鵜の木 焼き鳥「とりふく」
Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第519回 2013年6月5日(水) 【地域別】 【時間順】 【がっかり集】
※2013年6月15日 1,160,000カウント通過。感謝!
鵜の木 焼き鳥「とりふく」
~ 美しき命をいただく ~

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散歩が好きである。
足、膝、腰に痛みがあり、整形外科に通っているのに、独り歩くのが好きなのである。
馴染みのない街を歩くのが好きだ。よく知っている街でも、今まで通ったことの無い道、路地に入ってみるのが楽しい。
頭の中に地図を描いていて、その地図が「実像」として過去の記憶とつながると、心の平安を覚えるのかもしれない。
だから、本当は歩くことそのものではなく、目の前の「光景」が変わることが楽しいのかもしれない。
細かく見るには、車よりも自転車よりも歩くのが一番よいのだ。
静かに歩いて、次々に変わる「光景」を処理してゆく、脳の血流がよくなる。何よりのストレス発散だ。
多摩川線沿線の街を歩いた。多摩川駅から二つ目、蒲田から四つ目の駅、鵜の木駅周辺である。
鵜の木駅の周辺には商店街になっている道筋が2本ある。蒲田寄り踏切の蒲田方面と多摩川方面の両方の改札に面した商店街と、改札の無い、多摩川寄り踏切の側の商店街の2つである。
その商店街を歩いている時、ずっと前の記憶が甦った。間口も狭く、初めての人は入りにくいかもしれない。業態は焼き鳥店。店名は「とりふく」である。(下写真)

白い暖簾をくぐり、店内に入ると、右手にL字カウンターがある。入口側から奥に向いて座る席が2席、右手を見て座る席が手前から奥にかけて6席並んでいる。合計8席のみのカウンター席である。一番奥にテーブル席がありそうな空間がある。後でトイレに立った時に見てみると、五人と二人のテーブルがあった。しかし、あまり普段は使っていない様子であった。
右手の2席の部分に男性客一人、奥の方に男女のお客様、その手前に女性客一人である。一番手前の角の辺りに座った。ちょうど、焼き台がカウンターの中にあり、焼き台で焼くマスターと向かえ合わせの位置である。よい場所である。焼き台の上の焼き物の様子がアクリルの板をはさんで良く見えるようになっている。
アクリル板の隙間からマスターが「お通しです」と言って、大根おろしにうずらの生卵がのったものを渡してくれる。
生ビール(600円)をお願いする。ジョッキではなく大きめのグラスビールという感じである。
メニューをじっくりと見る。シンプルなメニューの内容。まさに、鶏を食べされる店である。
まずは、ぼんじり(200円)とせせり(300円)をお願いする。
おすすめ焼き鳥コース(1500円)がある。
内容は、焼き鳥六本、ミニサラダ付である。
先客の皆さんはこれを頼んでいるようだ。ゆっくり一本一本出してくれる。つくね、ねぎま、レバー等々。
カウンターの中の静かなマスターが炭と戦っている。
ぼんじりとせせりが出てくる。
せせりがうまい。肉をかみ切る時の歯触りの良さが楽しめた。
ぼんじりは、アブラが甘く、やはりうまい。
一般的な「やきとり」とは違う。
酒を飲む為のつまみとしての「やきとり」ではない。
鶏肉そのものの旨みを楽しむ店である。
次に、はつ(200円)とねぎま(200円)をお願いする。
メニューの左端に4種類が別に表記されていた。どれも300円である。
そこには「希少部位は数に限りがございます」と書いてあった。
そり、せせり、はつもと、とっくりである。
野菜焼きもある。ししとう(200円)、長ネギ(200円)、ズッキーニ(300円)、しいたけ(300円)。
一品料理も少しある。
レバーのテリーヌ(600円)が気になった。
パンにつけて食べるそうだ。山梨のアルガーノというワインと一緒にいただくと良いとのこと。
とりわさ(600円)と胸肉のたたき(700円)も期待できそうである。
焼き台の上を見る。一本一本、丁寧に焼かれてゆく。
小さな心臓が串を打たれ、並んでいる姿を見る。鳥の「はつ」は美しい。
「はつ」が焼き上がった。一つ、一つ、口にいれてゆく。うまい。
まさに、「命」をいただいている気持ちになった。
マスターに相談をして、いも焼酎黒丸(500円)をロックでいただく。
そして、ねぎまである。鶏肉好きの私にとって満足の出来る味であった。
店内に流れるのはJAZZ。あまりにも焼き物の焼ける様子に集中していて、店内の音楽のことも気づかずにいた。
マスターの手がすいたところで聞いてみる。
「そりは〈どこ〉なんですか?」
「モモの内側の部位なんですけど」
「珍しいものなんですね」
「今日は一本だけあります」
「それじゃ、その一本をください」
「そり」(300円)を頼んでしまった。
焼く前に「そり」を見せてくれた。新鮮なピンク色の丸い塊が二つ、一本の串に刺してある。
おもわず、「美しい」とつぶやいてしまった。
焼きあがったものをいただく。
焼いてもらうと、ギュッとしまったまん丸の肉の塊になった。
マスターは素材について、きちんと静かに話してくれる。
お酒のことも、細かく対応してくれる。
このやりとりは大切である。
日本のお酒には作る過程に「物語」がある。日本の食材もそうである。
これから我が国がこれらを世界に売ってゆくには、この「物語」を伝えられる「かたりべ」が必要だ。
マスター一人で奮闘である。
合間を見て、お勘定を頼んだ。
「ごちそうさまでした。」
「そりはどうでしたか?」
「すごいですね。」
「弾力があるでしょう。」
「はい、とても美味しかったです。」
「また、お願いします」
「また、来ます」
贅沢な時間を楽しむことが出来た。
6時50分から7時50分まで1時間ほどの滞在。御勘定は2,620円だった。
外に出る。
周辺のお店のシャッターは閉まっていた。
商店街の人通りは少ない。
夜の道を歩き、散歩の続きである。
すっかり足や膝の痛みを忘れていた。
あの「そり」を食べたからであろうか。
※ ※ ※
2013年6月16日追記 2013年6月15日に放送されたテレビ東京の「出没!アド街ック天国/日本橋茅場町」の中で、ソリレスとして紹介され、価格は1本400円であった。
ちょっと調べてみた。ソリレスの略が「そり」のようだ。
仏語で「馬鹿はそれを残す」という意味とのこと。それだけうまいということである。
鵜の木 焼き鳥「とりふく」
住所 東京都大田区鵜の木2-15-19
電話 03-6312-7026
定休日 月曜日他不定休
営業時間 17:30~23:00
交通 東急多摩川線鵜の木駅下車徒歩3分。
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
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居酒屋探偵DAITENの生活 第519回 2013年6月5日(水) 【地域別】 【時間順】 【がっかり集】
※2013年6月15日 1,160,000カウント通過。感謝!
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散歩が好きである。
足、膝、腰に痛みがあり、整形外科に通っているのに、独り歩くのが好きなのである。
馴染みのない街を歩くのが好きだ。よく知っている街でも、今まで通ったことの無い道、路地に入ってみるのが楽しい。
頭の中に地図を描いていて、その地図が「実像」として過去の記憶とつながると、心の平安を覚えるのかもしれない。
だから、本当は歩くことそのものではなく、目の前の「光景」が変わることが楽しいのかもしれない。
細かく見るには、車よりも自転車よりも歩くのが一番よいのだ。
静かに歩いて、次々に変わる「光景」を処理してゆく、脳の血流がよくなる。何よりのストレス発散だ。
多摩川線沿線の街を歩いた。多摩川駅から二つ目、蒲田から四つ目の駅、鵜の木駅周辺である。
鵜の木駅の周辺には商店街になっている道筋が2本ある。蒲田寄り踏切の蒲田方面と多摩川方面の両方の改札に面した商店街と、改札の無い、多摩川寄り踏切の側の商店街の2つである。
その商店街を歩いている時、ずっと前の記憶が甦った。間口も狭く、初めての人は入りにくいかもしれない。業態は焼き鳥店。店名は「とりふく」である。(下写真)

白い暖簾をくぐり、店内に入ると、右手にL字カウンターがある。入口側から奥に向いて座る席が2席、右手を見て座る席が手前から奥にかけて6席並んでいる。合計8席のみのカウンター席である。一番奥にテーブル席がありそうな空間がある。後でトイレに立った時に見てみると、五人と二人のテーブルがあった。しかし、あまり普段は使っていない様子であった。
右手の2席の部分に男性客一人、奥の方に男女のお客様、その手前に女性客一人である。一番手前の角の辺りに座った。ちょうど、焼き台がカウンターの中にあり、焼き台で焼くマスターと向かえ合わせの位置である。よい場所である。焼き台の上の焼き物の様子がアクリルの板をはさんで良く見えるようになっている。
アクリル板の隙間からマスターが「お通しです」と言って、大根おろしにうずらの生卵がのったものを渡してくれる。
生ビール(600円)をお願いする。ジョッキではなく大きめのグラスビールという感じである。
メニューをじっくりと見る。シンプルなメニューの内容。まさに、鶏を食べされる店である。
まずは、ぼんじり(200円)とせせり(300円)をお願いする。
おすすめ焼き鳥コース(1500円)がある。
内容は、焼き鳥六本、ミニサラダ付である。
先客の皆さんはこれを頼んでいるようだ。ゆっくり一本一本出してくれる。つくね、ねぎま、レバー等々。
カウンターの中の静かなマスターが炭と戦っている。
ぼんじりとせせりが出てくる。
せせりがうまい。肉をかみ切る時の歯触りの良さが楽しめた。
ぼんじりは、アブラが甘く、やはりうまい。
一般的な「やきとり」とは違う。
酒を飲む為のつまみとしての「やきとり」ではない。
鶏肉そのものの旨みを楽しむ店である。
次に、はつ(200円)とねぎま(200円)をお願いする。
メニューの左端に4種類が別に表記されていた。どれも300円である。
そこには「希少部位は数に限りがございます」と書いてあった。
そり、せせり、はつもと、とっくりである。
野菜焼きもある。ししとう(200円)、長ネギ(200円)、ズッキーニ(300円)、しいたけ(300円)。
一品料理も少しある。
レバーのテリーヌ(600円)が気になった。
パンにつけて食べるそうだ。山梨のアルガーノというワインと一緒にいただくと良いとのこと。
とりわさ(600円)と胸肉のたたき(700円)も期待できそうである。
焼き台の上を見る。一本一本、丁寧に焼かれてゆく。
小さな心臓が串を打たれ、並んでいる姿を見る。鳥の「はつ」は美しい。
「はつ」が焼き上がった。一つ、一つ、口にいれてゆく。うまい。
まさに、「命」をいただいている気持ちになった。
マスターに相談をして、いも焼酎黒丸(500円)をロックでいただく。
そして、ねぎまである。鶏肉好きの私にとって満足の出来る味であった。
店内に流れるのはJAZZ。あまりにも焼き物の焼ける様子に集中していて、店内の音楽のことも気づかずにいた。
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「そりは〈どこ〉なんですか?」
「モモの内側の部位なんですけど」
「珍しいものなんですね」
「今日は一本だけあります」
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「そり」(300円)を頼んでしまった。
焼く前に「そり」を見せてくれた。新鮮なピンク色の丸い塊が二つ、一本の串に刺してある。
おもわず、「美しい」とつぶやいてしまった。
焼きあがったものをいただく。
焼いてもらうと、ギュッとしまったまん丸の肉の塊になった。
マスターは素材について、きちんと静かに話してくれる。
お酒のことも、細かく対応してくれる。
このやりとりは大切である。
日本のお酒には作る過程に「物語」がある。日本の食材もそうである。
これから我が国がこれらを世界に売ってゆくには、この「物語」を伝えられる「かたりべ」が必要だ。
マスター一人で奮闘である。
合間を見て、お勘定を頼んだ。
「ごちそうさまでした。」
「そりはどうでしたか?」
「すごいですね。」
「弾力があるでしょう。」
「はい、とても美味しかったです。」
「また、お願いします」
「また、来ます」
贅沢な時間を楽しむことが出来た。
6時50分から7時50分まで1時間ほどの滞在。御勘定は2,620円だった。
外に出る。
周辺のお店のシャッターは閉まっていた。
商店街の人通りは少ない。
夜の道を歩き、散歩の続きである。
すっかり足や膝の痛みを忘れていた。
あの「そり」を食べたからであろうか。
※ ※ ※
2013年6月16日追記 2013年6月15日に放送されたテレビ東京の「出没!アド街ック天国/日本橋茅場町」の中で、ソリレスとして紹介され、価格は1本400円であった。
ちょっと調べてみた。ソリレスの略が「そり」のようだ。
仏語で「馬鹿はそれを残す」という意味とのこと。それだけうまいということである。
鵜の木 焼き鳥「とりふく」
住所 東京都大田区鵜の木2-15-19
電話 03-6312-7026
定休日 月曜日他不定休
営業時間 17:30~23:00
交通 東急多摩川線鵜の木駅下車徒歩3分。
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
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