吉祥寺 焼鳥「いせや総本店」本店
吉祥寺 焼鳥「いせや総本店」本店




GAIと二人、父の墓参りをした後、西武池袋線の新秋津まで行き、前々回と前回の2店を巡り、「西のホッピー通り」を堪能した。
その後、新秋津駅からJR武蔵野線に乗った。新秋津の次は新小平。その次の西国分寺でJR中央線に乗り換え、吉祥寺へ向かった。
十代から二十代まで、吉祥寺の街ですごす時間が多かった。青春の思い出というものが自分にもあるとしたら、この吉祥寺での出来事が大半である。何人もの人々との出会い、そして、別れ。街も変わり、私自身も変わった。
吉祥寺に到着したのは午後3時半。例年ならば花見で賑わうはずの井の頭公園の様子を見に行ってみようということになった。
「自粛ムード」の中、男二人で静かに飲むのも良いと考え、吉祥寺駅の近くのストアで、安い赤ワインと紙コップ、6Pチーズ、クラッカー等を買い込み、井の頭公園へと向かった。
井の頭通りを渡り、丸井本館の東側の道を通って、井の頭公園に入った。「宴会自粛を呼びかける看板」がある。我々は宴会をするつもりはない。静かに飲むのである。野外ステージ前のベンチに座り、チーズとクラッカーを食べ、ワインを飲む。
土の上にレジャーシートを敷いた若者たちのグループが車座になって飲んでいる。一部に大きな声を出す者がいたり、奇妙な格好に着替えて奇声をあげる者もいたのだけれど、それもあまり盛り上がらず、すぐに落ち着いてしまう。
そこへ、時折、自粛を求める放送が流れる。これは、お花見自体を禁止しているわけではなく、「宴会」の自粛のお願いのようである。
30分ほど静かに話をして、午後4時頃に立ち去った。もちろんゴミを放置したりなどはしない。
大人数で集まり、大騒ぎをしたり、大量のゴミを出し、それを放置したままにするような花見は、近隣住民へ大変な迷惑がかかり、片付ける為の公的なお金を費やしてしまう。自粛ムードとは関係なく、近隣の方々の為に花見宴会は考えるべき時が来ているのかもしれない。また、電力を使ってライトアップをしてまで花見をするまでもないような気がする。
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井の頭公園の敷地のすぐ脇に焼鳥「いせや総本店」の公園店がある。
本来はこちらの古い方の焼鳥「いせや総本店」に入ってみたいと思っていたのだけれど、公園管理事務所側も公園内での花見を済ませてからの近隣のお店での宴会(飲食)をすすめている為もあるのか、いつも通り、今日も外に列が出来ていた。盛況である。
吉祥寺の南口側の街を歩き、焼鳥「いせや総本店」の本店の様子も見に行く。外に列を作って待っている人がたくさんいた。並ぶのは苦手である。すぐにその場を離れて、東急百貨店吉祥寺店の南側を歩き、ダイヤ街に入って、ハモニカ横丁を散策した。
そこは私が知っているハモニカ横丁とは、まったく違う街になっていた。20年前、この横丁の仲見世小路の入口に小さな居酒屋があった。
そこの親父さんはいつも酔っていて、GAIと二人で飲みに行くと、わざと「入れ歯」を口から出して見せたものである。「きたねえなあ、親父、やめろよ」と笑いながらお客さんたちが言っていたことを覚えている。
さらに、北口の大通りに出て、コンビニで缶ビールを買い込んでから昔は近鉄デパートがあったヨドバシカメラのビルの手前から裏路地に入った。缶ビールを飲みながら話をする。まっすぐに行くとそこに噂に聞いていた劇場があった。公益財団法人 武蔵野文化事業団が運営する吉祥寺シアターである。
さらに、吉祥寺の裏街を散策して、何軒かの店を訪ねた。しかし、どこもまだ開店をしていなかったり、休みであったりして入ることが出来なかった。そこで、再び焼鳥「いせや総本店」を目指すことにした。
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焼鳥「いせや総本店」は井の頭通りと吉祥寺通りの交叉点から南側に少し歩いた場所、吉祥寺通りがカーブを始める手前辺りにある。
1階の客席に座りたい方々の列がまだ出来ていた。我々は2階の座敷に座りたかったので、その列の後ろから2階席への階段を上がった。少し待てば、座れるそうで、実際に5分と待たずに座ることが出来た。
明るい座敷席の真ん中に一つだけ空いていた座卓に座る。それぞれまったく違う髪型や年齢層の従業員が白衣を着て働いている。若い女性の従業員に声をかけ注文をした。私はレモンサワー(320円)、GAIは焼酎(220円)である。
焼酎には、梅シロップがコップ半分だけついてくる。この梅シロップを焼酎に少しだけ入れて飲む。三十年前、GAIと二人でこの梅シロップ入りの焼酎をあおってから他の店に行ったことを思い出す。
マグロのブツ切り(380円)と自家製シューマイ(330円)を頼む。シューマイは大きなものが3個出てくる。
前回のお店の焼き物が目に焼き付いて離れない。それでも、レバー(80円)を2本焼いてもらった。2本縛りになっていて、2本づつ頼むことになっている。
私の2杯目は、カチ割りワインの白(320円)。GAIは焼酎の2杯目。
カチ割ワインはビールジョッキに氷と白ワインを入れたものである。これにはびっくりした。かなりの量である。
1階と2階の外側には装飾的な瓦屋根があり、周囲に赤提灯がたくさん下げてある。夜間などは、3階から上が14階建ての高さのマンションになっているとは気づかない人も多いかもしれない。ここの座敷に座っていると、昔の「いせや総本店」の座敷にそのまま座っているような気持ちになってくる。
GAIは焼酎の3杯目を頼んだ。彼は酒が強い。
それからサッポロ黒生大瓶(500円)とグラス2個をもらって2人でゆっくり飲んだ。大瓶で500円というのは今時としては安い。
午後8時20分から9時50分まで1時間半ほどの滞在。御勘定は2,670円であった。
GAIが京王井の頭線の吉祥寺駅まで送ってくれた。改札下のエスカレーター前で握手をして別れた。
様々な過去が甦ってくる。あまりにも多くの思い出が押し寄せてきて、現在の私の心は流されそうである。
ただ、今はその比喩はとても使えない。
吉祥寺 焼鳥「いせや総本店」本店
住所 東京都武蔵野市御殿山1-2-1
電話 0422-47-1008
定休日 火曜日
営業時間 12:00~22:00
交通 JR中央線、京王井の頭線井の頭駅南口下車5分
公式サイト→http://www.iseya-kichijoji.jp/
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ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
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