赤羽「まるます家」~池袋「ふくろ」
Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第34回 2007年8月18日(土) 【地域別】 【時間順】
赤羽「まるます家」~池袋「ふくろ」
赤羽「まるます家」
連日35度以上の猛暑日が続くこの夏、久しぶりに暑さが一時的に弱まった土曜日の午後、私とASIMO君は、相談の上、昼酒と決め込んだ。
山手線池袋から田端を底辺として、埼京線の池袋から赤羽を左辺、京浜東北線の田端から赤羽を右辺とする三角形、東京城北地区の「居酒屋ゴールデントライアングル」へ再びの来訪である。
前回は、王子で山田屋酒場に行き、そこから東十条に移動、東十条から十条まで歩いて、和田屋、斉藤酒場の2軒を探訪した。今回は赤羽、十条、池袋の3カ所を訪問する予定だったが、私が午後6時から渋谷で用事がある為、前回訪問した十条は断念することにした。
埼京線に乗って赤羽駅についたのは午後2時頃であった。赤羽駅東口側に出て、駅から1分の場所にある立ち飲み「いこい」を目指す。最初に目に入ったのは、「キャバレー太郎」こと福富太郎氏が経営するキャバレー「ハリウッド」である。すでに故人ではあるが、私の友人の父親がハリウッドの重役をしていたことがあるので、なんとなく馴染みがある。ハリウッドの斜め前に、有名な立ち飲み店「いこい」はあった。ところが、朝7時からやっている筈なのに、シャッターが閉まっている。前まで行くと、夏休みの告知が貼ってある。残念な気持ちで、次の店へと向かった。
駅前に向い、道を渡って、駅前から見て北東方面に広がる「赤羽一番街商店会」に入ってゆく。左にカーブしている道を50メートルほど進むと左側の角地に今日の目的地「まるやす家」の提灯が見えてきた。
中をのぞくと、コの字が二つ連なっている大カウンターがある。右側の端に4席空いているのを発見。二人であることを伝えて座る。ここで、ついつい左右に席を空けて座ってしまう。すると、「詰めて座ってくださーい」と言われる。こういう混んでいる店では当然のことである。
まず、頼んだのはチューハイである。「チューハイ二つ」と言うと、「徳用にしますか?」と聞かれる。私たちの左隣の人の前に、それらしき物が置かれている。これだと思い、「お願いします」と答えた。短冊には「チューハイ徳用(950円)」と書かれている。1リットル入りの「ハイリキ」の徳用瓶である。ドンと置かれる徳用瓶のハイリキと、氷の入ったジョッキ二つ。ジョッキで4杯から5杯は飲める量である。本当に徳用である。
チューハイで乾杯をする。思ったよりも甘さがなくて飲みやすい。
つまみは、「鯉のあらい(400円)」と、牛すじ煮込み(450円)を頼んだ。
やがてやってきた煮込みを食べると、「この煮込みうまいですね」とASIMO君。同感である。煮込みを食べているうちに、ビールが飲みたくなってしまった。
「珍しいですね」とASIMO君に言われる。
サッポロラガービール大瓶(500円)を頼んだ。いわゆる「赤星」である。スーパードライなら飲まない。「赤星」だから飲むのである。
次に頼んだつまみは、「うなぎのバラ身ポン酢和え(350円)」と「里いも唐揚げ(350円)」である。
この店では、二つのコの字カウンターの中に一人づつ女性が居て、我々から聞いた注文を大声で伝える。すると、それを聞いた二つのコの字カウンターの真ん中の部分に立っている女将さんらしき人が再び甲高い声で復唱するのである。そして、目の前の板の上の釘にプラスチックのプレートをさしてゆくのである。これで、伝票なしで勘定が出来るのである。
この作業が停滞した時、「ちょいまち~」と女将さんが歌うように言った。すると、お姉さんが「まってるわよ~」と歌うように答える。楽しいやりとりである。
「うなぎのバラ身ポン酢和え(350円)」がやってくる。これがうまい。
さらに、「里いも唐揚げ」が来た。お姉さんが「おいもちゃんおまたせ~」と歌うように言った。この「里いも唐揚げ」がまたうまいのである。酒飲みはこういう単純でうまいものが食べたいのである。
午後3時に勘定をお願いする。50分ほどの滞在で二人で3000円ぴったりであった。
「まるます家」を出た後、すぐそばのおでんの「丸健水産」をのぞいた後、「OK横町」に入り、昼間からやっている何軒もの居酒屋をのぞく。「吉田類の酒場放浪記」でも紹介された鰻の「川栄」も発見した。まさに、「昼酒天国赤羽スタイル」である。
池袋「ふくろ」
赤羽駅から埼京線に乗り込み、池袋を目指す。途中で、名居酒屋が建ち並ぶ街「十条」に降りたい気持ちをぐっと抑える。時間がないのである。
池袋についたのは午後3時30分であった。メトロポリタンプラザ側に出て、エスカレーターで地上へ。池袋西口公園前に出る。公園のすぐ前の路地に入るとそこに三階建ての「ふくろ」のビルがある。ビルの1階と2階がカウンター席、3階はテーブル席と座敷になっている。前回は3階の座敷だったが、今回は常連が座る1階のカウンター席を狙いを定めて入った。
中に入ると、目の前に30人ほどが座れる大カウンターが広がっていた。説明しにくいのであるが、全体が大きなLの字になっていて、Lの字の上の方はコの字になっている。Lの時の下辺に店の入口があり、L字の上の部分にも、もう一つ入口がある。
すでにたくさんの人たちが飲んでいた。L字の上の方、左側に空席があり、そこに座る。
やはり、ホッピーである。焼酎の入った緑色のガラス徳利の1合ビン、氷の入ったサワーグラス、ホッピーの瓶、マドラー付の氷入れの4種が出てくる。焼酎が190円。ホッピー瓶190円、併せて380円である。これは、自分のペースでホッピーを呑める、最高の組み合わせである。ASIMO君も「これはいいですね」と感心していた。
コースター代わりに「おしぼり」をグラスの下に1枚づつ敷いてくれ、これがテーブルが濡れるのを防いでいる。実に合理的である。
私は、サワーグラスに入った氷を氷入れに戻し、ホッピー原理主義的に一杯いただく。
次の予定がある為、ここで残りの焼酎はASIMO君に提供してしまい、自分はホッピーのみの追加、「ハイレモン(160円)」と呼ばれるアルコールの入っていないサワー類の瓶を飲むことにした。
つまみは、「タン塩焼き(400円)」、「刺身盛り合わせ(800円)」を頼んだ。刺身はマグロ、イカ、タコ、カンパチの4種であった。さらに、小柱かき揚げ(350円)、ウインナ(350円)なども頼んだ。
途中、私たちの斜め左前に座っていた御老人が店の女性に何か言っている。よく聞いてみると、壁の時計が15分すすんでいることにクレームをつけているのであった。
午後5時30分までに渋谷に行かなければならなかったので、このクレームは、私にも関係のある話であった。我々も15分すすんだ状態を信じて時間配分をしていたのである。
言われた女性も「お店の時計なので~」と曖昧に答えている。きっと、意図的に15分すすめてあるのである。周囲を見まわすと、店内で問題を起こさないようにという内容の長い文章が何カ所にも貼ってある。池袋という地域で朝からやっている居酒屋である。色々と問題も起こるのだろうなあと改めて思い知った。
「私はバスで帰る都合があるので、時計を本来の時間にしていただきたいだけなのです」と、老人は丁寧な言葉のまま怒っている。しかし、店側が直す様子もないことに痺れを切らしてか、勘定を済ませて出て行ってしまった。千円ほど払って、杖をつきながらフラフラと店を出て行く後ろ姿に「孤独」がまとわりついていた。
「ふくろ」の2階席も1階と同じような大カウンターがある。我々がいる間も、1階に空き席があるのに、迷わず2階に上がってゆく一人客が何人もいた。きっと、1階と2階とでは、カウンター席にも雰囲気の違いが微妙にあるのかもしれない。次回は2階席に行ってみたいと思う。
居酒屋にはドラマがある。ASIMO君も「ふくろ」が気に入ったようであった。また、「ふくろ」には、池袋東口にも支店がある。そちらにも行ってみたいものだと話し合った。
午後4時50分、外にでる。1時間10分ほどの滞在、二人で3570円であった。
赤羽 まるます家
東京都北区赤羽1-17-7
03-3901-1405
定休日 月曜
営業時間 09:00~21:30
池袋 ふくろ
東京都豊島区西池袋1-14-2
電話03-3986-2968
年中無休
営業時間 平日07:00~24:00(2、3階16:00~24:00)日曜祝日07:00~23:00)
JR「池袋駅」西口徒歩1分
ホッピー有
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら
実力派俳優になりたい人は→ 咲良舎/櫻塾
居酒屋探偵DAITENの生活 第34回 2007年8月18日(土) 【地域別】 【時間順】
赤羽「まるます家」~池袋「ふくろ」
赤羽「まるます家」
連日35度以上の猛暑日が続くこの夏、久しぶりに暑さが一時的に弱まった土曜日の午後、私とASIMO君は、相談の上、昼酒と決め込んだ。
山手線池袋から田端を底辺として、埼京線の池袋から赤羽を左辺、京浜東北線の田端から赤羽を右辺とする三角形、東京城北地区の「居酒屋ゴールデントライアングル」へ再びの来訪である。
前回は、王子で山田屋酒場に行き、そこから東十条に移動、東十条から十条まで歩いて、和田屋、斉藤酒場の2軒を探訪した。今回は赤羽、十条、池袋の3カ所を訪問する予定だったが、私が午後6時から渋谷で用事がある為、前回訪問した十条は断念することにした。
埼京線に乗って赤羽駅についたのは午後2時頃であった。赤羽駅東口側に出て、駅から1分の場所にある立ち飲み「いこい」を目指す。最初に目に入ったのは、「キャバレー太郎」こと福富太郎氏が経営するキャバレー「ハリウッド」である。すでに故人ではあるが、私の友人の父親がハリウッドの重役をしていたことがあるので、なんとなく馴染みがある。ハリウッドの斜め前に、有名な立ち飲み店「いこい」はあった。ところが、朝7時からやっている筈なのに、シャッターが閉まっている。前まで行くと、夏休みの告知が貼ってある。残念な気持ちで、次の店へと向かった。
駅前に向い、道を渡って、駅前から見て北東方面に広がる「赤羽一番街商店会」に入ってゆく。左にカーブしている道を50メートルほど進むと左側の角地に今日の目的地「まるやす家」の提灯が見えてきた。
中をのぞくと、コの字が二つ連なっている大カウンターがある。右側の端に4席空いているのを発見。二人であることを伝えて座る。ここで、ついつい左右に席を空けて座ってしまう。すると、「詰めて座ってくださーい」と言われる。こういう混んでいる店では当然のことである。
まず、頼んだのはチューハイである。「チューハイ二つ」と言うと、「徳用にしますか?」と聞かれる。私たちの左隣の人の前に、それらしき物が置かれている。これだと思い、「お願いします」と答えた。短冊には「チューハイ徳用(950円)」と書かれている。1リットル入りの「ハイリキ」の徳用瓶である。ドンと置かれる徳用瓶のハイリキと、氷の入ったジョッキ二つ。ジョッキで4杯から5杯は飲める量である。本当に徳用である。
チューハイで乾杯をする。思ったよりも甘さがなくて飲みやすい。
つまみは、「鯉のあらい(400円)」と、牛すじ煮込み(450円)を頼んだ。
やがてやってきた煮込みを食べると、「この煮込みうまいですね」とASIMO君。同感である。煮込みを食べているうちに、ビールが飲みたくなってしまった。
「珍しいですね」とASIMO君に言われる。
サッポロラガービール大瓶(500円)を頼んだ。いわゆる「赤星」である。スーパードライなら飲まない。「赤星」だから飲むのである。
次に頼んだつまみは、「うなぎのバラ身ポン酢和え(350円)」と「里いも唐揚げ(350円)」である。
この店では、二つのコの字カウンターの中に一人づつ女性が居て、我々から聞いた注文を大声で伝える。すると、それを聞いた二つのコの字カウンターの真ん中の部分に立っている女将さんらしき人が再び甲高い声で復唱するのである。そして、目の前の板の上の釘にプラスチックのプレートをさしてゆくのである。これで、伝票なしで勘定が出来るのである。
この作業が停滞した時、「ちょいまち~」と女将さんが歌うように言った。すると、お姉さんが「まってるわよ~」と歌うように答える。楽しいやりとりである。
「うなぎのバラ身ポン酢和え(350円)」がやってくる。これがうまい。
さらに、「里いも唐揚げ」が来た。お姉さんが「おいもちゃんおまたせ~」と歌うように言った。この「里いも唐揚げ」がまたうまいのである。酒飲みはこういう単純でうまいものが食べたいのである。
午後3時に勘定をお願いする。50分ほどの滞在で二人で3000円ぴったりであった。
「まるます家」を出た後、すぐそばのおでんの「丸健水産」をのぞいた後、「OK横町」に入り、昼間からやっている何軒もの居酒屋をのぞく。「吉田類の酒場放浪記」でも紹介された鰻の「川栄」も発見した。まさに、「昼酒天国赤羽スタイル」である。
池袋「ふくろ」
赤羽駅から埼京線に乗り込み、池袋を目指す。途中で、名居酒屋が建ち並ぶ街「十条」に降りたい気持ちをぐっと抑える。時間がないのである。
池袋についたのは午後3時30分であった。メトロポリタンプラザ側に出て、エスカレーターで地上へ。池袋西口公園前に出る。公園のすぐ前の路地に入るとそこに三階建ての「ふくろ」のビルがある。ビルの1階と2階がカウンター席、3階はテーブル席と座敷になっている。前回は3階の座敷だったが、今回は常連が座る1階のカウンター席を狙いを定めて入った。
中に入ると、目の前に30人ほどが座れる大カウンターが広がっていた。説明しにくいのであるが、全体が大きなLの字になっていて、Lの字の上の方はコの字になっている。Lの時の下辺に店の入口があり、L字の上の部分にも、もう一つ入口がある。
すでにたくさんの人たちが飲んでいた。L字の上の方、左側に空席があり、そこに座る。
やはり、ホッピーである。焼酎の入った緑色のガラス徳利の1合ビン、氷の入ったサワーグラス、ホッピーの瓶、マドラー付の氷入れの4種が出てくる。焼酎が190円。ホッピー瓶190円、併せて380円である。これは、自分のペースでホッピーを呑める、最高の組み合わせである。ASIMO君も「これはいいですね」と感心していた。
コースター代わりに「おしぼり」をグラスの下に1枚づつ敷いてくれ、これがテーブルが濡れるのを防いでいる。実に合理的である。
私は、サワーグラスに入った氷を氷入れに戻し、ホッピー原理主義的に一杯いただく。
次の予定がある為、ここで残りの焼酎はASIMO君に提供してしまい、自分はホッピーのみの追加、「ハイレモン(160円)」と呼ばれるアルコールの入っていないサワー類の瓶を飲むことにした。
つまみは、「タン塩焼き(400円)」、「刺身盛り合わせ(800円)」を頼んだ。刺身はマグロ、イカ、タコ、カンパチの4種であった。さらに、小柱かき揚げ(350円)、ウインナ(350円)なども頼んだ。
途中、私たちの斜め左前に座っていた御老人が店の女性に何か言っている。よく聞いてみると、壁の時計が15分すすんでいることにクレームをつけているのであった。
午後5時30分までに渋谷に行かなければならなかったので、このクレームは、私にも関係のある話であった。我々も15分すすんだ状態を信じて時間配分をしていたのである。
言われた女性も「お店の時計なので~」と曖昧に答えている。きっと、意図的に15分すすめてあるのである。周囲を見まわすと、店内で問題を起こさないようにという内容の長い文章が何カ所にも貼ってある。池袋という地域で朝からやっている居酒屋である。色々と問題も起こるのだろうなあと改めて思い知った。
「私はバスで帰る都合があるので、時計を本来の時間にしていただきたいだけなのです」と、老人は丁寧な言葉のまま怒っている。しかし、店側が直す様子もないことに痺れを切らしてか、勘定を済ませて出て行ってしまった。千円ほど払って、杖をつきながらフラフラと店を出て行く後ろ姿に「孤独」がまとわりついていた。
「ふくろ」の2階席も1階と同じような大カウンターがある。我々がいる間も、1階に空き席があるのに、迷わず2階に上がってゆく一人客が何人もいた。きっと、1階と2階とでは、カウンター席にも雰囲気の違いが微妙にあるのかもしれない。次回は2階席に行ってみたいと思う。
居酒屋にはドラマがある。ASIMO君も「ふくろ」が気に入ったようであった。また、「ふくろ」には、池袋東口にも支店がある。そちらにも行ってみたいものだと話し合った。
午後4時50分、外にでる。1時間10分ほどの滞在、二人で3570円であった。
赤羽 まるます家
東京都北区赤羽1-17-7
03-3901-1405
定休日 月曜
営業時間 09:00~21:30
池袋 ふくろ
東京都豊島区西池袋1-14-2
電話03-3986-2968
年中無休
営業時間 平日07:00~24:00(2、3階16:00~24:00)日曜祝日07:00~23:00)
JR「池袋駅」西口徒歩1分
ホッピー有
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら
実力派俳優になりたい人は→ 咲良舎/櫻塾