川崎 やきとり・炭火焼「味よし」第2回
Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第39回 2007年9月15日(土) 【地域別】 【時間順】
川崎 やきとり・炭火焼「味よし」 第2回
縄文天然温泉 志楽の湯
土曜日の午後、SAKURAのバレエのレッスンの帰り、待ち合わせをして温泉に行くことにした。だからといって、我々に泊まりがけで地方の温泉に行く暇はない。向かったのは、川崎市を走るJR南武線の矢向駅である。
矢向駅で下車する。降り立った矢向駅のホームを歩きながら、まるで地方の小さな温泉街の駅にいるように思えた。古い小さな駅舎の改札を出ると、目の前に小さなロータリーがあって、幟をもった温泉宿の迎えの人が立っていてもおかしくない、そんな雰囲気がある。
改札を出て左手の踏切を東側に渡って、すぐ左折、行き止まりを右折し直進。駅から徒歩6分で目的地についた。それは「縄文天然温泉 志楽の湯」である。
入口を入ると、右手にフロントがあり、そこで料金を払う。料金は平日は大人970円、小学生620円。土・日・祝は大人1150円、小学生800円である。
ここは、小学生未満は入浴出来ないことになっている。小さな子供が駆けずり回る最近の温泉施設に辟易としているので、この点は素晴らしいと思う。多くの温泉施設が学ぶべき点と言える。小学生以下禁止にしても良いくらいである。
フロントの先を右手に行くと温泉施設、左手が「語らい処」と呼ばれる休息スペースになっている。
浴場は、露天風呂、御柱風呂(男湯)、蔵石風呂(女湯)、勾玉湯(女湯)、味噌樽風呂、縄文海底蒸し風呂(ミストサウナ・女湯)、ドライサウナ(男湯)、勾玉かけ水などがある。
御柱風呂には、土蔵の敷石や天然木の柱と安山岩が配置されており、とても広い。さほど大きくない施設に対して、これだけ湯船が広いのはとても良い。周囲を気にせずゆったりと入ることが出来た。
露天風呂は自然石が配置されており、山間の温泉宿にいるように気にさせてくれる。ただ、遠くにマンションの最上階部分が見えており、少し残念に思えた。さらなる工夫が必要である。湯船への入り口あたりの石の配置に問題があり、滑りやすくなっている。私自身も少しヒヤリとさせられた瞬間があった。お年寄りも多い温泉施設としては、もう少し気配りが必要である。
泉質は、ナトリウム塩化物強塩温泉(高張性・弱アルカリ性温泉)である。温泉は溶け込んでいる成分の総量(濃さ)によって人体への浸透圧が違ってくるそうで、この志楽の湯は超・高張性であり、体内に成分が入り込みやすく、体内のミネラルなどの成分が濃縮されるという。事実、お湯は今まで体験した塩化物泉の中では一番塩辛いと感じた。目にお湯が入ると、ひりひりとしみた。幼児が入れない理由はこの辺にもあるのかもしれない。大田区、品川区、目黒区あたりの黒湯温泉をほとんど歩いて回ったことがある者として言わせてもらえば、ここのお湯は満足出来るものであった。
館内の「語らい処」で、総菜料理で生ビールを飲んだ。
隣にそばレストラン「志楽亭」が併設されており、館内着を着たまま一度外に出て、そちらを利用することも出来る。
時間が早いせいか大人ばかりで、客筋も良い。リラックスした時間を過ごすことが出来た。
SAKURAと二人、外に出たのは、午後4時15分であった。
9月中旬を過ぎているのに、外はまだ夏の強い陽差しが残っている。SAKURAが散歩したいというので、電車には乗らず、川崎駅方面まで歩くことにした。
実は、この散歩には目的地があった。それは、以前に二人で行ったことがあり、揃って感動を覚えた居酒屋である。今回が3回目の訪問だが、期待はふくらみ、歩く速度も自ずと速くなっていった。
川崎 「味よし」
店の前に到着したのは午後4時45分であった。店に入ると、すぐ右手が焼き台になっている。右側には12、3人が座れるカウンターが奥に向かって伸びており、その中が調理場になっている。左手には4人掛けのテーブルが4卓、その奥には、小上がりがあり、6人と4人の二つの座卓が置かれている。
中をのぞくと、開店15分後で、すでにカウンターは、七割方は埋まっている状態。カウンター席の入口近くに座るように言われる。
夏の名残の陽差しの中、1キロ以上の道のりを歩いて二人とものどが渇いている。
まずは、ホッピー(420円)を二つ頼む。前回の訪問時に詳しく書いたが、ここのホッピーは、焼酎とホッピーが別に出てくるのではなく、ジョッキで作ってくれるタイプである。焼酎とホッピーの配分がよく、ホッピーそのものの味わいがある。原理主義ホッピーに近い配分に違いない。もちろん氷などというものは入っていない。小さなレモンの断片が入っているのは「川崎スタイル」だろうか。
食べ物は、まず、SAKURAがさざえ貝のつぼ焼き(242円)を一つ頼んだ。前回も喜んで食べていた一品である。次にやきとん、焼き鳥を頼む。
豚肉かしら(115円)、豚タン(105円)、豚ナンコツ(95円)、ヒナ肉シシトウ入(115円)を2本づつ、和牛の串焼き(368円)とギンナン焼き(115円)を1本頼んだ。
焼き物はどれもうまい。途中で何度も電話で焼き物の注文が入り、持ち帰りで買ってゆく客も多かった。
ホッピーがおいしかったので、やはりお代わりした。箸休めは、みょうがのおしたし(263円)である。
カツオ刺し(420円)と、ぬか漬け(294円)を頼んだ。つまみを頼んでしまったので、やはり飲み物を追加、レモンサワー(380円)を二つお願いした。
このカツオ刺しがうまかった。新鮮でしっかりとした食べ応えのあるカツオだった。ぬか漬けも味、量とも優れており、実に良心的な値段設定である。
午後6時になって、店内は完全に満席になった。それでも、どんどん客が顔を見せる。
この店は、マスター、ママ、そして、娘さんらしき若い女性二人で切り盛りされている。
ここで、元ニューヨーカーであるSAKURAの感想が面白かった。
「この店の人は全員がCOOLね」と言うのである。
冷たいとかそういう悪い意味ではない、かっこいいのである。そして、「強制ではなく、暗黙の内に常連客たちが躾けされている」と言う。
特に美人のママが凄い。手は注文されたニラレバ炒めを作っている。そこへ、焼き物の持ち帰り注文の電話が入り、電話に出る。さらに飲み物の注文が入る。客が店に入ってくると、どこの席に座るかを示す。全部を同時にやっているのである。店全体に気配りがきちんとされている。
普通、ママが凄いとマスターは焼き台から離れず、客の相手をしないような場合が多い。しかし、ここの店は違う。焼き台にいるマスターも客にきちんと気配りをしている。常連客の冗談にもきちんと答え、店の外で待つ新しい客にも気をつかっている。店に入りきれずに、外の縁台に座って待っている客もいるのである。
この忙しさの中、全員が「クール」なのである。
この店では「我がまま」を言ってはゆけない、勝手に自分の好きな席に座る等ということはしてはいけない。良い意味で「躾け」されることを楽しむべきである。
普通、居酒屋の訪問を繰り返すと、最初の感動が薄らいでゆくものである。しかし、この店は違う。三度目でも実に良い店であった。
お客さんたちが外で待っていることに気づいて、お勘定をしてもらうことにした。午後6時15分になっていた。1時間30分ほどの滞在で二人で4600円。
外に出た。縁台で待つお客さんたちが飲みかけのビール瓶を持ちながら中に入っていった。さらに、立って待っている人たちが何人もいた。
通りすがりの人がつぶやいた。
「この店はすごいなあ」
「そうですよ、すごいですよ、この店は」
私は心の中でつぶやいていた。
川崎・矢向 縄文天然温泉「志楽の湯」
神奈川県川崎市幸区塚越4-314-1 電話 044-533-8888
JR南武線矢向駅徒歩約6分。

川崎 やきとり・炭火焼「味よし」
川崎市幸区中幸町3-14 電話044-533-3210
JR川崎駅西口下車徒歩15分
定休日 水曜日 営業時間 16:30~22:30
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
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居酒屋探偵DAITENの生活 第39回 2007年9月15日(土) 【地域別】 【時間順】
川崎 やきとり・炭火焼「味よし」 第2回
縄文天然温泉 志楽の湯
土曜日の午後、SAKURAのバレエのレッスンの帰り、待ち合わせをして温泉に行くことにした。だからといって、我々に泊まりがけで地方の温泉に行く暇はない。向かったのは、川崎市を走るJR南武線の矢向駅である。
矢向駅で下車する。降り立った矢向駅のホームを歩きながら、まるで地方の小さな温泉街の駅にいるように思えた。古い小さな駅舎の改札を出ると、目の前に小さなロータリーがあって、幟をもった温泉宿の迎えの人が立っていてもおかしくない、そんな雰囲気がある。
改札を出て左手の踏切を東側に渡って、すぐ左折、行き止まりを右折し直進。駅から徒歩6分で目的地についた。それは「縄文天然温泉 志楽の湯」である。
入口を入ると、右手にフロントがあり、そこで料金を払う。料金は平日は大人970円、小学生620円。土・日・祝は大人1150円、小学生800円である。
ここは、小学生未満は入浴出来ないことになっている。小さな子供が駆けずり回る最近の温泉施設に辟易としているので、この点は素晴らしいと思う。多くの温泉施設が学ぶべき点と言える。小学生以下禁止にしても良いくらいである。
フロントの先を右手に行くと温泉施設、左手が「語らい処」と呼ばれる休息スペースになっている。
浴場は、露天風呂、御柱風呂(男湯)、蔵石風呂(女湯)、勾玉湯(女湯)、味噌樽風呂、縄文海底蒸し風呂(ミストサウナ・女湯)、ドライサウナ(男湯)、勾玉かけ水などがある。
御柱風呂には、土蔵の敷石や天然木の柱と安山岩が配置されており、とても広い。さほど大きくない施設に対して、これだけ湯船が広いのはとても良い。周囲を気にせずゆったりと入ることが出来た。
露天風呂は自然石が配置されており、山間の温泉宿にいるように気にさせてくれる。ただ、遠くにマンションの最上階部分が見えており、少し残念に思えた。さらなる工夫が必要である。湯船への入り口あたりの石の配置に問題があり、滑りやすくなっている。私自身も少しヒヤリとさせられた瞬間があった。お年寄りも多い温泉施設としては、もう少し気配りが必要である。
泉質は、ナトリウム塩化物強塩温泉(高張性・弱アルカリ性温泉)である。温泉は溶け込んでいる成分の総量(濃さ)によって人体への浸透圧が違ってくるそうで、この志楽の湯は超・高張性であり、体内に成分が入り込みやすく、体内のミネラルなどの成分が濃縮されるという。事実、お湯は今まで体験した塩化物泉の中では一番塩辛いと感じた。目にお湯が入ると、ひりひりとしみた。幼児が入れない理由はこの辺にもあるのかもしれない。大田区、品川区、目黒区あたりの黒湯温泉をほとんど歩いて回ったことがある者として言わせてもらえば、ここのお湯は満足出来るものであった。
館内の「語らい処」で、総菜料理で生ビールを飲んだ。
隣にそばレストラン「志楽亭」が併設されており、館内着を着たまま一度外に出て、そちらを利用することも出来る。
時間が早いせいか大人ばかりで、客筋も良い。リラックスした時間を過ごすことが出来た。
SAKURAと二人、外に出たのは、午後4時15分であった。
9月中旬を過ぎているのに、外はまだ夏の強い陽差しが残っている。SAKURAが散歩したいというので、電車には乗らず、川崎駅方面まで歩くことにした。
実は、この散歩には目的地があった。それは、以前に二人で行ったことがあり、揃って感動を覚えた居酒屋である。今回が3回目の訪問だが、期待はふくらみ、歩く速度も自ずと速くなっていった。
川崎 「味よし」
店の前に到着したのは午後4時45分であった。店に入ると、すぐ右手が焼き台になっている。右側には12、3人が座れるカウンターが奥に向かって伸びており、その中が調理場になっている。左手には4人掛けのテーブルが4卓、その奥には、小上がりがあり、6人と4人の二つの座卓が置かれている。
中をのぞくと、開店15分後で、すでにカウンターは、七割方は埋まっている状態。カウンター席の入口近くに座るように言われる。
夏の名残の陽差しの中、1キロ以上の道のりを歩いて二人とものどが渇いている。
まずは、ホッピー(420円)を二つ頼む。前回の訪問時に詳しく書いたが、ここのホッピーは、焼酎とホッピーが別に出てくるのではなく、ジョッキで作ってくれるタイプである。焼酎とホッピーの配分がよく、ホッピーそのものの味わいがある。原理主義ホッピーに近い配分に違いない。もちろん氷などというものは入っていない。小さなレモンの断片が入っているのは「川崎スタイル」だろうか。
食べ物は、まず、SAKURAがさざえ貝のつぼ焼き(242円)を一つ頼んだ。前回も喜んで食べていた一品である。次にやきとん、焼き鳥を頼む。
豚肉かしら(115円)、豚タン(105円)、豚ナンコツ(95円)、ヒナ肉シシトウ入(115円)を2本づつ、和牛の串焼き(368円)とギンナン焼き(115円)を1本頼んだ。
焼き物はどれもうまい。途中で何度も電話で焼き物の注文が入り、持ち帰りで買ってゆく客も多かった。
ホッピーがおいしかったので、やはりお代わりした。箸休めは、みょうがのおしたし(263円)である。
カツオ刺し(420円)と、ぬか漬け(294円)を頼んだ。つまみを頼んでしまったので、やはり飲み物を追加、レモンサワー(380円)を二つお願いした。
このカツオ刺しがうまかった。新鮮でしっかりとした食べ応えのあるカツオだった。ぬか漬けも味、量とも優れており、実に良心的な値段設定である。
午後6時になって、店内は完全に満席になった。それでも、どんどん客が顔を見せる。
この店は、マスター、ママ、そして、娘さんらしき若い女性二人で切り盛りされている。
ここで、元ニューヨーカーであるSAKURAの感想が面白かった。
「この店の人は全員がCOOLね」と言うのである。
冷たいとかそういう悪い意味ではない、かっこいいのである。そして、「強制ではなく、暗黙の内に常連客たちが躾けされている」と言う。
特に美人のママが凄い。手は注文されたニラレバ炒めを作っている。そこへ、焼き物の持ち帰り注文の電話が入り、電話に出る。さらに飲み物の注文が入る。客が店に入ってくると、どこの席に座るかを示す。全部を同時にやっているのである。店全体に気配りがきちんとされている。
普通、ママが凄いとマスターは焼き台から離れず、客の相手をしないような場合が多い。しかし、ここの店は違う。焼き台にいるマスターも客にきちんと気配りをしている。常連客の冗談にもきちんと答え、店の外で待つ新しい客にも気をつかっている。店に入りきれずに、外の縁台に座って待っている客もいるのである。
この忙しさの中、全員が「クール」なのである。
この店では「我がまま」を言ってはゆけない、勝手に自分の好きな席に座る等ということはしてはいけない。良い意味で「躾け」されることを楽しむべきである。
普通、居酒屋の訪問を繰り返すと、最初の感動が薄らいでゆくものである。しかし、この店は違う。三度目でも実に良い店であった。
お客さんたちが外で待っていることに気づいて、お勘定をしてもらうことにした。午後6時15分になっていた。1時間30分ほどの滞在で二人で4600円。
外に出た。縁台で待つお客さんたちが飲みかけのビール瓶を持ちながら中に入っていった。さらに、立って待っている人たちが何人もいた。
通りすがりの人がつぶやいた。
「この店はすごいなあ」
「そうですよ、すごいですよ、この店は」
私は心の中でつぶやいていた。
川崎・矢向 縄文天然温泉「志楽の湯」
神奈川県川崎市幸区塚越4-314-1 電話 044-533-8888
JR南武線矢向駅徒歩約6分。

川崎 やきとり・炭火焼「味よし」
川崎市幸区中幸町3-14 電話044-533-3210
JR川崎駅西口下車徒歩15分
定休日 水曜日 営業時間 16:30~22:30
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
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