渋谷 天風酒蔵「やまがた」
居酒屋探偵DAITENの生活 第298回 2009年12月28日(月) 【地域別】 【時間順】
渋谷 天風酒蔵「やまがた」
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ホッケの顔も二度三度
前回訪れた東京で最も有名な立ち飲み店を出たGAIと私は、すぐそばのJRのガード下にある店、天風酒蔵「やまがた」に入った。8割くらいの入り、客層は中年サラリーマンよりも若い人たちが多かった。どこかで会社の忘年会を済ませた若いサラリーマンの男女が上司や先輩をまいた後に集まったという感じのグループが何組か来ていた。
まずは、ビール大瓶(520円)を一本飲む。
実は咲良舎の稽古場がこの近くにあった時期があり、稽古帰りに役者たちと、この天風酒蔵「やまがた」に入ることが多かったのである。その当時のことをGAIに話し、彼の知らない様々な流転の日々について語った。芝居をやってゆくということは、出逢いと別れと戦いの連続である。
ホッケ塩焼(520円)を頼んだ。ホッケを頼むと今から30年前のあるエピソードを思い出す。GAIにその時のことを話した。
居酒屋で酒を飲むということになれていなかった頃、友人二人と新宿コマ劇場の下にあった居酒屋に入った。その店は一人一品頼めば500円で生ビールが飲み放題の店だった。店は広く若い学生客でいっぱいだった。入口に近い席に3人で座る。お店の人がやってきて何を頼むか聞かれた。「生ビール飲み放題で・・・」と言う。3人とも金がない。つまみを一人一品とるように言われ、私は一番量があってその一品のみで長持ちするものを選んだ。それが「ホッケの塩焼」だった。すると、友人の一人が「僕もホッケ」と言う。さらに、もう一人も「ホッケ」と言う。3人で別々のつまみをとって分けるという考えも浮かばないのである。店の人は忠告することもなく去って行く。
やがて、生ビール3杯がやってきた。不器用に乾杯をして飲み始める。やがて、ホッケが三つやってきた。とても大きなホッケで、ホッケ三つの皿だけでテーブルが一杯になってしまった。生ビール三つと巨大ホッケ3匹のみのテーブルである。実に間抜けだ。
2杯目の生ビールを飲む為には、自分でジョッキを持ち、通路を奥にすすんでビール・サーバーの前に立つ恐そうな親父にジョッキを渡さなければならない。途中、通路の真ん中で学生らしき男性が寝込んでしまっている。誰も彼を助けたり、連れて行こうとする者もいない。学生の身体の上をまたいでビール・サーバーのところまで行く。苦虫をかみつぶしたような顔をしながら親父さんが黙ってビールを入れてくれる。誰かがジョッキを何個も持って代表するということは許されていないようで、一人一つのジョッキを持って、みんな列を作る。
これを繰り返して、3人で3匹のホッケをつつきながら生ビールを飲み続けた。私は7杯ほど飲んだような気がする。3人とも気の利いた話も出来ず、黙って飲み続け、友人の一人はテーブルで寝込んでしまった。居酒屋を楽しむということも知らず、現実を忘れる為に酒を大量に飲むことしか出来なかった貧しい時代の思い出である。
この話をすると、GAIが「ホッケの顔も二度三度」と言う。「仏の顔も二度三度」から考えたギャグだ。酔っているので無性に可笑しいのである。そして「あの親父は何杯も何杯も生ビールを飲まれるのが嫌だったんだろうなあ」と、当たり前のことを考える。「嫌なら飲み放題なんてしなければ良いのに」と当時は思った。しかし、ものには限度がある。バブル期の若者たち、学生たちは本当によく飲んだのである。私もその一人であった。
お酒二合(520円)を注文。話がはずみ、さらに、もう一本お酒を追加する。煮込み(470円)も頼んだ。
午後9時10分から10時30分まで1時間20分ほどの滞在。お勘定は2,850円であった。
この後、渋谷の街を歩き、コンビニで発泡酒を2本買って二人で飲みながら、道玄坂の道端に座って話した。年末の渋谷の若者たちの流れを見る。様々な姿をした若者たちの列。いったいこの国はどこへ行くのだろうか。そんなことを考えてしまう。
井の頭線の駅までGAIを見送り、家路につく。2009年もあと3日。明日もまた飲む予定である。

渋谷 天風酒蔵「やまがた」
住所 東京都渋谷区渋谷3-29-71
電話 03-3464-7766
定休日 年末年始のみ
営業時間 16:00~24:00
交通 JR渋谷駅西口下車徒歩3分
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
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渋谷 天風酒蔵「やまがた」



ホッケの顔も二度三度
前回訪れた東京で最も有名な立ち飲み店を出たGAIと私は、すぐそばのJRのガード下にある店、天風酒蔵「やまがた」に入った。8割くらいの入り、客層は中年サラリーマンよりも若い人たちが多かった。どこかで会社の忘年会を済ませた若いサラリーマンの男女が上司や先輩をまいた後に集まったという感じのグループが何組か来ていた。
まずは、ビール大瓶(520円)を一本飲む。
実は咲良舎の稽古場がこの近くにあった時期があり、稽古帰りに役者たちと、この天風酒蔵「やまがた」に入ることが多かったのである。その当時のことをGAIに話し、彼の知らない様々な流転の日々について語った。芝居をやってゆくということは、出逢いと別れと戦いの連続である。
ホッケ塩焼(520円)を頼んだ。ホッケを頼むと今から30年前のあるエピソードを思い出す。GAIにその時のことを話した。
居酒屋で酒を飲むということになれていなかった頃、友人二人と新宿コマ劇場の下にあった居酒屋に入った。その店は一人一品頼めば500円で生ビールが飲み放題の店だった。店は広く若い学生客でいっぱいだった。入口に近い席に3人で座る。お店の人がやってきて何を頼むか聞かれた。「生ビール飲み放題で・・・」と言う。3人とも金がない。つまみを一人一品とるように言われ、私は一番量があってその一品のみで長持ちするものを選んだ。それが「ホッケの塩焼」だった。すると、友人の一人が「僕もホッケ」と言う。さらに、もう一人も「ホッケ」と言う。3人で別々のつまみをとって分けるという考えも浮かばないのである。店の人は忠告することもなく去って行く。
やがて、生ビール3杯がやってきた。不器用に乾杯をして飲み始める。やがて、ホッケが三つやってきた。とても大きなホッケで、ホッケ三つの皿だけでテーブルが一杯になってしまった。生ビール三つと巨大ホッケ3匹のみのテーブルである。実に間抜けだ。
2杯目の生ビールを飲む為には、自分でジョッキを持ち、通路を奥にすすんでビール・サーバーの前に立つ恐そうな親父にジョッキを渡さなければならない。途中、通路の真ん中で学生らしき男性が寝込んでしまっている。誰も彼を助けたり、連れて行こうとする者もいない。学生の身体の上をまたいでビール・サーバーのところまで行く。苦虫をかみつぶしたような顔をしながら親父さんが黙ってビールを入れてくれる。誰かがジョッキを何個も持って代表するということは許されていないようで、一人一つのジョッキを持って、みんな列を作る。
これを繰り返して、3人で3匹のホッケをつつきながら生ビールを飲み続けた。私は7杯ほど飲んだような気がする。3人とも気の利いた話も出来ず、黙って飲み続け、友人の一人はテーブルで寝込んでしまった。居酒屋を楽しむということも知らず、現実を忘れる為に酒を大量に飲むことしか出来なかった貧しい時代の思い出である。
この話をすると、GAIが「ホッケの顔も二度三度」と言う。「仏の顔も二度三度」から考えたギャグだ。酔っているので無性に可笑しいのである。そして「あの親父は何杯も何杯も生ビールを飲まれるのが嫌だったんだろうなあ」と、当たり前のことを考える。「嫌なら飲み放題なんてしなければ良いのに」と当時は思った。しかし、ものには限度がある。バブル期の若者たち、学生たちは本当によく飲んだのである。私もその一人であった。
お酒二合(520円)を注文。話がはずみ、さらに、もう一本お酒を追加する。煮込み(470円)も頼んだ。
午後9時10分から10時30分まで1時間20分ほどの滞在。お勘定は2,850円であった。
この後、渋谷の街を歩き、コンビニで発泡酒を2本買って二人で飲みながら、道玄坂の道端に座って話した。年末の渋谷の若者たちの流れを見る。様々な姿をした若者たちの列。いったいこの国はどこへ行くのだろうか。そんなことを考えてしまう。
井の頭線の駅までGAIを見送り、家路につく。2009年もあと3日。明日もまた飲む予定である。

渋谷 天風酒蔵「やまがた」
住所 東京都渋谷区渋谷3-29-71
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定休日 年末年始のみ
営業時間 16:00~24:00
交通 JR渋谷駅西口下車徒歩3分
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
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