荏原中延 もつやき「仲居」第2回
居酒屋探偵DAITENの生活 第464回 2011年12月22日(木) 【地域別】 【時間順】
荏原中延 もつやき「仲居」 第2回

←クリックお願いします。
←クリックお願いします。
←クリックお願いします。
電子書籍の作成と販売が出来るサイト
←居酒屋短編小説を発表中(無料)。「新岳大典」で検索。
3連休前の木曜日の夜、荏原中延駅脇の路地にいた。改札を出て右手の交番の前を通り、すぐ右に曲がる。そこにある路地の奥の右手にそのお店はある。
前回、こちらのお店を紹介したのは、2008年10月24日の第153回である。
その時にも書いた通り、こらちのお店は交通新聞社の雑誌「散歩の達人」でも紹介されたことがある。さらに、BS-TBSの「吉田類の酒場放浪記」でも放送されている。実は有名な店なのである。
ガラス引戸を開けて中に入る。まるで霧のように、店内をもつ焼きを焼く煙が充満している。
マスターと目があう。
「おひさしぶり」とマスターが笑顔でおっしゃる。
「どうも」と私。
「前にいらっしゃいましたよね」
「はい・・・」
「そうですよねえ」
「なかなか機会がなくて・・・」
真四角の店内のL字カウンターの手前から右手奥の方で、すでに3名の常連の皆さんが楽しそうに飲んでおられる。手前から左手に向けてつづく側にはどなたもいない。左端は焼き台の真ん前なので特に煙い。ゆえに、左端の席には埃がたまっており、どなたも座れないことがよく解る。その手前の焼き台に近い辺りに座る。
「何を飲まれますか?」
「はい、クエン酸おねがいします。」
久しぶりの「クエン酸」である。これは、前回も書いた通り、レモンサワーに「クエン酸」と「季節の果物」を絞って追加した、この店のオリジナルの飲み物である。
店内にメニューやお品書きなどは無い。常連の皆さんが焼き物を頼むのに合わせて、一緒に【カシラ】と【シロ】をお願いする。もつ焼きは2本ずつである。
カウンターの上にどなたかが忘れたのか、このお店とはおよそ関係ないfacebookの指南書が置いてあるのが面白い。焼き台の脇では真っ黒な古い扇風機が回っている。プラスチックではなく鉄製である。
たくさんのもつ焼きが焼かれ、店内の煙はますます凄くなってゆく。店の奥の方のかつて池上線の線路が通っていた側の高窓が開けてある。そこから冷気が入ってくるのだ。
【カシラ】と【シロ】が2本ずつ皿の上に出される。大ぶりである。【シロ】は弾力があり、うまい。この【シロ】は名物である。また、【カシラ】もうまい。
マスターが大きな換気扇のスイッチを入れる。すると、みるみる店内の煙が消えてゆく。しかし、同時に暖気も外に出て行き、高窓からさらに冷気が入ってくるのだ。
次に常連の皆さんとマスターの会話の中に出てきたのが【ナイショ】である。
常連さんたちの注文にのせてもらう。
「私にも【ナイショ】をお願いします」
「めしあがりますか?」
「はい、お願いします。」
【ナイショ】をいただくことにする。
「かんでいて味が抜けないですよ」とマスター。
「どこの場所なの?」と常連の方。
「秘密です」とマスター。
このやりとりが楽しいのである。マスターは一定のトーンで笑顔を絶やさずお話になる。
クエン酸を飲み終えて、冷え切った身体を温めようと考え、燗酒をお願いした。
すると、小さな薬缶(やかん)に入ったお酒を直接温めたものが厚手のグラスと共に出てくるのである。熱い。飛び切り燗に近い温度である。寒いのでちょうどよい。
【ナイショ】は1本のみ。やはり貴重な部位なのである。
うまいもつ焼きの店では、お客さんが食べた本数が話題になることが多い。こちらのお店でもつ焼きを一人で食べた最高の本数は53本とのこと。こちらの大ぶりのもつ焼きを53本というのは本当にすごいと思う。
ここで、【ナンコツ】を頼む。【ナンコツ】も2本である。
銀座からこの【ナンコツ】だけを20本食べにくるお客さんがいる話をうかがう。前回も話してくださった話である。
「バストない?」と常連の方。
「今日はないんですよ」
「それじゃ、【ナンコツ】ね」
店内が煙でいっぱいになる。すると、大換気扇がうなりを上げる。すると煙が消え、冷気が入ってくる。このくりかえしである。
「マスター、【コブクロ】ね」と常連の方。
「マスター、【コブクロ】のります」と私。
「めしあがりますか?」とマスター。
「はい」と私。すると、マスターがにやりと笑う。
もつ焼きを焼き、時折煙草をつけて吸うマスター。炭に汚れたマスターの指が素敵である。
【コブクロ】が2本出てくる。
二つ目の薬缶酒をお願いする。
目の前の古い扇風機を眺める。文字が書いてあるけれど、「交流」という文字だけが読める。
並びの方が串の乗った皿をマスターに渡して「お勘定」の一言。「よいなあ」と思う。
自分の皿の上の串を数えてみる。9本である。
「マスター、今までに9本食べたんですけど、最後に1本を食べたいんですが、何がおすすめですか?」と聞く。
マスターは【ハツ】を塩で1本焼いてくれた。この【ハツ】が素晴らしい選択だった。とても美味しく、感動した。私が手を叩く仕草をすると、マスターも笑顔で手を叩く仕草をしてくれた。
【カシラ】2本、【シロ】2本、【ナイショ】1本、【ナンコツ】2本、【コブクロ】2本、【ハツ】1本。
食べたもつ焼きの串の本数は10本ちょうどである。クエン酸と薬缶酒二つ、御勘定は2,900円であった。午後7時30分から8時50分まで1時間20分の滞在。久しぶりに、ゆっくりと飲むこと出来たような気がする。充実の一時であった。
荏原中延 もつやき「仲居」
住所 東京都品川区中延2-8-14
電話 03-3783-0371
定休日 日曜(?)
営業時間 19:00頃(シャッターが開いたら開店)~
交通 東急池上線荏原中延駅下車徒歩1分
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
実力派俳優になりたい方はこちらを是非ごらんください→ 守輪咲良のSAKURA ACTING PLACE
荏原中延 もつやき「仲居」 第2回




電子書籍の作成と販売が出来るサイト

3連休前の木曜日の夜、荏原中延駅脇の路地にいた。改札を出て右手の交番の前を通り、すぐ右に曲がる。そこにある路地の奥の右手にそのお店はある。
前回、こちらのお店を紹介したのは、2008年10月24日の第153回である。
その時にも書いた通り、こらちのお店は交通新聞社の雑誌「散歩の達人」でも紹介されたことがある。さらに、BS-TBSの「吉田類の酒場放浪記」でも放送されている。実は有名な店なのである。
ガラス引戸を開けて中に入る。まるで霧のように、店内をもつ焼きを焼く煙が充満している。
マスターと目があう。
「おひさしぶり」とマスターが笑顔でおっしゃる。
「どうも」と私。
「前にいらっしゃいましたよね」
「はい・・・」
「そうですよねえ」
「なかなか機会がなくて・・・」
真四角の店内のL字カウンターの手前から右手奥の方で、すでに3名の常連の皆さんが楽しそうに飲んでおられる。手前から左手に向けてつづく側にはどなたもいない。左端は焼き台の真ん前なので特に煙い。ゆえに、左端の席には埃がたまっており、どなたも座れないことがよく解る。その手前の焼き台に近い辺りに座る。
「何を飲まれますか?」
「はい、クエン酸おねがいします。」
久しぶりの「クエン酸」である。これは、前回も書いた通り、レモンサワーに「クエン酸」と「季節の果物」を絞って追加した、この店のオリジナルの飲み物である。
店内にメニューやお品書きなどは無い。常連の皆さんが焼き物を頼むのに合わせて、一緒に【カシラ】と【シロ】をお願いする。もつ焼きは2本ずつである。
カウンターの上にどなたかが忘れたのか、このお店とはおよそ関係ないfacebookの指南書が置いてあるのが面白い。焼き台の脇では真っ黒な古い扇風機が回っている。プラスチックではなく鉄製である。
たくさんのもつ焼きが焼かれ、店内の煙はますます凄くなってゆく。店の奥の方のかつて池上線の線路が通っていた側の高窓が開けてある。そこから冷気が入ってくるのだ。
【カシラ】と【シロ】が2本ずつ皿の上に出される。大ぶりである。【シロ】は弾力があり、うまい。この【シロ】は名物である。また、【カシラ】もうまい。
マスターが大きな換気扇のスイッチを入れる。すると、みるみる店内の煙が消えてゆく。しかし、同時に暖気も外に出て行き、高窓からさらに冷気が入ってくるのだ。
次に常連の皆さんとマスターの会話の中に出てきたのが【ナイショ】である。
常連さんたちの注文にのせてもらう。
「私にも【ナイショ】をお願いします」
「めしあがりますか?」
「はい、お願いします。」
【ナイショ】をいただくことにする。
「かんでいて味が抜けないですよ」とマスター。
「どこの場所なの?」と常連の方。
「秘密です」とマスター。
このやりとりが楽しいのである。マスターは一定のトーンで笑顔を絶やさずお話になる。
クエン酸を飲み終えて、冷え切った身体を温めようと考え、燗酒をお願いした。
すると、小さな薬缶(やかん)に入ったお酒を直接温めたものが厚手のグラスと共に出てくるのである。熱い。飛び切り燗に近い温度である。寒いのでちょうどよい。
【ナイショ】は1本のみ。やはり貴重な部位なのである。
うまいもつ焼きの店では、お客さんが食べた本数が話題になることが多い。こちらのお店でもつ焼きを一人で食べた最高の本数は53本とのこと。こちらの大ぶりのもつ焼きを53本というのは本当にすごいと思う。
ここで、【ナンコツ】を頼む。【ナンコツ】も2本である。
銀座からこの【ナンコツ】だけを20本食べにくるお客さんがいる話をうかがう。前回も話してくださった話である。
「バストない?」と常連の方。
「今日はないんですよ」
「それじゃ、【ナンコツ】ね」
店内が煙でいっぱいになる。すると、大換気扇がうなりを上げる。すると煙が消え、冷気が入ってくる。このくりかえしである。
「マスター、【コブクロ】ね」と常連の方。
「マスター、【コブクロ】のります」と私。
「めしあがりますか?」とマスター。
「はい」と私。すると、マスターがにやりと笑う。
もつ焼きを焼き、時折煙草をつけて吸うマスター。炭に汚れたマスターの指が素敵である。
【コブクロ】が2本出てくる。
二つ目の薬缶酒をお願いする。
目の前の古い扇風機を眺める。文字が書いてあるけれど、「交流」という文字だけが読める。
並びの方が串の乗った皿をマスターに渡して「お勘定」の一言。「よいなあ」と思う。
自分の皿の上の串を数えてみる。9本である。
「マスター、今までに9本食べたんですけど、最後に1本を食べたいんですが、何がおすすめですか?」と聞く。
マスターは【ハツ】を塩で1本焼いてくれた。この【ハツ】が素晴らしい選択だった。とても美味しく、感動した。私が手を叩く仕草をすると、マスターも笑顔で手を叩く仕草をしてくれた。
【カシラ】2本、【シロ】2本、【ナイショ】1本、【ナンコツ】2本、【コブクロ】2本、【ハツ】1本。
食べたもつ焼きの串の本数は10本ちょうどである。クエン酸と薬缶酒二つ、御勘定は2,900円であった。午後7時30分から8時50分まで1時間20分の滞在。久しぶりに、ゆっくりと飲むこと出来たような気がする。充実の一時であった。
荏原中延 もつやき「仲居」
住所 東京都品川区中延2-8-14
電話 03-3783-0371
定休日 日曜(?)
営業時間 19:00頃(シャッターが開いたら開店)~
交通 東急池上線荏原中延駅下車徒歩1分
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
実力派俳優になりたい方はこちらを是非ごらんください→ 守輪咲良のSAKURA ACTING PLACE
Re: こんにちは。