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武蔵新田 角打ち「飯田酒店」第2回

Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第518回 2013年5月24日(金)
【横浜市】 【池上線】 【その他】 【時間順】 【がっかり】


武蔵新田 角打ち「飯田酒店」 第2回


  ~ 日々がつくったもの ~


 
  武蔵新田飯田酒店
  
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 暑い日だった。
 東京の最高気温は28度を越えていた。しかし、身体に感じる温度はもっと高かったように思える。

 武蔵新田駅周辺を歩き回った。
 以前から入ろうと思っていて入らなかったある店に、今日こそは入ろうと思って来たのである。
 しかし、なんとなく気持ちが失せてしまった。店の前を3回も通ってみる。それでも何故か入れない。
 やはり、こういう時の心のざわつきには、従うのが一番である。
 
 しかし、むし暑い。
 喉が渇いている。
 せめて、缶ビール1缶だけでも飲んで帰ろうと思う。 
 居酒屋が多い街であるというのに、どこにも入らず、コンビニで缶ビールを買って道端で飲むのも寂しい。
 東急多摩川線沿線には驚くほど安い居酒屋が多い。
 酒屋さんの店内で飲める、いわゆる角打ちが奇跡的に残っているのもこの沿線の特長である。
 そのうちの一軒が武蔵新田駅前にある。
 武蔵新田駅前踏切脇に立つと、そこからその店が見えた。
 蒲田方面の改札から多摩川方面の線路沿いを数十メートル歩いた場所にある「飯田酒店」さんである。
 前回、記事にしたのは2009年10月の第272回であるからもう3年半前になるだろうか。
 それ以前も、その後もこちらのお店には時々お世話になっている。

 外から見て、まったくごく普通の酒屋さんに見える店内に入って行く。
 すると、右手には薄暗くなっている空間があり、立ち飲みスペースがある。
 今日は奥の方までその空間が満員の様子。奥の冷蔵庫前、店の中央当たりの作業台前にも立っている方がいる。
 その辺りはとても明るい。
 
 お店の「お母さん」が私に気づいて、笑顔で近づいてきた。
 私はコップを口元に持って行く仕草をして「こんなことさせてもらいたくて・・・」と言ってみる。
 
 「ビールですか?」
 「ビールは何があります?」
 「キリン、サッポロ、アサヒがあります」
 「それじゃ、サッポロを」

 サッポロ黒生の缶ビールの350ミリリットル缶とビアタンブラーを持って来て、渡してくれた。
 
 当然のごとく全員が常連の方々。今日は特に盛り上がっていた。
 飲んでいる場所は、酒屋さんの入口の通路である。落ち着かないに違いないと思われるだろうがそうでもない。
 iPhoneのアプリを使い、チェーホフ小説「子犬を連れた奥さん」を読んでいると、お母さんが声をかけてくれた。

 「小説ですか?」
 「ええ、そうなんです」

 常連の皆さんの中、一人端に立っている私を気づかってくださったのである。
 スマートフォンや電子辞書のことを少しお話をする。

 お母さんはお客さんたちの話をじっと聞いていて、何かあれば声をかけてくれる。

 やはり、缶ビール1杯で終わらないのである。
 再びお母さんに声をかけ、タカラ辛口チューハイレモンをもらった。
 少し酔いがまわってきた。何か食べることにしよう。

 「魚肉ソーセージ、お願いします」
 「ハムなんですけど、こんな」と太い魚肉ハムを見せてくれる。
 「それ、いいですね」
 「切って、お皿にのせますから、そこじゃ狭いですから、真ん中へ来たらどうですか?」
 確かに私の立っていた場所には皿を置くところが無い。
 「それじゃ、そうさせてもらいます。」

 すると、先に立っていた常連の方々が少しずれてくださり、お店の真ん中辺りへ移動させてもらった。
 暗めの立ち飲みカウンター前でいつも飲んできた。「明るい場所」は始めてである。

 「こんな真ん中の明るい場所は、始めてなんですよ」と、隣の方がおっしゃる。
 同じことをかんがえてい私。
 「私もです、いつも、あっちの暗い方でして、なんだか、明るくて違う場所みたいです」
 「あちらの暗い方が客席で、こっちが舞台みたいですよね」
 まさに、その通りである。

 「ここはね、お客さんがよい」と常連の方。賛成である。
 「いいですね、こちらは・・・」
 「誰がこういう雰囲気にしてくれたんでしょうかね。」とおっしゃる。

 すでに、半世紀近い時がたっているそうである。
 お客さんからお客さんへと、手渡されてきたもの、長い長い日々がつくってくれたものかもしれない。
 お酒常温をお願いする。
 お店に買い物に来る母親と子供たちにも、お店のお母さんは細かい気遣いで声をかける。
 皆さんのお話の中に、酒飲みの達人の方々の話がでた。その会話を聞いているだけで楽しい。
 時々顔を出させてもらうなか、やっと、少し混ぜていただいたような気がする。

 少し飲みすぎてしまったようだ。
 お母さんにお勘定をお願いする。計算が始まった。

 「あら、ワン、ツー、スリーだわ」とおっしゃる。

 1230円であった。ここは、気遣いの酒場である。

 常連の方々に頭を下げ、お母さんの笑顔におくられ外に出る。
 少し涼しくなっていた。
 さきほどの心のざわつきが嘘のように消えていた。


 
武蔵新田 角打ち「飯田酒店」
住所 東京都大田区矢口1-7-18
電話 03-3758-2405
定休日 ?
営業時間 夕方から~
交通 東急多摩川線武蔵新田駅下車徒歩30秒。


ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。

「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら

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武蔵新田

Comments 2

新岳大典

Re: 久しぶりです

類猫様

コメントありがとうございます。
居酒屋さんのお魚がうまかったことを覚えてます。
長崎は一度行ったことがあります。普通の居酒屋さんの魚料理があまりにも美味しいので驚きました。
高知は友人がいるので、是非行きたいと思っております。
「放浪」いいですね、今の私が置かれた状況では、東京、神奈川以外は無理ですね。うらやましい限りです。

  • 2013-06-02 (Sun) 13:17
  • REPLY
類猫

久しぶりです

最近は太田和彦氏に魅了されてます。
また新しい番組始まりましたね?
ようやく47都道府県制覇しました。
酒場放浪記にはないですが長崎「思案橋、銅座」は良かったです。
福岡より酒場マニアには魅力的かもです。
鹿児島天文館に雰囲気は似てますが、人は長崎関西人に似て親切…お節介くらい親切です。
松山の道後温泉、秋田県象潟、山形県酒田なども吉田類氏や太田和彦氏の爪跡があり魅力的です。
是非とも、長崎、高知放浪してみてください。

  • 2013-06-01 (Sat) 17:09
  • REPLY