矢口渡 立ち呑み「さこちゃん」
矢口渡 立ち呑み「さこちゃん」




土曜日の午後である。ある用事を済ませて戸越銀座からバスに乗った。五反田を起点として国道1号線を走り、川崎駅西口北ラゾーナ前というバスターミナルに向かうバスである。東京都から多摩川を渡り、神奈川県の川崎市に至る珍しい路線である。その多摩川の手前に矢口小学校というバス停がある。そのバス停から300メートルほどの場所に東急多摩川線の矢口渡駅があるのだ。本来ならば東急池上線の戸越銀座駅から蒲田駅に行き、蒲田駅で東急多摩川線に乗り換え一つ目が矢口渡駅である。しかし、今日はバスに乗ってみたかった。
矢口小学校のバス停から国道1号線を少し南下、左に曲がってまっすぐ行くと、矢口渡駅前商店街に出る。出たところを右に曲がれば、第259回で紹介した名店があり、左に曲がると目の前に矢口渡駅の多摩川方面の改札口がある。
多摩川方面の改札口に立つと、右手に多摩川線を南北に渡る為の踏切がある。その踏切に向かって立ち、左手を見ると踏切脇から左に入る細い路地があった。その路地を入るとすぐ左側に今日の目的の店がある。店名は「サコちゃん」。
蒲田の女王ことkimimatsuさんからもおすすめのあった店であり、ここ1ヶ月ほど機会を狙っていたのである。
やはり、噂だけでついに訪れることの出来なかったあの「やきとり店」の場所ではないだろうか? そう思いながら店を眺める。味わいある外観である。写真を撮らないわけにはいかない。左側に入口があり(写真左)、右側にも入口がある(写真右)。


右半分の側にある入口から中を覗いた。誰もいない様子である。私が最初の客であろうか。4時からの営業と聞いているので、すでに開店と同時に来て帰られた方がいるかもしれない。
左入口から奥にかけて5人ほどが立てるカウンターがあり、その奥はトイレ。右側入口から入ると奥に向かって7人ほどが立てるカウンターになっている。店の外側の左右の入口の間にも奥行きの狭い外カウンターがあって、店の内外で大きなコの字カウンターを形成している。さらに右側カウンターの背後の壁際にも狭いカウンターがあった。中央の調理場スペースに細身の女性が一人たっている。このママさんが「さこちゃん」に違いない。右側カウンターの一番奥に立った。
まずは、生ビール(300円)をお願いする。ママさんが向側のビールサーバーに向かう。
店内の様子を見て、第311回の時に、お店にいらっしゃったお客さんから勧められたお店であることを確信した。向かって右側のカウンターは「常連客専用のカウンター」であると言われたことを思い出し、右側カウンターの奥から一番入口に近い場所に素早く移動する。店の経営は変わったけれど、そのまま新しいお店に通っておられる常連の方もいるに違いないと思ったのである。
ママさんがふりかえると私がいない。
「そっちですか・・・」と少し驚いている。
「ちょっと暑かったので・・・入口の方へ」と嘘をついた。
「前金入れ」と書いてあるブラスチックの皿が置いてある。財布を出すタイミングを逸してしまう。
「前金です」と言われる。
「知って・・・ます」と答え、財布から千円札を出して「前金入れ」に入れる。小銭が「前金入れ」に戻される。
「ここ、やきとり屋さんだったですよね」と聞いてみる。
「ええ、やきとり屋さんでした」とのこと。
つまみは、もつ煮込み(350円)とポテトサラダ(250円)を頼んだ。煮込みが美味しい。ポテトサラダも好きな味付けである。両方とも居酒屋で頼みたくなる定番のメニューである。
「お持ち帰りできます?」と、外から年輩の女性の声がした。
「お持ち帰りはできますけど・・・やきとりですか?」と、ママさん。
「ええ、やきとり」
「やきとり無いんですよ」
やきとりが無いことに驚いた様子で女性は帰っていった。
このことで少しお話をした。ママさんには、なにやら秘策があるらしい。
2杯目はレモンサワー(280円)にする。ゆでたまご(50円)を一緒に貰った。
殻入れとあじ塩が出された。
卵の殻を剥く。小さな殻も指先で丁寧にとった。
「ずいぶん丁寧ですね」とママ。
ニコリと笑って、煮込みの汁に剥いた卵をポイと入れた。
「染み込む?」
「染み込まない・・・気分・・・」というやり取り。
でも、実はゆで卵の黄身が少し溶けた煮込みの汁は美味いのである。
左手カウンターに次のお客さんが入ってこられ、生ビールを頼んだ。
さらに、2人目の方が同じく左手カウンターへ。さらに3人目の方が外側カウンター前に立たれる。それぞれ好きな場所があるに違いない。
4人目の方は、入店時に私が立とうとした、右手カウンター奥に立たれた。色々と話されている。店内が急に賑やかになった。
全員が常連である。皆さん、キャラクターの濃い方ばかりである。
3杯目はお茶ハイ(280円)とさけ中ぼね缶詰(150円)をいただく。
缶詰といってもそのまま出てくるのではなく、ちゃんとレタスと共に小皿に乗せて出される。量もちょうど良い。
鮭の缶詰が改めて良いつまみになることを再確認する。
燗酒を頼んでいる方もいる。お酒はチロリで出される。今日は暑い。夏日和である。しかし、夏の燗酒は江戸っ子の粋であるという。
午後4時50分から5時50分まで1時間の滞在、支払った金額は1,660円であった。老舗の外観を持った新店舗。
また、さらに進化する様子である。「さこちゃん」ママの笑顔におくられ外に出る。
まだ時間は早い。次の一軒はすでに決まっている。それは数年前からずっと気になっていた店である。
(つづく)

矢口渡 立ち呑み「さこちゃん」
住 所 東京都大田区多摩川1-19-1
電 話 ?
定休日 なし
営業時間 16:00~22:00
交通 東急多摩川線矢口渡駅下車徒歩30秒
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
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