池上 食堂「池上食堂」第2回
Life of the izakaya detective DAITEN
居酒屋探偵DAITENの生活 第579回 2014年12月30日(火) 【地域別】 【池上線】 【時間順】 【がっかり集】
池上 食堂「池上食堂」 第2回
~ 人が動き、流れてゆく ~

池上線の池上で用事を済ませると、少し時間が空いた。
昼の池上通りを歩いているうちに、「池上食堂」の前にさしかかった。そして、ちょうど私の前を歩いていた年輩の方が暖簾をくぐり、曇りガラスの戸の中へ入ってゆかれた。ガラス戸が開いて中が見える。空いているようである。気が付けば、吸い込まれるように入ってしまっていた。
左右に三つづつあるテーブル席のうち、左手の真ん中のテーブルの椅子に荷物を置く。先客は右手の入口近くのテーブルに若い男性が一人。目の前に食べ終えたどんぶりもの。私の前に入った年輩の方は目玉サラダとライスを注文されていた。食事のみの注文。食堂であるからあたりまえである。
奥のガラスケースの中のオカズを眺めながら、脇のレジのママさんに注文する。
「お酒お願いします。」
「お酒は菊政と富翁があるんですけど」
「富翁、お願いします」
「常温とお燗をしたのと、それから冷やしてあるものがあります」
「常温でお願いします」
常温の富翁(三五〇円)は正一合のガラス瓶で提供される。キュウリとタクアン漬けも付いてくる。
冷や奴(二五〇円)はネギとオカカがたっぷりかけてある。
次々にお客さんが入ってこられる。ご飯と一緒にビールを頼むカップル。ご飯と一緒にお酒を頼む男性一人客。
ママさんは「ご飯は少なめですか?多めですか?」と必ず聞く。
「野菜の煮物は何ですか?」と聞いてみる。
「今日はカボチャだけなんですけど・・・」
「それじゃ、カボチャお願いします」
カボチャ(二五〇円)が出てきた。そして、いつも定番の目玉サラダ(二五〇円)も追加、二本目の富翁(三五〇円)は燗でお願いする。
次のカップルもビールとお食事を頼む。すでに仕事納めなのか、みなさん昼からお酒が飲め、食事が出来る。
これも幸せである。
目玉サラダとは卵の目玉焼きとポテトサラダとキャベツが皿にのったものである。
入口の曇りガラスは、上と下の部分だけ透き通っている。外を通る人の足元が見え、自転車のタイヤが通り過ぎる。
人が動き、流れてゆく様を見るのが心地よい。小津安二郎の映画を思い出す。
また、カップルが入ってこられた。満卓となった。
一通り頼んだ後、女性が思いだしたように言った。
「ここ、フライも美味しいんだよね」
ママさんが再びやって来る。
「あの今日のフライは何ですか?」
「メンチは一枚なんですけど、アジフライ二枚のと、コロッケ二個のと、アジフライとコロッケ一つづつがあるんですけど」
立て板に水の説明である。
「アジフライ二枚でお願いします」
私もアジフライは大好きである。実物が出てくるのを見てしまうと、ついつい自分も頼んでしまいそうなので、御勘定をしてもらうことにした。
「御勘定をお願いします」
「一四五〇円です・・・・お茶をお持ちすればよかったですね。お持ちしますか?」とママさん。
「ありがとうございます。大丈夫です。」
コートを身につけ、曇りガラスを開けて外に出る。風もない。おだやかな年の瀬である。

池上 食堂「池上食堂」
住所 東京都大田区池上6-2-9
電話 03-3751-3138
定休日 日曜・祝祭日休
営業時間 10:00~15:00/17:00~21:00
交通 東急池上線池上駅下車徒歩1分。
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池上 食堂「池上食堂」 第2回
~ 人が動き、流れてゆく ~

池上線の池上で用事を済ませると、少し時間が空いた。
昼の池上通りを歩いているうちに、「池上食堂」の前にさしかかった。そして、ちょうど私の前を歩いていた年輩の方が暖簾をくぐり、曇りガラスの戸の中へ入ってゆかれた。ガラス戸が開いて中が見える。空いているようである。気が付けば、吸い込まれるように入ってしまっていた。
左右に三つづつあるテーブル席のうち、左手の真ん中のテーブルの椅子に荷物を置く。先客は右手の入口近くのテーブルに若い男性が一人。目の前に食べ終えたどんぶりもの。私の前に入った年輩の方は目玉サラダとライスを注文されていた。食事のみの注文。食堂であるからあたりまえである。
奥のガラスケースの中のオカズを眺めながら、脇のレジのママさんに注文する。
「お酒お願いします。」
「お酒は菊政と富翁があるんですけど」
「富翁、お願いします」
「常温とお燗をしたのと、それから冷やしてあるものがあります」
「常温でお願いします」
常温の富翁(三五〇円)は正一合のガラス瓶で提供される。キュウリとタクアン漬けも付いてくる。
冷や奴(二五〇円)はネギとオカカがたっぷりかけてある。
次々にお客さんが入ってこられる。ご飯と一緒にビールを頼むカップル。ご飯と一緒にお酒を頼む男性一人客。
ママさんは「ご飯は少なめですか?多めですか?」と必ず聞く。
「野菜の煮物は何ですか?」と聞いてみる。
「今日はカボチャだけなんですけど・・・」
「それじゃ、カボチャお願いします」
カボチャ(二五〇円)が出てきた。そして、いつも定番の目玉サラダ(二五〇円)も追加、二本目の富翁(三五〇円)は燗でお願いする。
次のカップルもビールとお食事を頼む。すでに仕事納めなのか、みなさん昼からお酒が飲め、食事が出来る。
これも幸せである。
目玉サラダとは卵の目玉焼きとポテトサラダとキャベツが皿にのったものである。
入口の曇りガラスは、上と下の部分だけ透き通っている。外を通る人の足元が見え、自転車のタイヤが通り過ぎる。
人が動き、流れてゆく様を見るのが心地よい。小津安二郎の映画を思い出す。
また、カップルが入ってこられた。満卓となった。
一通り頼んだ後、女性が思いだしたように言った。
「ここ、フライも美味しいんだよね」
ママさんが再びやって来る。
「あの今日のフライは何ですか?」
「メンチは一枚なんですけど、アジフライ二枚のと、コロッケ二個のと、アジフライとコロッケ一つづつがあるんですけど」
立て板に水の説明である。
「アジフライ二枚でお願いします」
私もアジフライは大好きである。実物が出てくるのを見てしまうと、ついつい自分も頼んでしまいそうなので、御勘定をしてもらうことにした。
「御勘定をお願いします」
「一四五〇円です・・・・お茶をお持ちすればよかったですね。お持ちしますか?」とママさん。
「ありがとうございます。大丈夫です。」
コートを身につけ、曇りガラスを開けて外に出る。風もない。おだやかな年の瀬である。

池上 食堂「池上食堂」
住所 東京都大田区池上6-2-9
電話 03-3751-3138
定休日 日曜・祝祭日休
営業時間 10:00~15:00/17:00~21:00
交通 東急池上線池上駅下車徒歩1分。
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