中目黒 串揚げ「串八」
Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第33回 【地域別】 【時間順】
中目黒 串揚げ「串八」
紹介する居酒屋の基準
毎週金曜日夜と日曜日の午後に、咲良舎アクティングプレイスの「MIプロジェクト」の稽古が続いている。今日もその稽古であった。これだけ細かい稽古も今までにはない。参加者にとっても指導するSAKURAにとっても実に有意義な時間であると思う。
本日の稽古場は中目黒であった。実は2日前の金曜日も同じ中目黒の稽古場であり、帰りにメンバーの創間元哉とSAKURAと3人で飲むことになった。その店は、以前にも入ったことのある店で、決して悪い店ではない。しかし、問題点が一部にあり、この「居酒屋探偵DAITENの生活」で紹介するまでもないというだけである。居酒屋探偵DAITENは、ホッピー原理主義者であり、大規模チェーン居酒屋を好まない、居酒屋でのマナーにうるさい等、頑な傾向があると思われがちであるが、必ずしもそうではない。
ただ単に「居酒屋ファン」の皆さんに、質のよくない情報を提供したくないだけである。私の基準は簡単である。「比較的質の良い食材を提供してくれ、ごく普通の皆さんが気軽に寄ることが出来る雰囲気であり、価格の安い店であること」それだけである。
そんな店をまた一軒中目黒で見つけてしまった。
中目黒 串揚げ「串八」
SAKURAと入ったその店は、中目黒駅改札を出て左側、線路沿いを祐天寺方面に少し戻った所にある。
店の外観は一面ガラスである。左右にガラスの扉が2枚、中央も一枚ガラスである。そのガラスにはたくさんの短冊が貼られている。以前から一度入ってみたいと思っていた店である。串揚げ「串八」。以前に紹介した、作家・戯曲家の井上ひさし氏の弟さんが経営する居酒屋「ごっつぁん」の二軒隣である。
この店は瓶ビールの種類が珍しいことに5種類もある。エビスビール大瓶が500円、他にサッポロ黒ラベル大瓶、アサヒスーパードライ大瓶、キリンラガー大瓶、キリン一番搾り大瓶がすべて450円である。瓶ビールを頼むと、「店の都合で選ばれた瓶ビール」があてがわれるのが常である。特にSAKURAと私は、スーパードライが瓶ビールであるというだけでその店に入らない場合も多い。極端なアンチスーパードライ派である。それが、5種類から瓶ビールを選ぶことができる。そんな店は本当に珍しい。この1点だけでこの店を気に入ってしまった。我々はエビスビール大瓶(500円)を選んだ。店の若い女性がお酌をしてくれた。1杯目だけお酌をしてくれるというのは、男性の一人客にとってうれしいことに違いない。男の愚かさと言うなかれ、繰り返されるささやかな気づかいに人は心動かされるのである。今日のエビスは本当にうまかった。
(2008.9追記 仕入れ価格の高騰により、瓶ビールはそれぞれ50円ずつ値上。)
つまみは、ホッケ焼(500円)、平政刺身(400円)、串揚げ5本セット(580円)を頼んだ。
この店には「晩酌セット」というサービス商品がある。中身は、生ビール、酒、サワー、ウーロンハイ、ウイスキーの中から3杯を飲み、料理が3品付くというものである。それで1,280円である。晩酌セットは数多くあるが酒類3杯というのは珍しい。次回試してみたいと思う。
(2008.9追記 晩酌セットは1,340円に値上。)
最初に平政の刺身がやってきた。新鮮な切り身が5切れで400円である。身がプリブリとして400円とは思えぬ質である。次にやってきたのが串揚げ5本セット、玉ネギ、さつまいも、鶏モモ肉、アジ、アスパラ肉巻の5本で580円である。両方とも安くてうまい。
二杯目に選んだ酒は、升酒(400円)である。銘柄は吉乃川、飲みやすい酒である。
最後にやってきたホッケ焼きもうまかった。油がのっていて、追加した生レモンサワー(400円)にもよくあった。
日曜日の午後5時の店内は、男性客でいっぱいであった。一人客も多い、常連らしき同志が会話をし、離れた席にいる客同士が帰り際には声をかけあって帰ってゆく。店の女将さんや若い女性がきちんと客の相手をしている。ちゃんとした人と人のコミュニケーションがある。
私の大好きなオランダ人俳優ルトガー・ハウアーが主演した、エルマンノ・オルミ監督の『聖なる酔っぱらいの伝説The Legend of the Holy Drinker 』(1988年)という映画がある。
「ルトガ・ハウアー演ずる主人公アンドレアスはセーヌ河畔に寝泊りするホームレス。ある日、老紳士から200フランを渡される。そんな大金はとても返せないと辞退するが、紳士は「返せる時が来たら聖テレーズ像のある教会に返してくれ」と言い残して去っていってしまう。この時からアンドレアスには次々と幸運が舞い込んでくるのだが・・・」という物語である。
人生に疲れきった主人公がパリの酒場で独りきりで飲み続けるシーンが実に悲しい。閉店まで飲み続ける主人公に店の人間たちは冷たい。同じ酒を呑むにしても、日本の居酒屋だったら、アンドレアスはどれだけ救われたのではないかと思ってしまう。肉、魚、野菜とバランスの良い健康的なつまみが日本の居酒屋にはある。そして、ゆるやかなコミュニティが存在する。
日本の居酒屋は日本が誇るべき「飲食形態」であると思う。
1時間30分の滞在で二人で2920円。
中目黒 串揚げ「串八」
住所 東京都目黒区上目黒3-7-5 三起ビル1F
電話 03-3710-7832
定休日 無休・但し12月31日~1月3日迄は休み
営業時間 16:00~24:00(L.O.23:30)
交通 東急東横線・営団地下鉄日比谷線中目黒駅下車徒歩1分。
実力派俳優になりたい人は→ 咲良舎/櫻塾
居酒屋探偵DAITENの生活 第33回 【地域別】 【時間順】
中目黒 串揚げ「串八」
紹介する居酒屋の基準
毎週金曜日夜と日曜日の午後に、咲良舎アクティングプレイスの「MIプロジェクト」の稽古が続いている。今日もその稽古であった。これだけ細かい稽古も今までにはない。参加者にとっても指導するSAKURAにとっても実に有意義な時間であると思う。
本日の稽古場は中目黒であった。実は2日前の金曜日も同じ中目黒の稽古場であり、帰りにメンバーの創間元哉とSAKURAと3人で飲むことになった。その店は、以前にも入ったことのある店で、決して悪い店ではない。しかし、問題点が一部にあり、この「居酒屋探偵DAITENの生活」で紹介するまでもないというだけである。居酒屋探偵DAITENは、ホッピー原理主義者であり、大規模チェーン居酒屋を好まない、居酒屋でのマナーにうるさい等、頑な傾向があると思われがちであるが、必ずしもそうではない。
ただ単に「居酒屋ファン」の皆さんに、質のよくない情報を提供したくないだけである。私の基準は簡単である。「比較的質の良い食材を提供してくれ、ごく普通の皆さんが気軽に寄ることが出来る雰囲気であり、価格の安い店であること」それだけである。
そんな店をまた一軒中目黒で見つけてしまった。
中目黒 串揚げ「串八」
SAKURAと入ったその店は、中目黒駅改札を出て左側、線路沿いを祐天寺方面に少し戻った所にある。
店の外観は一面ガラスである。左右にガラスの扉が2枚、中央も一枚ガラスである。そのガラスにはたくさんの短冊が貼られている。以前から一度入ってみたいと思っていた店である。串揚げ「串八」。以前に紹介した、作家・戯曲家の井上ひさし氏の弟さんが経営する居酒屋「ごっつぁん」の二軒隣である。
この店は瓶ビールの種類が珍しいことに5種類もある。エビスビール大瓶が500円、他にサッポロ黒ラベル大瓶、アサヒスーパードライ大瓶、キリンラガー大瓶、キリン一番搾り大瓶がすべて450円である。瓶ビールを頼むと、「店の都合で選ばれた瓶ビール」があてがわれるのが常である。特にSAKURAと私は、スーパードライが瓶ビールであるというだけでその店に入らない場合も多い。極端なアンチスーパードライ派である。それが、5種類から瓶ビールを選ぶことができる。そんな店は本当に珍しい。この1点だけでこの店を気に入ってしまった。我々はエビスビール大瓶(500円)を選んだ。店の若い女性がお酌をしてくれた。1杯目だけお酌をしてくれるというのは、男性の一人客にとってうれしいことに違いない。男の愚かさと言うなかれ、繰り返されるささやかな気づかいに人は心動かされるのである。今日のエビスは本当にうまかった。
(2008.9追記 仕入れ価格の高騰により、瓶ビールはそれぞれ50円ずつ値上。)
つまみは、ホッケ焼(500円)、平政刺身(400円)、串揚げ5本セット(580円)を頼んだ。
この店には「晩酌セット」というサービス商品がある。中身は、生ビール、酒、サワー、ウーロンハイ、ウイスキーの中から3杯を飲み、料理が3品付くというものである。それで1,280円である。晩酌セットは数多くあるが酒類3杯というのは珍しい。次回試してみたいと思う。
(2008.9追記 晩酌セットは1,340円に値上。)
最初に平政の刺身がやってきた。新鮮な切り身が5切れで400円である。身がプリブリとして400円とは思えぬ質である。次にやってきたのが串揚げ5本セット、玉ネギ、さつまいも、鶏モモ肉、アジ、アスパラ肉巻の5本で580円である。両方とも安くてうまい。
二杯目に選んだ酒は、升酒(400円)である。銘柄は吉乃川、飲みやすい酒である。
最後にやってきたホッケ焼きもうまかった。油がのっていて、追加した生レモンサワー(400円)にもよくあった。
日曜日の午後5時の店内は、男性客でいっぱいであった。一人客も多い、常連らしき同志が会話をし、離れた席にいる客同士が帰り際には声をかけあって帰ってゆく。店の女将さんや若い女性がきちんと客の相手をしている。ちゃんとした人と人のコミュニケーションがある。
私の大好きなオランダ人俳優ルトガー・ハウアーが主演した、エルマンノ・オルミ監督の『聖なる酔っぱらいの伝説The Legend of the Holy Drinker 』(1988年)という映画がある。
「ルトガ・ハウアー演ずる主人公アンドレアスはセーヌ河畔に寝泊りするホームレス。ある日、老紳士から200フランを渡される。そんな大金はとても返せないと辞退するが、紳士は「返せる時が来たら聖テレーズ像のある教会に返してくれ」と言い残して去っていってしまう。この時からアンドレアスには次々と幸運が舞い込んでくるのだが・・・」という物語である。
人生に疲れきった主人公がパリの酒場で独りきりで飲み続けるシーンが実に悲しい。閉店まで飲み続ける主人公に店の人間たちは冷たい。同じ酒を呑むにしても、日本の居酒屋だったら、アンドレアスはどれだけ救われたのではないかと思ってしまう。肉、魚、野菜とバランスの良い健康的なつまみが日本の居酒屋にはある。そして、ゆるやかなコミュニティが存在する。
日本の居酒屋は日本が誇るべき「飲食形態」であると思う。
1時間30分の滞在で二人で2920円。
中目黒 串揚げ「串八」
住所 東京都目黒区上目黒3-7-5 三起ビル1F
電話 03-3710-7832
定休日 無休・但し12月31日~1月3日迄は休み
営業時間 16:00~24:00(L.O.23:30)
交通 東急東横線・営団地下鉄日比谷線中目黒駅下車徒歩1分。
実力派俳優になりたい人は→ 咲良舎/櫻塾
諸物価高騰