石川台 立ちのみ「串揚げ てん」第3回
Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第567回 2014年9月5日(金) 【地域別】 【池上線】 【時間順】 【がっかり】
石川台 立ちのみ「串揚げ てん」 第3回
~ 幼少期の酒場体験の記憶が甦った ~

9月となってもまだまだ暑い日々が続いていた。
連日の暑さの中、胃の調子もあまり良くないというのに、何故か串揚げが食べたくなった。
池上線で串揚げといえば、私の中では石川台駅の踏切脇にある立ちのみ「串揚げ てん」さんである。池上線に乗り、石川台駅で降りた。
石川台駅
一階に入っているお店の左手にある狭い階段をトントンと音を立てて上がった。
二階の踊り場の右手の入口から入る。七人ほどが立てるカウンター席とテーブル席に男性の先客、お一人ずつ。
お店の中央に二つある大テーブルのうち、窓側の大テーブルの一番窓際に立った。いつもの定番の場所である。振り返れば、窓越しに石川台駅の蒲田方面の改札口を見下ろせる。
ホッピーセット白の氷り無し(四〇〇円)と、いつものおまかせ串揚げ五本セット(四〇〇円)を頼む。
入口に近い方の大テーブルの後ろの高い位置にテレビがある。前回、紹介させてもらった時の番組は「笑点」であったが、今日は「巨人対東京ヤクルト」のナイター中継であった。実は、あまり自宅でナイター中継を見ることは少ない。しかし、酒場ではナイター中継を見ることが好きである。
おまかせ串揚げ五本セットはいつものように1本多い。レンコン、ししゃも、エリンギ、シシトウ、エビ、串カツ。
シシトウは、今日は当たりである、辛い。
カウンターの男性の方が一人帰った後、男性一人、女性二人、お父さんと小学生の娘さんの親子連れと続いて入ってこられた。一期に盛況である。
そして、気がつけば、私を含めた店内にいる男性客全員がホッピーセットを飲んでいる。
おすすめの書いてあるメニューは好物ばかりだった。
菜の花のからし合え(三五〇円)、谷中しょうが(三〇〇円)、エシャロット(三〇〇円)等。その中からエシャレットを選んだ。
二杯目は、今日もトマト割り(四五〇円)にする。
やってきたエシャロットは八本。添えてある辛味噌がうまい。元気が出る。
ママさんがお菓子を親子連れのお嬢ちゃんにあげる。とても喜んでいる。
ここで思い出したことがあった。
小学校低学年の頃、母方の祖父と一緒に暮らした。祖父と二人で銭湯に行った帰り、祖父には寄りたいところがあった。そこは大きな酒店であった。その場所に行くと、天井の高いお店の中に大人の男たちがたくさんいた。味噌樽が並び、その上にアクリルの蓋がのっていた。大人たちの指が味噌を少しすくい、つまみにするのである。もちろん、許されていることではない。気がきがつくと店主が木べらで指の跡を直す。
お店の方に出してもらった小さな椅子に座って、サイダーやラムネを飲んでいると、大人たちがお菓子をくれた。
楽しい思い出である。この酒屋で飲むこと、角打ち体験に私の酒場人生の原点があるのかもしれない。実は今でも一番好きな酒場は「酒店の店頭=角打ち」である。
祖父はいつも「お父さんやお母さんには内緒だよ」と言った。
でも、昭和三十年代の頃の二級酒の質はそれなりであり、飲み過ぎた祖父の顔はすでに赤かった。
私は律儀に黙っていたけれど、たとえ、両親に話してしまったとしても結果は同じであったに違いない。
ここは地元の方々が集まり、年齢層の幅も広く、女性客の比率も高い。安心して入ることの出来るお店である。
感慨にふけっているうちにトマト割も無くなり、時は過ぎていた。
午後七時半から八時十五分まで四十五分ほどの滞在。お勘定は一六〇〇円であった。
※ ※ ※
入口のレジの近くに、「街の手帖 池上線」のバックナンバーを並べて置いてくださっていた。
この「街の手帖 池上線」には、第9号から沿線酒場探訪という記事を書かせてもらっている。
街の手帖池上線」第9号
さらに、「街の手帖 池上線」の第10号が9月23日に発売予定。第9号より増ページとのこと。
この第10号でも「沿線酒場探訪」を引き続き書かせてもらい、池上線沿線のある名店を紹介させてもらう。
前回のお知らせはこちら。
「街の手帖」編集部はこちら。
第2回紹介 居酒屋探偵DAITENの生活 第542回 2014年1月5日(日)
第1回紹介 居酒屋探偵DAITENの生活 第273回 2009年10月28日(土)

石川台 立ちのみ「串揚げ てん」
住所 東京都大田区東雪谷2-24-12-2F
電話 ?
定休日 日曜休
営業時間 17:00~23:00
交通 東急池上線石川台駅下車徒歩10秒。蒲田方面改札前。
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
実力派俳優になりたい方はこちらを是非ごらんください→ 守輪咲良のSAKURA ACTING PLACE
居酒屋探偵DAITENの生活 第567回 2014年9月5日(金) 【地域別】 【池上線】 【時間順】 【がっかり】
石川台 立ちのみ「串揚げ てん」 第3回
~ 幼少期の酒場体験の記憶が甦った ~

9月となってもまだまだ暑い日々が続いていた。
連日の暑さの中、胃の調子もあまり良くないというのに、何故か串揚げが食べたくなった。
池上線で串揚げといえば、私の中では石川台駅の踏切脇にある立ちのみ「串揚げ てん」さんである。池上線に乗り、石川台駅で降りた。

一階に入っているお店の左手にある狭い階段をトントンと音を立てて上がった。
二階の踊り場の右手の入口から入る。七人ほどが立てるカウンター席とテーブル席に男性の先客、お一人ずつ。
お店の中央に二つある大テーブルのうち、窓側の大テーブルの一番窓際に立った。いつもの定番の場所である。振り返れば、窓越しに石川台駅の蒲田方面の改札口を見下ろせる。
ホッピーセット白の氷り無し(四〇〇円)と、いつものおまかせ串揚げ五本セット(四〇〇円)を頼む。
入口に近い方の大テーブルの後ろの高い位置にテレビがある。前回、紹介させてもらった時の番組は「笑点」であったが、今日は「巨人対東京ヤクルト」のナイター中継であった。実は、あまり自宅でナイター中継を見ることは少ない。しかし、酒場ではナイター中継を見ることが好きである。
おまかせ串揚げ五本セットはいつものように1本多い。レンコン、ししゃも、エリンギ、シシトウ、エビ、串カツ。
シシトウは、今日は当たりである、辛い。
カウンターの男性の方が一人帰った後、男性一人、女性二人、お父さんと小学生の娘さんの親子連れと続いて入ってこられた。一期に盛況である。
そして、気がつけば、私を含めた店内にいる男性客全員がホッピーセットを飲んでいる。
おすすめの書いてあるメニューは好物ばかりだった。
菜の花のからし合え(三五〇円)、谷中しょうが(三〇〇円)、エシャロット(三〇〇円)等。その中からエシャレットを選んだ。
二杯目は、今日もトマト割り(四五〇円)にする。
やってきたエシャロットは八本。添えてある辛味噌がうまい。元気が出る。
ママさんがお菓子を親子連れのお嬢ちゃんにあげる。とても喜んでいる。
ここで思い出したことがあった。
小学校低学年の頃、母方の祖父と一緒に暮らした。祖父と二人で銭湯に行った帰り、祖父には寄りたいところがあった。そこは大きな酒店であった。その場所に行くと、天井の高いお店の中に大人の男たちがたくさんいた。味噌樽が並び、その上にアクリルの蓋がのっていた。大人たちの指が味噌を少しすくい、つまみにするのである。もちろん、許されていることではない。気がきがつくと店主が木べらで指の跡を直す。
お店の方に出してもらった小さな椅子に座って、サイダーやラムネを飲んでいると、大人たちがお菓子をくれた。
楽しい思い出である。この酒屋で飲むこと、角打ち体験に私の酒場人生の原点があるのかもしれない。実は今でも一番好きな酒場は「酒店の店頭=角打ち」である。
祖父はいつも「お父さんやお母さんには内緒だよ」と言った。
でも、昭和三十年代の頃の二級酒の質はそれなりであり、飲み過ぎた祖父の顔はすでに赤かった。
私は律儀に黙っていたけれど、たとえ、両親に話してしまったとしても結果は同じであったに違いない。
ここは地元の方々が集まり、年齢層の幅も広く、女性客の比率も高い。安心して入ることの出来るお店である。
感慨にふけっているうちにトマト割も無くなり、時は過ぎていた。
午後七時半から八時十五分まで四十五分ほどの滞在。お勘定は一六〇〇円であった。
※ ※ ※
入口のレジの近くに、「街の手帖 池上線」のバックナンバーを並べて置いてくださっていた。
この「街の手帖 池上線」には、第9号から沿線酒場探訪という記事を書かせてもらっている。

さらに、「街の手帖 池上線」の第10号が9月23日に発売予定。第9号より増ページとのこと。
この第10号でも「沿線酒場探訪」を引き続き書かせてもらい、池上線沿線のある名店を紹介させてもらう。
前回のお知らせはこちら。
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第2回紹介 居酒屋探偵DAITENの生活 第542回 2014年1月5日(日)
第1回紹介 居酒屋探偵DAITENの生活 第273回 2009年10月28日(土)

石川台 立ちのみ「串揚げ てん」
住所 東京都大田区東雪谷2-24-12-2F
電話 ?
定休日 日曜休
営業時間 17:00~23:00
交通 東急池上線石川台駅下車徒歩10秒。蒲田方面改札前。
「ホッピーを原理主義的に飲む方法」はこちら。
実力派俳優になりたい方はこちらを是非ごらんください→ 守輪咲良のSAKURA ACTING PLACE