池袋 やきとん・やきとり「豊田屋・1号店」
池袋 やきとん・やきとり「豊田屋・1号店」




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東京の繁華街で「昼酒」を楽しむなら、開いている店を探し回るよりも、迷わず電車に乗って池袋に行くのが良いかもしれない。
土曜日の午後3時半、池袋駅近くでの仕事を終えたSAKURAと待ち合わせたのは、池袋駅西口のロータリーであった。
向かったのは池袋駅の北側に広がる歓楽街である。西口ロータリーの北の端の車道を渡ると、すぐ目の前の比較的広い道に入り、西一番街中央通りと書かれたアーケードをくぐる。左手には「池袋演芸場」が地下にあるビルがあった。「池袋演芸場」は、1990年から3年間は改築の為に休んでいたそうである。私がこちらの街にお世話になっていた時代とは違い、すっかり建て替えられてきれいになってしまっていた。
隣の桝本ビルは、1階に入っている桝本屋酒店さんの持ちビル。のぞいてみれば、すでに立ち飲みカウンターには、たくさんの皆さんが立って飲まれている様子。
「入ってみる?」とSAKURA。最近は角打にも女性は多いので問題は無いけれど、座って飲みたいと思っていたので通り過ぎた。次の十字路を右に曲がると、右手の2軒目に有名な「豊田屋・1号店」があった。こちらに入ることを決めておいて、次の十字路を左に曲がり、二つ目の十字路の左手前角に、立呑亭帆立屋を発見。こちらは24時間営業とのこと。ちゃんと営業中の札が出ている。
角を左に曲がる。左手の2軒目には、さきほどの豊田屋の系列、「豊田屋・2号店」があり、斜め向こう、右手に「豊田屋・3号店」がある。1号から3号までどのお店も4時開店である。
さきほどの立呑亭帆立屋の角を右に行けば、次の広い通りに出た角にも角打「三兵酒店」がある。
前述の桝本屋酒店に行き、三兵酒店に移動、さらに、池袋東口側の豊島区役所近くにある「笹屋」で完結するという角打三軒梯子ツアーも楽しそうである。
「豊田屋・1号店」に戻ると、外観をしみじみと見る。お店の上の赤い地に黒い文字の豊田屋の看板が目立つ。店名の左に「やきとん」、右に「やき鳥」とある。
二間間口のお店の幅いっぱいに掛けられた暖簾の竿は少ししなっていた。紺色の地に白い抜き文字で「豊田屋」と書かれたその暖簾の店名の左には「やきとん、やきとり」、右端には「一号店」とある。この暖簾の汚れ具合がお店の歴史を示している。
ガラスサッシの戸は四枚、右端と左から二枚目が入口になっている。右から二枚目はビールケースや生ビールの立看板があるので入れない。よりによって、SAKURAは左端の一枚を開けてしまった。
すると、お店の中から
「そこに入口はこちらって書いてあるのになあ、みんな間違って入ってきちゃうんだから・・・」
と大将の冗談めかした言葉で迎えられる。
左端の戸を入ると目の前は急な階段があって入りにくいのである。一度閉めて、左から二枚目の戸を開けて入った。
「このあいだなんか、そこから出ようとする人もいるんだから・・・出られないよねえ」と、ビールケースが積み上げてある場所の戸を指して笑う。
カウンター前の椅子と階段の途中に大きな猫が座っていた。椅子の猫は階段の方へ自分から移動。猫の座っていた席に座った。
左奥から右にかけてのL字カウンター。カウンターの中にはさきほどの強面の大将が一人。カウンターの右端で先客の方がホッピーを飲んでいらっしゃる。
まずは、サッポロの瓶ビール大瓶(570円)とグラスを二つ。赤星である。
焼き物は、たん(130円)、かしら(130円)、れば(130円)を各2本。いわゆる「2本縛り」である。
突然、マスターがカウンターの角の部分の天井から下げられたマイクを手にとって、プロレスの「リング・アナウンス」か昔の「パチンコ店」の店内放送のように、「いらっしゃいませ、いらっしゃいませ」と言う。すると、男性客の方が入ってこられ、カウンターの左手奥に座った。そして、ホッピーセットの黒を頼んだ。ホッピーは中が270円、外が150円である。セットは420円であろうか。
れんこん包みあげ(300円)を頼む。
階段の途中で猫二匹がおとなしく並んで座っている。ちょうど我々と顔が合う。2匹とも目を細めて眠そうだ。
「君は眠そうだねえ」と猫に声をかける。あくびをする。肉の焼ける美味しそうな香りがしていてもまったく何も反応しない。
「日常ですから・・・」と猫が言っているように思えた。
焼き物がやってきた。普通より長めの串にささっていて大ぶりである。美味しい。
れもんハイ(250円)を頼んだ。
右端の先客の方がお勘定をされた。
「ありがとうございました」とリングアナウンスが入る。この声は店外にも聞こえるようになっている。帰りがけ外の換気扇の下にスピーカーを発見した。

さらに、生酒(670円)を追加。
男性の方、男女二人連れと席がうまってゆく。その度に「リングアナウンス」である。だんだんに店内が盛り上がってゆく。
男性が外からのぞいた。後ろに女性の姿。すかさず、マスターがマイクをとる。
「いらっしゃいませ~」
男女二人連れの方が入ってこられ、私達の右隣に座った。
男性が「呼ばれちゃったから入ってきちゃったよ」とのこと。
大将が「のぞいたから、声かけたんですよ、道ばたの人にはいいませんよ」と切り返す。
メニューを見て、女性の方が「御惣菜コーナーで買うくらいに安いわねえ」とおっしゃる。
こちらのお店では、鳥なんこつをかっぱと呼ぶ、他の方々が食べているのを見て食べたくなった。1本190円。
満席に近い状態になった。開店は4時であるが実際には、ずいぶん前から開けていたようである。
お勘定をお願いする。3時45分から4時30分まで45分の滞在。二人で2,700円であった。
店を出る。外のスピーカーからリングアナウンスが聞こえた。
「はい、ありがとうございました。ありがとうございましたあ~。」
酒も入り、元気が出てきた。隣町まで歩いてみることにする。そして、また発見をしたのだった。
(つづく)

池袋 やきとん・やきとり「豊田屋・1号店」
住所 東京都豊島区西池袋1-34-5
電話 03-3985-8415
営業時間 16:00~23:30
定休日 日曜日
交通 JR池袋駅北口改札より徒歩3分
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ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
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Re: 池袋~椎名町