない若い女性などが初めて入るには良い店といえる。しかし、日常的に酒場にやってくる「親父たち」を見方につけなければ、もつ焼き店は続かないと思うのである。
「高級焼き鳥店」という業態がある。「もつ焼き店」はそれに対して対局にあるように思う。低価格居酒屋という業態が大手を中心に伸びているという。そんな中、客のターゲットをきちんと絞るべきではないだろうか。いや、絞った結果「親父たち」は切り捨てられたのか。それを感じた客は潮が引くようにいなくなるものである。
それにしても、あのマニュアル接客はどうにかならないだろうか。活気があるのと騒々しいのは別である。
騒々しいといえば、やきとりではないある物の店頭でのお持ち帰り販売を中心に、片手間で立ちのみ店をやっているチェーンがある。先日そんな店に入ってしまった。調理場では、大声で店の人間が叫び続けている。活気を作りだしているのである。お持ち帰り販売の為に忙しくしている様子。店内で飲む人間は一人もいない。
食べ物を少し頼み、飲物も頼んだ。支払いも先に済ませるシステムとなっている。待つ。10分たっても何も出てこない。待つ。たくさんいる従業員はお持ち帰り販売にかかり切りである。待つ。15分過ぎて、食べ物だけがやってくる。それから、飲物に入れるレモンが無いという。最初に言えば、違うものを頼んだり、レモンなど不要だと答えることが出来る。15分後に言われても困るのである。
「ただいま、レモンをご用意しているところなのですが・・・もし、それでは駄目なようでしたら御返金も出来ますが・・・」と言う。酒飲みを最初の一杯で15分待たせるのも凄い。御返金という提案にも驚かされた。
臨機応変な対応が出来ないマニュアル的従業員しかいないというのは寂しい。この業態で酒を売るのは無理があるに違いないと結論づけて、食べ物に手をつけず、返金してもらい外に出た。
あまり、そういう気分にはならない方であるが、たぶん、今後どちらのチェーン店にも行くことはないであろう。
マニュアルよりも人間の経験と感覚が重要である。
(了)
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マニュアル酒場はいただけない・・・
最近、もつ焼き店の出店が目につく。城南地区に次々に出店しているあるチェーンの新しい店を見つけた。疑似レトロの店内は、まるで、お台場のレトロ系アミューズメントパークのようである。昔の酒のポスターなどを使って、無理につくったレトロな雰囲気の中、マニュアル接客の従業員が作り笑顔で元気に接してくれる。実はこれが五月蠅いのだ。
ジョッキが空になると、「お飲み物は?」とすぐに言う。食べ物が無くなると、「何かお作りしますか?」と聞く。マニュアル通りなのだから仕方ないとは思うが、ゆっくり考えさせて欲しい。何を飲むか即決即断できる人ばかりではないのである。
古い酒場にある「客を放っておいてあげる」というあの感覚はここにはない。
庶民的な古いもつ焼き屋の雰囲気を作っているが、それはまさに雰囲気だけで、酒類の単価は強気であり、決して安くはない。まず、ホッピーが500円近いというのはいただけない。生ビールの中ジョッキも高く、600円以上するビール中瓶の価格には驚きを覚えた。
もつ焼きの価格も一本単価が高い、一本単価を高めにした場合、一串の肉の量を多くしてお得感を出すものである。しかし、それがない。
煮込みは、臭みが無いようにちゃんと処理されているが旨みもあまりない。値段の割に量が少ない。一言で言えば貧弱なモツ煮込みである。塩味が強すぎて、甘みと奥行きに欠け、旨みがないのである。
フランチャイズ料を支払い、高い家賃と人件費を考え、原価率を抑制しなければならないのだからたいへんである。しかし、小規模親父酒場好きの酒飲みは、店側の微妙な戦略に実は敏感である。ホッピー、サワー、生ビール、瓶ビールのこの4種の価格を見て瞬時に店の方針を読む。新規開店時にやってきて、すぐに自分のお気に入りの古い店に戻ってゆくのである。
あまり量を飲まないような人、「もつ焼き店」に馴れていない若い女性などが初めて入るには良い店といえる。しかし、日常的に酒場にやってくる「親父たち」を見方につけなければ、もつ焼き店は続かないと思うのである。
「高級焼き鳥店」という業態がある。「もつ焼き店」はそれに対して対局にあるように思う。低価格居酒屋という業態が大手を中心に伸びているという。そんな中、客のターゲットをきちんと絞るべきではないだろうか。いや、絞った結果「親父たち」は切り捨てられたのか。それを感じた客は潮が引くようにいなくなるものである。
それにしても、あのマニュアル接客はどうにかならないだろうか。活気があるのと騒々しいのは別である。
騒々しいといえば、やきとりではないある物の店頭でのお持ち帰り販売を中心に、片手間で立ちのみ店をやっているチェーンがある。先日そんな店に入ってしまった。調理場では、大声で店の人間が叫び続けている。活気を作りだしているのである。お持ち帰り販売の為に忙しくしている様子。店内で飲む人間は一人もいない。
食べ物を少し頼み、飲物も頼んだ。支払いも先に済ませるシステムとなっている。待つ。10分たっても何も出てこない。待つ。たくさんいる従業員はお持ち帰り販売にかかり切りである。待つ。15分過ぎて、食べ物だけがやってくる。それから、飲物に入れるレモンが無いという。最初に言えば、違うものを頼んだり、レモンなど不要だと答えることが出来る。15分後に言われても困るのである。
「ただいま、レモンをご用意しているところなのですが・・・もし、それでは駄目なようでしたら御返金も出来ますが・・・」と言う。酒飲みを最初の一杯で15分待たせるのも凄い。御返金という提案にも驚かされた。
臨機応変な対応が出来ないマニュアル的従業員しかいないというのは寂しい。この業態で酒を売るのは無理があるに違いないと結論づけて、食べ物に手をつけず、返金してもらい外に出た。
あまり、そういう気分にはならない方であるが、たぶん、今後どちらのチェーン店にも行くことはないであろう。
マニュアルよりも人間の経験と感覚が重要である。
(了)
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