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蒲田 炭火焼やきとり「とり薪・京急蒲田店」

居酒屋探偵DAITENの生活 第390回 2011年1月10日(月) 【地域別】  【時間順】


 ※2011年5月閉店


蒲田 炭火焼やきとり「とり薪・京急蒲田店」



  京急蒲田炭火やきとり「とり薪・京急蒲田店」外観


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 地元の八幡神社に正月のお飾りをお返ししたその足で蒲田に買い物に行った。
 今年の成人式は本日1月10日である。蒲田の東口広場から京浜急行の京急蒲田駅に向かって歩いてみた。途中、たくさんの晴れ着を着た女性たちに何度も出会った。とにかく、よく目立つ。そばに男性もいるのだけれど、女性の晴れ着に比べれば地味な服装なので目立たない。一人、二人、まるで七五三のような派手な着物を着ている「男の子」もいたけれど、どうお世辞を言ったとしてもかっこ良いとは思えない。男の場合、ある程度の年齢にならないと着物は無理なのかもしれない。

 京急蒲田駅の近くに到着したのは午後1時過ぎであった。
 羽田空港の国際線化に伴い、羽田にもっとも近い繁華街である蒲田は、急激な速度で再開発されている。京急蒲田駅がリニューアルされ、駅の近くには高層マンションが次々に建っている。京急蒲田商店街「あすと」のアーケード街の入口辺りも工事現場になっていた(写真)。

  京急蒲田商店街あすと工事

 アーケード街の左片側に白い隔壁が作られていた。ここに地上14階の建物が建つそうである。まるで、白い雪のトンネルのようだ。右片側ではお店がちゃんと営業している。
 まだ、時間が早いので食事をする店は開いていても居酒屋は開いていない。この街でこんなに早い時間から営業している店といえば、前を通る度に必ず営業している店、炭火焼やきとり「とり薪・京急蒲田店」である。
 京急蒲田駅前から京急蒲田商店街「あすと」アーケード街に入る。すると、すぐに左に曲がる道がある。狭いけれど、この部分もまたちゃんとしたアーケード街になっており屋根がある。この道へ曲がると、三十メートルほどで短いアーケードは終わってしまう。この短いアーケード街の左手に、炭火焼やきとり「とり薪・京急蒲田店」がある。並びの手前には、第309回で紹介した立ち呑みや「のーぜ」もあるがまだ開店していない。

 とり薪さんの特徴である黄色い派手な巨大アクリル看板が店の入口の上に付きだしているので、すぐに解る。入口の左右には、ホッピーの幟や赤提灯やビールケースなどが雑然と置かれている。また、古びた縄のれんが渋くて良い。
 縄のれんをくぐり、入口を入る。右手には奥で右に曲がるL字カウンターがある。席数は8席。左手に四人掛けテーブル、次にトイレの入口への通路を挟んだ衝立が二枚、その向こうに四人掛け、奥に行くと同じく四人掛けテーブルが二つ並んでいる。入ってすぐ右手の焼き台の前に大将。カウンターの中に年輩の従業員の方。従業員の方がお通し(200円)のマカロニサラダを出してくれる。

 「お酒お願いします。」
 「燗つけていいですか?」
 「ええ、お燗でお願いします。」

 日本酒二合(500円)である。東京はいつもの年より寒い日々が続いている。熱燗がうれしい。
 先客は奥の方のテーブルに人生の先輩カップル。カウンターに男性一人。
 まずは、冷やっこ(300円)を頼む。ネギとかつお節がたっぷりかかっている。
 店の奥の方にあるアナログテレビがバラエティー番組を小さめの音量で流している。
 静かでゆるい時間が流れている。

 焼き台の前に立つ大将の手元を見て聞いてみる。
 「焼き物いいですか?」
 「はい、どうぞ」
 「かしら、なんこつ、それから若どりもお願いします。」
 「何本ですか?」
 「1本でもいいですか?」
 「いいですよ」
 
 いつものごく普通のやりとりをする。かしら(100円)、なんこつ(100円)、若どり(120円)の各1本を炭火で焼いている間、時折、静かな団扇の音が聞こえてくる。そして、カップルの方の会話もテレビの音も含めて、環境音楽のように聞こえる。祝日の午後2時前からこんな時間を持てることに幸せを感じる。

 並びの方は、ホッピーセット(380円)を途中で放棄、お酒に切り替えたようである。

 「若どりとかしらです、なんこつはしばらくお待ち下さい。」と言って、マスターが出してくれた皿の上には青のりがたっぷり添えてあった。青のりをつけてもつ焼きを食べるのが私は好きである。値段の割に肉が大ぶりだ。

 やがて、ちょっと「パンク」な感じの若手従業員の方が登場。他の方との世代の違いがおもしろい。
 ゆっくりと焼いてくれたナンコツが出てくる。これがとてもうまい。
 お酒も終わり、2杯目はトマトサワー(400円)をいただいた。

 マスターがあるモツの部分を使った料理を即興で作り、お店の方2人に味見をさせている。調理場は教育の場でもある。
 トマトサワーを飲んでしまい。御勘定をお願いする。午後1時30分から2時10分。40分の滞在、御勘定は1720円であった。

 色々なものを見て、様々なことが頭に浮かぶ、今日も酒場は物語の宝庫であった。
 
    ※  ※  ※

追記 2011年1月15日(土)

 前回から5日後の1月15日である。こちらのお店が24時間営業であることをホッピービバレッジさんのサイトで見た。違う情報も他から聞いていたので、確認の為にもう一度行ってみることにした。
 土曜日の夕方6時半。ずいぶんと盛況である。四人掛けテーブルのうち3つが埋まっていた。カウンターにも四人程の方々が座っている。ちょうど入ってこられたお客さんたちが座るのを待って、L字カウンターの奥側の二席の辺りに座る。お通し(200円)はキノコを煮たもの。
 レモンサワー(350円)、鳥ナンコツ(150円)2本を頼む。お店の方々はマスターらしき方を含めて3名、どなたも大将の風格を持っておられる。

 飲み終えて、御勘定を済ませて「今度は10時頃に来るよ」と冗談をおっしゃる常連の方がいた。面白い。
 また、四人で来られた方々の中のかなりの先輩の方が席で御勘定をして、お金をマスターに渡し「釣りはいらないよ」とおっしゃる。
 しかし、マスターはレジに行ってから席に戻って、静かにお釣りをお返ししていた。矜持のある姿勢に心動かされた。
 2杯目はウーロン酎(350円)にした。飲んでみる。濃い。割り箸を使って混ぜる。それでも濃いウーロン酎であった。鳥皮ポンズ(380円)もいただく。
 御勘定を済ませた方の「24時間居酒屋なのに、この間、昼間に来たらやってなかったよ」という言葉が聞こえた。
 少しして、お店の方に「さっき、ちょっと聞こえたんですけど、24時間営業なんですか?」と聞いてみる。
 すると、「以前はやってたんですけどね、今はやってないんですよ」とおっしゃる。これで、裏が取れたのである。今日の目的は達成された。現在の営業時間は、平日は午後6時から午前2時まで、土日は正午から午後11時までとのこと。
 お客さんたちがとても楽しそうである。今は24時間営業ではないけれど、土日の昼の12時から飲める居酒屋は少ない。これからも時々来させてもらいたいお店である。そして、もっとも蒲田的な居酒屋ではないかと思えた。残って欲しい一店である。

   ※  ※  ※

 追記 2011年8月10日(水)

 その後、2011年に閉店となり、蒲田東口店として再開したようである。第439回で紹介しているので、そちらをご覧いただきたい。



  京急蒲田炭火やきとり「とり薪・京急蒲田店」看板

蒲田 炭火焼やきとり「とり薪・京急蒲田店」
住所 東京都大田区蒲田4-14-8
電話 03-5703-0380
定休日 年中無休
営業時間 月曜~金曜 18:00~26:00 土曜・日曜 12:00~23:00
交通 京浜急行京急蒲田駅下車徒歩1分。

ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。

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蒲田

Comments 7

新岳大典

Re: 閉店されたようです

katagiris様

居酒屋探偵DAITENです。

> いつも楽しく見させてもらっています。
> 参考にしながらこちらの店へ行きましたがすでに閉店されていました。
> 店の前は何度も通っただけになぜ行かなかったのか悔やんでいます。
> すごく居心地の良さそうな店だったんですけどねぇ。
> このあたりで深夜営業してる店を探してる最中の事でした。

コメントありがとうございます。
やはり、そうですか、再開発の予定もありますので、
いずれそのようになると思っておりました。

また、何か情報がありましたら教えてくださいませ。
よろしくお願いします。

katagiris

閉店されたようです

いつも楽しく見させてもらっています。
参考にしながらこちらの店へ行きましたがすでに閉店されていました。
店の前は何度も通っただけになぜ行かなかったのか悔やんでいます。
すごく居心地の良さそうな店だったんですけどねぇ。
このあたりで深夜営業してる店を探してる最中の事でした。

新岳大典

Re: 昼酒場

happy_thursday様

 居酒屋探偵DAITENです。
 コメントありがとうございます。

> 世間にあるようでなかなかない、そんな昼からの
> 酒場は貴重だと思いました。

 昼間に営業している居酒屋があるのは、お年寄りなどにも良いと思いますね。
 せめて「3時から酒場」や「4時から酒場」でも増えれば、絶対にニーズがあると思うのですが。
 昼に営業している酒場は、広い意味で「介護施設」です。
 私も前線を退いたら平日にお世話になりたいと思っています。

> 再開発はいいけど、どこか行儀の悪い「蒲田らしさ」は
> ずっと残ってほしいですね。

 「どこか行儀の悪い蒲田らしさ」という表現はいいですねえ。
 街をデザインする仕事をしている方々には、是非、猥雑なもの、雑然としたものを残す
 工夫をお願いしたいと思います。


 

happy_thursday

昼酒場

こんばんは。
ここは店の前を通ったことはあっても入ったことは
ありませんでした。
雰囲気は伝わってきていましたが、なぜか入るに
至らず、だったのです。
嫌な気はないのですが、そんな店のひとつに
なっていました。
今回、この記事のおかげで、ある発見がありました。
それは土日に昼からやっていることです。
これだけで、行く予定がなくともなぜか嬉しい
気持ちになってしまいました。
これは店に行かずに受けたサービスですね。
世間にあるようでなかなかない、そんな昼からの
酒場は貴重だと思いました。
再開発はいいけど、どこか行儀の悪い「蒲田らしさ」は
ずっと残ってほしいですね。

新岳大典

蒲田から目が離せません

ふんわり親方様

居酒屋探偵DAITENです。
こちらこそ今年もよろしくお願いします。
「とり薪」さん、完全に「京急蒲田西口駅前地区第一種市街地再開発事業」の範囲に入っておるようですね。
再び移転をしてでも生き残って欲しいお店です。

蒲田から目が離せませんね。



ふんわり親方

No title

こんばんわ^−^ふんわり親方っす
大変遅くなりましたが
本年もよろしくお願いいたします^−^

京急蒲田のとり薪さんの営業時間って
昔からあってないような(笑)

以前は会計も定価も・・・


この土地で営業する以前は
「あすと」のもっとJR蒲田駅方面でやっていたんですよ

移転したもののこの土地での営業は何時までなんでしょうか・・・



この数年で蒲田は
また変わっていくのでしょうね

新岳大典

Re: 京急蒲田再開発


南武侍様

> まさか、しばらく行っていない内にここまで進行していたとは…。
>
> 昨年、の〜ぜ さんに立ち寄った時、常連の方に柳通り一帯は数年後ロータリーになると聞きました。味わいある風景がまた消えてしまいますね…。

居酒屋探偵DAITENです。
コメントありがとうございます。

そうなんです。やはり、羽田空港国際化に伴い、蒲田への投資が数年前から増え、
このような大規模な再開発が進んでいるのですね。
「京急蒲田西口駅前地区第一種市街地再開発事業」の概要を見ると、
たいへんなことになりそうです。対象になるお店とそうでないお店がはっきりと解りますね。





  • 2011-01-17 (Mon) 11:50
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