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自由が丘 やきとり「かとりや」第3回

居酒屋探偵DAITENの生活 第379回 2010年10月30日(土) 【地域別】  【時間順】




自由が丘 やきとり「かとりや」 第3回

  ~2010年2月新装開店後初訪問~

 
  自由が丘やきとりかとりや新店舗外観
 

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 本日の1軒目の店を出て、中目黒駅に向かう途中、sakuraからメールが入った。「自由が丘辺りで飲みたい」という。どうやら目当ての店があるようだ。いや、あの店に違いないと予想できた。実は一昨日、一人でその店に行ってきたと聞いていたのである。中目黒駅で下り線ホームに立つ。やってきたのは、中目黒から自由が丘まで4分で行ってくれる東横特急であった。

 自由が丘に到着すると、下りホームからの階段を降りて、駅前のロータリー側の改札へ向かう。ここの改札は一見一つの改札口のようであるが、実は駅の中から見て左手のロータリー側へ出る口が正面口、すぐ右手のガード下に出る口が北口なのである。正面口と北口の改札からは、大井町線の上りホームへ階段を使わず直接行けるようになっている。
 大井町から二子玉川に至る今の大井町線が田園都市線と呼ばれていた時代、小学校四年生の頃である。両親から離され、遠く離れた三浦半島の教育施設で集団生活をおくっていた。その学校から久しぶりに集団で里帰りをした時の思い出である。自由が丘の駅前に並ばされ、それぞれの親が迎えに来るのを待っていた。広い駅の構内に滑り込んでくる電車の姿を改札の外から見て、電車に向かって急ぐ人々の背中を見ながら、何故かとても興奮したことを覚えている。

 北口改札からガード下に出て、東横線と大井町線に挟まれた三角地帯に入る。その一画には、あの居酒屋「金田」を始め、うなぎ「ほさか」などの有名居酒屋が並んでいる。この二軒との居酒屋ゴールデントライアングルを構成しているもう一店、やきとり「かとりや」が今日の二軒目である。
 
 前回の記事に書いた通り、台風が接近している。午後6時を過ぎ、いつもならば、満席で入れない時間帯である。それがカウンターに空席が目立つ状態。ここ何回か入れないことが続いていたので、今日は幸運である。天候の悪さは、居酒屋好きの見方だ。

 今年の2月にお店をリニューアルしてからずっと来てみたいと思っていた。
 カウンターの位置は以前と変わらないけれど、ずっと明るく奇麗になっている。前のお店の頃からいる二人の男性に加え、ママさんが加わっていた。着物が似合いそうな細身の美人。その後のお話から経営者の奥様のようである。
 まずは、チューハイ(380円)をママさんにお願いする。
 お店の方々は3人とも胸に「焼鳥かとりや」と白文字で書かれた紺色のTシャツを着ている。

 「鳥刺し、お願いします」とママさんへ。
 「今日はレバ刺しもありますよ」と気遣ってくれる。火曜、木曜、土曜にしかレバ刺しが入らないからである。 
 「鳥刺しが食べたいのでお願いします」と言う。
 
 鳥刺し(500円)がやってくる。これが美味しかった。

 やがて、仕事帰りのsakuraが登場。
 すると、ママさんが何かを持ってきて、sakuraに渡した。
 一昨日、一人で来た時に、忘れて帰ってしまった折りたたみ傘用の傘入れだった。
 二人揃ったので焼き物をお願いした。鳥ねぎまぎんなんながいもレバーを各2本。それぞれ各100円である。
 私のグラスを見て、sakuraチューハイ(380円)を頼んだ。私も2杯目をもらうことにする。

 隣の方がママさんに「どうして、かとりやという店名なの?」と聞く。
 「うちの旦那のおじいさんが千葉の香取の出身だからって聞いてます」とのこと。
 私も初めて知ったことであった。

 6時半を過ぎて混み始めた。お店がリニューアルしてから椅子のあるカウンターとは別に、入って左手の壁に立呑み専用のカウンターが出来た。一人の男性がそこに立って飲み始めた。空席がいくつもあるのに、そこに立っている。自分のスタイルを守るのはかっこいいことだと思う。

 3杯目は冷酒二合(580円)を1瓶もらう。日本酒を飲むと昔のことを思い出す。そんな歳になってしまったようだ。
 鳥刺しを食べながら、今はもう亡くなった横浜の焼き鳥屋の親父さんのことを思い出した。メニューに鳥刺しと書いてあるのに、よほど良い肉が入らないと作ってくれない。しかも、かなり機嫌の良い時、常連でも気に入った相手にしか作ってくれなかった。家族ぐるみの付き合いをしていた私でさえ、2回しか食べたことがなかった。
 その人は自分の作る料理にとても自信を持っており、発言が過激なので、料理のことで客とよくぶつかった。強面の風貌で周囲を寄せ付けない雰囲気を持っている。飲み過ぎて人に迷惑をかけるような客がいると、牛刀片手にたたき出してしまう。それでいて、お茶目な一面も持っている人だった。時折、私と二人きりの時など、身振り手振りで様々な武勇伝を話してくれた。ブラジル移民であった若い頃の話。週に2回透析を受けている人なので、その透析の現場での話。最初の奥さんがラテン系の美人、したがって御長男はハーフのイケメン青年だった。そして、二人目の奥さんも娘さんのように若い女性だった。ずいぶんと世話にもなった。正直言って困ったこともあった。
 やがて、私が引越をしてから店をやめてしまい、入院をしたと人づてで聞いた。会いにゆこうと思っているうちに亡くなってしまった。私の人生にとって「台風」のような人であった。

 お店に人が入ってくる。その度に外を見た。雨はほとんどあがっている。「台風」は去ってしまったようである。厚揚げ(280円)を頼む。
 ママさんが柔らかく「はいよ~」と言う返事が艶っぽい。
 第91回の記事で書いた頃は、店に入るといきなり「生?」と聞かれ、直後に「厚揚げ焼く?」と言われたものである。
 その度に、私はよほど厚揚げが好きそうな顔なのか?と心の中で笑ったものである。しかし、実際には厚揚げは足が速いので、その日のうちに使いきりたいというだけに違いない。

 エビスビール中瓶(500円)を頼む。
 若いお客さんが次々に入ってくる。女性だけの二人連れやカップルが多い。土曜日である為かもしれないけれど、以前とはまったく違う店内の雰囲気であった。二本目のエビスビール中瓶(500円)を追加。さんざん飲んでもエビスはうまいのである。
 第38回の記事に書いたような「男酒場」がずいぶんと様子を変えていた。居酒屋にとって、やはり、女将さんやママさんの存在は大きい。
 午後6時10分から7時30分まで1時間20分ほどの滞在。お勘定は2人で4,300円であった。

 今週もまた飲み過ぎの土曜日となってしまった。

 (了)


   ※  ※  ※

 2011年9月4日 再訪

 SARAKUと二人、日曜日の夕方に再訪。自由が丘はお祭りである。入口が開け放たれていた。
 SAKURAは一人であったり、女優たちをつれて何度か来ているようだけど、私は久しぶりである。メインのL字カウンターは20人が座っていて満席。左手の壁に作られた立ちのみ用カウンターに立つ。顔の前に扇風機があって涼しい。カウンターの高さは、やはりもう少し高いほうが良いかもしれない。
 たる酒(330円)2杯。鳥ねぎま(100円)、かしら(100円)、鳥つくね(140円)を各2本、牛煮込み(380円)。
 お通しはキャベツ浅漬け
 「お通しはサービスです。いらない方は言ってください」という紙が冷蔵庫に貼ってあった。
 残されたくない気持ちのあらわれである。良いことである。
 ママさんは相変わらず美人でテキパキ。
 牛煮込みはジャガイモが汁に溶けていて美味い。焼き物も美味しかった。
 トマト割(380円)を2杯追加。
 二人連れの若者たちの連れがやってくる。
 「お兄さんたち動かないでね」とママさん。
 やはり、ママさんのオペレーションは素晴らしい。
 最後に抹茶割(380円)を1杯だけいただいて、締める。2420円であった。



第2回紹介 居酒屋探偵DAITENの生活 第91回 2008年4月13日(日)
第1回紹介 居酒屋探偵DAITENの生活 第38回 2007年9月9日(日)


自由が丘 やきとり「かとりや」
住所 東京都目黒区自由が丘1-12-9
電話 03-3718-5505
定休日 日曜・祝日
営業時間 17:00~23:00
交通 東急東横線・営団地下鉄日比谷線自由が丘駅北口下車徒歩1分。

ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。

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テーマ : 居酒屋
ジャンル : グルメ

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Re: 諸刃の剣

GAI殿

居酒屋探偵DAITENです。

> 大きな声で、身振り手振りを交えて語ってくれたね。
> 包丁はいつも鋭く研がれていた。
> まったく、諸刃の剣のような人だったね、

その通り、その通りの人だった。
あの人のことは書きたいと思っている。
題名も考えてあるんだ。

Re: 酒場以上に・・・

happy_thursday 様

居酒屋探偵DAITENです。

> 初めてコメントする数年前からここを訪れて読み漁って「これはとても
> 味わいがあっていいな」と、酒場巡りに真似してでかけたものです。
> 今日の記事を読み、あらためて「やはりこのブログに惹かれた自分は
> 正解だった」と自己満足に浸っております。

ありがとうございます。
感涙にむせび泣く、そんなコメントです。

古くなって澱のように何かが心に溜まってしまわないように
気をつけて生きてゆきたいと思います。

諸刃の剣

懐かしいね。横浜の焼き鳥屋の親父さん。
ブラジルでの武勇伝で覚えているのは
「農耕用の納屋に入るとコブラが鎌首もたげて
シャッーと睨みつけてきた
周りには誰もいない 血の気が引く
とっさに 側にあった草刈り用の大き鉈で
スパッと首を撥ねた」
ちょっと違うかもしれないけどw
大きな声で、身振り手振りを交えて語ってくれたね。
包丁はいつも鋭く研がれていた。
まったく、諸刃の剣のような人だったね、

酒場以上に・・・

こんにちは。

ひとりして酒場に入ることができなかった頃、好きな雑誌
「散歩の達人」(いまは読まなくなりましたが)的な散歩を
していた頃に、自由が丘のここの前を通りました。
自由が丘にはこのような店はないと勝手に思っていたので、
とても新鮮で、自分好みに近かったので嬉しくなりました。
混んでいたし入る勇気も当時はなかったので入らずに帰宅しましたが。

>大井町から二子玉川に至る今の大井町線が田園都市線と
>呼ばれていた時代、小学校四年生の頃である。
>両親から離され、遠く離れた三浦半島の教育施設で
>集団生活をおくっていた。
>その学校から久しぶりに集団で里帰りをした時の思い出である。
>自由ヶ丘の駅前に並ばされ、それぞれの親が迎えに来るのを待っていた。
>広い駅の構内に滑り込んでくる電車の姿を改札の外から見て、電車に
>向かって急ぐ人々の背中を見ながら、何故かとても興奮したことを覚えている。

>日本酒を飲むと昔のことを思い出す。そんな歳になってしまったようだ。

店内の様子やママさんもたしかに魅力的ですが、やはり私には
横浜の焼き鳥屋さんの親父さんの回想シーンも含めて、DAITENさんの
このような人生経験が胸に響きます。
そして次に、酒場がある。
人がいる。

初めてコメントする数年前からここを訪れて読み漁って「これはとても
味わいがあっていいな」と、酒場巡りに真似してでかけたものです。
今日の記事を読み、あらためて「やはりこのブログに惹かれた自分は
正解だった」と自己満足に浸っております。
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プロフィール

新岳大典

Author:新岳大典
新岳大典(ARATAKE DAITEN)
作家・コーディネーター。

居酒屋探偵daiten(izakaya detective DAITEN)として活動。劇集団咲良舎制作。多目的スペース「かたびら・スペース・しばた。」クリエイティブ・ディレクター。
演出家守輪咲良のブログ「さくらの便り」ブログ「人間日和」を運用中。
2011.7よりfacebook参加。2011.8より「ブクログのパブー」にて居酒屋短編小説を中心に発表開始。
 2014年9月6日より独自ドメイン取得によりURLがhttp://daitenkan.jp/に変更。

 なお、ブログのプロフィール写真は仙台四郎(せんだいしろう)の人形を撮影したもので新岳本人ではない。
 その時代、仙台四郎が訪れる店は繁盛するとして各地でもてなされたそうである。没後は商売繁盛の「福の神」としてその写真が店に飾られるようになったとのこと。

地名タグ
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