FC2ブログ

大崎広小路「一平」

Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第54回  2007年11月17日(土)     【地域別】  【時間順】


 2010年冬 東急池上線大崎広小路駅高架耐震工事に伴い閉店


大崎広小路 居酒屋「一平」

  大崎広小路 居酒屋「一平」

 ちょっとした酒を伴う会合が戸越であり、その帰りにもう少し呑もうということになって、ASIMO君と向かったのは、前回、 「居酒屋探偵DAITENの生活 第53回」で紹介した、大衆料理「朝日屋」のちょうど裏手にある店、居酒屋「一平」である。

 外には大きな明るい看板などはない、店の前にキリンビールから提供された蛍光灯の入ったアクリル製の赤と白の看板に、素っ気なく「一平」と書かれているだけである。とにかく目立たない。
 その看板も斜め前に傾いて置かれている。ブロックか何かを下に置いて、まっすぐにしようという考えもないようである。無造作に外に出して、コンセントにつないだだけという感じで、遠くからよく見えるように置く気もないようである。

 店の外から見ると、入口は左右にある。中に入ると入口から奥に向けて、下駄の歯のように、2本のカウンターがあり、カウンターとカウンターの間が調理場になっている。客は調理場を間に挟んで向き合って座っているのである。調理場の一番奥に巨大な冷蔵庫があり、その上に大きなブラウン管テレビが乗っている。その冷蔵庫の後ろ側が狭い通路になっていて、右手奥のトイレへと続いている。二つのカウンターからカウンターに移動するには、一度外に出るか、この冷蔵庫の後ろの通路を通らなければならない。

 右側の入口から入ったカウンターに常連らしき客筋の人たちが数名呑んでいる。カウンターの奥の右側に四人掛けのテーブルがあるが、棚や様々なものがテーブルを囲んでしまっており、物置状態である。そのテーブルにも常連らしき人たちが座っている。どうやら、店に入って右側が常連さんエリアのようである。

 私たちは左側の入口から入って、左側のカウンターに座った。カウンターの上もまた、調味料や様々なものがあちらこちらに置かれている。
 店は地味で静かな女将さんが1人で切り盛りしている。大きな声を出す訳でもなければ、愛想が良い訳でもない。テレビの音量も女将さんの声に合わせたように小さい。5、6人の客が店内におり、何かしゃぺっているのだが、店全体は実に静かである。

 最初にレモンサワー(300円)を二つお願いした。普通にうまい。
 目の前でマグロのぶつが二つの小鉢にのせられ、とろろがかけられてゆく。「山かけ」である。ASIMO君が「つきだしでしょうか」と小声で言う。すぐに我々の目の前に出された。やはり「つきだし」であった。量もそこそこあってうまい。後で計算してみると値段は200円であった。これはよい。
 つまみは、色々な居酒屋で必ず頼むニラ玉(300円)と、餃子(280円)をお願いした。餃子は5つ程のっていてこの値段は安い。

 レモンサワーの次は、私はホッピーセット白(380円)を頼んだ。氷無しでお願いすると、ホッピーが冷えていないことを告げられた。焼酎も冷えていないことは、レモンサワーの時に解っていた。氷を2個だけ入れてもらうことにする。しかし、実際に出てきたホッピーを見て驚いた。ジョッキだけは、よく冷やしてあったのである。ジョッキのみの一冷というのには、あまり出会ったことがない。これなら氷は入れてもらわないでも済んだかもしれない。

 ニラ玉と餃子を食べた後は、小あじの南蛮づけ(150円)をもらう。調理場の女将さんや常連さんたちの様子を眺めていると、ただ酒を飲むのではなく、夕食を食べている人たちが多いことが解る。クリームシチューが鍋で作られており、それを御飯と一緒に出してもらっている人がいる。マグロとトロロとで、メニューに無いやまかけ丼を作ってもらっている人もいる。この常連さんたちにとって、この店は家庭料理を食べることの出来る貴重な場所に違いない。

 めざし(150円)とお新香(100円)をもらい、私は3杯目に再びレモンサワー(300円)を頼んだ。あと少し食べたい時、こんな安いつまみがあることがうれしい。ここは、独りで来るお客さんが多いのだなと改めて思う。女将さんがテーブル席に座って、客の1人に小さな声で意見をしている様子である。この目立たぬ小さな店で、毎夜、都会の孤独が癒されているのかもしれない。

 いつの間にか午後9時を過ぎていた。約1時間30分の滞在。 2人でお勘定は2,960円である。つきだし2人分、つまみ5品をとって、ドリンク5杯を呑み、1人当たり1,500円しないのである。本当に安い。
 「大崎広小路」には良い店が多い、ASIMO君のよく使う言葉を借りれば大崎広小路、恐るべし」である。


大崎広小路居酒屋「一平」看板

大崎広小路 居酒屋「一平」
住所 東京都品川区西五反田1-22-2 池上線ガード下
電話 03-3493-7730
交通 東急池上線大崎広小路駅徒歩1分

「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら

実力派俳優になりたい人は→ 咲良舎/櫻塾

大崎広小路

Comments 0