吉祥寺 蔵元居酒屋「清瀧」吉祥寺店
吉祥寺 蔵元居酒屋「清瀧」吉祥寺店




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30年後の街
終戦記念日である。
今年に入って、親友のGAIと二人、私の父の墓の修復を行い、その帰りに酒場に寄ることが続いている。
記事としては、4月2日の第410回、第411回、第412回、4月16日の第414回、4月30日の第419回、第420回であり、今回の第440回がその最終回である。
最後の作業を終え、タクシーと電車を乗り継いで降り立った街はJR中央線の武蔵境駅であった。
武蔵境駅から西武多摩川線という路線が出ている。武蔵境、新小金井、多摩、白糸台、競艇場前、是政の6つの駅があり、競艇場前は多摩川競艇場の最寄り駅であり、終点の是政からは府中東京競馬場に行くことも出来る。いわやるギャンブル路線の一つである。
ギャンブル場に近い駅には古い居酒屋が多くある。そこで、武蔵境駅で降りてみることにしたのである。
また、昔、この街にはGAIが住んでいた。30年ほど前の話である。商店街を抜け、市場で枝豆を大量に買い茹でて食べた。
いつもお互いの家で、様々な料理を作って呑むことが多かったのである。二人とも大食いで大酒飲みで、麦焼酎二階堂の一升瓶を2時間ほどで空けて平気な顔をしているという状態だったので、居酒屋へ行く金がもったいなかったのである。
北口駅前のコンビニで燃料(缶ビール)を仕入れて歩き始めた。
武蔵境駅周辺も他の中央線沿線の駅と同じように様変わりしていた。
駅は改修工事中で、巨大なクレーンの姿がそこにあった。本当に巨大である。

駅周辺の再開発図を見てみると、まだどんどん変わってゆくのが解る。
味わいある居酒屋など残っていないだろうと思いながら、駅前のコンビニで缶ビールを買って、駅北側の商店街周辺を歩いてみることにした。

いずれにしても毎年お盆前後は、中小の居酒屋さんはお盆休みでやっていない場合が多いのである。これはチェーン居酒屋とは違う点である。それでも中には開けてくれているお店もあるのではないかと、そこに期待して歩いてみることにした。しかし、様々なお店の前に白い「お知らせの紙」が貼ってあった。

駅の西側にある自由通路をくぐって、南口側に移動する。南口側はさらに変化していた。西武多摩川線の線路脇に若干古い飲み屋街の名残が残っていた。しかし、やはりお盆休みのお店がほとんどであった。

南口側を聞き込みをしながら散策するも情報を得ることは出来なかった。駅の東側のガードをくぐり再び北口側へ。少し歩くと銭湯の煙突を発見。銭湯の周辺に古いアパートや住宅が残っている地域があった。それらもきっと建て直されてしまう可能性が高いに違いない。何もかもが変わってゆく。

歩き疲れたので、駅から少し離れた某店で軽く飲んだ。良いお店ではあるが特に特徴が感じられない。ゆえに記事にはしない。
GAIと二人、夢を語り合った時代から30年の時が経った。さらに30年後に自分たちが生きているかどうかは解らない。30年後の街はどうなっているのだろうか。そんなことを考えながら再び中央線に乗り、やはり変化しつづける街、吉祥寺へと向かった。
蔵元居酒屋「清瀧」吉祥寺店
吉祥寺の街は、第412回の時にずいぶん歩いた。もうハモニカ横丁に行く気持ちもおきない。まっすぐ目的の店へと向かった。
目的の店とは、第420回で紹介した蔵元居酒屋「清瀧」チェーンの吉祥寺店である。
GAIは、高田馬場店に二人で行った後、とても気に入って吉祥寺店にも通っているそうである。実際に連れていってもらい、思いの外、駅の近くにあることに驚かされた。吉祥寺駅北口のロータリーに面したダイヤ街の入口のビルの地下である。お店の入口はダイヤ街側。地下に降りると広い空間はたくさんのお客さんで一杯だった。
GAIは日本酒の清龍大徳利(284円)にする。解っていても、やはり大徳利が税込284円というのは驚異的な値段である。私はホッピーセット(399円)にした。お通しは158円である。なお、価格は全て税込。
本日の特別サービス品は何かとホワイトボードを見れば、まぐろブツが190円であった。
まぐろブツ(190円)を2つと、ハゼのてんぷら(294円)を一つもらった。
ホッピーの値段は店によって様々である。特に外(ホッピー本体)と中(焼酎)の値段は違う。こちらのお店では、外は350円、中は242円となっていた。セットが399円なのに、中と外を合わせると592円になる。面白い。きっとこの中焼酎はかなりの量に違いない。とても私には無理である。
ハゼのてんぷらを食べながら、今の若者たちはハゼなど食べないのではないかという話になった。
そして、周囲を見ると客の年齢層が高いことに改めて気づかされた。
「これだけ安い値段で飲めるのに、若いグループ客とかいないのが不思議だ」とGAIが言う。同感である。
若者の街となってしまった吉祥寺にあって、こちらの店は親父たちのオアシスではないかと思う。
そして、ここにいる年輩の人たちにはパワーがある。このパワーが若者たちを寄せ付けないのではないか、などと話し合う。
蒸し鶏親子サラダ(399円)も頼む。大きなお皿にのってきて量も多い。
さらに、清龍大徳利(284円)をもう一本と、うなぎ玉子焼き(399円)を頼んだ。
私はレモンサワー(242円)を頼む。お猪口も追加して、さらに、3本目の清龍大徳利(284円)を追加する。
茄子の1本漬け(315円)は最後の締めの1品。
考えてみれば、歩きながら缶ビールを飲み、1軒目で焼酎を飲んでいる。私としては、ずいぶんと飲んでしまったようである。私の本拠地である城南地区はやはり遠い、急いで帰ることにしよう。
午後6時30分から午後9時まで2時間半ほどの滞在。お支払いは二人で3,596円(税込)であった。
いつものように、GAIと井の頭線の改札前のエスカレーター下で別れた。
「一難去ってまた一難の人生だよ」と自分が話した言葉が再び頭に浮かぶ。一期に酔いが回った。
始発駅である吉祥寺で井の頭線に乗って、座席に座ってしまい、終点の渋谷駅で目を覚ますことが出来たのは、まさに奇跡であった。
吉祥寺 蔵元居酒屋「清瀧」吉祥寺店
住所 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-1-12 小野山ビル地下1階
電話 0422-21-4406
営業時間 16:00~24:00
定休日 年中無休
交通 JR吉祥寺駅徒歩1分
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
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