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浅草橋「やまと」「むつみ屋」

Life of the izakaya detective DAITEN
探偵DAITENの生活 第43回  2007年10月4日(木) 【地域別】  【時間順】



 浅草橋「やまと」「むつみ屋」


 咲良舎では、両国のシアターΧでSAKURA演出の芝居を何度も上演してきた。
ゆえに、シアターΧでの公演、ワークショップ、打ち合わせ等の帰り、両国から両国橋を歩いて渡り、浅草橋まで行くことが多い。浅草橋には良い居酒屋があるからである。

 今日は、プロジェクトアルレッキーノ公演「嘲笑のオペラ」シアターΧで見た。イタリアで活躍される演出家井田邦明氏の演出である。
 咲良舎の前身である「櫻花舎」の創立メンバーであり、咲良舎公演・シアターコレクティブレパートリー2005で『奴隷島』等、多くの守輪演出作品のに出演してきた博田章敬、そして、シアターコレクティブ・レパートリー2006・21世紀のマリヴォーシリーズ第2弾「試練」に出演した、S.A.P.メンバーの五百蔵久子が出演する公演であった。近松門左衛門の冥土の飛脚・女殺油地獄などを題材として加筆・再構成した作品である。上演時間は1時間10分。

 浅草橋 やまと

 シアターΧを出て、普段は歩いて行く道程をタクシーで移動した。
目指したのは、浅草橋駅近くにある「やまと」である。浅草橋駅の東口改札から説明する。
 改札を出ると目の前に江戸通りが通っている。通りを見ながら、右側に回り込むようにして、すぐに線路沿いの道を秋葉原方面に戻る。すると、すぐに四つ角があり、左角に立ち飲み店「ぶたいちろう」があるので、そこを左に曲がり直進する。三叉路が見えてくると、右手前角が「やまと」である。古く薄暗い店構え、何も書かれていない小さな暖簾に一瞬戸惑うが、「やまと」と書かれた黄色い看板が煌々と輝いているので、すぐに解る。

  やまと写真


 因みに、浅草橋には、酒を飲むことだけに特化した雑誌「さけとつまみ」の編集部がある。「やまと」は編集部の皆さんがよく行く店であるらしい。
 店に入ったのは、午後8時30分であった。店に入ると、すぐ右側に2人席が一つ。その先に6人から8人が座れるテーブル席が二つ。左側には、10人程度が座れる長いテーブル席が横二列に並べられている。
 しかし、左手前のテーブルのすぐ脇に柱が立っていて、その部分には座ることが出来ない。10人席の一番奥左に柱と壁に挟まれた場所があり、その部分に押し込められるように座っている一人客もいる。平日のこの時間で店内はほぼ満席であったが、この一人客の前にちょうど2人分の席が空いていた。店の女性に促されて、その席に座る。目の前では、先ほどの一人客が鍋を食べている。 「一人鍋」である。この店は、安くてボリュームのある鍋料理が有名なのである。

 さて、ビールを頼もうとして、SAKURAの顔がいち早く曇った。「どうしたの?」と聞くと、「スーパードライなんだもの」。そばに積み上げられたビールケースを見て、私も納得した。しかし、今日のところは二人とも疲れているので我慢することにした。

 すぐに瓶ビール大(400円)がやってきた。大瓶で400円は驚異的な安さである。SAKURAが豚足(400円)とセロリ(250円)を頼んだ。
 今日の芝居について色々と話しをするうちに、豚足がやってきた。一瞬、黙ってしまう二人である。巨大な豚の足のぶつ切りが四つ、ステンレス製の皿に載ってきたのである。辛味噌につけながら、一つだけは食べたが、残りは豚足好きのSAKURAに任せることにした。

 ビールの後に頼んだのは、この店の特徴的な飲み物、酎ハイである。私は酎ハイ特大(440円)、SAKURAは酎ハイ(220円)である。
 この酎ハイが凄いのである。特大は生ビールの大ジョッキに目一杯入っている。しかも、氷が入っていない。つまり、大生ジョッキ全部が焼酎の炭酸割で満たされているのである。これで440円は安い。普通の店の何杯分であろうか。普通サイズの酎ハイも中ジョッキに目一杯入っている。それで220円である。さらには、土曜日になると特大が340円、普通が170円になってしまう。
 この酎ハイには、もう一つ特徴がある。白濁しているのである。まるでカルピスサワーである。しかし、甘くはない。謎である。
 本当は白い色の正体を店の人に聞いて見たいと思うのだが、この店で働く二人の女性は外国の方で、しかもあまり日本語がよく解らない。難しい話をすると二人で相談し初めてしまうので、聞くのは控えることにする。
 次に鉄火巻(250円)とモツ焼き3本(250円)を頼んだ。モツ焼きはタレで焼かれたものに大根おろしがついてくる。

 SAKURAの豚足との格闘は続いている。豚足というものは、大きさといい、姿といい、食べるのにエネルギーを要する食い物である。
 店内を見回すと、ずいぶんと酔っている様子の客が多い。安く大量に飲みたいお客さん、「とことん酔いたい団体客」の皆さんが主に通ってくる店であると言える。
 新しいものを古く見せる今時の昭和レトロ酒場とは違う。本当に店が古いのである。そして、店の外には何も情報がない、中に入ると、壁や品書きも古く煤けていて汚い。これは、値段を安く設定しているのではない、安いまま時間が止まっているのではないか。そんな風に思えた。その驚異的な価格設定を知らない客、店の前を初めて通っただけの客は、自分から入るのを躊躇するに違いない。
 やがて、テーブル一つ分の団体客がお互いもたれ合いながら一塊になって出て行った。しばらくすると、すでにずいぶんと酔った様子の別の団体が雪崩れ込んできた。

 午後9時15分、SAKURAの豚足との戦いも終わり、45分の滞在時間で外に出た。お勘定は二人で2210円であった。
 混み合う店内、酔客の大声から解放され、外に出て、二人ともホッとする。
 「まるで、戦争でした」が「やまと」の第一印象であった。


 居酒屋 「むつみ屋」

 今度は静かに飲みたいというSAKURAの要望により、以前にも数回入ったことのある「むつみ屋」を目指して歩き始める。
 駅方面に戻ると、十字路に戻る。その手前右角にはさきほどの「ぶたいちろう」という立ち飲み店があり、向こう左角のガード下には「八」という店名の店がある。ホッピー350円の文字に誘惑されながらも、JR総武線のガードをくぐり、線路の北側に出る。そのまま直進をして、三叉路のすぐ右側にあるのが「むつみ屋」である。

むつみや


 入口はガラガラと左右に大きく開くことが出来る四枚扉である。その前に横長の茶色い大暖簾が下げられており、左から「空白」「酒」「寮」「む」「つ」「み」「屋」「空白」の順になっている。重みで竿がしなり、中央部分はやや下がって弧を描いている。

 中に入ると、右側にカウンターが奥に向かって続いている。カウンターの中は調理場である。左側には、テーブル席がいくつか横二列に並べられている。
 さらに、奥には地下に下りる階段があり、そこには宴会の出来る空間になっているらしい。
 店内には、左側のテーブル席に男性二人客、右側のカウンターに一人客が座っているだけであった。しばらくして、常連客と並んで、お店の人が3人横一列に並んで遅い夕食をとり始めた。店内は和んだ雰囲気となった。

 まずは飲み物である。SAKURAは生レモンハイ(390円)、私は焼酎タンサン割(340円)を頼んだ。「やまと」の過激な酎ハイとは違い、ごく普通のサワーグラスに入ってくる、ごくごく普通の飲み物である。
 つきだしは、切り干し大根の煮付け。つまみは、ほたてさしみ(470円)を一つもらう。
 隣の男性二人客が時々大声を出して笑ったりするが、「やまと」の店内の喧噪にくらべれば、ずっと静かであり、まったく気にならない。
 数年前、ある芝居を見た帰り、その演劇作品としての出来の酷さに怒り心頭、怒りまくりながら両国橋を渡って来た後、この店の雰囲気に癒され、怒りが収まったことがあった。

 塩らっきょ(320円)の文字を品書きにSAKURAが発見。さすがは塩らっきょ好きである。SAKURAは日本酒一ノ蔵の小(360円)に切替え、私は生レモンハイ(390円)にする。つまみの追加は、しめさば(370円)と冷やしとまと(300円)である。

 最後にウーロン割(350円)を頼んでしまったのは10時30分を廻った頃であった。飲み過ぎである。1時間10分ほどの滞在。お勘定は二人で3390円であった。外に出ると、店の常連客が連れてきた大きな犬がつながれていた。犬種はポインターであろうか。少し開けられた扉の中にいる飼い主の方を、一生懸命に見ている姿が実に健気である。 
 「普通」ということの良さを感じさせられた浅草橋の夜であった。



やまと写真
浅草橋 やまと
東京都台東区浅草橋1-10-14
03-3861-9884

むつみや看板
浅草橋 むつみ屋
東京都台東区浅草橋1-18-6
03-3866-5078
 
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら

実力派俳優になりたい人は→ 咲良舎/櫻塾
浅草橋

Comments 1

DAITEN ARATAKE

Re: 訂正依頼

愛読者様

居酒屋探偵DAITENです。

> 楽しく拝読させてもらってます
> 大43回の「むつみ屋」の住所訂正お願いします
> 誤:浅草橋1−10−14
> 正:浅草橋1−18−6

訂正情報ありがとうございました。早速訂正させていただきました。
このようなコメントはとても助かります。
今後ともよろしくお願いいたします。