蒲田 居酒屋「碇や」
Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第565回 2014年8月12日(火) 【地域別】 【池上線】 【時間順】 【がっかり集】
蒲田 居酒屋「碇や」
~ 仕事の憂さを晴らすには ~

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久しぶりに友人のラム元帥と会うことになった。
二人で飲む時、店選びは常に私が任されている。指定された街は蒲田である。
蒲田駅東口駅前からまっすぐ東西に走り、あやめ橋を渡って第一京浜国道に至る広い駅前通りと、南北に走るJR京浜東北線と東海道線の線路、そして、JR線の下、あやめ橋の下をくぐって京急蒲田駅の北側を下ってゆく呑川の三本の線によって作られる三角地帯は、実は私の好きなタイプのお店が集まる地域である。
今日は、駅にも近いこの三角地帯の店を選んだのである。
改札で待ち合わせたラム元帥と二人、蒲田駅東口に降り立つ。左を見ると交番が並びにある。その先の右手角には昼間からお酒が飲める居酒屋兼食堂の名店、三州屋本店がある。三州屋本店と銀行の間を抜け、ちょうど京浜東北線の下をくぐる多摩堤通りの上の小さな陸橋を渡る。
四階建のマンションの一階に三軒の居酒屋さんが並んでいる。その一番手前が目的の店、「碇や」さんである。コンクリートの建築物を木造建築の雰囲気を出すために、入口の上に木造の小屋根が作られている。藍色の暖簾には「碇や」と書いてある。右手に松竹梅の一斗樽が三つ詰まれている。
お店の前に自転車が四台も置かれているのを見て、「これは地元の皆さんで混んでいるなあ」と思う。
店内に入ってみると、予想通りの満席状態であった。左手に一直線のカウンター。右手のこあがり座敷に四卓ほど。
普通は「今、満席なんで・・・」と言われ、他のお店を探すことになる。しかし、お店の方と先客の皆さんが相談をしてくれ、カウンターの奥に近い場所に二人で滑り込むことができた。二人ともビジネスバッグを足下に置いてやっと座れたのである。
まずは、瓶ビール(キリンラガー)を頼む。
健啖家のラム元帥が一期に頼んだ。牛すじ煮込み(三五〇円)、たこ唐揚げ(五〇〇円)、マグロ刺身五〇〇円)である。
すでにかなりお酒がすすんでいる様子なので、皆さん大きな声で楽しそうに話している。
我々だけが、ビールを飲みながら互いの仕事の話を地味にしていた。
しかし、牛すじ煮込み、たこ唐揚げ、マグロ刺身と次々に出されるつまみを食べ、ビールを飲むうちに、仕事の話はどうでもよくなってきた。
「焼酎のボトルキープが一升瓶なのもいいね・・・」とラム元帥が笑う。店内を見廻した。
たしかに、皆さんの前に焼酎の一升瓶がそれぞれ並んでいる。こちらでは、常連は一升瓶の焼酎なのである。
一升瓶焼酎のボトルキープが日々成立するということは、御客様の定着率が高いということだ。
ラム元帥は芋焼酎黒霧島ロックを頼んでしまった。私は、控えめにレモンサワーにする。
我々の前のカウンターの中で細身のマスターが料理を作っておられる。
「お客さんたちイカのしおから好き?」
「はい」と私。
「じゃ、食べられるね、イカきも焼き食べる?」
イカきも焼き(三五〇円)が出てきた。
「たべて」とマスター。
お茶碗にご飯を入れたものが出てきたのである。
「イカをたべて、残ったキモにご飯を入れて混ぜて食べるとうまいよ」とマスター。
実際に、後からご飯を入れて食べてみるとこれが美味しかった。
谷中しょうがも追加する。
午後7時半前という早い時間なのに、刺身類、豆腐などの食材が無くなったそうである。
やっと、料理が一段落して、マスターがホッとされた様子。
厚揚げ焼き(三五〇円)が無いということで、さつま揚げ(三五〇円)にする。
さつま揚げが出てきたところで、結局、芋焼酎黒霧島ロックを二つ。
自家製おしんこ(三〇〇円)をラム元帥が頼む。
彼はどこへ行ってもおしんこを食べるのだ。
「盛況ですごいですね」とラム元帥。
「みんな、御客様のおかげですよ。」とマスター。
自家製おしんこは、きゅうり、なす、そして、白い何かである。
最初、大根かと思ったのだが、よくみると、山芋であった。山芋のおしんことは珍しい。これが美味しかった。
ラム元帥は明日も忙しい。一時間半ほどたったところで帰ることにした。
お勘定をお願いする。二人で五八六〇円。ラム元帥はよく食べる。いつもちょっとお勘定は高くなる。
二人でビジネスバッグを胸に抱え、常連の皆さんの間を「すいません」と言いながら出口をめざす。
「また、来てくださいね」「どうも~」などと店中の御常連の皆さんに送られ、外に出た。
背後の扉を閉めた瞬間のラム元帥の一言が面白かった。
「疲れた、でも・・・面白かった」
二人ともすっかり仕事の憂さは消えていた。
蒲田 居酒屋「碇や」
住所 東京都大田区蒲田5-3-8
電話 03-5703-2007
定休日 ?
営業時間 ?
交通 JR京浜東北線蒲田駅下車徒歩3分・東急池上線・東急多摩川線蒲田駅下車徒歩4分。
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
実力派俳優になりたい方はこちらを是非ごらんください→ 守輪咲良のSAKURA ACTING PLACE
居酒屋探偵DAITENの生活 第565回 2014年8月12日(火) 【地域別】 【池上線】 【時間順】 【がっかり集】
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久しぶりに友人のラム元帥と会うことになった。
二人で飲む時、店選びは常に私が任されている。指定された街は蒲田である。
蒲田駅東口駅前からまっすぐ東西に走り、あやめ橋を渡って第一京浜国道に至る広い駅前通りと、南北に走るJR京浜東北線と東海道線の線路、そして、JR線の下、あやめ橋の下をくぐって京急蒲田駅の北側を下ってゆく呑川の三本の線によって作られる三角地帯は、実は私の好きなタイプのお店が集まる地域である。
今日は、駅にも近いこの三角地帯の店を選んだのである。
改札で待ち合わせたラム元帥と二人、蒲田駅東口に降り立つ。左を見ると交番が並びにある。その先の右手角には昼間からお酒が飲める居酒屋兼食堂の名店、三州屋本店がある。三州屋本店と銀行の間を抜け、ちょうど京浜東北線の下をくぐる多摩堤通りの上の小さな陸橋を渡る。
四階建のマンションの一階に三軒の居酒屋さんが並んでいる。その一番手前が目的の店、「碇や」さんである。コンクリートの建築物を木造建築の雰囲気を出すために、入口の上に木造の小屋根が作られている。藍色の暖簾には「碇や」と書いてある。右手に松竹梅の一斗樽が三つ詰まれている。
お店の前に自転車が四台も置かれているのを見て、「これは地元の皆さんで混んでいるなあ」と思う。
店内に入ってみると、予想通りの満席状態であった。左手に一直線のカウンター。右手のこあがり座敷に四卓ほど。
普通は「今、満席なんで・・・」と言われ、他のお店を探すことになる。しかし、お店の方と先客の皆さんが相談をしてくれ、カウンターの奥に近い場所に二人で滑り込むことができた。二人ともビジネスバッグを足下に置いてやっと座れたのである。
まずは、瓶ビール(キリンラガー)を頼む。
健啖家のラム元帥が一期に頼んだ。牛すじ煮込み(三五〇円)、たこ唐揚げ(五〇〇円)、マグロ刺身五〇〇円)である。
すでにかなりお酒がすすんでいる様子なので、皆さん大きな声で楽しそうに話している。
我々だけが、ビールを飲みながら互いの仕事の話を地味にしていた。
しかし、牛すじ煮込み、たこ唐揚げ、マグロ刺身と次々に出されるつまみを食べ、ビールを飲むうちに、仕事の話はどうでもよくなってきた。
「焼酎のボトルキープが一升瓶なのもいいね・・・」とラム元帥が笑う。店内を見廻した。
たしかに、皆さんの前に焼酎の一升瓶がそれぞれ並んでいる。こちらでは、常連は一升瓶の焼酎なのである。
一升瓶焼酎のボトルキープが日々成立するということは、御客様の定着率が高いということだ。
ラム元帥は芋焼酎黒霧島ロックを頼んでしまった。私は、控えめにレモンサワーにする。
我々の前のカウンターの中で細身のマスターが料理を作っておられる。
「お客さんたちイカのしおから好き?」
「はい」と私。
「じゃ、食べられるね、イカきも焼き食べる?」
イカきも焼き(三五〇円)が出てきた。
「たべて」とマスター。
お茶碗にご飯を入れたものが出てきたのである。
「イカをたべて、残ったキモにご飯を入れて混ぜて食べるとうまいよ」とマスター。
実際に、後からご飯を入れて食べてみるとこれが美味しかった。
谷中しょうがも追加する。
午後7時半前という早い時間なのに、刺身類、豆腐などの食材が無くなったそうである。
やっと、料理が一段落して、マスターがホッとされた様子。
厚揚げ焼き(三五〇円)が無いということで、さつま揚げ(三五〇円)にする。
さつま揚げが出てきたところで、結局、芋焼酎黒霧島ロックを二つ。
自家製おしんこ(三〇〇円)をラム元帥が頼む。
彼はどこへ行ってもおしんこを食べるのだ。
「盛況ですごいですね」とラム元帥。
「みんな、御客様のおかげですよ。」とマスター。
自家製おしんこは、きゅうり、なす、そして、白い何かである。
最初、大根かと思ったのだが、よくみると、山芋であった。山芋のおしんことは珍しい。これが美味しかった。
ラム元帥は明日も忙しい。一時間半ほどたったところで帰ることにした。
お勘定をお願いする。二人で五八六〇円。ラム元帥はよく食べる。いつもちょっとお勘定は高くなる。
二人でビジネスバッグを胸に抱え、常連の皆さんの間を「すいません」と言いながら出口をめざす。
「また、来てくださいね」「どうも~」などと店中の御常連の皆さんに送られ、外に出た。
背後の扉を閉めた瞬間のラム元帥の一言が面白かった。
「疲れた、でも・・・面白かった」
二人ともすっかり仕事の憂さは消えていた。
蒲田 居酒屋「碇や」
住所 東京都大田区蒲田5-3-8
電話 03-5703-2007
定休日 ?
営業時間 ?
交通 JR京浜東北線蒲田駅下車徒歩3分・東急池上線・東急多摩川線蒲田駅下車徒歩4分。
ホッピー原理主義者とは?
ホッピービバレッジが推奨する飲み方【3冷】を【原理】として、どこの酒場でもできるだけ原理通りの飲み方をしようと努力する酒飲みのこと。特に、大量の氷と多すぎる焼酎を入れたホッピーは、焼酎のオンザロックのホッピー味であって、本当の「ホッピー」ではないと考える。ホッピービバレッジの「飲み方いろいろ」を参照。
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