矢口渡 食べ処・飲み処「アパッチ食堂」
Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第564回 2014年7月16日(水) 【地域別】 【池上線】 【時間順】 【がっかり】
矢口渡 食べ処・飲み処「アパッチ食堂」
~ 隠れた食堂は僕ら酒飲みの砦であった ~

東急多摩川線は多摩川、沼部、鵜の木、下丸子、武蔵新田、矢口渡、蒲田と7つしか駅がない。
その沿線駅の中でも下丸子、武蔵新田、矢口渡の3駅の辺りは、車窓からよく環状八号線が見える。
環状八号線と東急多摩川線が平行に走っている状態からクロスする辺り、その立体交差手前に、ずっと気になっていたお店があった。
東急多摩川線に背を向けて建っているので電車からは見えない。蒲田方面へ向かう場合、環状八号線はお店の先数十メートルから東急多摩川線下へもぐってしまうので、運転者は注意が前方に向かってしまう。反対車線を通った場合もお店の前には歩道橋があり、車道からは影になってよく見えないのである。
運転免許証がない。車がない。どこへでも電車とバスと徒歩だけで移動しているからこそ出会えたのかもしれない。
外に「うどんそば」や「呑喰処」という幟が立っている。外の左手に「おでん」と書かれた小さな赤提灯。「うどん」と手書きで追加記入されたハイボールの黄色い提灯が右手にある。店内が見えてしまう透明なガラスサッシの店内に暖簾代わりに幟が横に下げてあり、首を曲げると「お弁当」という文字が読める。
「アパッチ 食堂」
正面のガラスサッシを開けて中に入った。右手は奥行きが広く左手が狭い台形であり、正面奥側にカウンター席がある。六席くらいであろうか。右手壁にも壁カウンターがあり、手前窓側に向かっても座れるようになっていた。
カウンターの左手にお一人、右手側にお二人、店内には三名の先客の方がおられた。奥の調理場の中にマスターのお姿があった。左右の皆さんに頭を下げながら間に座らせてもらった。
並びの方が頼まれたのを聞いて、梅干し入チューハイ(350円)を私もお願いする。
カウンターに座ってみて気づいたことある。カウンターの真ん中辺りと、奥の調理場側との間に、橋のような板が渡してあったことである。
「いろいろと工夫があるんですね」と言ってカウンターから調理場に渡してある板を指さす。
すると、マスターがその板を外してしまった。
「これ、外すとね、こっち側にも座れるんだよ」
マスターが指さしたカウンターの向側にも作り付けの座る場所があるのだった。つまり、我々の座っていたカウンターには、向かい合わせにも座ることが出来たのである。
「凄いですね、びっくりしました」と私は素直に驚いてしまった。
壁のメニューを見る。
「出来るものは出来るけど、出来ないものは出来ないよ~」とマスター。常連の皆さんが笑う。
先客の方がイワシの煮付けを食べておられたので私も同じものにする。
イワシ煮付け(250円)である。
イワシ煮付けを美味しくいただきながら次の飲み物を考える。
「そば湯割りなんて、どうです。冷たいのと暖かいのとあるけど、冷たい方が今は旨いよ、評判がいいんだ」とマスター。
そば湯割り冷(350円)である。
マスターに聞けば、午前十一時から営業しているとのこと。終わりは午後九時である。
昼間は食堂として、そばやうどんや丼物を出しているお店である。
そばを茹でる時に出来たそば湯を冷蔵庫で冷やしておいて、焼酎を割って作ったものである。
そば湯割り・冷というネーミングが楽しい。
左端の方が先に帰られた。その後に座らせてもらうと、カウンターの右端の液晶テレビが見やすいのである。
「みんなね、その席が好きみたいだよ」とマスター。
板わさ(100円)とはしょうが漬け(150円)を頼む。
はしょうが漬けにらっきょう一個がおまけでついてくる。
「らっきょう、一個おまけねえ」とちゃんと言ってくれる。
定休日を聞いてみる。「休みは特に無い」とのこと。
並びの方がホッピーを頼まれた。焼酎の量が多い。
「ホッピーのみたいんですけど、焼酎が多いですねえ、どうしようかなあ」と私。
「大丈夫だよ、飲めるよ」。
マスターは笑っている。
ホッピーセット氷なし(350円)をお願いする。
氷なしにすると、焼酎の量がはっきりわかる。焼酎は多分普通の倍である。
そこで、隣の方に焼酎半分を飲んでもらうことにした。
「御商売の邪魔するようで申し訳ないんですが、マスター、半分飲んでもらっていいですか?」
「どうぞ・・・」とおっしゃる。
何も口をつけないうちに、私の焼酎を半分、隣の方のジョッキに入れてもらった。
ホッピーが飲めたことがうれしい。
「つまみ何にしますかねえ・・・」
「厚あげなんか、どうです。安いし、人気ありますよ」
マスターのおっしゃる通りにする。厚揚げ焼き(100円)である。
ずいぶんと時間がたってしまった。午後7時15分から8時15分まで一時間ほどの滞在。
お勘定は1750円であった。
マスターと常連の皆さんに声をかけ、お店を出る。皆さん、初めての私にやさしくしてくださった。感謝である。
外に出てふりかえった。入り口右手の白い壁に手書きで店名が書いてあることに気づいた。
「アパッチ食堂」と読める。でも、「アパッチ」と「食堂」の間が空いていて、よく見ると消した「砦」の文字が透けて見えた。元々はその店名だったのだろうか。今更もどって聞く訳にもゆかない。次回の楽しみが出来た。面白い。
歩道橋に隠れた「食堂」は、僕ら酒飲みの楽しい「砦」であった。
矢口渡 食べ処・飲み処「アパッチ食堂」
住所 東京都大田区多摩川1-1-6
電話 ?
定休 不定休
営業時間 11:00~21:00
交通 東急多摩川線矢口渡駅下車徒歩2分。
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
実力派俳優になりたい方はこちらを是非ごらんください→ 守輪咲良のSAKURA ACTING PLACE
居酒屋探偵DAITENの生活 第564回 2014年7月16日(水) 【地域別】 【池上線】 【時間順】 【がっかり】
矢口渡 食べ処・飲み処「アパッチ食堂」
~ 隠れた食堂は僕ら酒飲みの砦であった ~

東急多摩川線は多摩川、沼部、鵜の木、下丸子、武蔵新田、矢口渡、蒲田と7つしか駅がない。
その沿線駅の中でも下丸子、武蔵新田、矢口渡の3駅の辺りは、車窓からよく環状八号線が見える。
環状八号線と東急多摩川線が平行に走っている状態からクロスする辺り、その立体交差手前に、ずっと気になっていたお店があった。
東急多摩川線に背を向けて建っているので電車からは見えない。蒲田方面へ向かう場合、環状八号線はお店の先数十メートルから東急多摩川線下へもぐってしまうので、運転者は注意が前方に向かってしまう。反対車線を通った場合もお店の前には歩道橋があり、車道からは影になってよく見えないのである。
運転免許証がない。車がない。どこへでも電車とバスと徒歩だけで移動しているからこそ出会えたのかもしれない。
外に「うどんそば」や「呑喰処」という幟が立っている。外の左手に「おでん」と書かれた小さな赤提灯。「うどん」と手書きで追加記入されたハイボールの黄色い提灯が右手にある。店内が見えてしまう透明なガラスサッシの店内に暖簾代わりに幟が横に下げてあり、首を曲げると「お弁当」という文字が読める。

正面のガラスサッシを開けて中に入った。右手は奥行きが広く左手が狭い台形であり、正面奥側にカウンター席がある。六席くらいであろうか。右手壁にも壁カウンターがあり、手前窓側に向かっても座れるようになっていた。
カウンターの左手にお一人、右手側にお二人、店内には三名の先客の方がおられた。奥の調理場の中にマスターのお姿があった。左右の皆さんに頭を下げながら間に座らせてもらった。
並びの方が頼まれたのを聞いて、梅干し入チューハイ(350円)を私もお願いする。
カウンターに座ってみて気づいたことある。カウンターの真ん中辺りと、奥の調理場側との間に、橋のような板が渡してあったことである。
「いろいろと工夫があるんですね」と言ってカウンターから調理場に渡してある板を指さす。
すると、マスターがその板を外してしまった。
「これ、外すとね、こっち側にも座れるんだよ」
マスターが指さしたカウンターの向側にも作り付けの座る場所があるのだった。つまり、我々の座っていたカウンターには、向かい合わせにも座ることが出来たのである。
「凄いですね、びっくりしました」と私は素直に驚いてしまった。
壁のメニューを見る。
「出来るものは出来るけど、出来ないものは出来ないよ~」とマスター。常連の皆さんが笑う。
先客の方がイワシの煮付けを食べておられたので私も同じものにする。
イワシ煮付け(250円)である。
イワシ煮付けを美味しくいただきながら次の飲み物を考える。
「そば湯割りなんて、どうです。冷たいのと暖かいのとあるけど、冷たい方が今は旨いよ、評判がいいんだ」とマスター。
そば湯割り冷(350円)である。
マスターに聞けば、午前十一時から営業しているとのこと。終わりは午後九時である。
昼間は食堂として、そばやうどんや丼物を出しているお店である。
そばを茹でる時に出来たそば湯を冷蔵庫で冷やしておいて、焼酎を割って作ったものである。
そば湯割り・冷というネーミングが楽しい。
左端の方が先に帰られた。その後に座らせてもらうと、カウンターの右端の液晶テレビが見やすいのである。
「みんなね、その席が好きみたいだよ」とマスター。
板わさ(100円)とはしょうが漬け(150円)を頼む。
はしょうが漬けにらっきょう一個がおまけでついてくる。
「らっきょう、一個おまけねえ」とちゃんと言ってくれる。
定休日を聞いてみる。「休みは特に無い」とのこと。
並びの方がホッピーを頼まれた。焼酎の量が多い。
「ホッピーのみたいんですけど、焼酎が多いですねえ、どうしようかなあ」と私。
「大丈夫だよ、飲めるよ」。
マスターは笑っている。
ホッピーセット氷なし(350円)をお願いする。
氷なしにすると、焼酎の量がはっきりわかる。焼酎は多分普通の倍である。
そこで、隣の方に焼酎半分を飲んでもらうことにした。
「御商売の邪魔するようで申し訳ないんですが、マスター、半分飲んでもらっていいですか?」
「どうぞ・・・」とおっしゃる。
何も口をつけないうちに、私の焼酎を半分、隣の方のジョッキに入れてもらった。
ホッピーが飲めたことがうれしい。
「つまみ何にしますかねえ・・・」
「厚あげなんか、どうです。安いし、人気ありますよ」
マスターのおっしゃる通りにする。厚揚げ焼き(100円)である。
ずいぶんと時間がたってしまった。午後7時15分から8時15分まで一時間ほどの滞在。
お勘定は1750円であった。
マスターと常連の皆さんに声をかけ、お店を出る。皆さん、初めての私にやさしくしてくださった。感謝である。
外に出てふりかえった。入り口右手の白い壁に手書きで店名が書いてあることに気づいた。
「アパッチ食堂」と読める。でも、「アパッチ」と「食堂」の間が空いていて、よく見ると消した「砦」の文字が透けて見えた。元々はその店名だったのだろうか。今更もどって聞く訳にもゆかない。次回の楽しみが出来た。面白い。
歩道橋に隠れた「食堂」は、僕ら酒飲みの楽しい「砦」であった。
矢口渡 食べ処・飲み処「アパッチ食堂」
住所 東京都大田区多摩川1-1-6
電話 ?
定休 不定休
営業時間 11:00~21:00
交通 東急多摩川線矢口渡駅下車徒歩2分。
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
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